うちのヴィーセ本口嬢(モトグッチV7)が、車検から帰ってまいりました~。
前回トラブルとして報告した、ドライブギア付近からのオイル漏れは、その後止まってしまい再発していません。シールの劣化ではなく、何かの拍子に内圧が高まって、オイルが吹き戻しただけだったのか?レッドバロンのメカさんからも、
「こちらでも様子を見ましたけど、再現性がないんですよね~。現状、このまましばらく乗ってみてもらえますか?」
ということで戻されております。それから500㎞ほど走りましたが、デフオイルは漏れないし、オイル量にも特段の問題はない。「あの漏れは、いったい何だったんだろうなぁ……」と、頭を捻るばかり。
手術入院させた途端、お漏らしが止まる機械って・・「尿道カテーテルに怯えて、急に頻尿が治るおじいちゃん」みたいじゃぁぁないか。固い金属の塊なのに、どことなく人間臭いユルさを感じるイタリアン。「やがて自分も、こんなボケ老人になって周囲に迷惑をかけるんだろうな……」なんて、自分の下半身に重ね、深い共感を呼び起こしてしまうから困ります。
で、今回の車検の成果は「お漏らしが止まった」だけなのか?
そんなことはありません。ええ、車検をきっかけに、やってしまいましたよ。
じゃーん。
前後にビチューボを投入っス。
今回、大枚はたいて前後サスを交換したのは、
「このエンジンと末永く付き合っていきたい」
「ヴィーセの空冷縦Vには、それだけの価値がある」
と、覚悟を決めたから。
3年間で1万3500㎞乗ってみて、完全に本調子になったヴィーセですが、エンジンや駆動系、乗り味の個性はとっても気に入ってます。でも、それを支えるサスが「どうにも古臭い」んですよね~。動きが悪いというより、
「遙か昔から時間停止状態」
という印象です。
エンジンについては、長い年月をかけて手を入れられ続け、空冷であるにもかかわらず味わいに繊細さすら感じる素晴らしいものになっていますが、リアサスの動きはあまりに豪快で野性的だし、ブレーキングでフロントサスが、しなり腰になる様は、まるでフライパンに投入されたキャベツみたい。
イタリアの田園地帯をのんびり流すなら、これでもいいのかもしれない。でも、曲率の高い日本のワインディングとストップ&ゴーな環境では、やっぱりなんとかしたいところではあります。別にタイヤはチューブでもいいんですよ。チューブにはチューブの素敵なフィールがあるんだから。
でも、同じチューブタイヤでも、CB1100EXのショーワサスは、チューブの情緒を見事に伝えてきてくれます。ところがV7は、タイヤの風味を感じる前に、ボケたサスに「オィィィイ!」ってツッコミを入れなきゃならない。
「いやいや、それこそ真のクラシカルでしょ? 対話でしょ?」
と言われれば、それはそう。でもね。こと私の850においてはエンジンの快感をサスの古さがスポイルしている感じが否めないんですよね。エンジンはイタリアンな快楽をビンビンに伝えてくるのだけど、サスが明らかにエンジンの加速やアベレージに負けていて、そこが凄く気になる。
昔風味が欲しいといっても、現代のバイクに慣れた人って、本当に昔の生活へ戻りたいわけじゃないんですよ。
『ゴジラ−1.0/C』(ゴジラのモノクロ版)だって、昔のぼやけたブラウン管ではなく、現代の高解像度でモノクロゴジラをやるから、貧乏くささを感じることなく、昔風味を楽しめる。バイクも同じだと思うんです。
トラのボンネビルのサスは、現代の正立サスとして、しっかり質を感じさせる上手い仕立てになっています。ところがモトグッチは、その点で頑固すぎるんですよね。そんなイタリア頑固親父の良さと弊害が同居して、それが濃さになっているのがV7ともいえますし、そのあたり、私のメインバイクであるダイナとメッチャ共通点を感じるところでもあります。
その不満点を手当てしたのが、昨年デリバリーされた「V7スポルト」なんじゃないか?と私は感じており、それはそれはうらやましいのですが、かといって私は自らが汗水垂らして3年間育てあげてきたヴィーセから、スポルトに乗り換える気は1㎜もない。
「よろしい。ならば戦争だ。」
「自分なりのV7スポルト☆スペチアーレを作っちゃるぞぉぉおお!!!」
ということで、ついに足回りの「純イタリア化」へ踏み切ることにいたしました。はぁぁぁぁ……やっちまったぁ・・。
(フロントはインナーカートリッジ式。マスキングテープが貼ってあるのは、プリロードを限界までかけたときの位置把握のための目印です。)
(こちらリアサス。油圧プリロードがついていますけど、この説明は後で。)
V7用のリプレイスサスをネットで調べると、ほぼマトリスとビチューボの二択です。でも、私は2つの事情で、今回はイタリア製のビチューボしか考えませんでした。その一つは文化的統一。もう一つの理由は末尾のおまけ漫画でご説明します。
なお、V7のノーマルサスのメーカーを調べると、フロントはV7Ⅱまでがマルゾッキ。V7Ⅲ以降が台湾のカイファ製です。(なお、カイファ製はアウターフォーク内側に「K」の形をした出っ張りがあるのですぐ分かります。)リアサスは日本のカヤバ製です。
つまりV7はイタリアンバイクなのに、前足が台湾、後ろ足が日本のテレンコ。それを前後ともイタリア製に統一する。性能だけでなく、気分的にも実によろしいじゃないですか。そう、コンセプトは「足回りにもイタリアンな快楽を!」です。
ただし、ビチューボはオーリンズやナイトロンが幅をきかせる日本では完全なマイナーサスで全然情報がないんですよねぇ。まるでモトグッチのよう・・・
「はっはっは!いいぞぉ!見せてもらおうか!マイナーサスの性能とやらを!!」
ということでビチューボ決め打ちで、サスのグレード選びに入ります。
フロントは、外観そのまま、性能は十二分で、しかも調整機構が充実しているインナーカートリッジ式を迷わずチョイス。これについてはダイナで成功体験がありますから、ビチューボにV7・850用があると知った瞬間に決定しております。しかも今時、税込12万円台はリーズナブル。
問題はリアをどうするか?
モトグッチV7・850用のリアサスの公道スタンダードはWMEというグレードなんですけど、これには2つの選択肢があるのです。
WME
プリロード無段階調整+伸び側減衰調整

WME22V2
油圧式プリロード調整+伸び側減衰調整

私は最初、価格的にもバランスの良いWMEにするつもりでした。だってWME22V2は、WMEへ油圧式プリロード調整ユニットを噛ませただけなのに、素のWMEより7万円も高いからです。
「オィィィィイイ!誰がこんなもん選ぶんだよ!!」
と、最初はスマホ画面へキツツキのようにツッコんでいたんですよね。サスが露出してて、調整容易な二本サス&お一人様ライダーはセッティングがある程度決まれば、プリロードなんて滅多に触らないのだから、お手軽油圧調整機構なんていらんのですよ。
ところがですねぇ・・ビチューボの850用サスって油圧調整機構をつけると、「日本人の軽い体重にあわせたスプリングレートが選べるようになる」んですよ。はぁぁあ?極道商売か?
ビチューボの標準仕様は、スプリングレートが2・4~2・5kg/mm程度。想定体重は75㎏くらいとされている。どう考えても、萎びて水分が抜けた私には硬いのです。
「いやいや、お前があと10㎏太れば問題ないだろ?」
という意見もあるでしょう。
でも、サスにあわせてマツコ・デラックスみたいになるのは、明らかに本末転倒。人の体重は、プリロードみたいに簡単には調整できない。一度緩んでしまうと、戻すのは極めて困難なのですよ。
サスの調整って「スプリングレート→プリロード→減衰」の順に、土台から積み上げていくもの。基礎となるスプリングレートにツジツマがあっていなければ、その先をいくら弄っても、どこかで無理が出ると思うんですよね。
まあ、油圧式プリロード調整機構に少し興味があったのも事実ですし、この際人柱もかねてWME22V2いっちまえと。でもね。「体重が75㎏あれば、7万円安く済む」ってのはマジで納得いかん。これはある種の体重差別です。
(サス交換後のヴィーセ本口の外観。現状、サス調整はほぼ終了してますが、リアサスの動きがまだ固くて渋いので、その馴染みにあわせて今後も微調整はかけることになるでしょう。)
なお、サスの不満解消にはサス交換以外に「サス内部へスペーサーを入れたり、オイル粘度を変えたりして純正を機械的に調整する」っていう方法もありますよね。でも、私はこれにイマイチ踏み切れないんですよ。私はサスの調整は「料理に似ている」と思っていますが、私は乗り味から機械的な味付けレシピが頭に浮かぶ「料理人」ではないのです。
レシピがなくても、自分でサスを分解できる技量があり、自らトライ&エラーできる職人なら、正解が出せるかもしれませんが、私にはそんな整備力もない。
そりゃね。アホだとは言え、サスの構造や知識は、本を読めば頭に入ります。でもね。そんなものでは素人はどうしようもない。下手な知識は休むに似たり。
「あえて言おう!チンカスであると!!」
大事なのは知識の量ではなく、実際に成果を出せることなんです。プロは知識と経験で一発でハイクォリティなところへ持っていける。でも私は千鳥足。そこがプロとアマチュアの差だと思う。私みたいなポンコツは、思い込みで適当にDIYやって、メチャクチャにした挙げ句
「足など飾りです!!」
って叫んじゃいそう。・・じゃあやめときゃ良いじゃん?ってことになりますが、違うんですよぉ。アマチュアには、「千鳥足の期間そのものを楽しめる」という特権があることも忘れちゃなりません。知識どおりにいかないイレギュラーに対処しながら、実体験を積み上げ、一歩ずつ山を登っていく。そのコダワリの淵が深く、踏破期間が長いほど充実感は高くなるから、そこに挑むのがアマチュアイズムの醍醐味でもあるんです。
そしてここで重要になるのは
「ド素人の創意工夫は、ほぼ失敗するけど、その失敗の積み重ねの先に成果がある」
ということなんですよ。つまり素人は失敗がデフォルト。だからこそ、何度でも迷走を繰り返すことができる充実した調整機構が必要になるんです。
そう・・「ゼロからはじまる異世界生活」には「死に戻りスキルが必須」というのは某アニメが既に証明している。多くの人は高性能を求めて調整機構を選択していると思いますけど、私は「死に戻りを簡単にするため」に調整機構を選択する。そして、そういう調整ができるものって「おしなべて高い!」これがリプレイスサスの真理なのです。
なお、私は公道ライダーなので、サーキットレベルの高い性能もハイアベレージも求めておりません。でも日常の走りで求める質感に対しては結構コジれている自覚がある。
私が普段走る路面の荒れた地方道で必要となるサスの条件は、
①入力がガツンときても、奥で衝撃を吸収する二枚腰
②ほどよく減衰の効いた吸収性
③ブレーキング時の適切な踏ん張り
④自分の好みを反映させやすいプリロード調整
この4つ。
ノーマルのV7のサスは、「①から④まで全部が私の妥協ラインより下だけど、赤点というほどではない」という評価なんですよね。(ちなみにダイナのノーマルフロントサスは、③が完全な赤点でした。)
現代の大型バイクってのは前の3点については、ほとんどが及第点です。大型バイクはノーマルでもソコソコ良いパーツ使ってて、公道で十分な妥当性と性能を持ってますから、特段の不満なんて出ない。
ただそれでもリアのプリロード調整が、「ガチャンコ、ガチャンコの五段階」だったりすると、乗ってて、「うぐぐぐ……この一段目と二段目の間に、もう一段あったらいいのにィィィイイ!」と思うことがあるんですよね。
これに対してリプレイスサスは、一番安いモデルでも、①から③の実現にはノーマルサスよりしっかりコストをかけていますし、プリロードが無段階調整になってますから、性能、調整面でノーマルより明らかに優秀なんです。
・・・ということで、私のワクワクドキドキのビチューボ生活が始まったわけですが、やたら長くなりそうなので、今回はここまで。次回は、ビチューボサス装着直後の印象と、その調整とビチューボサスの実力、乗り味などについてお送りします。
リプレイスサスは、確かに優秀ですが、明確な出口も、決められた「適正位置」もないので、調整は羅針盤のない航海になります。大枚をはたいて迷宮へ足を踏み入れるのが社外サス。きちんと調整できれば、ノーマルを超える素晴らしい世界が見られる。でも、何も手を入れず出口も探さないのであれば、その総合能力はノーマル以下です(笑)でも、雑誌って夢ばかり語りますからねぇ。その点についても、次回のブログで詳しく書きたいと思います。
あ、最後に今回の出費、下血量をご報告しておきたいと思います。皆様ここからは愉悦をもってご覧下さい。
➀ビチューボのフロントのインナーカートリッジが、12万4680円
②リアのWME22V2が、16万9180円
③フォークオイルが5600円
ぐわぁぁああああ・・高すぎ・・でも、リプレイスサスって今後高くなりこそすれ、まず安くならないと思うんですよ。だって、私のダイナに付いているリアサスのオーリンズS36E。これ今、一体いくらすると思います?18万円ですよ?18万円!!!こいつプリロード調整だけで、伸び減衰の調整機構とか一切ない素のサスですよ?私が購入した当時はネットで税込み7万5千円だったんですよ!!
同じくオーリンズのFKSインナーカートリッジシステムは、私が購入した当時は税込みで12万3千円ほど(スプリングはレートを私の体重にあわせて別注した記憶があります)。それが今や約23万円でございます。昔なら前後合わせて19万8千円で買えたものが、今では41万円出さないと買えないってどうなの?
物価が2・1倍ですよ、奥さん。
ちなみに車検納車時、レッドバロンの若い店員さんが何も知らずに
「あ、車検車両の引き取りですね。えーっと今店長いないんですが、ちゃんと聞いております。え~と・・あっ・・キーと請求書ありました!」
「えー、今回のお支払いは・・え?・・は?・・・ええええええ?・・・」
「あの・・さ・・さ・・39万4970円です・・・」
あ・・あははは・・・
これはもう、ヴィーセと心中するしかありませんな~。
(オマケ漫画「サス選択☆もう一つの理由」)
(ビチューボという響きには2ちゃんねらーとして惹かれるものがありますね。ああ、このサスはあらゆる意味で香ばしい。)
前回トラブルとして報告した、ドライブギア付近からのオイル漏れは、その後止まってしまい再発していません。シールの劣化ではなく、何かの拍子に内圧が高まって、オイルが吹き戻しただけだったのか?レッドバロンのメカさんからも、
「こちらでも様子を見ましたけど、再現性がないんですよね~。現状、このまましばらく乗ってみてもらえますか?」
ということで戻されております。それから500㎞ほど走りましたが、デフオイルは漏れないし、オイル量にも特段の問題はない。「あの漏れは、いったい何だったんだろうなぁ……」と、頭を捻るばかり。
手術入院させた途端、お漏らしが止まる機械って・・「尿道カテーテルに怯えて、急に頻尿が治るおじいちゃん」みたいじゃぁぁないか。固い金属の塊なのに、どことなく人間臭いユルさを感じるイタリアン。「やがて自分も、こんなボケ老人になって周囲に迷惑をかけるんだろうな……」なんて、自分の下半身に重ね、深い共感を呼び起こしてしまうから困ります。
で、今回の車検の成果は「お漏らしが止まった」だけなのか?
そんなことはありません。ええ、車検をきっかけに、やってしまいましたよ。
じゃーん。
前後にビチューボを投入っス。
今回、大枚はたいて前後サスを交換したのは、
「このエンジンと末永く付き合っていきたい」
「ヴィーセの空冷縦Vには、それだけの価値がある」
と、覚悟を決めたから。
3年間で1万3500㎞乗ってみて、完全に本調子になったヴィーセですが、エンジンや駆動系、乗り味の個性はとっても気に入ってます。でも、それを支えるサスが「どうにも古臭い」んですよね~。動きが悪いというより、
「遙か昔から時間停止状態」
という印象です。
エンジンについては、長い年月をかけて手を入れられ続け、空冷であるにもかかわらず味わいに繊細さすら感じる素晴らしいものになっていますが、リアサスの動きはあまりに豪快で野性的だし、ブレーキングでフロントサスが、しなり腰になる様は、まるでフライパンに投入されたキャベツみたい。
イタリアの田園地帯をのんびり流すなら、これでもいいのかもしれない。でも、曲率の高い日本のワインディングとストップ&ゴーな環境では、やっぱりなんとかしたいところではあります。別にタイヤはチューブでもいいんですよ。チューブにはチューブの素敵なフィールがあるんだから。
でも、同じチューブタイヤでも、CB1100EXのショーワサスは、チューブの情緒を見事に伝えてきてくれます。ところがV7は、タイヤの風味を感じる前に、ボケたサスに「オィィィイ!」ってツッコミを入れなきゃならない。
「いやいや、それこそ真のクラシカルでしょ? 対話でしょ?」
と言われれば、それはそう。でもね。こと私の850においてはエンジンの快感をサスの古さがスポイルしている感じが否めないんですよね。エンジンはイタリアンな快楽をビンビンに伝えてくるのだけど、サスが明らかにエンジンの加速やアベレージに負けていて、そこが凄く気になる。
昔風味が欲しいといっても、現代のバイクに慣れた人って、本当に昔の生活へ戻りたいわけじゃないんですよ。
『ゴジラ−1.0/C』(ゴジラのモノクロ版)だって、昔のぼやけたブラウン管ではなく、現代の高解像度でモノクロゴジラをやるから、貧乏くささを感じることなく、昔風味を楽しめる。バイクも同じだと思うんです。
トラのボンネビルのサスは、現代の正立サスとして、しっかり質を感じさせる上手い仕立てになっています。ところがモトグッチは、その点で頑固すぎるんですよね。そんなイタリア頑固親父の良さと弊害が同居して、それが濃さになっているのがV7ともいえますし、そのあたり、私のメインバイクであるダイナとメッチャ共通点を感じるところでもあります。
その不満点を手当てしたのが、昨年デリバリーされた「V7スポルト」なんじゃないか?と私は感じており、それはそれはうらやましいのですが、かといって私は自らが汗水垂らして3年間育てあげてきたヴィーセから、スポルトに乗り換える気は1㎜もない。
「よろしい。ならば戦争だ。」
「自分なりのV7スポルト☆スペチアーレを作っちゃるぞぉぉおお!!!」
ということで、ついに足回りの「純イタリア化」へ踏み切ることにいたしました。はぁぁぁぁ……やっちまったぁ・・。
(フロントはインナーカートリッジ式。マスキングテープが貼ってあるのは、プリロードを限界までかけたときの位置把握のための目印です。)
(こちらリアサス。油圧プリロードがついていますけど、この説明は後で。)
V7用のリプレイスサスをネットで調べると、ほぼマトリスとビチューボの二択です。でも、私は2つの事情で、今回はイタリア製のビチューボしか考えませんでした。その一つは文化的統一。もう一つの理由は末尾のおまけ漫画でご説明します。
なお、V7のノーマルサスのメーカーを調べると、フロントはV7Ⅱまでがマルゾッキ。V7Ⅲ以降が台湾のカイファ製です。(なお、カイファ製はアウターフォーク内側に「K」の形をした出っ張りがあるのですぐ分かります。)リアサスは日本のカヤバ製です。
つまりV7はイタリアンバイクなのに、前足が台湾、後ろ足が日本のテレンコ。それを前後ともイタリア製に統一する。性能だけでなく、気分的にも実によろしいじゃないですか。そう、コンセプトは「足回りにもイタリアンな快楽を!」です。
ただし、ビチューボはオーリンズやナイトロンが幅をきかせる日本では完全なマイナーサスで全然情報がないんですよねぇ。まるでモトグッチのよう・・・
「はっはっは!いいぞぉ!見せてもらおうか!マイナーサスの性能とやらを!!」
ということでビチューボ決め打ちで、サスのグレード選びに入ります。
フロントは、外観そのまま、性能は十二分で、しかも調整機構が充実しているインナーカートリッジ式を迷わずチョイス。これについてはダイナで成功体験がありますから、ビチューボにV7・850用があると知った瞬間に決定しております。しかも今時、税込12万円台はリーズナブル。
問題はリアをどうするか?
モトグッチV7・850用のリアサスの公道スタンダードはWMEというグレードなんですけど、これには2つの選択肢があるのです。
WME
プリロード無段階調整+伸び側減衰調整

WME22V2
油圧式プリロード調整+伸び側減衰調整

私は最初、価格的にもバランスの良いWMEにするつもりでした。だってWME22V2は、WMEへ油圧式プリロード調整ユニットを噛ませただけなのに、素のWMEより7万円も高いからです。
「オィィィィイイ!誰がこんなもん選ぶんだよ!!」
と、最初はスマホ画面へキツツキのようにツッコんでいたんですよね。サスが露出してて、調整容易な二本サス&お一人様ライダーはセッティングがある程度決まれば、プリロードなんて滅多に触らないのだから、お手軽油圧調整機構なんていらんのですよ。
ところがですねぇ・・ビチューボの850用サスって油圧調整機構をつけると、「日本人の軽い体重にあわせたスプリングレートが選べるようになる」んですよ。はぁぁあ?極道商売か?
ビチューボの標準仕様は、スプリングレートが2・4~2・5kg/mm程度。想定体重は75㎏くらいとされている。どう考えても、萎びて水分が抜けた私には硬いのです。
「いやいや、お前があと10㎏太れば問題ないだろ?」
という意見もあるでしょう。
でも、サスにあわせてマツコ・デラックスみたいになるのは、明らかに本末転倒。人の体重は、プリロードみたいに簡単には調整できない。一度緩んでしまうと、戻すのは極めて困難なのですよ。
サスの調整って「スプリングレート→プリロード→減衰」の順に、土台から積み上げていくもの。基礎となるスプリングレートにツジツマがあっていなければ、その先をいくら弄っても、どこかで無理が出ると思うんですよね。
まあ、油圧式プリロード調整機構に少し興味があったのも事実ですし、この際人柱もかねてWME22V2いっちまえと。でもね。「体重が75㎏あれば、7万円安く済む」ってのはマジで納得いかん。これはある種の体重差別です。
(サス交換後のヴィーセ本口の外観。現状、サス調整はほぼ終了してますが、リアサスの動きがまだ固くて渋いので、その馴染みにあわせて今後も微調整はかけることになるでしょう。)
なお、サスの不満解消にはサス交換以外に「サス内部へスペーサーを入れたり、オイル粘度を変えたりして純正を機械的に調整する」っていう方法もありますよね。でも、私はこれにイマイチ踏み切れないんですよ。私はサスの調整は「料理に似ている」と思っていますが、私は乗り味から機械的な味付けレシピが頭に浮かぶ「料理人」ではないのです。
レシピがなくても、自分でサスを分解できる技量があり、自らトライ&エラーできる職人なら、正解が出せるかもしれませんが、私にはそんな整備力もない。
そりゃね。アホだとは言え、サスの構造や知識は、本を読めば頭に入ります。でもね。そんなものでは素人はどうしようもない。下手な知識は休むに似たり。
「あえて言おう!チンカスであると!!」
大事なのは知識の量ではなく、実際に成果を出せることなんです。プロは知識と経験で一発でハイクォリティなところへ持っていける。でも私は千鳥足。そこがプロとアマチュアの差だと思う。私みたいなポンコツは、思い込みで適当にDIYやって、メチャクチャにした挙げ句
「足など飾りです!!」
って叫んじゃいそう。・・じゃあやめときゃ良いじゃん?ってことになりますが、違うんですよぉ。アマチュアには、「千鳥足の期間そのものを楽しめる」という特権があることも忘れちゃなりません。知識どおりにいかないイレギュラーに対処しながら、実体験を積み上げ、一歩ずつ山を登っていく。そのコダワリの淵が深く、踏破期間が長いほど充実感は高くなるから、そこに挑むのがアマチュアイズムの醍醐味でもあるんです。
そしてここで重要になるのは
「ド素人の創意工夫は、ほぼ失敗するけど、その失敗の積み重ねの先に成果がある」
ということなんですよ。つまり素人は失敗がデフォルト。だからこそ、何度でも迷走を繰り返すことができる充実した調整機構が必要になるんです。
そう・・「ゼロからはじまる異世界生活」には「死に戻りスキルが必須」というのは某アニメが既に証明している。多くの人は高性能を求めて調整機構を選択していると思いますけど、私は「死に戻りを簡単にするため」に調整機構を選択する。そして、そういう調整ができるものって「おしなべて高い!」これがリプレイスサスの真理なのです。
なお、私は公道ライダーなので、サーキットレベルの高い性能もハイアベレージも求めておりません。でも日常の走りで求める質感に対しては結構コジれている自覚がある。
私が普段走る路面の荒れた地方道で必要となるサスの条件は、
①入力がガツンときても、奥で衝撃を吸収する二枚腰
②ほどよく減衰の効いた吸収性
③ブレーキング時の適切な踏ん張り
④自分の好みを反映させやすいプリロード調整
この4つ。
ノーマルのV7のサスは、「①から④まで全部が私の妥協ラインより下だけど、赤点というほどではない」という評価なんですよね。(ちなみにダイナのノーマルフロントサスは、③が完全な赤点でした。)
現代の大型バイクってのは前の3点については、ほとんどが及第点です。大型バイクはノーマルでもソコソコ良いパーツ使ってて、公道で十分な妥当性と性能を持ってますから、特段の不満なんて出ない。
ただそれでもリアのプリロード調整が、「ガチャンコ、ガチャンコの五段階」だったりすると、乗ってて、「うぐぐぐ……この一段目と二段目の間に、もう一段あったらいいのにィィィイイ!」と思うことがあるんですよね。
これに対してリプレイスサスは、一番安いモデルでも、①から③の実現にはノーマルサスよりしっかりコストをかけていますし、プリロードが無段階調整になってますから、性能、調整面でノーマルより明らかに優秀なんです。
・・・ということで、私のワクワクドキドキのビチューボ生活が始まったわけですが、やたら長くなりそうなので、今回はここまで。次回は、ビチューボサス装着直後の印象と、その調整とビチューボサスの実力、乗り味などについてお送りします。
リプレイスサスは、確かに優秀ですが、明確な出口も、決められた「適正位置」もないので、調整は羅針盤のない航海になります。大枚をはたいて迷宮へ足を踏み入れるのが社外サス。きちんと調整できれば、ノーマルを超える素晴らしい世界が見られる。でも、何も手を入れず出口も探さないのであれば、その総合能力はノーマル以下です(笑)でも、雑誌って夢ばかり語りますからねぇ。その点についても、次回のブログで詳しく書きたいと思います。
あ、最後に今回の出費、下血量をご報告しておきたいと思います。皆様ここからは愉悦をもってご覧下さい。
➀ビチューボのフロントのインナーカートリッジが、12万4680円
②リアのWME22V2が、16万9180円
③フォークオイルが5600円
ぐわぁぁああああ・・高すぎ・・でも、リプレイスサスって今後高くなりこそすれ、まず安くならないと思うんですよ。だって、私のダイナに付いているリアサスのオーリンズS36E。これ今、一体いくらすると思います?18万円ですよ?18万円!!!こいつプリロード調整だけで、伸び減衰の調整機構とか一切ない素のサスですよ?私が購入した当時はネットで税込み7万5千円だったんですよ!!
同じくオーリンズのFKSインナーカートリッジシステムは、私が購入した当時は税込みで12万3千円ほど(スプリングはレートを私の体重にあわせて別注した記憶があります)。それが今や約23万円でございます。昔なら前後合わせて19万8千円で買えたものが、今では41万円出さないと買えないってどうなの?
物価が2・1倍ですよ、奥さん。
ちなみに車検納車時、レッドバロンの若い店員さんが何も知らずに
「あ、車検車両の引き取りですね。えーっと今店長いないんですが、ちゃんと聞いております。え~と・・あっ・・キーと請求書ありました!」
「えー、今回のお支払いは・・え?・・は?・・・ええええええ?・・・」
「あの・・さ・・さ・・39万4970円です・・・」
あ・・あははは・・・
これはもう、ヴィーセと心中するしかありませんな~。
(オマケ漫画「サス選択☆もう一つの理由」)
(ビチューボという響きには2ちゃんねらーとして惹かれるものがありますね。ああ、このサスはあらゆる意味で香ばしい。)






コメント
コメント一覧 (23)
V7の足回りに本格的に手を出した香具師としてのインプレ、とても参考にさせて頂きますので早く続編をキボンヌしつつも、この猛暑と手の療養もあるでしょうから無理はしないでクレメンス・・・と、20数年前を思い出してみましたw
へっちまん
が
しました
相変わらずどかんとお金使いますね…。
私も今年は夏のボーナスを多めにいただけたので、良いマットレスと良いPCを買いました。
えらい出費額で、今月のカードの引き落とし額がすんげえことになっていますw。
前にも書いたと思うのですが、今年は体調が悪く全然バイクに乗っておりません。通勤アドレス以外は、この2ヶ月一度も乗ってないのです。信じられねえ…。
なので、春の点検時にフロントサスを一番柔らかくしたXSRも、その変化を全く体感しておりません。
そういえば、GB500がインドで発表になりました。やっと出たかと思ったのですが、タンクのデザインが変わったり、ツインプラグになったりオイルクーラーがついたり、スポークホイールとキャストホイールが用意されたりと、結構力入ってます。ホンダは本気ですねえ。
正直欲しいのですが、まあ日本では全然売れないでしょうから、発売後に試乗してきめればいいかなあなんて悠長に考えております。
へっちまん
が
しました
ビチューボ、いいなぁ。。。
長年乗ってるシグナスX(2型)の前後サスは、リアサス交換、フロントもOHしても、6万台でしたが、、
今奥様に、へっちまんさんの車検代、サス交換のことをそれとなく探りで話したら、「たっか!馬鹿じゃないの?」と。
欲しいって、僕も変えたい!って言わなくてよかった。。。
来年車検なので、ジワジワ推してみようかな、頑張ってみますね!
へっちまん
が
しました
可能なら 私もCBナナハンやW3に入れたい
・・というのは 昔やっていたトライアル
1997年型の旧来フロントサスのイタリア製トライアルバイク「ベータ」から 2000年型のフロントカートリッジサスのベータに乗り換えた瞬間から フロントホップというフロントホイルを横にバウンドさせながら
方向転換する技が 実践でも使える技として出来るようになり
ステアケースという段差を乗り越えるテクニックもタイミングが取りやすくなり
私の走破性が一気にアップした経験から
カートリッジサスは「ライダーが下手くそでもマシンが補佐してくれるメカ」
と認識
ちなみにサスペンションメーカーは「パイオリ」でした
へっちまん
が
しました
これまでダイナのノーマルサスで過ごしてきたんですけど、増車したDR-Zは高い値段の理由がエンジン&サスにコストをかけただけあって
ダイナが『ゴッ!ドガッ!』と越える段差を『トトン』ですからね
ダイナは路面の凹凸を覚えて、そこをよけて走ればいいと割り切って乗ってますw
私の買ったDR-Zは爽やかなブルー、まさにポリバケツのような淡い青に特徴的なモノアイ、スリムな車体ということで
しび江さん回でバイクをモビルスーツに例えていましたが、DR-Zは上記の特徴から壺マニアの愛した機体『ギャン』でよろしいでしょうかw
へっちまん
が
しました
イタリアのマニアなサスのインプレなんて、ネットを探してもなかなか見つけられないでしょうね。検討している人には涙が出るくらいありがたいかも。
それにしても、今社外サスがそんなに値上がりしているとは!!
ひと昔前は36Eは工賃込みで8万円くらいだっだような。
近年のパーツの値上がりはこわいほどですね。
ちなみに私がサス交換をしたときは、奥様が見ても分かるわけはないと思って、当然ダマッテおりました。
しかし交換からほどなく、奥様はふと36Eを指さして「なんかこの辺新しくなってなーい?」とジト目をくれました。意外と見てるのね、恐ろしい・・
へっちまん
が
しました
前後サス交換いいですねえ、羨ましい
バイク乗りのサガなのかリプレイスサスの誘惑は定期的に訪れますねw
V85TTの純正KYBサスに不満はそこまで無いのですが、純正OPオーリンズが12万くらいの今のうちに買っておいたほうがいいんだろうかと悶々としてます
リアサスはOHしたばかりでタイヤ交換もして高額の出費が続いたので心の隅に追いやろうとしてます・・・
昨今の値上げの勢いがすごすぎて、欲しい物やいつか買う物は今買わないと後悔するってわかってるんですが大きな買い物ですしポン☆と出せないのがもどかしい
ビチューボのインプレ楽しみにしてますw
へっちまん
が
しました
平成になって オフロードバイクのキットパーツを組んで 二人乗りに対応したバネから一人乗り専用の比較的に低いレートのバネの挙動の違いを学びました。
倒立フォーク車を経験してカートリッジも同時に経験したことになりますが、倒立フォークに印象が持っていかれ カートリッジの効果との切り分けが出来ませんでした。92GSX-R750Wの次に所有した85FZ750(逆輸入)にOW01の正立カートリッジフォークを移植してその効果を実感できました。
このFZ750でサーキット走行(イベントレース参加が目標)してました。リヤショックをオーリンスに替えてましたが、ソフトな純正Fバネと釣り合う 一人乗り前提なレートだったので、硬めた前脚とバランスさせるために何本もバネを替えたのはいい思い出です。
FZ750を二台平行して脚回りカスタム(サーキット対応車と純正準拠車)を行って 自分に手が出せる範囲を把握できたので、現在は昭和の頃のように コツコツと手直しレベルの変更を楽しんでいます。
ビチューボは馴染みがないブランドなので、インプレを楽しみにお待ちしております。
へっちまん
が
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話が変わりますけど「購入編」ということで 金沢の会社WINSさんのジェットヘルを購入しました。ジェットヘルは主にジェベル用なので安価なのを選んでましたけど、CB250Rでも使うのも想定して少々のコストは容認しました。
アピールのとおり軽くて良いです。イナズマで使ってもOKな感じで満足しています。余談ですみません。
へっちまん
が
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ヴィーセ嬢、サスも新たにまた麗しくなられましたね。モトグッツィって何となく鳥山明先生が描くマシンと似たテイストを感じます。ただ在るだけで人間をワクワクさせるというか...
うちのイタ車もリアのプリロードを最弱にしてもカッチンカッチンでオーリンズに変えようとしたら30万オーバー...真面目に乗り手の増量を検討するレベルです。
へっちまん
が
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