立ち絵一発のガレキフィギュアは顔が命。「女は器量が良いというだけで幸せの半分を手にしている。」と昔のフォークソングにありましたが、「つきあってみたら性格美人」なんてのは動かぬフィギュアの世界ではあり得ませんので、ガレキフィギュアは幸せのほぼ全てが「顔にかかってる」といっても過言ではありません。
(製作途中の画像。触覚とポニーテールのないヨーコさんはキューティーハニーにちょっと似てます。ゴム手袋がここでも活躍してます。)
私個人の感想としては服の塗装にどんなに凝っても、グラデーション豊かに肌を仕上げても、魔改造でキャストオフしても、顔がうまくいかないと自分では全然納得がいかないのです。この点は人間とまったく変わらない。上から下まで露出の高いドレスを着用したグラマーさんに言い寄られても、顔が「フットボールアワーの岩尾」ではグレートムタのように毒霧を吹くしかない。
私はその昔、フィギュアの完成見本を見つつ「なるたけこれに近づけよう」と頑張っていました。そこに自分のオリジナリティなんてものはなく「完成見本を綺麗に模写する」ことだけを考えて塗装していたわけです。当然合格基準は「完成見本に似るかどうか」でした。しかし、ある時
「俺なにやってんだろ?俺好みのキャラクターを作っているはずなのになぜ人の完成見本どおりにしちゃってんの??見本にするんならキャラそのもののはずだろ?・・」
と思い至り、失敗しようが不出来だろうが自分の中にあるキャラのイメージ、好み、バランス感覚などを重視して顔を描くことにしたのです。
ちなみに私がガレキフィギュアの顔描きに費やす時間は結構長いです。完成品の模写をやめて以降、顔描きが1日で終わることはほぼなくなりました。表情の熟成には屋久杉の成長のように「悠久の時が必要」くらいの感覚で気長にやってます。「これで良し。」と思っても、2~3日は朝昼晩と眺めてみるのが良い。そうするとやっぱ「うぬぬ・・ちょっとここが・・」みたいなところが出てくるのです。焦らず腰を落ち着けてじっくりと。1週間ずーっと顔だけちょこちょこやってることもあります。
こんな感じで進めていても失敗作は数限りなくあるわけですが、やるだけやって駄目なら「自分の画力がない」「力不足」なわけですからまだ諦めもつこうというもの。
ここからは、具体的に私が実際、顔をどうやって描いているかをご説明いたします。しつこいようですが、なにぶん向上心のない気楽な余暇を楽しむ模型製作でありまして、自分で下手を十分自覚していますので、他のブログのセミプロの方やフィニッシャーの方などとくれぐれも一緒にしないようお願いいたします。完全な我流ですので参考程度にして下さい。(バリ取りと足づけの作業は完了しているという前提で書いていきます。)
①まずキャスト仮組の段階で0.3ミリのシャープペンシルで表情の下書き。この下書き段階で入念に表情作りをやっておいて、「キタキタ~、これ好み!」と思ったらそれを写真撮影して保存。何せシャーペン、何回も書き直しできますので、自分の好みの顔にこだわることが大事です。
(鉛筆下書きの画像。この段階で鉛筆で試行錯誤しておくことが後日の筆入れで効いてきます。)
②マスキングテープを目の窪み全体を覆うように貼り付け窪みに押しつけます。目の形にマスキングテープが窪んだら、カッターを優しく当てて目の範囲のマスキングテープを切り取ります。(直接カッターを当てるなんて!!と思うかもしれませんが、この後サフを吹くので、よっぽど力を入れて切り込まなければ跡が残ることはありませんし、なにより直接現物あわせで切り出した方が、確実に型取りできます。
③目の形に切り出したマスキングテープを剥がして一旦保管。
④ホワイトサーフェイサーを全体に吹きます。私は面倒くさいのでスプレー缶で吹いてますが、丁寧にハンドピースで吹くのもよろしいかと。しかし、顔描きで失敗するとディラックの海(←私はシンナーにドボンすることをこう呼んでいます。)に容赦なく沈むことになるので、丁寧にやり過ぎますと、それまでの手間を考えやり直しを躊躇した結果、妥協した顔になりかねません。その辺は自分の忍耐力と要相談です。なお、真っ白なキャストの場合は薄めに、黄色がかった一昔前のキャストは純白になるまで重ねます。要は白目の色として適当な色になるまでサフを重ねるわけですね。
⑤サフを吹いた顔の目の窪みにさきほど保管したマスキングテープを再び貼り付け。この後肌を塗装すると、マスクした部分のホワイトサフが白目として使えるわけです。
⑥肌色塗装。まずピンクを吹きます。(ちなみに私はサフレス派ではありませんので、サフ吹く前提の塗装ということでお願いいたします。)奥まった影になる部分は少々強めに、全体が極薄ピンクになる程度まで。その後、自分の表現したい色に調色した肌色を重ね吹きしていきます。肌色は奥が深く、自分の好みと環境で見え方が変わりますので「いろいろお試し下さい」としか言いようがありません。飾るところの照明にもかなり影響されます。私は肌を塗装部屋で塗装してから、フィギュア飾り棚に一旦持ち込んで、その照明下でちゃんと色が出てるか確認してます。それくらい肌色の発色は微妙なものがあります。この段階で丁度良い発色になっていても、後でつや消しを吹くと、白みがかってきますので、最終的な色がどう出てくるかは経験で判断するしかありません。
※「色わかんねぇよ」と言う方は、お気楽に薄ピンクの下地にグンゼのキャラクターフレッシュ1を適当な濃さになるまで吹いておけばイイんじゃないかなぁ・・。キャラフレ1は白めの肌色ですが、下地に薄くピンク吹いているので大丈夫。なんせ大手塗料メーカーグンゼが調色した最大公約数の色ですから、とりあえず慣れないうちはこれ吹いとけば問題無し。
⑦マスキングテープを剥がす。マスクされた目の部分がサーフェイサーのままの白色で残っているはずです。このとき、いい加減にマスキングテープを貼り付けておりますと、剥がした時に「白目が目の窪みからズレているという失禁モノの大惨事」となり、一瞬絶句した後、自分までもが白目になりSAN値が大崩落いたします。この場合、これまでの作業は全て無駄になってしまい、柱におのれの頭を打ちつけつつ、フィギュアの頭部はディラックの海で海水浴とあいなります。(案外やってしまいます。)白目が所定の位置にちゃんと来ていたら、その後スーパークリアーⅢで顔全体をコーティングし塗膜を保護した後、いよいよ顔を描いていくことになります。
全部書くととても長くなりそうなので、この程度にしておきます。次回は目に実際に筆入れをしていく過程を書きたいと思います。
コメント