今回紹介するモデルは「ガンプラ」の究極キット「デンドロビウム」です。私がこの20年で製作したガンダム系のプラモは「初代ガンダム」と「ザクⅡ」以外には、この「デンドロビウム」だけです。
私が「このキットを作ってみよう!」と思ったのは、とある新築のご家庭に伺ったのがきっかけです。その真新しい新居には模型部屋が作られていまして、製作途中のデンドロビウムが机の上におかれていたのです。
その新居の主人に「デンドロビウム凄いですねぇ。このキットは作るのに覚悟がいりますよね。アナベル・ガトー並の強い意志が必要ですよね!」と振ったところ、彼は私が同類だとすぐ見抜いたのか、私に熱く熱くこう語ったわけです。
「私はこのデンドロビウムを昔から作りたかったんです。でも今まで住んでいたところではこの大作を作れるだけの作業スペースがありませんでした。だから新築に当たってまず模型部屋を作りました。この部屋はまさにこのデンドロビウムのためのものなんです。」
この話を聞いて彼の想いに感動しないモデラーがいるでしょうか?模型を製作するために結果的に部屋が一つ必要な大作はそこそこ存在するでしょうが、「部屋を作ってまで」と思わせる模型はそうありません。私の家は農家住宅で空き部屋だけはありますので、幸いにもデンドロビウムの製作環境は整っています。私は彼の熱い思いと男気に完全に当てられてしまい、1ヶ月後にはこのデンドロビウムを購入していたというわけなのです。
このキットの特徴はなんといっても1メートルに及ぶでかさ。そのため塗装面積が広く、基本単色ということもあり平板で単調になりがちというところです。ただしそれと引き替えに得られる迫力は、有無を言わさぬ説得力があり、半端なものではありません。
とりあえず製作にあたっては、この平板さを補うためにミリタリーモデルよろしくグラデーション系の汚し塗装をかけていく方向で進めていったのですが、それも面積が広いとなかなかしんどいです。キット自体は世界のバンダイですから何の問題もありません。ガレージキットに比べれば下地処理もいりませんし、パーツ同士の合いも素晴らしい。
完成後はとりあえずテレビの横に置いていたのですが、とにかく場所を取って始末におえないので、現在は私のバイクガレージの片隅に移動しています。私の模型歴の中でも極めて異色のモデルであり、今でもガレージでデンドロを見る度に「当時は良くこんなの作ろうと思ったよなぁ・・」としみじみと回顧する次第であります。
(ちなみにこのデンドロビウムが入っていた巨大な箱は現在エアブラシのカップ拭き取り後のキムワイプを捨てるごみ箱として重宝されています。)
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