相変わらず気温と湿度は高く蒸し暑いですが、日差しはかなり柔らかくなってきたかな~って感じる今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか?今回のネタは久しぶりのゴールドウイングとなっております。

ウチのきんつば嬢は、昨年エンジンのバルブクリアランス調整をしておりまして、それから約半年たちますので、それにからめて、この水平対向6気筒の印象を語っていきたいと思います。

ゴールドウイングの水平対向6気筒は、ホンダが長年磨き抜いてきた特別なエンジンであるわけですけど、同じバイク小屋の中にあるCBのエンジンも90年代からホンダが育んできた歴史ある4発だし、HAWK11に至ってはホンダの現行主力パラツインですから、どいつもこいつも「とってもイイ」んですよね。

「そうはいっても、2気筒や4気筒より金がかかってる6気筒の方が、やっぱいいんでないの?」っていう意見もあるかもしれませんが、

「水平対向6気筒エンジンには、このエンジンにしかない良さがある」

からイイのです。そこに上下関係はないし、6発が自分の好みにあっているから、先代から通算13年間も手元に置き続けているんだと思う。

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だって、純粋にバイクのエンジンとしてのトータルバランスでは「パラツインが優秀だよね~」っていう結論に落ち着いちゃいますから。エンジンをずらっと並べて、「お前が量産機の主力モデルに採用するならどれ選ぶ?」っていわれたら、やっぱ水冷のパラツインを選ぶかなと。

今はツインでも十二分なパワーが出せて、デリケートな制御ができる時代だし、バイクはエンジンだけで走っているわけではありません。車重や車体の横幅、重量バランス、製造コスト、排ガス規制などを含めたトータル性能では「現代ではパラツインが一番合理的だな~」って感じる。

だから、ある程度台数を出してる大手メーカーさんの主力がそこに収束していくのも当然であると感じていますし、私の基準軸も既にパラツインに置かれちゃってます。たまに海外メーカーの試乗会行くとパラツイン勢が圧倒的勢力だし、4気筒で育ってきた私だって、良いものを認めないほど頭が固いわけではない。

そうなると「コンパクトで優秀なパラツインを前にして、巨大弁当箱の水平対向6気筒を所有し続ける意味ってなんなの?」ってことになるわけですが、それはやっぱり「光り輝くトルクの魅力」であると言いたい。

リッタークラスの高回転域でパワーの暴力を味わおうとすると、命をかけたアトラクションになっちゃうじゃないですか。その一方で実用トルクってのは日常を生きるための能力で、いつでもどこでも味わえる。大型バイクは私にとって「トルクの質を楽しむ」もので、これこそ「決してアガることができない大型バイクの深い深い沼である」と感じています。

クソ重い大排気量車ばっかり喜んで乗ってるのも、重くて安定してるバイクほど、トルクの過渡特性がしっかり味わえるってところがあるんですよね。軽くてスイスイ走るのもいいですけど、重いバイクを大トルクでゴリゴリ推進する快感もバカにできないものがある。

私は最近、高回転高出力を欲張らない4気筒エンジンをメチャメチャ推しておりますが、それは

「2気筒では絶対に味わえないトルクフィールを味わいたいなら、現状では4気筒が一番。でも4気筒はどんどん少なくなってるし、パワー重視で実用トルクをたっぷり出す4気筒が少ないぃぃい!!!」

って思いがあるからです。パラツインは放っておいても繁殖するんで、推すなら勢力が弱い方という判官贔屓も多分にある。

そんなわけで、私の中での4気筒は2気筒覇権時代を前提とし、そのカウンター的な立ち位置になりつつあるわけですけど、それとは別に「孤高の王者」の地位にあるのがきんつば嬢の水平対向6気筒。コイツは4気筒時代であろうが、2気筒時代であろうが立ち位置は全く変わらない。私の「トルクの美の追究」が形になった存在です。

現行のSC79のエンジンは、低中回転の実用トルクの質に振り切ったものになっており、私の好みのど真ん中。単に前に押し出すだけではなく、トルクで「おもてなしをしてくれる感」すらあります。4気筒を良質な床マットだとすると、ベルベット絨毯みたいなもんですよ。「バイクにそんな贅沢品いらんだろ?」っていわれるとそうなんですが、一生に一度は贅沢を味わってみたいのじゃぁぁあ!! って購入した結果、

「安西先生・・死ぬまで贅沢したいです・・」

になってしまっているのが愚かしくも悲しい人の業。

とにかく、ステイしてるところから開けていったときの気持ちよさがなんとも・・。ハーレーのVツイン系は、開け始めの穏やかさを一瞬のタメで作ってるところがありますけど、ゴールドウイングはそれを見事なクレッシェンドでやってくれる。開けると即座に優しく肌触りの良いトルクが立ち上がり、そのまま鬼の大トルクに繋がっていくのですが、押し出しの体感がとにかくブ厚く滑らかで、トルクのキメがもの凄く細かい。

まるで巨大な押し波にのまれるように、問答無用のパワーと質量で前に出るのですけど、そこに乱暴さも、わざとらしさもなく、極めてナチュラルかつオーガニックなのが6発沼。それに溺れちまうと抜け出せない。

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(ゴールドウイングを絵で解説するとこんな感じ。奥ゆかしさと優雅さの中に、隠しきれないマッチョ・イズム。ホンダのプレミアムな変態バイクここにあり。)

リッタークラスって、どのバイクもエンジンパワーはモリモリで、圧倒的パワーを体感するだけで満足できるカテゴリーなわけですが、34年もこのクラスを乗り継いでいると、「パワーをどのようにご提供して頂けますか?」 「そこが判断基準です」っていう、まるで馬術競技の選手が馬を選ぶみたいなややこしいことになってくるわけです。

そんな面倒臭い人達がわんさといる世界ですから、エンジンもパワーだけでなく、電子制御による英才教育や淑女教育、熟成による味出しがしっかりなされてるものが生き残っていく。

そんな数多あるエンジンの中でも、1800㏄の水平対向6気筒は血統がメチャクチャいいんですよね。力強さは排気量、トルクのきめの細かさは気筒数が増えると出しやすくなるから、その理想を体現したフラットシックスは「製造した時点で既に名機」と言えます。そこにホンダトレセンの鬼調教師達が英才教育しまくるわけですから、その実力は語るべくもないでしょう。

ただ、このエンジンの快感は6つある気筒が綺麗に仕事をしていることが前提で、その調律がズレると魅力が大きく削がれるってのが、今回のバルブクリアランス調整に繋がっています。繊細な品のレベルで勝負しているエンジンほど、僅かな所作の乱れが完成度に響いてくる。

きんつば嬢は、昨年の整備の時点で私のところにやってきてから約5年、3万3千㎞を走破しておりました。前任のF6Bが7年2万6千kmの勤務でしたから、現状で仕事量は前任者を軽く超え、「少しばかり疲れてきたのかな・・」って印象は以前からあったんですよね。

具体的には、3万kmを過ぎたあたりからエンジンから聞こえる機械音が少しずつ大きくなり、極低速域でアクセルを開けた時に、気筒間の燃焼のばらつきを感じるようになっていた。その結果、トルクフィールの美しさを前ほど感じられなくなっていたんです。

そんなときにCB1300SFの4発がやってきた。もうね。こいつは「ビジネスマナー完璧のシゴデキOL」みたいな奴ですから。エンジンはメカニカルで精緻に回るし、フィールも清潔で爽やか。一方でゴールドウイングのエンジンは、長年の勤務の疲れでメイド服が少しヨレて、幸薄い感じになっちゃってたわけです。

ぶっちゃけていうと、

「オィィィィイイ、天下のゴールドウイングのエンジンが、CBの4発に負けてね?」

ってことになってしまっていたわけですよ。

どんなに良いエンジンでも、健康でなければ本領を発揮できないし、微妙な味オチや応答遅れがリッタークラスのハイレベルの戦いでは明暗を分けることになる。

これからCB1300SFと共にゴールドウイングを維持していくなら、「水平対向6気筒の真の姿をなんとしても復活させなければならない・・」って決意させるほど、CB1300SFのエンジンはライバルとして脅威だった。コイツ・・身内殺しか?

で、意を決してバルブクリアランス調整という整体治療に出してみたのですが・・・



「ああ・・最高になっちまったよ・・」



最高というのは「新車に戻った」という意味ではありません。どんなに調整しても、エンジンを載せ替えない限り新車に戻ることなんてないし、エンジンからの機械音も、正直そこまで小さくはなりませんでした。

しかしバルブクリアランス調整後は、気筒間の燃焼で感じていた不調和は綺麗に消え、トルクの出の美しさと力感が復活したんですよ~。マジか~、嬉しい~~。

重量級バイクってエンジントルクの出し入れでバイクを起こしたり寝かしたりするところがあるから、トルクのツキが僅かでも落ちると、動きのキレも衰えて、疲れた感じになってくるんです。でも今回の調整でエンジンが健康になったおかげで、最近大人しかったメイドの背筋がシャンと伸びた感じです。

あと、6つの気筒が綺麗に仕事をしているフラットシックスって、「機械感を感じさせないなぁ」って改めて思いました。ハーレーのエンジンは「生き物みたい」って表現されることがあるけど、ゴールドウイングも完調なときは機械というより「巨大な生命体」に乗ってるみたいな感触があるんですよね。

・・・ということで、復活したきんつば嬢で走るのが楽しくて仕方ない今日この頃なのですが、今回の教訓は、「バイクを楽しむにはエンジンの魅力を高いレベルで維持しなきゃダメだな~」ってことです。体感を基準にすると、自己責任でオバホをやっていくしかないんですけど、「気持ちよく乗るには、その踏ん切りはしっかりつけていかないと・・」って改めて思いました。

後で調べたところによると、アメリカのオーナーズマニュアルでは、バルブクリアランスの点検は24000マイル(約38000㎞)らしいんです。きんつば嬢はこの基準より5000kmほど早く調整したことになりますけど、実際に不調の兆候を感じ始めていたことを考えると、結果的には良いタイミングだったと思います。

今の私はニューカマーをつまみ食いするより、バイクとの関係性を築いて、長く付き合うことに満足を感じてるから、「維持と蘇生にこだわるネクロマンサー」みたいになってきてるんです。こうなると、オーナーとバイクが共に老々介護となり、時間軸がおかしくなって、独自の認知世界に旅立ってしまう未来しか見えない。


ああ・・アムロ・・刻が見える・・


君は刻の涙を見る・・


ゼータ、刻を越えて・・



そんなガンダムっぽいセリフが頭に浮かんだりしますけど、私みたいなオールドタイプがニュータイプみたいなことを言っても、「認知症の初期症状ですね♡」って診断されちゃいそうだし、頭の中でキュピーンと音がしたときは、覚醒どころか確実に脳梗塞でしょう。でもね。私自身が若返ることはもはや不可能ですが、老いたバイクを蘇生させることならできる。

ならば、オールドタイプなネクロマンサーとして、闇の力を極め、ネオ・オジン軍を作るのみ!

そんな決意を新たにしつつ、本ブログを終了したいと思います。皆さん、また次のブログでお会いしましょう。



ジーク!オジン!!






(オマケ漫画「筋肉メイドについてのアフタートーク」)
性癖4
(リッタークルーザー&ツアラークラスはもはや怪獣達のキャラ勝負。見回しても2000ccクラス空冷Vツイン、2400cc3気筒、直列6気筒、ターボ4発など、熱量ガチ無視の頭のおかしな変態エンジンが並んでます。)