ザラブ2
(このイラストで購入したバイクがわかった方は、私と同じ性癖を持つ変態といえましょう。)

実はここしばらくいろんなストレスが重なったのと、かなり長い間バイクを購入してない禁断症状で「バイク買いてぇ!」という欲求が極限の高まりを見せていました。床をゴロゴロと転げ回りながら「なんか欲しいよ~、ドラえも~ん」ってグズってたわけですが、一発で魂を抜かれるようなトキメキというか、大興奮状態になるバイクがここ数年とんとない。

「無駄遣いしなくてすむからいいじゃない」って思われるかもしれませんが、なんか買いたいのに欲求がないってのは深刻。「男としてだけでなく、消費者としてもEDになってしまったのか・・」という焦燥感とションボリ感が半端ない。

スペック依存型から遠く離れ、情緒優先のバイク選びになっちゃうと、高性能な新型だからってだけで刺さるってことがなくなるため、バイク選びが混沌としてくる。ゴールドウィングも同様で、新型のサスや電子制御、各種快適装備の進化は凄いと思うけど、バイクとしての本質が変わるほどの違いを感じないんです。

そんな中、唯一F6Bの地位を脅かしそうだったBMWのR1250RTも品がよすぎてイマイチ違うな~って感じだったため、私のニューバイク購入計画は完全に頓挫していたわけです。

行き場のないやるせなさに、たれぱんだのように生気のない目でネットをパラパラ見ていたとき、ふと一台のバイクが目に止まりました。・・このバイク、それまで気にはなってたんですけど、ずっと横目で見るだけの存在だったんですねぇ・・。その時も購入対象というより、好奇心で画面をチラ見した程度だったんです。

「ふーん。こやつ去年マイナーチェンジしおったのか・・相変わらずのかわいげのない面構えよのぅ。色は、ブラックと・・・」

「ん??・・お・・おい・・ちょっとまて!!・・な・・なんだ?・・こっ・・これっ・・これはっ・・」

(飛び起きて画面をのぞき
込む)

「ばっ馬鹿な・・うう、うぉおおおお!うがぁあああああああああああああ!!」

直後、私は足を風神雷神図のように高速回転させ、バイク店に向けて全力突進していました。

「あ、へっちまんさん。F6Bの車検ならもう少しかかりますよ。」

「いや、違うから!店長!このバイクって入る???欲しいっ!!よこせ!!今すぐ即!!」

「あーー入ります、入ります。」

「乗り出しいくらくらい??」

「大体160万円くらいですかね。」

クソ高っか!殺す気?中古ないの?程度のいいやつ」

「ないですよぉ。このバイク、日本にそんなタマ数入ってきてないですし、これを買うのは、けっこうな変人ですから手放す人なんていませんよ。」

「え?ウソ??やだ・・オレ客なのに間接的に変人っていわれちゃってる??」

「いや、変人でしょ(笑)」

「じゃコッチのグレード違いの安い方は?カタログ見ると同じように見えるけど。安いのでも全然いいから。」

「えーっとこれだと塗装がマット仕上げになるようですね」

「はぁぁぁあ??マット仕上げ?・・ダメだぁ~ひょっとして、この艶ありの色って一番高い奴にしか設定ないの??」

「みたいです。」

「ひでぇよ!ナニしてくれてんの!!?消費者の自由な選択権はどうなる!消費者庁に乗りこまれてぇのか!」

「いやこの色がここまでブッ刺さってるのアンタだけですから(笑)。でも、この塗装はコストかかってそうだし、艶の有り無しだけで下位モデルとカブってますから、しばらくすると廃番になるかもしれませんねぇ。」

「う~~~・・ねぇ、ちょっとそれソフトに脅迫してるよね??弱みエグってるよね?・・・く~~~しょうがない・・この色の在庫ってまだある??ねぇ?あるでしょ??あるよね」

「調べてみましょうか(電話)。へっちまんさん。ないです。」

「なんだとぉおおおおおお!!!」
(ヘッドバンキングして狂乱する)

「黒ならあります」

「黒はいらぬ!!」

「このモデルのこの色だけないです。他はポツポツあるんですけどねぇ・・」

「そりゃそうだろ!!この色は日本人を殺しに来てるんだよ!日本人ならこの色一択だよ!!」

「確認した結果、20年モデルは本部でも全部はけちゃってるようなんですよ。・・コロナで海外も大変な状況ですから。次いつ入ってくるか・・聞いてみましょうか?」

「聞いてくれ!!」

(電話)6月中頃に21年モデルの第一陣が船便で来るそうですが、もう他店のコナ付きになっちゃってるようです。今年は色の変更はないそうですが、こんな状況ですからトータルで何台入ってくるかわかりません。」

「その次の船便いつよ!」

(電話)6月下旬頃にまた入る予定だそうですが、1台押さえられそうです。どうします??」

「押さえろぉおおおおおお!」

「わかりました!!ありがとうございます!こちらにサインを!」

というわけで、突如としてバイクがやってくることになりました。つーか、思い立って購入まで4時間くらいじゃなかったかしら?

しかも、既に納車されてガレージにあるというですね・・。

F6Bとダイナは手放してないんで、ついに車検ありのバイク3台体制・・大丈夫・・車検は3年も先なんだからね(震え声)。で、このバイクの正体は?はい、こいつです。



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(ついに大型バイク3台体制。なんでこうなった?それはバイク小屋のスペースに余裕があるから。)


試乗もへったくれもなく、乗ったことも現物すら見ることもなく完全な指名買い。もう「これまで試乗して右往左往してたのなんだったのか」と。「脳ミソ湧いてんのか」と。「いっそ死ねよ」と。そんな感じですね。では、なぜ私がこのバイクにここまで狂っちゃったのか??理由となるキーワードは3つある。

①「ナナハン」

実は私、スズキのGSR750が発売されてから、ずーっと750っていう排気量を意識してたんです。750ってオッサンには郷愁のある排気量なんですよ。加えて、日本の公道でキレとパワーを両方楽しむのなら「200㎏前後の750ccがベストバイじゃないの?」と常々感じていたんです。そんなときに鈴菌のGSR750が出て、うおーーーこれは欲しい!!ナナハンいい!何より語感がいい!!これなんシーシー??って聞かれて「・・ナナハンです。」って渋くない??渋いでしょ?苦み走ったオジさんの味が染み出しちゃうじゃない!って大興奮して、実車を富山まで見に行ったんですよ。

で、感染一歩手前までいったんですが、最後の一押しがなかったんですよね~。ぐだぐだしてるうちにデザインが変更されてイマイチ熱が冷めちゃった。

そうこうしてるうちに、道の駅でよくあうライダーさんがGSX750S買ってたんですよ。「渋すぎ!やられたぁ!!」と思いましたね。ナナハン戦線で先を越されたと。もうオレにはNC750しか選択肢ねぇってシオれてたんですよ。そんな時、ストリートトリプルが675cc→765ccという「左側の数字入れ替えただけ」のフザけた排気量アップで750クラスに参入してきた。まぁその点では、こいつはもともと私の欲求解消候補のひとつだったんです。

②「3気筒」

次の理由は「3気筒である」ということ。以前もブログで述べてましたが、長いバイク人生の中で、縦置Vツインと3気筒エンジンにだけは乗ったことなかったんで、そのミッシングリンクをいつか埋めたいと思ってたんです。

今回3気筒エンジンを手に入れたことによって、バイクのエンジン完全制覇までいよいよ残ってるのはモトグッチの縦置Vツインだけになりました。我が人生最後の目標は「本口家の養子に入り、名字を本口に変えてからモトグッチ買う!」です。

「フッ・・モトグッチ乗りの本口です・・・。」って憂い顔で言ってみたいんですよ。

そんな妄想はさておき、この3気筒、いろんなところで絶賛されてるようですけど実はそんなのどうでも良かった。一番はやっぱゲンが良いこと。バイクってのは偶力振動のバランスを取るため気筒を増やす場合はほぼ偶数。どうにもならん単気筒は別として、多気筒エンジンで奇数ってフツーない。でもそんな問題を別にすれば3って基本おめでたい数字なんですよね。

「綺麗に割れないから別れを連想させない」わけですよ。

「バイク人生は結局のところ運次第」と豪語している私にとって「こんなハッピーパワーに満ちたエンジンは、一度は味あわなければならぬ」というのが刺さった理由の第二です。

③「デザイン」

最後は私が狂乱状態になった最大の理由、デザインです。いろいろ理屈つけてみたけど、結局はこれが購入理由の9割5分くらいを占めてる。本音をいうと、これまでトライアンフのトリプル系って全然好きじゃなかったんですよ。スッゴク良さそうなのに、「なんでこんな教育ママみたいなツリ目にしちゃうの??」ってずっと思ってました。

でも今回トライアンフが選択したカラーリングによって、私のネガティブ要素は土台から爆散し、脳髄の奥まで焼かれる結果になってしまったんです。見て下さいよ。この細身マッチョのシルバーボディに赤の差し色、細部のトンガリ感、でこのツリ目ですよ!!

「こんなの完全にニセウルトラマンじゃない!もうダメ!無理!!尊い!!!」

ストリートトリプル

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(ストリートリプルとバンダイのニセウルトラマンフィギュア。完全に一致。)

ニセウルトラマンって口が肛門みたいなザラブ星人が変身した「悪さしかしないウルトラマン」なんですが、デザインがとにかく深い。

ウルトラマンに完璧に似せなきゃダメってのはザラブ星人もわかってたと思うんですが、凶悪宇宙人としてのプライドが邪魔しちゃって、目尻尖らせたり、足先尖らせたり、細かいところで「オレ悪いぜアピール」しちゃってるんです。

「優等生になりきれず、チョイワルの個性出しちゃう」って、とってもバイク乗り的じゃないですか?「わかる!お前の気持ちイタいほどわかるぞぉ!!」って共感しちゃうでしょ。

自己主張という名のスケベ心。これをデザインに見事に反映させてるのがニセウルトラマンの深さなんです。一方、番組内では、このコダワリが災いして出てきた瞬間ニセモノ認定。「ニセモノがいらん個性出してどうする!!」ってみんなにツッコまれたわけです。

しかし、まさか「ニセウルトラマンで攻めてくる」とは・・これで今までネガティブ要素だったツリ目はクソデザインから、必然性すら纏ったスーパーグッドデザインに評価逆転ですよ。これは脳波乱れますよ。トライアンフ凄すぎだよ・・。

イギリスのオックスフォード大学には日本のアニメや特撮にハマった高偏差値なオタクスペシャル達が相当数いると聞いたことがありますが、きっとこいつらのうちの誰かがトライアンフに就職し

「オーー!このバイクを日本で売るにはこのカラーしかないデーース!」

って言ったに決まってる。そもそも一番高いRSにこの色持ってきてるのが確信犯だろ。日本人釣りに来てるだろ。絶対。

ということで、このウルトラマンに擬態したニセウルトラマンに擬態したストリートトリプルにワンパンでKOされてしまったんです。踏みとどまって耐えるにはあまりにも衝撃が強烈すぎた。もう大の字です。

「ちょwww選択の理由wwwアホなのwwww」と思われるかもしれませんが、私のバイク選びなんてある時期から大体こんな感じなんですよ。でも、頭で考えるんじゃなくって、魂の叫びに従ったほうが買った後絶対満足できる。

物欲魔神に変身するときって、理論より勢いとフィーリングで理屈じゃない。自分の心の中にある逃れられない変態嗜好がいきなり目覚めて、シンクロ率が爆上がりして暴走しちゃう。「ああ・・脳ミソの拘束具が外れていくわ・・誰ももうあのバカの浪費を止めることはできないわ・・」って感じなんですよ。

ただ、あまりにも暴走の度が過ぎたんで、かなりの長期間に渡り「凍結処分される」ことはほぼ間違いない。暴走→凍結っていう懲罰措置はネルフ本部も我が家も何ら変わりはない。ただ大きく違うのは我が家の総司令は碇ゲンドウなど比較にならないくらい怖ろしいこと。

助けてカオル君!!

次回からはストリートトリプルのインプレをチビチビと書いていきますが、私のインプレなのでマトモじゃないです(笑)。