新型ゴールドウィング、その名もきんつば嬢のインプレもはや7回目。購入してそろそろ半年なんですが、まだインプレ終わってないってどうよ?って感じですよね。でも、もう2回ほどで終わりますんで、皆様しばしお付き合いを願いたいと思います。

今回はライディングモードについてのインプレッションです。まぁ、これまでほかのブログでもちょこちょこ小出しにしてるので、どんなことが書かれるか皆さん既に想像がついていると思いますが、このブログは、主にツアーモードと、エコノモードインプレ及びスポーツモードグチる内容になります。

きんつば嬢は、右スイッチボックスに取り付けられているモード切り替えスイッチを押すことによってモードを4つ切り替えることができます。ボタン下押しで「ツアー→レイン→エコノ→スポーツ→ツアー」と切り替わっていきますが、当然上押しもできますので、反対まわりに切り替えることもできます。ちなみにレインモードは相当エンジンパワー絞っちゃうので、インプレできるほど使ってないからインプレはしません。ごめんなさい。

①エコノモード

きんつばに搭載されたモードのうち、一番6気筒らしい「ふんわり感」が感じられるのが実はこの「エコノ」です。エコノっていうと「燃費モードじゃん?」と思う人もいるでしょうが、コレが違うんですねぇ。

このモード、6気筒特有の柔らかいフィーリングが低回転に詰まってる。6気筒エンジンの羊水に包み込まれるようなフィーリングに浸り、「水子の霊になって、母なる子宮に還りたい~」という極めてHENTAI嗜好の自分補完計画の遂行を願っている私にはピッタリのモードなんですよ。

その日の気分によってはツアーの味付けは「ちょっとばかし実直すぎるかな~」と感じるときもあるから、そういうときはこのエコノに入れると、6気筒の優しい豊かさが味わえるんです。

このエコノモードはレスポンスを穏やかにしてあるので、低回転を気兼ねなく使えるモードでもあります。ツアーモードだと空荷物に一人乗りだと低速トルクありすぎて、アクセルワークラフな人だとギクシャクしてしまうかもしれないですが、このモードならそんなことないでしょう。低回転だけでお腹一杯にならないんで、割と回しながら乗ることもできる。

ただコーナーの立ち上がりでアクセル開けて車体を起こそうとすると、ちょっとパワー不足を感じちゃう。アクセルで元気よく車体を起こすには、アクセルをワイドオープンするか、高回転使わないといけないので、ちょっとせわしないかも。それが逆に「スポーティで楽しい!」って人もいると思うんですが、高回転になると持ち味の滋味が薄れちゃうから、単にアンダーパワーのモードになっちゃうってところもある。でも、市内をまったり走ってる分には最高ですよ。

コレ味付けした人ってホントステキな感性の持ち主っていうか、6気筒好きが何を求めてるかをよくわかってる。これで燃費もいいって凄くない?私は燃費とフィーリングの豊かさを両立してるこのモードを絶賛したいですね。

きんつば嬢4-1(私はエコノとツアーをその日の気分によって使い分けています。どっちも日常使いに全く問題ないし、どっちがいいって選べるものでもない。違った良さがあるんですよね。)

②ツアーモード

続いてツアー。これぞきんつばの真骨頂。あふれ出る低速トルクに浸るモードです。このモードに入れるとエンジンの中にいる山のフドウさんが本領を発揮します。これだけ下が厚ければ、2ケツしようが、荷物満載しようが全くエンストしようがないというくらい、アイドリング領域からトルクが出てます。普通のバイクとの基礎体力の違いを存分に感じさせる。

日常領域では回してもせいぜい1500回転~2500回転。そこまでで十分過ぎるほどのトルクデリバリーがあり、開ければレッドゾーンの6000回転までパワーを吐き出しながら軽々と伸びていく。レスポンスもツキもよく、アクセルのひねり一つで車体を自在に起こせるようになるので、運動性も申し分なし。このモードは私の箱なしでは、スポーツモード的に使えます。つーか、「実質スポーツモードこれでいいだろ?」って感じですね。

ジェントルで余裕たっぷりな中でも速い。ゴールドウィングのコンセプトから考えれば、速く走るにしても、これくらいのエンジン特性が妥当な範囲ではないでしょうか?

ただ、このモード、お仕事は非常によくできるんですが、実直すぎるきらいがある。F6Bのエンジンが結構楽しませてくれましたんで、当初「ちょっとつまんないエンジン特性になったな」と思わなくもなかった。「力はあるけど芸がない」ように感じたんです。

でも乗っているうちにいつしか「ゴールドウィングはこれでいいのかもしれないな・・と思えてきたんです。乗れば乗るほど、良さが染みてくるのがゴールドウィングなんですが、このモードも乗ってるうちに好きになってきた。

2ケツしてる時に、エンジンのキャラが濃かったらやっぱり飛ばしたくなりますよ。でも、タンデムの人と楽しく旅するなら、エンジンは主張がない方がいい。バイクに神経が向かない分、景色や後部座席に神経がいくわけです。

このモード、「力はあるけど芸がない」っていうより、「力があるから芸がいらない」ってのが正しいんだと思う。いつでも余裕を崩さず当たり前みたいにバカトルクをデリバリーするから個性がないように感じるけど、それこそがこのエンジンの強烈な個性といえる。

あらゆる局面をオールマイティでこなしつつ、乗り手の後ろで奥ゆかしく構える。ヘビー級レスラーの基礎体力を持つ有能メイド。それがこのツアーモードなんですね。

③スポーツモード

最後はいよいよスポーツモード。はぁ・・(←このため息で察して下さい。)・・まぁこれねぇ・・。私の中ではなかったことになってるモードですんで、いいインプレできないですね。これあえて言うと、「ユリアに出会って、子犬を手のひらにのせられる前の山のフドウ」ですね。
 
・・とっても・・乱暴です。

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(いい年のオッサンにほどこされるユリア先生の道徳教育。いやもうね。変なトゲ装束を身につけてイキリ倒してる山のフドウが若き日の自分の姿と重なり心が痛くなりますね。ここで出てくるユリア先生が私にとってのダイナ嬢ってことになるんですかね。実にシュールです。)

このモード、エンジンが狂ったようにレスポンスするんですよ。ドンツキもドンツキ、大ドンツキです。ガバ開けするとちょっと息継ぎするところもあるけど、アクセル開度が低い領域でも鬼トルクを出すゴールドウィングだけに、初期レスポンスを上げるとチョイ開けするだけでズガーンと出る。そりゃ体感は速い。でも、はっきり言いましょう。

「不自然です。」

「拘束具全部外したんで真のパワーを楽しんでね!」って設定なんでしょうけど、これね。楽しめるような味付けじゃありませんね。高回転まで引っ張るとクラッチつなげないんです。アクセルを当てたときの上りのレスポンスと下りの回転落ちが全然あってないの。DCTなら機械が変速やるから問題ないのかもしれないけど、うちのきんつば嬢、マニュアルですからね。私の人間力により変速してるんですよ。いやもう29年大型バイク乗り続けてきてですね、高回転域でクラッチがつなげないバイクって初めてかも(笑)。これもうギア固定してぶっ飛ばすしかありませんよ。

レスポンスが過敏なので、シャフトドライブからの衝撃もけっこうあるし、走りにとにかく品がない。ダブルウィッシュボーンサスは入力に対してすごい安定してるんで、これくらいエンジンにメリハリがないと峠でズバッと寝かせてズバッと起こすってのがやりにくいのはわかりますよ。でも、安定方向にサス振っといて、過激なエンジンレスポンスでそれを動かしていこうっておかしくないか?

ゴールドウィングの車体設計は超長距離移動に適したものになってます。ロングホイールベースで、低重心。味付けはすべてが安定志向。そんなバイクに何してくれてんの?怪力自慢の山のフドウの秘孔ついて100メートル全力疾走させて「凄いでしょ?フドウ君は短距離でも、実はこんなに走れるんだよ♡」って喜んでるのがスポーツモードなんですよ。

結局これって、BMWのK1600あたりとの対決試乗があったときに、ゴールドウィングがDCTでも十分スポーツできるっていうことを証明するための戦闘モードじゃないんですかね。こんなモードは、チョイ乗り動画配信者や短期試乗比較記事をメインに語られる現在のマスメディアに迎合した害悪でしかないと思う。

私は「このモードを絶賛するライターの記事は今後読まないようにしよう」と考えているくらい。そのライターの感性がどうこうというより、商品コンセプトを背景にバイクを考える私と根本的に評価のあり方が違うと思うから。ゴールドウィングというバイクが存在する意味と必要性を真面目に考えていたら、こんな戦闘モードの搭載に至ることは絶対にないと私は確信してる。

ハッキリ言います。

こんな乱暴なモード仕込むんならエアバック搭載なんかやめろ。

まぁ、モード選択のいいところは「選ばなければいいだけ」なんで、封印すればそれで終わる。だから「文句あるなら使わなきゃいいじゃん」ってことになるかもしれないけど、そんな免罪符をメーカーに与えたくない。それを認めると生煮えの実験的モードをどんどん入れて無責任なお遊びに走るようなことになりかねないからです。

で、このスポーツモードにあわせてあるのか、ノーマルのリアサスのプリロードも堅めなんですよね。高い奴は電子制御でモードごとにサス設定変えるんでいいんでしょうが、うちのきんつばは電子制御サスじゃないんで、スポーツモードでも破綻しないように強めにプリロードかけてあるっぽい。結局このモードを入れたがために、普段使いの乗り心地まで悪くなってしまってるんですよ。しょうがないんでサイドカバー外してリアサスのプリロードを、ヒョウタンツギみたいな顔になってで5ノッチほど緩める羽目になる。

DSC_0911-1(ハーレーやゴールドウィングはこういう素敵な風景と巡り会うために存在してると私は思ってる。だからこそ、ゆったり流せるバイクであって欲しいんです。)

今回モード選択についていろいろ書かせてもらいましたが、これはあくまで私の主観で賛否は両論だと思います。「ちょっと手厳しく書きすぎじゃないか?」というご指摘もあるでしょう。オーナーにここまで言われて、ホンダは涙目かもしれない。でも私はこのバイクの主人ですから。これを手元に置くために、自分の血と汗を絞った対価を大量につぎ込んだ。だから言いたいことは言わせてもらう。「愛ある罵倒」は、身銭を切ったオーナーに与えられた唯一の特権みたいなものなんです。

雑誌のライターは、数多くのバイクに乗ることができますが、その反面、一般のバイク乗りが当たり前のように持っているはずの「所有者という地位」がない。その地位の下でしか書けないこともあるから、私みたいな素人ブログの存在価値があるんです。

多くのブログのオーナーインプレは、プロからみれば荒削りでゴミのようなものなのかもしれないけれども、そこにあるのはすべて身銭を切った購入者達の血の叫びなんです。人に身銭を切らせるということは、なににも増して重いことで、その対価に対する真剣さがない商品に正当性などありません。

スポーツモードだけしかなかったら、私はこのバイクを怒りにまかせて1週間で叩き売っていたと思う。エコノに込められた優しい良識がスポーツモードのマイナスを補ってるからまだ許せてる。

確かにエヴァ2号機のように、ビーストモードに変わらなきゃならない戦闘型バイクもこの世にはありますよ。ガチ勝負の世界で生きるスーパースポーツ系などは内に悪魔を宿しててもいいでしょう。でも、私にはゴールドウィングに過激な戦闘モードを設定した意味と理由が全く理解できません。

私は長いバイク人生の中で自らのクソな行いが祟り、痛い目にあったり厭なものを見たりして、異臭まで発するようになった「傷だらけのボロ雑巾」です。スピードに依存する価値観に首まで浸かって使いものにならなくなったんで、今はそういう価値観と一線を引くためにゴールドウィングを選んでる。要は紆余曲折を経てこのバイクに到達してるんです。私以外でもそういう人って案外多いんじゃないかと思うんですよ。

なのにこのスポーツモードは、私が苦労して振り切ってきたものを、あろうことかバイク側から提案してきてるんです。情報過多の時代の中で、うわべだけしかなぞらない試乗インプレの評価ばかり気にして、身銭切ってこのバイクを購入する人の心の奥底を見ようとしないから、こういうチグハグなモードが入る。

これまでゴールドウィングに大枚はたいてきたユーザーはこんなのを喜ぶ乗り手だと思われてたのか?バイクにエアバックまで仕込んでライダーを守ろうとするなら、こんな短絡的な刺激に依存しない魅力を提案しなきゃならないんじゃないのか?そのための変態エンジンと変態サスじゃなかったのか?新型が旧型に比べてあらゆる面で進化してるのは、乗れば乗るほどよくわかりますよ。旧型がメカニズム的に新型に対抗するのは難しいと思うし、エコノとツアーはゴールドウィングが目指す方向性としてよくできてる。特にパワー削ったエコノがとてもいいというのはホンダの良心の具現化だと思うんですよ。

でもそれがこのビーストモードで全てぶち壊し。このモードを入れる必要性について私はホンダを小1時間問い詰めたい。「顧客の要望です」なんていうのは単なる商品企画上の逃げですよ。顧客の言いなりでいいっていうんなら、そこにはメーカーとしての信念も定見もないことになる。

私がクソバイクと罵倒しながらも、ダイナにずっと乗り続けてるのは、ダイナの中にあった「バイクはこうあるべき」という強い信念に惚れたんです。何しろダイナはスピード依存症の私の言うことを何一つ聞かなかったんですから。

結局商品というのは提案する側と購入する側のガチの真剣勝負なんです。そんな中で顧客に迎合するのか、顧客の考えを上書きするような強い信念を提示するのかはメーカーに委ねられてる。老舗っていうのはその信念を決して譲らないから老舗たり得るんじゃないかと思うわけです。

私はゴールドウィングという47年という歴史を持つ老舗商品で、信念より顧客迎合のスケベ心が優先されたことがショックでした。豊かさと優しさを追求するべきバイクに設定された、つじつまの合わないビーストモードが残念でならないんです。