これまでストリートトリプルRSのインプレを2回に渡って書いてきましたが、今読み返すと、「ナニコレ?全然バイクのインプレになってないじゃん!!」って改めて思う。いくら私の書いているのがネタブログだといっても、これではあまりにも酷い。
ザラブちゃん・見返り4

そこで今回はらしくないかもしれませんが、贖罪を込めて普通にストリートトリプルのインプレをしてみたいと思います。細かい章に別れているのは、私が折に触れ健忘録的に印象を小分けで書いていたものを、まとめてブログにしたからです。エンジンや足回りの走行インプレは次回以降じっくりとすることにして、今回は最初にポジションと操作系、全体の印象をレポートします。

①ポジション&足つき

まず、跨がっての第一印象は、「これオッサンには結構キツイっす~」というものでした。なんせ試乗どころか、現物すら見ない衝動買いでしたから。ダイナやF6Bのような「殿様乗り」スタイルに慣れてると、ポジションはなかなかにキツイ。

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(このケツの上がり具合が全てを物語る。スーパースポーツ以下、ネイキッド以上の前傾スタイル。かなり戦闘的。)

妙齢のオヤジがこんな姿勢をとるのって、「浮気がバレて真正土下座してるとき」「座薬入れてるとき」ぐらいしかないんじゃないでしょうか?

過去はこれよりさらに激キツなポジションのバイクに乗ってたってのが信じられない。心も体もメチャクチャなまってます。近場走ってすぐ「ロングツーリングなど無理むりムリ」と判断し、頼んでおいたETC速攻でキャンセルしましたからね。ポジションに耐えてロング行こうという冒険心は微塵もなかったですね。

足つきはお世辞にも良くない。私は身長168㎝、体重64㎏なんですが、納車当初はサスにアタリがついておらず、全然沈みませんでした(特にリア)ので、片足つきでも踵が結構浮くツンツン状態。これシートが後ろに向かって上がってるんで、私みたいに後ろ側に座るのを好む人ほど足つきキツくなる。「なにこれぇ!足ツるじゃん!」って正直思いました。中年になると足もツりやすいですから。寝てるときに突然ツって悶絶したりしますからね~。

このバイク、そもそもシート高が825㎜って結構高いんですよ。CBR1000RR-Rのシート高が830㎜ですから、スーパースポーツと同じくらいあるんです。まぁストリートファイターっていうカテゴリ自体がスーパースポーツのノンカウルアップハン仕様ですから、ポジションの多少のエグさはしょうがない。

シートが高いってことはケツが高い位置にあるってことですから、上体は当然前傾するんです。マゾヒスティック前傾のセパハンじゃない分、我慢できないほどではありませんが、歳を食うといろんな弱点を抱えてまして、前傾姿勢で首を上げてるとモロに肩にクルんですよね。

車両重量クッソ軽いのでコカす心配はないんですが、ダイナやF6Bがあまりに楽なので、納車された瞬間は「老人用介護ベッドから荒れ地に放り出された」ような過酷さを感じてしまいましたね(笑)。

②メーター周り

バイクに乗って一番見るのはメーター周りですが、このバイクはTFT液晶メーターを採用してます。ストリートトリプル系はローエンドのSではアナログメーター+通常液晶、上位モデルのRとRSはTFT液晶とあからさまに仕様を分けてますね。

商品力という面でグレードごとに差別化するのは常套手段ですが、メーターを変えることで差別化ができるってのは売る側にとってはお手軽。ライダーが日頃一番見る部分ってのは購買意思を大きく左右しますんで、ここで上位モデルに買い手を誘導することができるわけです。

このTFT液晶の利点は、パソコンの画面と一緒で多機能な表示ができることと、表示のテーマをマメマメと変えられること、アナログメーターより圧倒的に軽い、ということでしょう。ただ自分的には正直アナログの方がいいです。

だって日頃パソコンだのスマホだの散々見せられてて、バイクに乗ってまで液晶見たいか?っていうと「もう勘弁して!」って感じなんですよ。

そうはいっても、トラクションコントロールやABSの介入設定、ライディングモード切替などをバイクに盛り込もうとすると、そのための操作画面が絶対必要ですんで、アナログメーターつけたにしても、液晶ディスプレイとのハイブリッドにしないといけない。それなら「全部液晶で」となるのは理解できますが、残念ながら視認性はアナログメーターに遠く及ばない。

ストリートトリプルもご多分に漏れず、バー表示になった蛸メーターが見にくくってしょうがない。回転が上がると中央から外側へゲージが「びよよよーーん」と伸びてくんですが、そのゲージが真っ直ぐじゃなく、妙に凝ってるんです。

平板な液晶ディスプレイに騙し絵的手法で奥行き感を持たせようっていう演出なんでしょうが、私にはこれがなぜか「ジュディ・オングにしか見えなくて困ってる。」アクセル開けて、ゲージが上がると「女は海~」っていう「魅せられて」のサビが脳内にこだましちゃう。

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(蛸メーターが記憶の中のジュディ・オングと完全に一致。一度意識させられちゃうともうそれにしか見えない。)

6000回転超えて「さぁここからがファイティングゾーンですよォ!!」って時に、「女は海~」ですよ?ダメでしょ。エヴァンゲリオン初号機の暴走場面に「アルプスの少女ハイジ」が流れちゃうくらいの大事故でしょ。で、レッドゾーン近くなると表示が全体的に赤くなって、「うわぁ、ジュディ怒ってるよ~(笑)」とまたツボに入る。

もう見る度に「フフッ」ってなっちゃうので最近は液晶見ないようにしてます

メーター表示
(液晶表示形態は4種類。割と使うのは上の2つ。どれも劇的に違うってわけじゃないですし、下2つはお粗末なくらい空間処理が雑。4種類あっても使うの実質上2つのどっちかでしょ?あと、バーで動く蛸メーターと数値が変動するスピードメーターが同時に目に入ってくるってのは情報表示形式の不統一+情報過多で見にくいんですよね。もうちょっと考えて欲しい。)

③バーエンドミラー

メーター周りから左右に視線をむけますとバーエンドミラーが目に入ります。私バーエンドミラーのバイクはじめてですね。ハーレーではフォーティエイトなんかも採用してますが、最近の流行なんでしょうか。個人差はあるでしょうが、私は特段見にくいということもなく、すぐ慣れました。ただ都市部ですり抜け無双したいって方は邪魔でしょうがないでしょうね、コレ。

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(特徴的なバーエンドミラー。視界もソコソコあるし、視認性は悪くありません。)

バーエンドミラーの大きな利点は、「自分の顔が絶対に映らない」ってこと。どうしようもない顔でも、なんとなくミラーで自分の顔を見ちゃうんですよね。でも、中年の男の顔なんて見ててもゲンナリするだけ。バーエンドミラーはどう頑張っても自分の顔は映せない。そこが何気にいいですね。

④ヘッドライト

ヘッドライトはLEDで片目しか光りませんが光量は十分、かなり明るい方だと思います。ハイビームはスイッチ式じゃなくトリガー式のレバーを引いての切り替えになってます。操作しやすく、夜走ることが多い私には実にありがたい。

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(ハイビームへの切り替えはトリガースイッチ。これがメチャクチャ使いやすい。)

昔から賛否両論のツリ目デザインは造形ラインもかなり凝ってる。インテリで洒落者で神経質でアヘン中毒っていうシャーロックホームズ的な雰囲気もあります。この賛否両論のヘッドライトは無難より個性を重んじるジョンブルの遊び心ですね。

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(凝った造形の異形ヘッドライト。一見宇宙生物のようですが、にゅう鉢やにゅう棒の色気にゾッコンの曲線フェチの私から見てもいい線いってます。)

⑤スイッチボックス

スイッチボックスまわりは基本シンプルで初見の方でも操作しやすいと思いますが、液晶ディスプレイを操作するレバーがウィンカーの真下で、知らずにウィンカーをガチャガチャ操作してたりする。これでは脱法ハーブ吸って右に左にウインカー出して錯乱してる危険人物に見えかねない。

とっちらかってワタワタした後で、ふとバックミラー見ると後続車がスゲぇ車間距離開けてて、「うわぁ・・」ってなる。ここら辺はレバーを避けてジョグダイヤル方式にするとかもうちょっと煮詰める余地があるんじゃないでしょうか。

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(ウィンカーの下にあるジョイスティック。ウィンカーもセンターが盛り上がってるため、誤ってウィンカーを操作してしまいます。右に左にジョイスティック動かしてると思ったら、右に左にウィンカー出してたってことがある。誤作動を誘引するので、要改善だと思います。)

⑥積載性

荷物はまったく積めませんねぇ・・。リアの二ケツ部分のシート外すとギリギリETC入れられるくらいの空間はありますが、お世辞にも荷物入れといえるほどのスペースではない。荷掛フックかけるところもないし、リアのプリロードもいじれませんから、「もう荷物はあきらめて!」ってバイクが主張してますね。

潔いというかなんというか、軽量化のために不要な装備は全て切り捨てた感じ。ヘルメットホルダーすらないですからね。満漢全席みたいに全部盛りのF6Bに比べると、走りの装備以外はホント何にもついてない。ツーリングに行きたいのであればこの手のストリートファイターをこねくり回すより、別のバイクを買った方がいいかも。

⑦質感

ボディはフレーム、エンジン、クランクケースカバーなどパーツごとに少しずつ色味や表面処理を変えたりして、結構細かいところで質感高い。エンジンマウントやスイングアームのボルトなども、すごくデザイン凝ってて、大人の高額趣味商品をしっかりとアピールしてる。

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(パーツの素材自体は高額なモノじゃないんですが、ネジや細かいパーツの造形がやたら凝ってるんです。とにかくペロンとしたパーツはなくって、どこかしら必ず手を入れられてる。色使いを変えたり、表面処理をマットにしたり、荒らしてみたりと細かく抑揚をつけてある。それが視覚的情報量となって質感に繋がってるんです。)
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(こちらストリートトリプルSのエンジン周り。ヤングマシンの画像から転載。普及モデルなのでエンジン周りのパーツの加飾は少なく色もシンプル。国産車と競合するのはコッチのモデルだと思うんですが、加飾をしないとこんなに印象変わるのか・・って思いますよね。ちょっと気になるのは、「RSがSに加飾を施した豪華モデル」と感じるのではなく、「SがRSから要素を落としたモデル」であると感じてしまうところでしょうか。ここら辺の造り分けは日本車の方が確実に上手い。)
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(比較のためにMT-09のエンジン周りを。基本同じ3気筒ですが生産性を重視した仕上がり。色使いやパーツ形状からくる情報量の差は歴然ですが、それこそがMTー09の狙い。マニア目線に訴える細かな質感向上より、価格でのインパクトを選択したんです。信頼性のある国産が、同じエンジン形式で排気量あって安いんですから、ストリートトリプル見る前に多くの人がMTを選択しちゃうでしょう。ストリートトリプルは涙目ですね。)

こういうとこはカフスボタンにまで気を配るイギリスの洒落者的センス炸裂って感じ。普段見えるメーター周りも、ブレーキ、クラッチ、マスターシリンダーと操作系を全てブレンボで固め、正面はカラフルな液晶メーター、タンクはつややかなシルバーフレーク塗装ですから、悪かろうはずがない。「ふふーん、見ましたか?私がトライアンフの主力商品なのですよ!」という気合を存分に感じる仕上がりです。


⑥その他

ハンドル切れ角はないですねぇ。キャスターを立ててフロントフォークを太くすれば、首周りの剛性が必要になります。んで、そこら辺を分厚く作ると当然ハンドル切れなくなる。「吊しの状態でサーキット持ち込んでもソコソコのタイムを叩き出す」という、ストリートトリプルRSの狙いを考えればしょうがないところはありますね。

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(首回りの質量感はSS並。フロントの剛性が高いと、高入力時の安心感が違う。)

車庫入れでバックで押してる時にハンドル切っても全然車体が曲がっていかないんですよ。一番軽くて小さいバイクなのに、まったく小回りがきかないというギャップが、これまた私の「笑いのツボ」だったりします。

感心したのはオートキャンセルのウィンカー、バンク角を検知するのではなく、方向指示出してから8秒経過か65メートル走行で消えるようになってる。シンプルですが、ダイナの気まぐれにしかキャンセルされないバンク角検知型オートキャンセラーよりよっぽど確実に動作する(笑)。不確実な自動機構ってもはや余計なお世話に近いものがあるので、確実に動作するオートキャンセラーってのは凄く安心感がありますね。

⑦車体のトータル的な印象

最後に総合的な印象ですが、まーカッコいいっすよね。誰が見ても攻撃なスタイリング。細部のデザインでイキってるんじゃなくって、全体的なスタイリングバランスが攻撃的。765ccあるのに、ぎゅっと締まっててコンパクトで細いから、ネコ科の肉食獣みたい。横からみても、走りそうな雰囲気をオーラのように立ち上らせてる。これってストリートファイターにとって、とても大事な要素だと思うんですよ。

ストリートトリプル

キャスター角がピシッと立っていてエンジンが思いっきり前寄りでスイングアームが長い。伸びやかに見えるけど、ホイールベースは140.5㎜と400ccネイキッドより短いくらいですから、いかに765ccの排気量のエンジンがコンパクトで前に寄ってるかが良くわかる。「どーですか!最高の位置にエンジン積んでますよぉ!」ってバイクがドヤってる。速さを求めた結果、「あるべきものがあるべき場所」に収まってるバイクって自然と格好良く見えるんですよね。





以上、慣らしの初期段階で気づいた細かいところを、アラアラッと箇条書きにまとめたものをアップしてみました。まとまりはないですが下手にまとめるより感想をそのまま出した方がいいかなと。

現在、納車から2000㎞ほど走りましたので、既に慣らしは終了し、レッドゾーンまでエンジン回せるようになってます。エンジンやシャシーのインプレはまた別ブログで報告しますね。

でも、需要はないんだろうなぁ・・