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アッパーカット3.3
(今回は趣向を変えて、いきなり漫画からスタートしてみました。元ネタは小学生の頃愛読していた「リングにかけろ」です。)

全国のロケットカウル戦闘団の皆様。おはようございます。ロケットカウル戦闘団HAWK11部隊員のへっちまんです。夏休みに入り、浮かれる世間とは裏腹に、ここしばらくサス調整で割と真面目(真面目か?)でマニアックなブログ内容が続いておりましたが、今回はお気楽に読めるものにしたいなぁということで、しゃぶって美味しいロケットカウルネタです。

「オィィィィイ!!また豊年祭か?股間砲なのか??」

ってツッコんだ人。ご安心ください。あんな怪文書はなかなか書けるものではありません。仕事で煮詰まりユンケル黄帝液2本くらい飲んだ後に、

「もうどうなってもいいの!滅んじゃえ!この世の全てェェエ!」

くらいのテンションになってこないと、あんな狂ったネタは出ない。

基本的に私のブログは「ほぼ裸芸」みたいなもので、世間体をどんどん削って書いてます。そんな中、かろうじて残った儚い社会性。それを崩壊させるのがロケットカウル系の下ネタ。これ以上品が落ちたら、お盆に戻ってきたご先祖達に「コイツが世帯主?廃家待ったなし!」って思われちゃう。

でもね。止められないんですよ。ロケットカウルって私にとって、とってもネタにしやすい麻薬のようなものだから。なんせ、このカウルの最大の特徴は「根強い人気があるのに、想像以上に売れない」こと。これって自虐ネタが大好きな私と相性が抜群なんですよね。

そして私には、このカウルが売れない理由がなんとなくわかる。このカウルって、今の世の中にお出しするには、あまりにも濃すぎるんですよ。造形の味が濃すぎて、「人様が乗ってるのを眺めるだけで満足しちゃう」んです。

豊年祭のご神体ってとてつもないインパクトがあるから、道の真ん中を練り歩いているだけで視覚的にお腹いっぱいになる。その結果、「あの神輿の担ぎ手になるんだ!!」って立候補する人間は逆に少ないと思うんですよ。担いだ瞬間「絶倫戦士」みたいに思われちゃうんじゃないか?って考えると、普通は腰が30㎝ほど引けてしまう。

ロケットカウルも同様で、

「ロケットカウルいいですね~(ニコッ)

って感想を述べてる人と

「ロケットカウルのバイク買うぅぅぅうう!!」

っていう人の間には、万里の長城のこっちと向こうくらいの隔たりがあります。前者は「風流人のお楽しみ」で止まりますが、後者になると「仕上がった信者」の様相を呈してくる。

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(ドカではなく、ホンダのロケットカウルに140万円は、狂信度が試される価格。HAWK11オーナーの皆様、アナタ方は立派な狂信者です。)

そして信者たるもの、ロケットカウルの真実を常に追求して悟りを開かねばならない。そんな想いから、今回はロケットカウルの歴史を私なりに掘ってみました。

ロケットカウルって60年代のカフェレーサー文化の象徴みたいに言われていますが、その文化の元となったのは1950年代のレーサーであることは明らか。

当時のレーサーのカウルはトップスピードを稼ぐため、空気の壁と戦っておりました。一部のバイクはカウルの先端がアリクイの鼻のように伸びており、座薬の先端のように流麗で、ヌメッとした曲面好きにはたまらない造形になってます。

座薬 (1)(肛門に突っ込めといわんばかりの滑らかさと絶妙な長さ。理想的な空力と、理想的な座薬の形状には共通点があると私は思っています。)

日本でいうロケットカウルの原型も、この頃に登場。空気を綺麗に後方に逃すにはカウルをタンクまで延長することが必要なんですよね。

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(こちらジレラの四発。なんて素敵なロケットカウル。1953年から1955年まで500ccクラスチャンピオンです。)
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(そしてこちらがドルフィンカウル。ドイツのNSU製。デパートの屋上にありそうなファニーさ。)

さらに空力を突き詰めていった結果、1954年には狂気のダストビン型フルカウルが登場。もうね。ダストビンといえばモトグッチですわ。

オット・チリンドリ
(こちらはモト・グッチの至宝。オットー・チリンドリ。自社風洞実験室で生み出した狂気のダストビンカウルの中に500cc水冷V8を詰め込み、80馬力ソコソコでトップスピード280km/hを記録したといわれるレース界の特級呪物。ライバルの4気筒GPマシンに対してトップスピードが25km/h~30km/hくらい速かったらしい。なお、リタイヤ続出なのはこの手のマシンのお約束。)

ダストビン型は空気との戦いに全精力を傾けた結果、「前面を全て覆っちゃおう」っていう過激な発想に至っておるわけですが、当時のエンジンは馬力もあまり出せないし、タイヤ性能もコーナーをゴリゴリ攻めれるようなものじゃなかったから、この手の直線番長仕様が勝利の方程式とされていたのだと思います。

あまりにも造形が変態的でカッコいいんで、「これを市販車で出してくれんかなぁ・・」って思いもありますけど、普段使いは弊害しかなさそう。Uターンするのに6車線くらいいりそうだし、車庫入れでも切り返しの鬼と化すのが目に見えてるし、メンテするのにも毎回カウル脱着が必要そうだし、コケたらカウル修理費が盛大にブッ飛ぶし、横風食らうと吹っ飛んじゃいそう。そもそも腕っこきが集うレースで危険と判断されてるんだから、市販が「ブルマのバイク」だけなのはしょうがないのかもしれない。

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(こちら「ブルマのバイク」。私の蔵品です。10年前に発売されて長年プレミアがついてましたが、なんと昨年リアルマッコイから限定復刻されたので即ゲット。完全にモトグッチのオットー・チリンドリです。ありがとうございました。)

この異形の形状、さすがにレースでもいろいろと問題が生じたようで、その後「前輪は覆っちゃダメ!」っていう規制が入ります。要はダストビンは直線があまりにも速すぎた。カウルの技術革新でトップスピードが上がっても、当時のシャーシやブレーキ、タイヤがそれに追いついていたとは思えないし、コーナーでは横風の影響も受ける。安全面でいろいろ問題があったのは想像に難くありません。この規制によって、ダストビンは消滅し、以前から存在していたドルフィンカウルの発展系が、レースカウルの主流になっていきます。

この頃のカウルって、まさに空気の壁へのバンザイ突撃で、そのビジュアルは空気と戦う意志がシンプルかつ明確に表現されてる。

その熱き魂を公道バイクに移植したのが60年代のカフェ・レーサーであり、当時のレース車輌をオマージュしたロケットカウルは、スピードに全てを賭ける男達を象徴するアイテムだったんですね。現代では販売上の特級呪物とされるロケットカウルも市民権を得ていた栄光の時代があったのです!!

って、そんなオチでめでたく終わろうと思ったんです。思ったんですけど、

「ちょっとまったぁぁぁぁあああ!!!」

この文脈で流れを締めくくるべく、60年代のエースカフェとか、ロッカー連中の写真を再度確認してみたんですが・・・。

「ロケットカウルやビキニカウルなんて、ほとんど出てこなくね?」

「ほとんどがセパハン、レーシングタンク、バックステップ、メガホンマフラーの丸目改造ネイキッドなんだが?」

ちょっとぉぉぉおおお!!「ロケットカウル=昔のカフェ・レーサー」じゃなかったの?写真見る限り当時から「かなりマニアックな特級呪物で変態枠」だったような気がしてしょうがないんだが?

そう、ロケットカウルをカフェ・レーサーのオマージュと思い込んで掘っていっても、「カフェ・レーサー文化が全盛期だった60年代ですら、ロケットカウルはごく少数しか存在していなかったのではないか?」っていう不都合な真実が出てきてしまうのですよ・・。恐ろしい~、恐ろしい~。まるで因習に満ちた獄門島の鬼頭家の戸籍調査する金田一耕助みたいな気分になってきましたよ。

60年代のカフェ・レーサー最盛期にロケットカウルの市民権が確認できないのなら、ロケットカウルはいつ公道で市民権を獲得したの?ってことになる。だって市民権がないのに文化の象徴にはなれないでしょう?で、70年代を見ていくと、ここで明確に「これぞロケットカウル!」って膝を打つような市販バイクが何台か登場してきます。それがコイツら。

Nortoncommand
(1970年「Norton Commando Production Racer」ホモロゲ用に200台程度が市販されたようです。)
lavelda
(お次は1971年 Laverda 750 SFC これもレーサー。一般販売は僅か78台。)
750ss
(そして皆さん大好き。1974年 Ducati 750 Super Sportです。レース優勝車を再現したファクトリーレプリカ。市販台数401台。)

なお、ドカティはこの後に900SSベベルを出し、1982年までに6000台以上を販売しています。歴史上極めて珍しいロケットカウルの販売成功例といえますが、ベベルってロケットカウルだから売れたのではなく、「ドカティの機構的特徴と造形美と本気度がてんこ盛りなのに加え、イモラの栄光という後光が射していた」から売れたんだと思うんですよね。

このように、ロケットカウルの変遷を掘っていくと、50年代のレーシングカウルの進化の中で、ロケットカウル的な形状が育まれていったのはわかる。ここまでは流れが綺麗なんです。問題はその先にある。

そこから60年代カフェ文化へ淀みなく流れていくのか?というと、カフェ・レーサーにレーシングパーツを移植する文化は確かにあったのだけど、セパハンネイキッドが圧倒的多数派で画像資料ではカウルつきのカフェ・レーサーは極めて少ないんですよ。そうこうしているうちに、70年代の市販レーサーまで飛んでしまう。で、その中でも売れてると胸を張れるのは「ドカティだけ」なんです。

じゃあ、それ以外の70年代の市販車はどうだったの?っていうと、この70年代に今で言うカフェ・レーサーっぽいデザインで販売されたと思われるバイクがこちら。

r90
(1974年のBMWのR90S。当時のBMWのフラッグシップ。世界初のハンドルマウント・コックピット・フェアリングを装備した市販車らしい。公道200km/hを実現したという触れ込みで、カタログには「ultimate motorcycle」って書かれてます。でも当時はカフェ・レーサーとして売ってたという事実はない。)
la.man
(そして、1975年発売のモトグッチのル・マン。モトグッチのヒット作です。これもカフェ・レーサーとして売られたわけではないけど、名前が「ル・マン」ですから。耐久レーサーの市販オマージュという意味では、街中を走るカフェ・レーサーに分類されてもおかしくはないかも。)
xlcr
(そして1977年のハーレーのXLCR1000。これは当時ハーレーが明確に「The new Cafe Racer」 と称して売ってるんですよね。このXLCRが最初にカフェを名乗って市販したバイクっていえるのかもしれない。なお販売は「こんなのハーレーじゃない!」というお約束のツッコミが入って、爆死中の爆死。販売店が半額にしても売れ残ったという不名誉な逸話が残っております。)

この3台は今では古き良き時代のカフェ・レーサー枠として扱われることもありますが、全員揃いも揃って

「ビキニカウルなんだが?!」

そう、コイツらは全然ロケットカウルじゃないんですよ。

「オィィィイイ!ロケットカウルどこいったの?いくら掘っても一般市場にロケットカウルなんてほとんど出てこねぇぞ?」

ってことになってしまっている。

で、80年代まで行くとどうなるかっていうと、丸形のカウルじゃなくって角形の巨大フェアリングが主流になっていくんですよ。CBのインテグラみたいな奴。つまりロケットカウルは大々的に市民権を獲得する前にその時代が終わってしまったんです。なんて悲しいんだ・・・。で、時代が流れゆく中、「これこそロケットカウルだ!!」っていう孤高のバイクが何台か出てくる。まずこいつ。

gb400tt
(GB500TT・MarkⅡです。この段階でロケットカウルは、もはや「速さのための装備」ではなく、速かった時代を懐かしむための装備になってます。)

そして90年代にはコイツ。

バンディット400LTD
(レトロ&デザインアイテムとしてのロケットカウル第二弾。中古バイク店での売れ残りの王「バンディッド・リミテッド」です)

こいつらの売れ行きについては公式には発表されていませんが、もはや私が説明するまでもないでしょう。

ロケットカウルってカフェ・レーサーの象徴みたいな捉え方されてますけど、カフェ・レーサー時代もそこまでスタンダードじゃないし、バイク業界の販売を見ても、売上げでメジャーになった事実はまったく見て取れないんですよ。

現代では、時代遅れとなり、かつ市販車の歴史上、数が出たこともない。ドカティは900SSであててるけど、そのドカティですらそれ以降は大苦戦してるし、他メーカーはレトロブームに乗っかってロケットカウルを出してはいるけど、ほぼ早期ディスコンの憂き目に遭っているんです。

メーカーがマーケットの歴史を知らないわけはないから、売れないのは重々わかっていたと思う。でも魅入られるようにロケットカウルのバイクを発売してしまうのは何故なのか?おそらくその理由は、現代においてロケットカウルが一部の「マニア&シニア」にブッ刺さる特級呪物だからだと思うんですよ。私はロケットカウルにはメーカーを狂わせる4つの魔力があると思ってて、それは

➀昔はサーキットで華々しい活躍を見せるも、現代では退役しているロケットカウルは、第一線から退いたベテラン層の共感を得られるコンセプトである。

②現代のバイクには存在しないマニアックな造形美が歴史を超えたデザインとしてマニア層を惹きつける。

③売れないくせに、知名度と歴史的な背景だけはテンコ盛りにあるので、メーカーに「あわよくば」と思わせる。

④天国に近い人達に刺さる、スピリチュアルな神性。

です。どのメーカーも開発部門の大御所は日々バイクを見ている「マニア&シニア」な人達ばっかりじゃないですか。彼らは「なにかしら理由を作って、禁断のロケットカウルを市場に差し込みたい」ってウズウズしてるんじゃないかって気がする。でも販売側に「やめろぉ!!やめてくれぇぇぇぇぇ!それは売れないの!呪物なの!せめてビキニにしてぇぇええ!」って力の限り抵抗されるから、限定モデルとか、記念モデルとか、裏ホンダとか無理くりな理由をつけて営業の防衛ラインを突破してくる。そして呪物復活後、信者はサバトのように狂喜乱舞し、販売店では死屍累々の惨劇がはじまるんですね。

今回のネオレトロブームで、ロケットカウルは多くのメーカーから発売され、見事な黄泉がえりをみせたわけですが、ほぼ全てが販売上爆死となり、営業サイドにトラウマをたっぷり植え付けつつディスコンとなっております。特級呪物ロケットカウルは再び封印され、また長き眠りにつくことでしょう。しかし、奴らはまた必ず復活する。なぜなら、

➀完全には滅ぼすことができない。

②封印が不完全なため、時間と共に効力が弱まる。

③信望者が常に封印を解こうとする。

④クリエイターの都合。


これは、封印されし魔王が甦っちゃう典型的な理由ですけど、ロケットカウルもその全ての条件を満たしていると言っていいでしょう。だから私はブログの締めにあたり、このセリフを全ての人々に送りたいと思います。

「どんなに封印したとしても、ロケットカウルはいつか必ず甦る。震えて眠れ!ぶぁーっはははははははーー!はーーっはっはっはっ!!」


それでは皆さんまた次のブログで!


「ジーク!オジン!!」





ブルーインパルス
(今回は画像てんこ盛り&冒頭と最後に漫画を持ってきた特殊構成でしたが、いかがだったでしょうか。昭和生まれの濃いオタクしかわからないネタですが、それが私のスタイルですので。)