先日サス設定したザラブ嬢ですが、それから200㎞くらい乗りました。最初にホームコース持ち込んだときは、「おお!前よりサスの吸収が良くなって、こりゃステキ!」って感想でしたが、ホームコースを数回走り込んでいるうちに、「ん?んん??ちょっとバネっぽくて、収まりが悪いかなぁ・・」と感じる部分もでてまいりました。

サスをイジった後のファーストインプレッションで「良くなってる~」って感じるのは、「サスの変化が自分が求めてる方向性と一致してる」ってことかなと。でも良くなったところがあれば必ず悪くなるところがあるのがサスですから、走り込むほどに細かいところの詰めが気になってまいります。

サスの調整って、最終的には良いところが一番大きくなり、悪いところが一番小さくなるところを探していく地道な作業になっていきます。公道ってシュチュエーションの変化が凄いんで、できるだけフトコロの深さを出したいんですが、サスや車体が良いと逆に「幅広の設定を許さない」ってジレンマに陥っちゃうんですね。

例えばうちのダイナはフロントにオーリンズ入れてあるんですが、車体が非常におおらかですし、オーリンズサスもストリート用でかなり調整幅を広めに取れるんで、結構ダルな設定ができるんです。私はダイナに関しては、フォーカスをかなりぼかしてあります。これでどんな路面でもカバー出来るし、アメリカンは少しボケ味があったほうが疲れないんですよね。ノーマルに近いユルさを盛り込んでる。それでもさすがオーリンズ。ウソのように走ります。

でも、ザラブ嬢は、車体もタイヤもビシッとフォーカスがあってて、もう8K映像のようにインフォメーションがクッキリハッキリしたバイクなんで、あんまりボケ味を入れると良さが死んじゃうんで困っちゃう。しょうがないので、自分のコースの平均値のところでキレと乗り心地がハイバランスになるように合わせて、平均以外の部分でつじつまあわないのは「しょうがないよね。」っていうのが落とし所かなぁと思ってます。

私はいつからか、公道では、シャーシ剛性の低いバイクを好むようになってるんですが、それはやっぱり走ってて懐の深さがあるからですよね。車体がソリッドだと乗り味も「俺はメカ子だぜ!」って感じになっちゃうんですが、しなるシャーシは優しく包容力がある。で、それが公道の速度域で非常にラクで楽しいんですよ。ガチガチのシャーシは確かに高性能ですが、それを楽しもうとするとどーしても速度域が高くなる。

そもそもテレスコみたいな単純なサスにおいては乗り心地とコーナーのキレはバーターの関係にあります。乗り心地が良くって峠でもキレまくる夢のバイクなんてありません。ザラブ嬢はサーキット等の綺麗な路面を想定し、乗り心地を犠牲にして車体をキレキレにしてるんで、公道だとどうしてもギャップの吸収性に難が出る。

でもこれ、もうしょうがないのかなぁと思わなくもない。だって、多くのリッターバイクの試乗インプレはサーキットがメインですから。特に最上級モデルともなれば、「他メーカーのバイクより、どんだけ走りがいいのか?」っていう比較勝負になる。

トライアンフってのは、昔から価格とパワーのバランスが丁度良い中排気量を主戦場にしていて、ここら辺の排気量は正にお家芸。しかもMoto2メモリアルのマシンで眠い走りはできないから、大マジで仕上げてある。そんなバイクのエンジンを全開にして、その領域でのインプレしましょうねってなると、サーキット持ち込むしかないですよね。

そこで、多くのメディアやライターに「このバイクサイコーですぅ!!」といわせようとすると、セッティングはどうしても固めになっていくんです。

street triple(動画を見るとエンジンサウンドも車体の切り返しも、高速コーナーでの踏ん張りもサーキットでは申し分ない。しかし、粗雑を極めた公道路面ではこんな意識の高い設定は逆に乗りにくい。)

でも、サーキットという芝の良馬場で最高の走りができても、公道というダートの重馬場じゃ、固めた足回りじゃ柔軟性がない。バイクは機械なんで競走馬みたいに骨折はしませんが、その上にある乗り手のオッサンの腰が逝ってしまうということになるわけです。

普通の量販バイクは公道にフォーカスを合わせつつ、万人が乗れるセッティングになってるんで、減衰調整は不要なんです。調整しなくても乗れるように作ってあるバイクに調整機構がいらないってのは当たり前。公道で多くの人が気兼ねなく乗って楽しむには平均値で許容範囲広めにとったツルシの革ジャンみたいなセッティングで十分だと思うんですよ。

これに対してフルアジャスタブルサスっていわゆるオーダーメイドですよね。革ジャンでいうとラングリッツみたいなもんです。きちっと寸法は出せるけど、それ故にフォーカスがピンポイントで許容範囲が狭いんで、他人の寸法にあわせたものを提供されると辻褄があわないってことになる。服もサスも考え方は同じで、緩めに作って万人に提供するか、個の調整にまかせてピンポイントを追い込むかってことですよね。最初にザラブ嬢に乗って固い!!って思いましたが、これザラブ嬢が悪いわけじゃなくって、トライアンフのテストライダーの体重や乗り方、テスト環境と私の乗るシュチュエーションがいまいち整合してないんです。

「あのね、ご主人。RSはレーシングスポーツの略ですから。エンジンもMOTO2ベースのレーシングユニットですから。設定はこれでいいんです!オーナーみたいな小バエがトライアンフ様に逆らってもしょうがないんですよ?さ、あきらめて、ちゃんとサーキット走りましょ?」

ってザラブ嬢は主張するかもしれない。でも私は譲りませんよ。「はぁ?なんで乗り手がバイクにあわせるの?主従関係おかしいでしょ??魔改造で痛車にしちまうぞ?」ってなもんですよ。

昔はバイクにあわせようという気持ちもありましたが、今はプロデューサーがド演歌好きならアイドルでも演歌歌うのが世の宿命だと思ってる。ヨゴレだってやらせますよ。バイク乗りなんて3割くらいが変態なんだから、贅沢言ってちゃいけません。

そもそもストリートファイターって、SSのカウルを取っ払い、ネイキッドっぽく擬態して、公道用のバイク達をハイパワーエンジンと高性能な足回りでチギリ倒そうってコンセプトですよね。これ、私が昔CBR900RRを購入したときに考えてたことと同じです。もう反則しても勝てばいいやってやつですよ。ヤクザの世界の武闘派が専業主夫やってる極主夫道と発想がまったく同じ。世の変態バイク乗り達が作った、変態カテゴリーですね。

極主夫道(ストファイを擬人化したら本来こうなる。ガチの武闘派(SS)が足ヌケ(カウル取っ払い)してカタギのシャバ(公道)で家事(通勤快速)にいそしむ。極主夫道とストファイのコンセプトはほぼ同じです。)

しかもこの子、名前が「ストリートトリプル」です。直訳すると「街の三気筒」。昔いすずのジェミニが「街の遊撃手」って言われてましたが、それ思い出しますよね。一体何を遊撃してたのか最後まではわからなかったですけども。で、このバイクは「街の三気筒のレーシングスポーツバージョン」ってことになるわけですが、ややこし過ぎる。

「これサーキットなの?ストリートなの?どっちなのぉぉおおおおおお!!」ってなる。

あのですね。そもそも一般のバイク乗りはサーキットなんて行かないですよ。田舎にあるのはサーキットではなく広域農道なんですよ。田舎なめとったらアカンで!!

休日にサーキットで思いっきりアクセル全開なんて、どんだけ恵まれたブルジョアジーなんだよと。そんなの一般のバイク乗りからしたら、武道館でコンサートやるみたいなもん。まぶしすぎるでしょ?一方、僻地のライダーは場末の小汚いライブハウスでドサ周りですよ。要は近場の峠でシコりまくるしかない。

こういうヨゴレのドサ周りにはドサ周りに特化した仕様ってのがありますから。現在のザラブ嬢は、中央競馬の芝の良馬場で仕上がってきたサラブレッドを、地方競馬の荒れた重馬場で走れるように調教し直してる状況ですよね。

酔拳2
(子供心にあまりにも鮮烈だった、酔拳の猛特訓。この後は当然、指でクルミを割ったり、壺を破壊したりします。)

ちなみに前回からこれまでの経過を申しますと、アジャスターを2回転ゆるめて動きにバネ感が出たサスの動きを抑えるために、伸び減衰を更に3ノッチ締め込み(トータルで全解放状態から9回転締め)、圧減衰も全解放から2ノッチほど締め込んでみました。

これでコーナリングでの落ち着きも出て、切り返しのキレもまずまずとなったわけですが、直進時の突き上げはまた悪化。でも前回プリロードを2回転抜いてますから、刺すような突き上げではなく、随分と角の取れたマイルドなものになってる。

「もう少し角を丸めたいね・・」という心の声に従い、この状態からもう3/4回転ほどプリロード緩めました。当然、乗り心地は改善したんですが、またコーナーでのキレが・・って感じで、もう、かっぱえびせんというか、追い鰹みたいになってるんですね。でも全体的に微調整の領域に入ってきたことは間違いない。

ここから先は戻したり閉めたりを繰り返しながらってことになるわけですけど、「いよいよ沼になってきたなぁ」って気がしてます。でも、趣味のサス調整なんて時間かけてボチボチやっていけばいいんで実にお気楽。最終的にこれで!ってところで落ち着いたら、皆様の参考になるかわかんないけど、またご報告いたします。