しばらく間が開きましたが、きんつば嬢(SC79ゴールドウィング)の納車後インプレッションのその2です。今回は皆さん気になるであろう足つきについて。

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(イラストばっかり載せてるんで、たまには写真でも・・写真が新鮮って、相変わらず変なブログです。)

きんつば嬢の足つき語る前に、まずは私の足つきについての考え方について述べておいた方が良かろうと思いますので、前置きとして少々字数を頂きたいと思います。

実は私はこれまで300㎏越えのバイクを4台所有してきてます。これらのバイクは所有期間も長く、30年間のバイク人生の半分近くを300㎏オーバーの重量級バイクと過ごしているってことになる。カワサキのZ1300のインジェクション仕様ハーレーのダイナ・ローライダーホンダのゴールドウィングF6B、そして今のゴールドウィングSC79・きんつば嬢です。振り返ってみるとダイナ以外は全部6気筒ですね。さすがは6気筒、クソ重いっす。

私の身長は168㎝ですんで、この中で足つきがそこそこ良いと言えるのはダイナのみ。あとのバイクは、当然ですが両足がべったりつくこともないし、片足づきでも普通にかかとが浮く感じです。

よく雑誌のインプレで「これだけ足がつけばバイクを支えるのにも不安はないだろう」なんて書いてありますが、「バイクを支える」ことを基準にして足つきを考えたらほとんどの重量級バイクに乗れなくなっちゃいますよ。そもそも重量級バイクに乗るにあたって「バイクを足で支えようという考え方自体が間違い」ですから。バイクを支えるってことはある程度足側に荷重乗っけるってことになるんで、300㎏越えのバイクでそれやっちゃうと、足の負担が大きすぎます。

バイクって直立から一定の傾きの範囲内に収まってる分には、その状態を維持するのにほとんど力がいりません。足はこの角度にバイクを納めるべく微調整するためにあるのであって、バイクの重量を支えるのがお仕事じゃないんですね。もし、直立センターで維持できる範囲を超えて傾いてしまったら300㎏越えのバイクなんて、ゴリラじゃないと支えることなんてできないですよ。

思い返せば、私が立ちゴケしてるのは足つきの良いダイナばっかり。他の3台では立ちゴケなんかしたことないんです。これってダイナが「すぐに倒れ込んでくる」ってのもあるんですが、足がべったりついちゃうから「多少傾いても足でなんとか支えられるんじゃね?」と安易に考えちゃってるところもあると思うんですよ。

結局のところ、人が立ちゴケする理由は慢心からなんです。足つきの良さは慢心を誘うトラップ以外のなにものでもないんで、私に限っては足つき悪い方がコケないみたい。だから私はハッキリ言って足つきなんて、「足のどこかがとりあえずつけばいいんだ」程度に思ってます。停車時に違和感なく真下に足が出せて、最低限つま先親指の根っこまでが接地すれば十分なんですね。

余談ですがバイクのセンターを維持する技術を磨くのにうってつけなのが、停車時における両手放しです。交差点の信号待ちで右足だけついて、両手をハンドルから離し、ブラブラした状態で青信号までずーっと維持するってのを交差点でやるのがオススメ。王貞治元監督が現役時代にやってた一本足打法みたいなもんですね。初めはふらついて怖いかもしれませんが、これを軽いバイクからやっていって、右足一本でブレずにビシッと維持できるようになると、もはやどんな車重のバイクでも怖くない。マジで全然立ちゴケしなくなりますから。

「いやいや!片足つま先までしかつかないんじゃ取り回しの時に足で漕げねぇじゃねぇか!」っておっしゃる方。これも勘違いしてます。そもそもバイクの取り回しの基本は「降りて押すこと」ですから。初心者でまだバイクに慣れてないうちは乗り漕ぎもアリだとは思うんですが、最終的な到達点はどんな重量車でも降りて、しっかり取り回すことでしょう。

そもそも、大型バイクはつま先でツンツン蹴っても全然動きませんから。取り回しのスキルがないと、足つきべったりのバイクしか選択できないってことになるし、なによりカッコつかない。ハーレーみたいな車高の低いアメリカンで大股でグイグイとワニが歩くように漕げるバイクならまだ絵にもなるんでしょうが、足つきツンツンのバイクの乗り漕ぎってバレリーナが小股でちょこまか移動してるような見てくれになる。

ゴールドウィングやウルトラみたいな300㎏を軽く超える超重量級バイクを降りて押せとはいいませんが、200㎏台のバイク、特に改造しまくったゼファーやZの旧車に乗って、革ジャン、Gベストでキメてる方々にこの手の乗り漕ぎ披露されると見てる側は結構キツイんですよ。これらのバイクが現役だったころの乗り手って乗り漕ぎなんてしませんでしたし、そもそも「漢カワサキスタイル」を貫いてる方々って、「スピードというリスクに立ち向かう硬派な方々」なわけじゃないですか。それが道の駅で「立ちゴケというリスクを回避するために乗り漕ぎしてる」ってのはちょっと・・。スタイルとやってることにズレが出ちゃうと、見てる方は「あれれ?コンセプトぶれてますよ?」って胸のあたりがモヤモヤしちゃうんです。

ということで、ここまでが前フリ。

ここからがようやくSC79の足つきの話になるんですよ。いつものことですがこのフリの長さ!ほぼブログの半分が前フリではないか?これでいいのか?しょうがない。私の脳内は大体こんな感じなんだから。

つま先立ち3
(きんつば嬢の介護度というかメイドとしての資質は前任のF6Bより確実に上がってる。乗ってる主人に対する圧が低いんでさらに疲れない。私はバイク押すのが趣味なんで押してますが、DCTならほとんどの取り回しは乗ったまま。これは堕落しますよ~。)

きんつば嬢の足つきは私の体感ではF6Bより全然いいですね。だってF6Bは私が座る位置からだと太ももがシートに干渉して、足が真下に下ろせなかったですからね。要はソフト股裂き状態になるんですよ。しょうがないんで、納車後すぐにシート業者さんにシート側面削ってもらって、アンコも3㎝ほど抜いて、その代わりに低反発ウレタンシート仕込んでもらったんです。この加工のおかげで、乗り心地も最高となり、真下に足を下ろすことができるようになりました。

よく足つきを改善するのに、停止時に前の方に座り直すとか、尻をずらすなんてことをやってる方もおられますが、私は乗ってて面倒になっちゃうんで、足つき良くないなーと思ったらシート調整一択になる。だって快適さを追求して買ったバイクで「乗り手がバイクに合わせる」なんてのは本末転倒なんじゃないかと思うんですよ。高い金払ったんだから、少しも我慢なんてしたくない。

シート調整って面倒だと思われるかもしれませんが、ハーレー乗ってるとシートを切った盛ったするくらいは「ふうん」って感じで驚きもしなくなりますよ。あのバイクに乗ってると、「自分で金かけてベストなところまで調整する」ってのが当たり前の感覚になってくるんです。輸入バイクに乗ると、いつしか海外ものに毒されていくんですね。

でも、きんつば嬢はそんなことする必要はない。シート高は745mmとF6Bより20mmほど高くなってますが、私がポジションとる位置でフツーに真下に足を下ろしてちゃんと足がつけるし、太ももが干渉することもないし、バイクのバランスとるのに全く支障はありません。私はどちらかというと後ろ寄りに座るのを好むタイプなんですが、ノーマルシート後方に着座しても、足つきに不安が全くないんですね。

結論として、きんつば嬢は私にとって「F6Bより足つきが良いバイク」って評価になってます。まぁシートの着座位置は人それぞれですから、こればっかりは跨がってポジションあわせて検証してもらうしかないですよね。

また、購入した方々が異口同音に言ってますが、きんつば嬢はサイドスタンドの状態から起こすのがとても軽いです。これは旧型より断然軽い。その軽さは「何だこりは!ホントに365㎏なの?」って驚きの声が漏れるレベル。でも道路のヘリの傾斜部分にサイドスタンド立てて、一定以上傾いてる状態から起こそうとすると「あががががが!」って感じで相変わらずの重さなので、平地でサイドスタンド立てたくらいの傾きの範囲までが異様に軽いわけです。「この簡単に起こせる領域」をしっかり計算してるところが、極めてホンダらしい。

もうね。停車時にバイクのバランスをとるのがホント楽なんです。「うーむ。低重心ってバイク支える時のアシスト機構みたいなもんなんだなぁ・・」ってシミジミ思いますからねぇ・・。つまり、きんつば嬢はクラッチ繋いで動き出すと軽くなるってのではなく「車体を起こすところから、既に重さを感じない」という設計がされてるんですね。で、このバイクはここからが理詰めになってるんですよ。

バイク起こすときと、停止時に足着いたときに特段重さを感じないってことになると、他に重さ感じる時ってバイク押すときくらいですよね。しかし、考えてみて下さいよ。このバイクのDCTモデルは前進後退機能が備わっていて、ボタン一つで前後にグリグリ動いちゃうんで、実質的に「乗り手がバイクを押す機会がない」んです。

乗り手に車重を意識させるようなシュチュエーションをすべてバイクがアシストするから、きんつば嬢のDCT仕様は日常使用領域から完全に車重を消し去ってしまったといえるわけです。

結果的に365㎏の車重を擁しながら、「その車重を感じたければ立ちゴケでもして下さいね♡」っていうトンデモ仕様になってる。こうなっちゃうと、もはや足つきなんてどうでも良いわけですよ。ハッキリ言いますが200㎏台のバイクの方が下手すると「重くて扱いにくいんじゃないの?」って感じますよ。マジで。

ということで、このバイク、ホンダの用意周到な策略で体感取り回しの面では「ミドルツアラーより安心なのでは?」ってヤバいことになっちゃってる。逆に言うと、重量級バイク愛好家から「イージーすぎてつまらん!軟弱である!!」という意見は必ず出ると思います。私も圧倒的な利点を感じる反面、「これだけの車重のバイクがこんなあっさり乗れちゃっていいのか?」って気持ちは確実にある。

「大きく重いバイクに乗ってること自体が、乗り手の技量の証明である」という昔ながらの矜持を持ってるバイク乗りにとって、この新型は拍子抜けする存在でしょう。私だって長年、快適性、積載性と重量は等価交換だと言ってきました(そのブログはこちら→DCTと等価交換の原則)。それがあるからバイクは素晴らしい存在なんだと。

その主張は今でもまったく変わってません。でもねぇ。いざこういうバイクを実感してみると「バイクが軽く取り回せることに悪いことは一つもない」ってのも厳正なる事実なんですよ。「ねぇ、オーナー、等価交換なんてカッコいいこと言ってるけど、それってタダのやせ我慢でしょ?私に全てをゆだねましょうよ~」ってバイクが甘くささやいてくるんです。このホンダのささやき戦略がモロ刺さりしちゃうと、ほとんどの人がトロけちゃって元には戻れないでしょう。このバイクのヤバいくらいのイージーさに慣れちゃうと、アホらしくて他の重量級バイクに乗ってられなくなるかもしれない。

歴史上、その介護度で乗り手をヘナヘナに堕落させてきたのがゴールドウィングってバイクで、その手練手管は今回もハンパないです。ゴールドウィングの伝統どおり「究極の堕落マシン」に仕上がってますよ。乗り手の努力ではなく、バイク側の設計で重量を消すというもの凄い発想によって、私の中の重量級ツアラーの概念は一気に変わった。「ホンダ恐るべし」としかいいようがない。

一方で、「いやいや、オレはあくまで古き良き重量車の乗り味を求めていくのだ!」という方には、素直にハーレーのウルトラの方をオススメしときます。