「漫画家でもないのに完璧で魅力的な顔など描けるわきゃないだろ!!」と面相筆を投げ捨てて心の叫びがこだまする顔描き編。前回からの続きです。ここから先、瞳や眉、口など、顔の表情を決めるキーパーツを入れていくのですが、顔を描くのがことさら好きではない人は、キット付属の目デカールがあるなら、それを心おきなく貼りましょう。(なお、残念なことに、このキットには目デカールは入っていません。)

「なぜうまく描けないんだぁ!」と天に叫んだって、フツーは描けないです。私なんて大学時代漫研入ってて、自分で何万回も顔描いてきたのに碌な顔を描けないんですから(部屋の隅で壁に向かって体育座りしながらつぶやく)・・・。

フィギュアの顔描きは消しゴムでゴシゴシ消すわけにもいかない一発勝負。鉛筆書きのイラストだって消しゴムで何回も消しながらシコシコ修正していくというのに、筆塗り一発勝負で「完璧なお顔」などを要求されてもねぇ・・無理ゲーも良いとこです。

単に、私は顔を描くのが「超好きだから」しつこく描いているのであって、それによって「目デカールを貼るより完成度が落ちている」可能性も多分にあると思われます。しかもフィギュア系雑誌全然読まないんで「塗りに関する技術知識ゼロ」。いまだに近場の模型店で埃かぶってるようなグンゼとタミヤの塗料でやってますし、塗り方も全てミリタリー系の塗りから転用したもので、模型作りのスタンダードから逸脱というか、時代遅れなんだろうと思います。

いろんな方の技術や完成品見ると「スゲー・・うますぎる・・」「これどうやって塗ってるノ??」などと心から讃美と感動を覚えるんですが、あんまり自己流のやり方を変えようとは思わない。これは「自分の技術や向上心に対する諦め」というものもありますが、「人と比べるより、あくまで自分の風味重視でいってミヨー」的な感覚が強いところがあるからなのかも。

これには理由があって、人の技術や表情をまるっとマネすると、「その技術を編み出した人風味」になってしまうことが往々にしてあるんです。これが自分的にはイマイチなんです。特に人物系はその傾向が強い。漫画で良く「この新人漫画家、絵が某有名漫画家にそっくりだよね。」ということがあると思うんですが、これと同じにような感じになる。ミリタリーならそれも良いのですが、フィギュアはなかなかそうもいかない。

見本をトレースするというのはイラスト・漫画でいうと「模写」、絵画でいうと「塗りの技法」の転用ということになるんですが、それは完成度を一気に上げる反面、「制作者の個性をざっくり奪う諸刃の剣」になりかねない。「いやいや、個性もへったくれも模型は完成度だろ??」とおっしゃる方、それはもー間違いない。でもフィギュアの完成度の基準って何でしょう??バイクや戦車などの本物の実物があるスケールキットは「実物が完成度の基準」なのでそれを目指せば良いのですが、ガレキフィギュアの「完成度の基準」はどこにあるのか?

フィギュアはキャラクターですから、完成型は制作者の頭の中にあるだけで、現実世界に絶対の基準なんて無いわけです。そんなものが無いのだから、「こう作らなきゃ、こう塗らなきゃ」というのも全然ない。人の作風に縛られる必要もなく、背伸びする必要もない。制作者が満足するように作ればそれが一番良いんではないか?

私自身、ガレキフィギュアは原型師の「個性と発想力」で選んでるわけで、私のフィギュア見る人も、そこに私という人間の「個性」を求めるんじゃないか?とそんな風に思うわけです。

こういうことをうだうだ考えてるからフィギュアは難しいんでしょう。要は私にとってのフィギュアは漫画やイラストと同じ。霧の中の影を手探りでつかむようなもの。しょうがないので「下手でもイイ、私らしくドーンとたくましく育って欲しい」的にやるしかない。

「格好いいこといってるけど、でもド下手くそじゃん!!」「ド下手に発言権無し」「下手に仏の情けは無用」といわれると私は一撃で轟沈爆散壊滅沈黙するので、ゴマメの歯ぎしり程度に考えていただいて、皆様過度にお気になさらぬよう(笑)。

相変わらず前置きが長すぎますが、ヨーコさんフィギュアの方は、いよいよ瞳を描いていきます。漫画家やキャラデザによって瞳というのはいろいろと個性豊かな描き方があるのですが、やっぱりスタンダードなのは瞳の中に黒い瞳孔があり、そのまわりを瞳の色で囲むというパターン。つまり瞳の中は二重線。他にもいろいろパターンはあるんですが、この二重線の瞳を魅力的にするだけでも容易でない。これすら極められないので、今のところ他の瞳技法に寄り道する余裕がありません。

まず筆で瞳を入れてみます。使うのはエナメル塗料。下地にラッカークリアを吹いているので、エナメル塗料なら多少のことなら間違った部分をエナメルシンナーで拭き取って修正できます。

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描いてみました。さらっと終わったようですが手が遅く、優柔不断なので40分くらいかかります。魅力的な表情を目指すなら線のクォリティより目の形や大きさ、位置関係の方が重要です。線が多少ブレても気にしない。ブレすぎたら、エナメルシンナー薄くつけた筆ではみ出した部分の塗料を溶かして、綿棒で拭き取っときましょう。ここは大事な部分でできるだけ手間を掛けたいですが、高みを目指しすぎて迷宮にはまると抜け出せなくなり、「修正不能になるまで修正し続ける」という自らの画力を否定し続ける自傷作用にも似た地獄絵図になることがあるので、ある程度でのあきらめも必要。目の雰囲気が許容範囲に入ったら、スーパークリアで一旦コーティング。

次は目の中の色を入れていきます。黒い瞳孔と翡翠色の瞳。翡翠色っていってもクリアーオレンジに何混ぜたかなぁ・・製作がかなーり前なのでなんか良く覚えてません。クリアーオレンジらしきナニカで全体を塗った後、目の下部分をエナメルシンナーを混ぜた筆でちょいちょいと拭き取って、拭き取った部分にエナメルのクリアーイエロー+クリアーオレンジを混ぜたものを薄く塗ってます。で、簡易グラデーションの完成。近くで見るとムラがありますが、この程度の揺らぎは「フフ・・このムラが手作り感だよ」「無茶でも言い切る」のが大人の趣味の世界です。油絵じゃないですが、離れてみてみるとムラがあった方がリアルで生命感があったりするから人の目って不思議。

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眉と目が入っています。
ここまでで大体完成したように見えますが、最後に瞳で一番大事なモノを入れなければなりません。それはまた次のブログで。