こちらのブログ→(38millionのインフェルノ)でご報告したように、38万円の請求で口から血の泡を吹いたダイナのエンジン修理&車検整備の後日談です。

このレベルの支払いになりますと、若い頃ならキレ散らかしてたかもしれませんが、現状は「・・これこそがこの世のリアル・・くっ殺せ・・」などと、この惨事を受け入れてしまってるのがある意味悲しい。

手を震わせつつ、高額支払いを終えた後、ディーラーの店長から今回の交換部品や、交換箇所の整備説明を受けましたが、その際にちょっと記憶に残るやりとりがありました。

「今回エンジンから結構盛大にガラガラ音がしてたけど、開けてみればバルブリフターだけだったんですねぇ。軽傷でホッとしました・・。」

「えーっと・・私も音を聞きまして、これはヒドいことになってる可能性もあると思ってたんですが、エンジン開けたらもう5万㎞超えてるのに、中はとても綺麗で・・・、ああ、これはオイル管理をしっかりしてくれてる人のエンジンだと、そう思いました・・」

「え・・あっ・・そ、そう?・・そうですか・・」

(モジモジしながら目をキョドらせる)

うーん、何気ない一言だったんですが、なんかスッゴく心のツボに入ったんですよね~。

私にとっては今更なんの感慨も湧かないオイル交換ですが、わかる人はちゃんとわかってくれるんだなぁ・・と思うとなんかグッとくるものがありました。

でも最近こういう感動ってほとんどないんですよね。

長年にわたって、この世を裏で支える実務畑の商売していると、一般人の評価なんて、どーでも良くなってくるし、評価されたいとも思わなくなってしまうんです。それは「人の考えを自分に当てはめててもしょうがない」と達観しちゃうから。

世の中って立場が変われば見方も変わっちゃうので、自分と同じ評価軸をもてない人の言葉を気にしてても、自分がブレていくだけなんですよね。

だから、自分の住む世界を真に理解していない人からの評価は、無視するわけじゃないけど、気にしすぎる必要もない。議論してもかみ合わないし、すれ違うだけだと感じてる。無理に議論して平行線が続くとやがてお互い攻撃的になって収拾がつかなくなってきたりもするし不毛です。

そういうときは、怒ることなく、「そう言われましても・・アナタと私では生まれも育ちも生きる環境も違いましてぇ~・・」てな感じで、右から左にラグビーの横パスのように受け流しつつ、最後は記憶の浄化槽に放り込んでしまうのが賢い処世術なんじゃないでしょうか。

アニメでの友情物語や熱血展開も個人的に大好きだけど、じゃあ罵り合って、殴り合ったら人と人とが真にわかり合うことってできるのか?っていうとそれはありえないと思ってる。それが現実なら、「物理で殴ってわからせる。」ってのがまかり通ることになるし、「ネット掲示板ももっと平和になってる」はずなんです。

同じ仮面かぶってても「変態仮面」「タキシード仮面」はわかり合えないと思うし、こいつらが無理にわかり合う必要もないと思うんですよね。

イラスト2
(女性の男性に対する王子様妄想を具現化したタキシード仮面と、男の劣情を具現化した変態仮面。私から見るとどちらも病気の産物ですが、ふざけている変態仮面の方が私は好きです。変態仮面は、女性に対する屈折した劣情から、女性用パンツを「履く」のではなく「着る」という斜め上の発想に至ったところが素晴らしい。)

これ以上グチグチ書くと、妻あたりから「うるさいなー、あんたは単にそーやってボッチを正当化してるだけのメンタルゴリラでしょ!」って一刀両断にされちゃうのでやめときます。

ことほど左様に、中年になってひねてくると、評価して貰うにあたっても「評価審査員の質」がないと喜べないという面倒くさいことになっちゃってるんですよね。

その一方で尊敬している人や、その道の真のプロ、玄人の方々に評価されることは、特別なものがあって、メンタル不感症の私でもやっぱり嬉しいんです。

店長さんとの会話は自分にとってささやかな喜びがあり、エンジン壊してヘコんでる心にふんわりとメンソレータムを塗られた感じがいたしました。




オイル管理の話が出たついでにオイル交換に関しても私見をちょっと書いときますと、今回のバルブリフターのトラブルを例に取るまでもなく、高負荷で稼働する機械にとってオイル潤滑は生命線です。よって、エンジンのためには良いオイルを定期的に交換すべきってのが常識的になってますが、そればっかり強調してくのもどうかなーと私は思う。

そんなの「乗り手の勝手」ですから。

オイル交換はそれなりに面倒くさいし、良いオイルになればなるほどボッタクリ・・いや高コストっていう明確なマイナスがあるから、良いオイルをむやみに推奨されても、金がなけりゃどうしようもない。

ちまたで沢山走っているバイクを見ても、そのバイクがちゃんとオイル管理されているかなんてわからないし、安オイル入れたり、長期間オイル交換しなくたって、今のバイクはちゃんと走ります。「ちゃんと走るのにオイル交換を頻繁にしても無駄金じゃね?」と感じる人もいるだろうし、その感覚は特段変ではないと思う。

タバコを毎日吸っている人の肺はヤニだらけらしいですが、それですぐどうなるって訳でもないし、その人の評価が下がるわけでもない。ただし、そういうネガは少しずつ蓄積されていくので、それなりの距離を走り、何らかのトラブルを抱えたとき、オイル管理を怠って疲れたエンジンはトラブルが深刻になる確率が高いし、エンジン内部を切開してみれば、その差はちゃんと出てくるわけです。

でもねぇ、私のようにエンジンぶっ壊したりしなきゃ、普通エンジンは開けないわけで、その成果を実感するってホントに少ないんですよね。

メカマニアからすると、オイルを全然交換しない人は「ほったらかしの駄目ライダー」にみえるかもしれませんが、経済的な面から見れば、オイル交換は可能な限り引っ張った方が良いわけです。

「オイル交換をあまりしないけど、そのかわり俺はまったりと走るよ」って人と、私みたいに「オイル交換をするけど、その分エンジンに無理をさせちゃう」という人ではどっちの方がエンジンに優しいか?っていったら、正直まったり走りの方がエンジンには優しいでしょうから、それでいいんじゃないかな?と思う。

ハーレーだって低回転だけ使ってドコドコ走るのならば、グレードの高いオイルは全然いらない。伝統のVツインは多少環境が悪くても与えられた役割をしっかりこなすって構造で、極めて丈夫ですし、オイルだって昔に比べればずいぶん進化したはずです。

ただ、長いプッシュロッドやバルブリフターなど、可動部分がコンパクトでないので、激しい動きを要求すると可動部分に相当な無理がかかる。片手剣は華麗に振り回せるけど、巨大な両手剣を高速回転で振り回せば体がガタガタになるのと理屈は同じで、ハーレーのエンジンは4000回転から5000回転をギャンギャン回すともう「超無理してます!!」的な感じになってくる。

レッドまで綺麗に回ってしまう現代の大型バイクでは味わうことのできない原付のような「無理させてる感」がハーレーエンジンの高回転域の最大の持ち味であり、そこが私にとってチャームポイントなわけですが、無理させるんであれば、いろんなところに配慮しなきゃならない。私の乗り方だとスクリーミンですら油膜切れをおこしてしまってるわけですから、今のところオイルのグレードを落とすことは考えられないのです。

一方で、ゴールドウィングF6Bなんかは割と気楽。指定オイルは、なんとホンダG1(ホンダで一番安いやつ)。Dioの推奨オイルと同じです。ホンダのホームページでは、よりグレードの高いG3が推奨っぽいですが、取扱説明書の指定はあくまでG1。1800cc、100馬力のフラッグシップと50cc、4馬力の実用エンジンが同じオイルを指定しているのが興味深い。

高回転高出力がお得意なホンダにとって水冷のOHCでレッドゾーン6500回転など余裕のよっちゃんなんでしょうね。なんせ往年の4気筒CBR250RRなんかレッドゾーンは驚愕の19000回転。回せば20000突入!ってくらいだったわけですから、F6Bのレッド6500回転なんてホンダ設計陣には、これっぽっちも無理してない回転数なんだと思います。だからこそ、スタンダードオイルのG1指定なんでしょう。

CBR
(CBR250RRのインパネ。webオートバイから転載。いまや語り草となってるレッドゾーン19000回転。決して速くはなかったけど、バイクならではのエンジンだったですね。カワサキがまた250の4気筒販売するらしいですが、レッドを何回転に引いてくるんでしょうか。)

ハーレーのTC96エンジンはハイオク入れて最高のオイル飲ませても高回転でガタガタいいながら油幕切れしかねない50馬力。一方のGLの水平対向6気筒はレギュラーガソリンと安オイルで、高回転まで美しく吹けきる100馬力。これって、「昼にセレブランチ食いつつ、コピーとお茶くみ専業で出世に興味ない美人OL」と、「セブンイレブンのサンドイッチ囓りながら、休むことなくバリバリ仕事する稼ぎ頭の眼鏡OL」とどっちがいい?ってことなんですよ。

自分で採用して給料払うなら間違いなく後者ですけど、男って、癒やしを感じる駄目美人が好きですからねぇ・・。

こういった人の性癖を理解しつつ、性能をむやみに進化させないところにハーレーの凄さがあって、ハーレーのエンジン最高!!って評価も良くわかるんですが、一方で原付オイルでも美しく稼働する低コストアスリートともいえるホンダエンジンの在り方と技術的な凄さ、維持費という乗り手への配慮もちゃんと評価し、理解してあげるべきだと思うわけですね。

ということで、私はオイル管理ってのには正解などなくて、「ショップやネットのいいなりの推奨距離で変えていくのではなく、自分の乗り方やお財布事情、バイクに対する愛情やポリシーなどを総合的に検討し、乗り手ごとに適正なバランス点を探っていく感じでいいんじゃないか?」と考えてます。バイクに対する接し方は全て自己責任で、人がどうこう言うもんじゃない気がするんです。よっぽどじゃない限り、今のバイクは十分保つし、そこら辺も各オーナーの個性であって、バイク維持の一つの妙味だと思ってるんですよね。

オイル3-1
(G4はCBR1000RRあたりに推奨されてるホンダで一番いいオイル。これを入れろとF6Bが過大な要求をしていますが、もう正直金がない。でも、さすがに原付と同じG1はかわいそうかなぁとも思ったりもする。まぁ、どういう選択になっても、腹立ち紛れのハイサイド心中はやめろといいたい。)

※うーん。タダの後日談のはずだったのに、なぜにこんな長いブログになってしまったのか・・遠い目をしながら、私はいぶかしんだ・・。