今回ご紹介しますのは、かなりマイナーなガレージキット 戚麟瑞獣 こだぬき様 原型の博麗霊夢です。皆さん私のブログを見て、「なんか古いガレージキットばっかりで全然製作の参考にならねー」「オメーほんとに今でも作ってんのか??」と感じておられたかもしれません。

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しかし、今回は新しい。2016年夏のワンフェスで発売されたキットでございます。完成させた時の感想は

「いやー初期作品から全然製作技術上達してねぇな(白目)。」

という悲しいもの。段階的な技術の向上が見られないのはまさに素人模型。下手すっと加齢による退化もあり得る。

でも私レベルのモデラーがヒマな時のみに気分で製作するガレージキットなんてこんなもんなんです。もう何回書いたかわかりませんが「プロのフィニッシャーさんやセミプロブロガーの方と一緒にしてはいけません。」私の最大のテーマは「仕上げにこだわる」前に「大失敗してキットを破壊しない」ということ(それでもタマに大惨事がおこってしまう)なのです。

こういう塗装技術のないヘタレモデラーの特徴は、完成品の魅力を「原型師の造形力に完全に依存する」という点。もうまったく消極的な自己分析ですが背伸びすることなく「自分の実力に応じた生き様」を理解し、実践していくのも、模型を続けて行くには大事です。そういうことでまず最初の段階で「造形に優れたキット選び」が大事になってくるんですねぇ。

神がかった造形美のキットですと、普通に塗装仕上げるだけでかなりの見栄えがする。そしてこのガレージキットの世界には神がかった造形のモデルが数多く存在するのです。ですから私の紹介するキットは「私の趣味」で選んだもの(主にニトロプラス系とタイプムーン系)以外は私基準の「神造形モデル」であるといっても差し支えありません。才能のない人間は優れた才能に依存して生きていくわけです。

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話を戻してこのキット。過去にガレキのモチーフとしても作り尽くされている感のある霊夢さんですが、この霊夢さんはちょっと違う。なんせ浮いてますから。しかもパッと見はどうやって浮いているかわからないという不思議さ。「いやいや、ベースの綿霞に隠れて芯棒入れてるんだろ。ククク・・こざかしいわ!」と思ったあなた、ハズレです。

確かに一本足の下駄から1ミリの真鍮線がベースに刺してあります。でも、それでこれだけのボリュームの霊夢さんを支えられるわけがない。真鍮線はあくまで私が「保険」でつけたのであって、下駄から伸びる真鍮線なくてもこの霊夢さんは「浮く」んです。すごいですねぇ。さすが「空を飛ぶ程度の能力」。

浮いてるのが不思議なだけでなく、造形もすばらしい。このキット最大の特徴である「浮きの無重力感」を利用して、各パーツをこれでもかと外部方向に展開してます。霊夢さんを中心として円を描くように空間を削り取る髪、煙、サカキ、衣。まさに陰陽円を描くように空間が形成されていきます。(それにしても、この髪の展開は惚れ惚れしますねぇ。ここまで髪の長い霊夢さんはこれまでのフィギュアではなかったんじゃないでしょうか?)

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(陰陽円です。)

この外に向かって細く長く展開する要素の数々がフィギュアに軽やかな飛翔感、躍動感を与え、かつフィギュアの周辺に安定した円空間を形作る。この空間バランスの妙。私がこのフィギュアを素晴らしいと感じる要因です。。

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後方からの眺めは強烈な「半ケツ、パンモロ」です。「ここまで浮けば袴スカートも豪快にめくれるよね!ここでスカートめくらなかったら少量生産のガレキの意味がないよね!!」といわんばかり。それにしても尻をバッチリ見せるために邪魔な袴スカートや髪、衣すべてが尻への視通線からあからさまに逃げている

「明らかに神様の大いなる意思が働いた結果のパンモロ」ですよこれは。アート的な一面すら感じられる前面に対し、後方は「男子の本懐ここにあり」的なにあざとくケシカラン眺めになってます。

前から見ると力強く地を蹴る足、札に妖力を込める一瞬の緊迫感を感じさせる左手のポージングも、後ろからですとこのパンモロの威力で「まいっちんぐとシェーの合成」(ネタが古い!)に見えてしまう。ある種のだまし絵的なものなんでしょーかこれは・・。

このように、このキット、前のアート的なナニカすら感じさせる「陰陽師的格好良さ」と、後ろのケシカラン度」のギャップがものすごい。前の陰陽師と後ろのマチコ先生をどう折り合いをつけていくかが、製作にあたっての一番悩ましいところかもしれません。それにしても、この半ケツパンツ(リボン付)はもはや「神に仕えるもの」の下着ではありませんなー。造形師のこだぬき様の趣味であろうと思いますが、このようにしてしまう気持ちは「男として痛いほどわかる」し、このリビドー丸出し勝負が商業主義に流れないアングラなガレキの素晴らしいところですので、モロ手を上げて支持したいと思います。

簡単なレビューから開始いたしましたが、次回からはこのキットの製作にあたっての「方向性の定義づけ」「キット製作の苦労談」をつらつらと書いていく予定です。