先日、私の地元の自動車教習所で海外メーカー合同バイク試乗会がありまして、こちらに参加してきました。

このイベント、毎年やってるんですが、今年の日程はまったく把握していなかった。ハーレーのメカさんにダイナのタイヤ発注の電話入れたとき、「今週末やる合同試乗会にへっちまんさんは参加されますかぁ~?」って聴かれてようやく開催日を知ったんですよ。特段予定もなかったし、ツーリングがてら「今年も参加するかにゃあ・・」ってことで、顔を出すことにいたしました。

試乗会当日は朝から抜けるような晴天で、気温もソコソコ。あまりに天気が良すぎたからか、参加人数もソコソコでした。こんな日は箱庭で試乗するより、愛車とツーリングしたい~って人も多かったことでしょう。

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(ずらりと並ぶバイク達。当日の天気は最高。気温は寒くもなく、暑くもなく。絶好のバイク日和でした。)

参加メーカーは、ハーレー、ドカティ、BMW、トライアンフ、ロイヤルエンフィールドと、海外主要メーカーが軒並み名を連ねてます。試乗可能車輌は合計で24台。ここ6年ほどで、石川県内ではホンダドリーム、カワサキプラザ、トライアンフ、ロイヤルエンフィールドと4つの正規販売店が次々と開業しており、いろんなバイクの新車が買えるような状況になってきています。金沢市がどんどん発展してますから、僻地民の私もその恩恵にあずかっている次第(笑)

なお各メーカーの参加車輌は以下のとおり。

ハーレー  
ナイトスター、ストリートボブ、パン・アメリカ、X350

BMW   
S1000R、GSアドベンチャー、R1300R、R12nineT、F900R

ドカティ  
V2S、V4S、ムルティストラーダV4、スクランブラー

トライアンフ 
ボンネビルT100、ストリートリプルRS、デイトナ660、スピード400、タイガー900

ロイヤルエンフィールド 
ショットガン650、クラシック650、クラシック350、メテオ350、ハンター350


この試乗会、昨年秋も参加してるのですが、そこからの変化は、ハーレーがローライダーSからストボブに変わったのと、トライアンフがスピードツイン900からボンネT100に変わったくらい。あとBMWは昨年はR18がいましたが、今年はその代わりにF900Rが入りました。

これらの車種が朝10時から午後3時30分頃まで乗り放題。乗るっていっても先導車がいて、教習所の周回コース4周程度のカルガモ式試乗会ですので、あっという間に終了しちゃいます。これじゃ、乗用回転域のエンジンフィールとブレーキタッチと鼻の入りくらいしかわからんにゃ~・・ってことになりますが、そのかわり、

「次々と大量のバイクに乗れちまう」

という「わんこそば型イベント」。田舎ですので参加者が少ない割に乗れる車種も多いから、待ち時間がまったくない。疲労でもう勘弁と根を上げるくらい乗り倒していける耐久型試乗会といえるでしょう。

メーカーによっては「大人しく乗ってね♡」って誓約書は書かされるけど、BMWやドカは試乗会の参加者が常連ばかりなのか、先導車もそれにあわせて結構なペースで走っており、あんまり大人しく乗ってない(笑)都市部で試乗会に行っても、「待ちが長くてイヤになるし、ノロノロ運転でアカンのじゃあ!」って人は、田舎がオススメですねぇ・・。私はディーラー回って試乗するのが面倒臭いコミュ障タイプですから、この手の試乗会って気楽でありがたいです。

終了まで黙々と試乗をこなし、「各メーカーの大型車はすべて乗った」ということに・・トータル18台とか、一日に試乗していい台数ではないですね・・・。

で、印象はというと

「もう2気筒は当分いいですぅぅうう(泣)」

って感じ。海外の大型クラスは歴史的に2気筒がスタンダードですから、全体を通じて2気筒テイストの重爆撃感が凄いんですよ。トラは3気筒にも力入れているけど、いうて売れ筋はバーティカルツインですし、ドカのV4も、教習所内でグルグル回ってる分には、割とパルスがあってドカらしい2気筒テイストを出している。

これだけバイクが並んでいるのに、シュンシュン感があるのって、ストリートトリプルとデイトナ660と、S1000Rの3台くらい。大型が合計18台もある中でそのうち15台がツインテイストですから、6台乗るとそのうち5台がドコドコいってるんですよ。こうなると、3発と4発にオアシスを求めたくなるのも当然といえる。実際S1000Rは大人気で、みんなひっきりなしに乗っていたようでしたから、2気筒の重爆撃に溺れそうになる中、多くの人が、唯一の直4を「神の救い」のように感じていたであろうことは想像に難くない。

かくいう私も10台目を過ぎたあたりから、ひよこ鑑定士ならぬ、2気筒鑑定士の気分になってきた。「いや、憧れのバイクに沢山乗れてるんだから贅沢言うな!」って人もいると思うけど、どんなうまいものでも、死ぬほどの量を食べれば、さすがにリバースいたします。

しかも、乗るエンジン乗るエンジン、キャラクターの差はあれど、どいつもこいつも良くできている。「このコースを走っている分には(つまり普段使いには)、悪いところや不満なんてな~んもないでしょ」って印象でした。

確かに、乗り比べればトラのボンネビルT100と、ハーレーのストボブと、ドカのパニガーレV2SとBMWのR12nineTとクラシック650の2気筒エンジンには明確なフィールの違いはあります。エンジン形式や設計が違うので、それは当然。しかし、その一方で、

「地域や文化、風土は違えども、環境問題や安全性を重視し、ワールドワイドに統一された教育基本法の下で育った同種族」

ってことが乗るとはっきりわかるのですよね。いろんなツインをまとめて乗ったことにより、その印象がさらに強調されました。

そりゃまぁ、どのエンジンもユーロ5+という超優等生試験に合格しているのだから、昔みたいに「ガラが悪いツイン」って生まれようがないわけですけど、これが今のエンジン達の背負った「逃れられない業であり、一番のやっかいな問題なのかもしれないな・・」って率直に感じたことは間違いない。今の大排気量ツインは、スタンダード・エンジンらしくキッチリと制御されていて、「ブッ飛んだヤンキーや不良は一人もいない」。この傾向は時代と共に少しずつ進行しておりましたけど、ユーロ5が実施された2022年くらいから、ユーロ5+にかけて、より顕著になってるんじゃないか?と感じてます。

昔のツインはガラが悪いのもありましたけど、それが逆に直4に対する個性であるともいえたし、直4という王道があったから、ツインは趣味性の高い方向に振れていたという事情もあったでしょう。私の頭に根強くあるのはその頃の大排気量ツインの姿なのですよね。

今の2気筒エンジンはヒジョーに良いことはわかる。わかるんだけど、それは「体に良く」「環境にも優しく」「安定していて」「現代のバイク業界が提示する真面目な味つけ」という枠がキッチリはまったものなんです。

優しいパルスのエンジンをどれだけ乗っても、私の中のツインの世界は完結してこない。合同試乗会で多くのツインに乗れば乗るほど、「もうちょっと荒っぽい奴や、スムースな4気筒も乗りたいな~」って、思考が別世界に旅立っていっちゃう。

これからバイクに乗る人はそんなこと考えないと思うのですが、私みたいなオッサンは「1980年代や1990年代のエンジンをひたすら食ってきた」わけで、その頃の大排気量2気筒は「当時覇権だった4気筒エンジンにはない強い個性が最大の持ち味」でした。ある意味でちまたに溢れる4気筒エンジンのカウンターだったのですよ。だから国産に対して割高で、よく壊れるにも関わらず海外製のツインは趣味人によく売れた。私も国産4気筒に疲れて、正反対のダイナに手を出した身ですから、海外製2気筒は国産4気筒に対する「逆説的存在」という思いがあるのですよね。しかし、それから時代が進み、いつしか2気筒が4気筒を押しのけて、覇権エンジンになっていた。そうなると多くのライダーが多少割高でも「2気筒にない個性を求めて4気筒に振れる」のはしょうがない流れだと思う。

2気筒にはパラレル、V型、水平対向、水冷、空冷の選択肢に加え、クランク角の差によるテイストの違いがあって多様です。しかし、それはあくまで2気筒というくくりの中での比較なのです。単気筒や、3発や4発、6発という、根本的気筒数の違いから生み出されるフィールの差や、「環境なんぞ知らぬ」と排ガスをまき散らし、たっぷり燃やしてやりたい放題だった頃のエンジンテイストとの差を越えることは難しい。今を生きる人類にだって性格や個性に明確な違いはあるけど、そこにエルフとかドワーフという別種族をブチ込んだり、ノーヘルで走ってた時代の横浜銀蝿みたいな人達を連れてくれば、「現代の真面目なヒューマン」っていうくくりになっちゃうんですよね。

古いのが好みなら「現行にも古き良き空冷エンジンがあるじゃないの」ってことになるわけですけど、R12nineTや、エンフィの650は、乗ると「あくまで現代の空冷エンジン」です。パルスのカドがなくてフィーリングがとっても優しい。その点ではGB350もそう。空冷の粗野なネガを、丁寧に焙煎して、ドリップで漉し、空冷特有の優しさだけを旨みとして抽出している。それは非常に心地よく、癒やしすら与えてくれますが、エグ味のあるエンジンを体験してきた世代には、「ちょっと口あたりが良すぎないか?」「大人しすぎないか?」とも感じられるものでしょう。

モトグッチの空冷縦Vって、ボンネビルのT100と比較されるのですけど、昔風のエグ味を隠し味にもっている(今は電スロになったので、どうなったかは不明)という点で、現代の優しい2気筒とはちょっと立ち位置が違うんですよね。パルスも適度にカドが立っていて、トルクも硬質で縦Vの個性が良い意味でも悪い意味でも強く出てくる。このテイストを、「ちょっと荒くて古い」「洗練されてない」と感じる人もいると思うけど、ノスタルジーに重要なのは、「乗り手の記憶の中にある、あの頃を想起させつつ、現代的な洗練もあることである」と定義すると、モトグッチの空冷OHV2バルブは現行では屈指のエンジンなんです。この試乗会で、定期的に他メーカーのツインに山ほど乗っておるのですが、その印象は変わってないですね。

趣味っていうのは個性の探究ですから、「数多ある選択肢のなかから自分らしい1台をどう選ぶのか?」っていうものです。だからこそ、検討範囲は広ければ広い方が良いに決まってる。バイク乗りとしてのバックボーンが積み上がっていくほど、選択は複雑で一般的ではなくなるし、現代のバイクが規制によって統一的な方向に傾いていけば、その方向に反発し、失われていくフィールを求めたくなる。進化した優しき2気筒も良いけど、そこから生まれる「割り切れなさ」は、趣味の世界では当然の葛藤だと私は思う。実用一色の家電なら70年代のTVや炊飯ジャーなど必要ありませんが、バイクは趣味であり、感性の世界だからこそ、旧車も含めて、いろんな選択肢が必要になるのですよね。

また国産バイクと輸入バイクの対立構造も私にとってはとても重要で、「片一方が存在しないと、もう片方も全然光らないな・・」って、この試乗会に参加するといつも思うのです。

実際、今回も試乗してるとき、「ここに国産の4発があったらなぁ・・」って何度思ったことか。もしこの試乗会に国産4気筒文化の権化であるZ900RSやCB1000F、現行カタナあたりがあれば、海外製の主力ツインと交互に乗って、お互いの印象をさらに良くすることができたし、もっと広い視点で自分の嗜好を探っていくこともできたのに・・って思うのですよ。

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(私の中で海外の2気筒文化って、国産の4気筒文化とイメージがパラレルになってるんです。)

あと欧州ブランドっていうのは、メーカーごとに乗り味がしっかり統一されてるってのを強く感じます。BMWは、それが特に顕著で、どれ乗っても「あたしゃBMWでぇす!」って感じがする。モデルによって用途は明確にカテゴライズされてますけど、根っこにある下味は変わらない。これは車も同様で、BMW車って、1シリーズから7シリーズまで、ハンドリングとかアクセラレーション、内外装デザインの統一がはかられており、「どれ乗ってもBMW」だって感じられるようになっている。

プレミアムブランドって、明確なイメージやブランドポリシーを重視しているから、そのイメージの枠内で作り、ブランドイメージを低下させるような異端を作らないんですよね。だからエンジンもシャーシも歴史と実績のあるものを使い回して、同じ風味を出してくる。ドカティも全体的に統一されたスポーツフィールを感じるので、この2メーカーは高級ブランド的なモノ作りだな~って改めて感じた次第です。

海外製のハイブランドってのは、国産バイクに対するマウント力も重要ですから、あえて質感の高い高額モデルでイメージを作ろうとするところがあり、それがヒエラルキー構造を生む。このため、顧客側も「どうせ金出すなら、ブランドイメージを背負ってる象徴的なものを選びたい」って背伸びしがちになるんです。

私はバイク選びは結婚と同じで「バイクと乗り手の相性や能力のバランスがとれてないと短期で破綻する」と考えてますし、最強を選んでも、ずっと最強感を出し続けるのは疲れすぎるから、そういう世界からちょっと距離を置きたいな・・って、ある時期から思ってます。今の海外勢だとエンフィとかトライアンフのミドルクラスが、ヒエラルキーに縛られない存在の軽さがあって、所有してて楽そうだから、この2メーカーの印象が良いんですよね~。試乗会に参加してるBMWやドカ乗りの人やディーラーの人を見ると、私と人種がちょっと違ってて、その世界に入っていくのが面倒臭くなるところもありますね。



ということで、ざっくりと試乗会の印象を述べて参りましたが、最後に私の中で各メーカーで印象が良かったバイクを理由と共に上げておきたいと思います。いつも通り完全な主観ですので、参考程度に。

まずはトライアンフのボンネビルT100。もうね。現代の海外製のネイキッドなら、「これ買っとけば間違いないでしょ?」っていうデキだと思います。エンジン&シャーシ、ハンドリング&乗り心地のバランスが秀逸。日常使いでは何も言うことないんじゃないかなぁ。イメージ的には海外2気筒におけるCB400SFみたいな感じ。文句があるとしたら良く出来すぎていることかも。典型的な出木杉君ですね(笑)

お次はトライアンフのデイトナ660。3発特有の味わいがあって、素直で、3気筒のシャキシャキ感が抑えられてて乗りやすいし、足硬すぎないし、タイヤもミシュランのパワー6で公道使用で妥当性があるし、価格もリーズナブルです。ちょっと地味だけど、乗ると良いバイクの典型かと。

BMWからはF900R。「よりによって、なんでこれなんじゃぁああ!」って言う人もいるかもしれないけど、BMWってどれ乗ってもBMWだぁ・・って感想になる中、このF900Rって今回の試乗の中じゃ最もリーズナブルで国産と比較してもあまり高くない。にもかかわらず、BMW風味が十分以上に染みてたから、バリューと価値のバランスが非常に良い!ってことで選びました。通常は安いモデルほど味が薄くなるものなのですが、F900RにはBMW独特のフィールが全部あった印象です。価格もR12ninetや、R1300Rの売れ筋ASAモデルより100万円以上安いし、いいと思うんですけど・・選ばれないんだろうなぁ・・。

エンフィは、350ものどかですが、650も超のどかでゆる~い。乗ってて「ウフッ♡」ってなる。縁側にいるおばあちゃんみたいなバイクだけど「バイクなんてこんなので良いんだよ。」って頭の中の誰かが囁くんですよね。そこはGB350も共通してます。月の沙漠をラクダで行くような、大らかな世界観が理解できるかどうかですが、私はとってもいいと思います。なお、ショットガン650は名前は勇ましいですがバンク角が全くなくってゴリゴリ擦っちゃうので、クラシック650の方がよっぽど走れる。こっちがオススメです。

ドカでは新型のパニガーレV2Sが良かった。ドカ伝統のLツインで、ポジション楽で、ハンドリングもガワの作りもパニガーレ。「これで何の文句があるのか?文句があるやつ前に出ろぉぉお!」(出てきたやつを全力ビンタ)って感じです。V4Sも乗りましたが、あっちは足回りとポジションに一般性がまったくないので、公道で乗るなら絶対こっちでしょう。

ハーレーは・・・・ハーレーはちょっとインプレしにくいですね~。私が旧モデルのダイナ乗りってこともあって、何書いても色眼鏡になっちゃうから、止めておきます(笑)

ということで、地元で開かれた、わんこそば型試乗会のざっくりとした感想でした。

なお、この試乗会から約一週間、まったくツインに乗る気が起きなくなっちゃって、その反動で、CB2台とゴールドウイングをひたすら乗り倒しておりました・・試乗するにも台数はホドホドにってことですね(笑)


(オマケ漫画「へっちまんにおけるマルチとツインのイメージ差」)
2・4気筒達P-1
2・4気筒達P-2.1
(90年初期に大型を取って大型メインで歩んできた私には、大排気量4気筒の乗り味こそが日常で、大排気量2気筒はあくまでマイナー。その感覚はツインがスタンダードになった今でも変わらないみたい。このためマルチエンジンに普通を求め、ツインには変態性を求めていく傾向があり、バイク選択もそんな感じになっております。)