「はにゃぁあぁああぁあああん!!いぃぃぃいぃぃぃぃぃいいいい~~ん!!」

笑顔2

なんだこのトンデモない出だしは!と皆さん驚きのことと思います。これはストリートリプルのリアサスのプリロードを調整して、いつものダム横の峠道に持ち込んだときの「私の笑顔」「心の中の声」を再現したものです。

以前ブログでザラブ嬢(ストリートトリプルRS)のリアが堅い!!ってブログにしました。いやまぁ堅いんですよ。この世のオジサンには弱点が3つあって、それはズバリ「目、肩、腰」なんですね。私の目は「老眼に乱視」、肩は「五十肩」、腰だけは「まだちょっとマトモかしら」って状況なんですが、ザラブ嬢はリアサスに負荷かかってるときに路面のギャップ踏むとリアが「ズガン」と突き上げられてモロに腰に来るんです。これじゃ早晩腰が崩壊してヘレンケラーも真っ青の「老人性三重苦」になっちゃうんじゃないかと不安でしかたがない。

私が走るホームコースの路面ってダム横の舗装道路で結構うねったり荒れたりしてるんで、今のサス設定じゃ、ちょとどうしようもない感じなんですよ。で、普通はこういう場合、リアサスのプリロード調整からはじめるわけなんです。でもプリを緩めようにもマニュアルになんか変なこと書いてあるんですよ。それがこれ。

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「はぁぁぁぁあああ?なんぞこれ?警告って??これフルアジャスタブルでしょ?どういうこと?せっかくオーリンズ入ってるのに一番肝心のプリロードを調整するなって??おかしいでしょ??」

サス設定で一番肝心なのは、サスペンションスプリングの動きを決めることです。伸び減衰と圧減衰はその動きを押さえ込んでより適切に動かすためのサポートみたいなもんなんですから、最初に負荷に対してサスペンションスプリングがうまく動作するように調整しないと、伸び圧減衰の意味がないわけなんですよ。

でも、マニュアルにこういう風に書かれちゃうと、正直怖いですよね。なんせ「警告!」ですよ「警告!」これ、守らなければ死んじゃうから!!みたいに見えますよね。しょうがないから「うぐぐぐ・・」と呻きながらも、まずはメーカーの提案を真に受けて、ひたすら耐えて走ってたんですよ、4000㎞もね。

プリロード変えられないので、突き上げ緩和のために圧側減衰を完全に緩めた状態で走ってみたんですが、圧を目一杯まで緩めてもまだ突き上げが厳しいんで、伸びもぜーんぶ緩めちゃいました。

この手のサスは構造的に伸びを緩めると圧側も少しだけ緩むんで、もうこの際、やるだけやってやれと。それでもギャップ超えの衝撃を収束しきれず、結構とがった突き上げが来るんですよ。こうなっちゃうと「突き上げで車体が浮いちゃって荷重が抜けるんじゃないか」ってヒヤヒヤするから、コーナー攻め切れないわけなんです。まぁそんな状況でも走れないわけじゃないんですが、「絶対もっと気持ちよくなるはずなんだけどなー・・」という残念感を常に感じていたんですね。

これってツルシの革ジャンやツナギを購入して、ちょっと肩が重かったり、ツッパったりして「オーダーメイドだったらもっとしっくりくるのかなぁ・・」なんて悶々とした気持ちを抱くのと同じような感じなんですよね。

はっきり言いますけど、革ジャンでもなんでもフルオーダーで作れるものはフルオーダーしちゃうと最高ですよ。私はラングリッツのキャスケードを仕立てたとき34万円も請求されて口からアボラスみたいな泡をガボガボ吐いたんですが、やっぱりコレまで着てきたツルシの革ジャンと全然まったくホント違うんです。

もうありとあらゆるところに違和感がなく自然で、重さも感じないから1日着てても全然疲れない。「こんなバカ高いの買っちゃって絶対にモトとるんだからね!」と補修しながら11年着てるけど、今後もきっとこれ脱がないと思う。あまりに着心地がいいから。

サスだっておんなじですよ。調整機構があるものは調整すればどんどん良くなる。でもこのザラブ嬢はサスの調整機構分のプライスを払ってるのに、自分に合わせた調整を封じられてるんですよ。これじゃなんのために良いサス入ってる最上級モデルに大枚はたいたのかわかんない。

「これからサスにアタリがついてくればもっと仲良くなれるのかな・・そうすればひょっとしてもしかしてラブラブに・・キャッ♡」

なんて淡い期待を胸に抱いておりましたが、既にフロントタイヤは2本目に突入しているのに、これ以上リアサスが柔らかくなる気配は微塵もない。

「アホかぁあぁあああ!年寄りのガラスの腰に過酷な仕打ちすぎんだろ!んもうプリ緩めるしかねぇぇえ!!ダメなら戻せばいいんだからね!」

ってことで、マニュアルの注意書きをガン無視してプリロード調整を敢行したのが2週間前。

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(ご覧の通り、プリロードをネジ2つ分緩めました。)

マニュアルには「プリ変えたらどうなってもしらないよ!事故って命落としてもトライアンフのせいじゃないんだから!!」って読めるような怖いこと書いてありましたが、プリロード調整を無事終えた私の結論は

プリ変更すると危ない!って書いてあるけど、ノーマル状態で乗ってる方が危ないじゃない!!調整した方が絶対安全で気持ちいいんだからねっ!!!」

ってこと。何でさっきからツンデレしゃべりになってるのか?特に意味はない。


小汚いバイク小屋で、万能フックレンチでリアのプリロードをケツの感覚を頼りにこんなもんかな~ってところまで緩めたら2回転戻しでした。よく雑誌でサグ出しは座面の沈み込み幅で判断っていわれてますが、私はこれまでの経験から、跨がった時の自分の尻に伝わるフィーリングで判断してます。後で嫁に手伝ってもらって検証してみたら、ちゃんと適正範囲に入ってるんで、人間の感覚ってやっぱしっかりしてるんですよ。

プリロード緩めた分、伸び側減衰を6ノッチ締め上げ、圧側はそのままにして、いつもの峠に突撃。そこで脳内再生されたのが冒頭の叫びです。いやもう、全然素晴らしいですよ。「リアサス、やっとオーリンズらしい仕事してるじゃん!」と最初のコーナーで顔の表情が「ぱぁぁぁっ☆」ってなりましたもん。

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(こちらストレートの万能フックレンチ。長さが変えられるので、どんなサスにもジャストフィット。これでリアのプリロードを調整します。)

そもそもサスペンション機構ってのは車体を支えて衝撃を緩和するスプリングをよりよく動かすための制御システムなんですよ。だから肝心のサスペンションスプリングがうまく動かなければ、どんな高性能サス入れても一緒。高性能サスであればあるほど、動きが繊細でピンポイントだから、調整ズレるとホントどうしようもない。

今回改めて感じましたが、やっぱね。この手のバイクで、満足度上げようとすればプリロードはちゃんと調整すべきです。にもかかわらず、トライアンフは乗り手を全然信用してない。PL法の問題もあってしょうがないのかもしれないけど、「ヘタに調整してぐちゃぐちゃになるより、ノーマル設定で乗って下さい!お願いします!!」ってメーカーがわざわざ警告出してるってことは、ぶっちゃけ購買者のセッティング能力を毛ほども信用していないってことに他ならないわけですよ。

これメーカー側の気持ちもわからんでもないけど、矛盾してますよね。乗り手を信用しないんだったら、調整不要のダルめのサスを入れるべきなんですよ。サスって良いものになればなるほどスイートスポットをピンポイントで探れるよう敏感で繊細に作られてるもんだから、調整がズレちゃうと、フツーのサスより始末が悪いんです。今回のザラブ嬢のリアサスなんかその典型例ですよ。調整前提のサスを「調整不可」なんてことにしちゃうと、せっかく良いサス入れてる高額モデルを廉価モデルより我慢して乗るなんて本末転倒なことになる。

本来、フルアジャスタブルの高性能サスは、「自分でいろいろやってみてピンポイントのセッティングを出したいの!」っていうマメなライダーのためにあるんです。でも現実はカタログ商品力を増すための賑やかしになってしまってる。「とりあえず、一番ステータスがあるものが欲しい!!」って本来の目的と違うところで買ってるから、メーカーも過保護にならざるを得ないってことなんじゃないかと思うんですよね。

私は面倒くさがりなんで、フルアジャスタブルじゃなくてもかまわないし、正直、多くの人にとっては、ツルシで気持ちよく乗れるSかトライデントが良いと思うんですよ。一番いい性能のものが乗り手にとって一番良いものか?っていうと、そんなことは全然ない。ホントに性能の良いものって最後は自分で仕様を合わせるオートクチュールになるんで、自分が正しいと感じる基準軸を持たないのであれば、宝の持ち腐れどころか、悪しき結果になりかねないんです。

で、話を元に戻しますが、プリロードを緩めた結果、サスの踏ん張りは多少犠牲になった感はあります。しかーーし、突き上げの際のアタリが柔らかくなり、路面追従性が向上。うねった路面でも寝かせるまでの挙動が安定し、コーナーアプローチの安心感が劇的に増しました。私のダム横の峠越えのホームコースは急勾配あり、タイトターンあり、高速コーナーあり、路面の波打ちあり、荒れた路面ありと、非常にサスには厳しいコースなんで、トータルで満足のいく走りをしようとすれば、サスペンションには包容力が求められるんですが、リアサスわずか2回転戻しでサスの包容力が爆上がりしてる。

ギャップによる突き上げで腰が砕ける心配もなくなったんで、「にゃははははははーーー!!!」と笑いながらコーナーに突入できる。いやもう、これ最高じゃね?

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(こちらが私のホームコース。路面が割れてますね。田舎は交通量が少ないし、お気に入りのコースまで僅か15分で着いちゃうんで、自分磨きにはうってつけです。)
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(ホームコースでシゴいた後のリアタイヤ。このバイクのキレ味と自由自在感はホント凄い。ここまで安心して寝かせられるバイクはそうありません。)

私がホームコースにしている峠越えは路面の荒れやうねりが相当ある。アスファルトもヒビが一杯だし、場所によっては砂が浮いてたりするし、サーキットの路面状況や路面ミューと比較すれば、もう「アスファルト路面でできたオフロード」みたいなもんですよ。

そこをある程度のアベレージで走破するには、サスを必要以上に固めるのではなく、オフロードバイクのようなしなやかな動きをサスに取り入れなくちゃいけない。サーキットみたいな整備された路面は、地方の田舎道には到底存在しませんからね。

公道ではとにかくサスは動かしてやって、路面状況によって生じるイレギュラーへの対応力を上げる事が大事だと思ってます。で、タイヤが常に路面に追従するようにスプリングのプリロードを調整していくと必然的に緩めになる。そんでサスが動きすぎるな~と思ったら伸び減衰締め込んで押さえていきます。

前後のサスのバランスをしっかり調整し、どっちのサスにも無理させないようにバランスとれば、多少緩めの方が公道では走りやすいし楽しいと思う。乗り心地もいいし、疲れないし、事故らないし、無理しないし、サスをうまく動かすという楽しみもある。

昔は限界域でサスがアウト側に小刻みにバウンドしていくほどサスをガチガチに締め上げてました。確かにダイレクトでソリッドでしたが、イレギュラーに対するマージンがないし、どうしても無理しちゃうんで事故ばっかりになる。あんまり固めると公道ではちょっとのことでブッ飛んじゃうんですよ。ストリートトリプルが多少固めに設定してプリいじるな!って「警告」してるのも、「固めるのが正義なのじゃ!」って思ってる昔の私みたいなユーザーに、公道使いでこれ以上プリロード締められるのが厭なのかもしれない。

ザラブ嬢はプリロード緩めても腰砕けのヘナヘナになることなんてありえないんで、十分頑張れるし、動かしてやればやるほどオーリンズの良さを実感できますね。

というわけで、リアサス調整が終了したわけですけど、走りのアベレージ的には特段変わってないです。でも体の負担が減って、楽しさは爆上がりしてる。「ハイ腰ィィイ!対ショック姿勢ーー!!」ってのがなくなっただけでも、もうルンルン気分ですよ。

やっぱ公道ではアベレージより、「満面の笑みで走れるように、自分満足度をどこまで上げれるか?」ってことが大事だと思う。誰かと競争してるわけでも、なにかと戦ってるわけでもないんだから。

50になったおっさんが「暴れる車体を押さえつけ、我慢してコーナー攻める」なんてのは全くのナンセンス。タイム遅くても「健康に良くて、楽しくて、安全で、脳汁ブシャーの回春効果爆発」って方が大事でしょう。

求めたいのはスピードよりも「多幸感」、多幸感もあんまりいきすぎると「認知症ですか?」っていわれますけど、やっぱりソコソコは求めていきたい。スピード絶対主義なら価値観は一つだけれども、気持ちよさの価値観って人によって様々なんで、幸せを求め出すとセッティングに正解がなくなってきます。調整にあたっても自分のワガママをひたすら貫き通せばいいわけで、難しく考える必要なんて全然ない。正解は自分の中だけにしかないから、自分が良ければ全て良しなんです。

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(オーナーのセッティング能力を全然信用していないザラブ嬢の図。私の過去の事故歴を知れば逃げ出す気持ちも十分理解できる。)

私がサス調整やカスタムを自分でセコセコやってるのは、ショップ持ち込むのがめんどくさいってのもあるけど、やっぱり自分の気持ちいいツボって自分しかわからないからです。

公道におけるセッティングって、乗り手の感性や、考え方、生き方、求めるもの、体力、走る環境などによって振れ幅が大きく、混沌としてて、そのものズバリの正解なんてないと思う。だからこそ、自分なりにちょこちょこいじりながら、それを探していく作業は奥が深くって、面白いんです。