今回は久しぶりにヴィーセ本口嬢のインプレッションです。
V7はよく「好き嫌いがわかれるバイク」って言われてますけど、その中でも私が購入した2023年モデルのSpecialは、さらに好き嫌いが分かれそうな濃いものになっています。当時のSpecialは外見も2眼メーター+ハロゲンヘッドライトでクラシカルでしたが、足回りもかなりのものだったんですよね。
40㎜径正立サス(調整機構無し)+スポークホイール+前チューブタイヤ
今どきミドルクラスの850ccでこんな設定、逆に珍しくないか?って言いたくなるくらい前時代的。これに昔ながらのスチールパイプ製ダブルクレードルフレームを組み合わせてますから、乗るとあらゆる意味で「うぉぉぉぉお・・・お古いぃいいい・・(笑)」ってことになっていた。
(こちら今年のV7Special。現行は二眼メーターもハロゲンヘッドライトもなくなり、フロントもストーンと同じチューブレス。ベースのStoneとは、加飾違いの雰囲気モデルになっちゃいました。)
スポークホイールなのでチューブはしょうがないにしても、フロントくらい、もうちょっと凝ったサスを入れれば良いのに、モトグッチのフロントサスは調整機構なしのノーブランド品(多分シンプルで安価なサスを作る台湾メーカーのカイファ製と思われる)で、減衰もヨワヨワです(ちなみにリアはカヤバ)。ライバルのスピードツイン900はマルゾッキ製41㎜倒立サスで、ロイヤルエンフィールドのメテオ650ですら、流行のSHOWA製SFF-BPを奢ってるってのに、フロントにまったく頓着しない姿勢はなんとかならんのか。
うちのヴィーセを建物に例えると、カタログ上は現代の新築建物を装っていますけど、中に入って生活すると
「家の中でも風の音とか、蛙の鳴き声が聞こえますねぇ・・」
「うぉぉおおお!トイレが和式ウンチングスタイルなんじゃがあああああ!!」、
「風呂がテルマエですじゃあああああ!!」
って感じなんですよ。エンジンはフィーリング最高ですが、ブレーキも足回りも、質素かつシンプルで必要十分があればいいって仕立てです。ガチな旧車が元気に公道を走っているのですから、これでも現代の交通事情には何ら過不足ないわけですけど、近年このクラスのバイクが採用する常識的なフロントサスに比べると明らかに見劣りしてます。こんなのクラシックを免罪符に使った、イタリア的サボタージュじゃね?って思いたくなるレベル。V7は電スロやトラコン入れて安全が~なんて言ってるけど、「そんな金あったら、このサスなんとかしなさいよ」ってことですよ。
(桜が散る前に一回乗れたのは良かった~)
そんな先祖がえりしたかのようなフロントサスのV7に対して、スピードツインやボンネビルはそんなトリップ感などない。こいつはもう「誰が乗っても好き嫌いが出ないし、満足度高いんじゃね?」って思える。外観は古いイギリスの洋館なんだけど、中に入ると
「高気密高断熱」
「トイレはウォシュレット」
「風呂はエコキュート」
で、快適生活にジャストフィット。クラシックの雰囲気をふんだんに出しながら、不満がほぼ感じられないという素敵な仕立てになっている。
これについては、素晴らしいのぉ・・と思う反面、「こんな快適なものをクラシックと言って良いのだろーか?」と感じてしまうところもある。私から見てボンネが売れるのは、商品力的にもはや必然なのですが、「昔のフィールをもっとダイレクトに感じたい」って望むひねくれた層には、整いすぎてて物足りないところもあるかもしれない。そもそも現代の良く出来たパーツの製造基準や性能で、オールドな頼りなさを表現しろなんていうのは、無理な話なんですけどね。
ちなみに私の中で同じクラシックのカテゴリにいる※しび江さん※(CB1100EX)は、足回りに「正立サス+スポークホイール+前後チューブタイヤ」を採用しており、チューブ独特の足回りのふんわり感がある一方、SHOWAのデュアル・ベンディング・バルブ・サスペンションを入れて、フロントの減衰をしっかり効かせているから、昔のバイクにはなかった接地の安心感がある。日本の古式ゆかしい高級武家屋敷を演出しつつ、一切の危うさを感じさせないってのは「操安重視のホンダらしいな・・」って思っちゃいますね。
これがエンフィ(ロイヤルエンフィールド)になってくると、「性能や品質を含めて、ガチのタイムトリップを楽しむ」感覚になりますから、フィールも品質も全部がクラシック。ライバルのGB350と並べると良くも悪くも「手作り感」があり、その土臭さというか、インド的生活感がエンフィの得がたい持ち味になっています。でも、これはインドという広大な国土を持つ発展途上国だからこそ、生み出せる朴訥さだと思うんです。そこも含めて、現行バイクでは最も昔風の雰囲気が出てるし、中型免許で乗れる車種もあるしで、エンフィが売れるのも納得です。
一方のV7は同じクラシックなのに、売れてないんですよねぇ(笑)オーナー目線からも、これはオススメされて買うようなバイクではなく、自分で辿り着いてこそ価値のあるバイクではないか?と思います。他と比較するとアレやコレや出てくるから、そんな比較論から抜けだし、自分とバイクだけの関係に特化しちゃった人の方がいろいろと納得できるバイクだと思う。ビギナーだけど、スタイルに惚れてどうしても欲しいっていうのなら、昨年、足回りに大幅に手を入れたスポルトの方が安心して乗れるでしょう。
(このバイクを一言でいうと「イタリアの濃い親父が乗るクラシック」。ジローラモのようなイケオジじゃなく、髭ヅラ小太りで「ガハハハ」という笑い方する頑固オヤジのイメージです。)
そもそもV7ってバイクは、これまで幾度となくモデルチェンジとパワーアップを繰り返していて、シャーシにもちゃんと手を入れてきているんですよ。それでも、なおこの設定なのですから、これはもう低性能というよりも、モトグッチの設計者が「クラシックってのは、これくらいのシャーシを、乗り手側で頑張って走らせるから面白いのだ」と考えているフシがある。新しいものが作れないわけじゃないってのはV100マンデッロが証明していますしね。
V7の足回りって、現代の常識的感覚だと、GB350やSR400みたいに20~30馬力くらいのエンジンと組み合わせて、「景色見ながらマッタリと流していきましょうよ・・」ってレベルのものなんですよ。でもね。V7Specialは、そんな足回りに、滾りまくるエンジンを組み合わせちゃってるから、とたんに前時代の危険なスポーツバイクの香りが漂ってきている。問題はコレが確信犯なのかどうなのか?ってことですけど、最近私は確信犯のような気がしてきた。
V7の搭載する空冷縦Vは、65馬力しかないけど、公道でぶん回せる65馬力って速いですからねぇ(笑)設計は古くさい空冷OHV2バルブですが、そこはイタリアンの作ったエンジンですから。「バイア〇ラ飲んだみたいに高回転までギンギン」なんですよ。しかも回転が上がると車体がジャイロで安定する縦Vですから、どうしてもワインディングの立ち上がりで開けたくなる。そんなバイクの足をオールドに振っちまったスペシャルは、エンジンパワーが足回りに完全に勝っておりますから、楽しさを引き出して走ろうとすると結構キツキツなんですね。
加えてモトグッチの伝統ともいえる仕立てにより、古くさいのにヒラヒラ舞うから、コーナリングが楽しいのもタチが悪い。だって、どーして頑張りたくなっちゃうじゃないですか。フロント18インチなのでクイックではないけど、バンキングの無抵抗感が際立ってるから、そこを堪能したくなるのはバイク乗りの本能じゃない?
エンジンもトルク重視型で立ち上がりのトラクションをガッツリ出してくるから、「これぞツインの真骨頂!!」って走りが可能なんですけど、Specialは足回りのパラメーターの上限が低く、コーナーでそこまでシゴける足じゃないから腸捻転になる。小僧時代みたいに「ウワォ!ハェェェーー!!ヒャッハハハハハ!ギャハッ!!」ってコーナー飛び込むと道路脇の木とかに刺さってクワガタになってしまいそう。これって、魂は燃えてるけど、体がまったくついていかない50代~60代のオッサンそのものじゃないですか。
「どうせメッキでキラキラのSpecial選ぶ奴なんて、光り物好きのオッサンしかいないんだから、バイクの足回りもオッサンの下半身にあわせときましたヨ!これで仲良く走ってネ!!プププ(笑)」
ってモトグッチに言われちゃってるの。おのれぇぇえええええ!!
そう、V7は人もバイクも古いものほど個性が強く、声がデカいけど足にきているという真理に忠実で、これに向かい合うことを強制される。機械と乗り手という2つの老体が、自身に与えられたリソースの中で、いろいろと考え、加減したり、抑制したりして、一番良い按配を導き出していかねばならぬという、「走りのワークライフバランスを考える」なんとも切ないバイクなんですね。この老後感、まさに人生の縮図。実に深いじゃないですか(涙)
これが今時なぜ際立つかっていうと、現代の大型スポーツバイクの考え方って、V7とまったく正反対だからです。今の大型スポーツは乗り手の高齢化による操作ストレスを電制でことごとくケアし、快適さと気持ちよさだけを抽出しにいってます。そうじゃなきゃ、ハーレーやW800みたいに、エンジンを中低回転に張り付けて、そもそものアベレージを下げるかですよね。まぁそりゃそうでしょう。ハイアベレージ時の素早い操作の難しさ→ミス→事故って流れが明確にあるわけだから。
私みたいな年齢層って、バイクに金を出せる余裕があるから、高性能モデル売るには良い顧客層になる。この層にできるだけハイスペックで高額なバイクを売りたいけど、年齢的にフィジカルが衰えてきていて、いろいろ危なっかしいから、「てんこ盛りの電制でサポートしましょう♡」ってのが、偽らざる実情ではないでしょうか。
でもね。そこに私は大きな違和感があるんです。私にとってバイクは昔から自己責任のダークな世界で、今もそれは変わっていない。だから「足が衰えているジジイがバイク選ぶんなら、足が衰えているバイクと仲良く走れ!」って突き放された方が、逆に落ち着きがいいまであるんですよ。自分が衰えたら、バイクに補正して貰うのではなく、自分の枠の中で走れるバイクを選ぶ方が自然の摂理にあっている。私みたいな考えの人間が一定数いるから、現代の旧車みたいな、SR400やW800に一定の支持があるんだと思うんですね。
今のハイパワーのオートバイって、昔に比べてイメージがアッケカランと明るいんです。それは悪いことじゃないんだけど、「本来そこにあるべき本質的なダークさや危険性が見えにくくなっているのではないか?それでいいのか?」って危惧するところもあるんですよね。過去に1000馬力級のランボとパニガーレv4が対決している動画を見ましたけど、200馬力級のリッターSSって、車でいうと、これらのスーパーカーと同じ加速するわけですよ。これが大根みたいにドカやホンダのディーラーで金さえ出せば誰でも買える世界ってイカれてる。実際50代がメチャクチャ事故ってるらしいけど、そこに大型バイクの欺瞞はないのか?って正直思うわけですよ。
だって、80年代から90年代の感覚で、200馬力なんていうバケモノを目の前にお出しされたら、「遺書を書いといた方がいいかな・・」ってくらいの気分になってたはずなんです。当時レーサーレプリカに乗った多くの若者がこの世を去った理由は、ABSもトラコンもないのに開けっぷりが良すぎたからです。前が開けたら基本、全開ですよ。そんな頃の100馬力オーバーは、本質的な危険と恐怖に直結し、死の臭いが濃厚に漂うものだった。でも、今やアドベンチャーがポンッと150馬力でしょ?交通の中でのスピードの本質ってまったく変わっていないのに、「このアッケカランとした明るさって一体何なのだろうか?」って考えてしまうんですよ。
V7のシャーシは現代のバイクの基準でいうと、ビックリするほどローテクで質素だけど、この足回りは、公道で許容される速度域の範囲内で「65馬力の怖さ」をちゃんと伝えてくる。今うちにいるバイクで一番緊張感を持って乗ってるのは案外V7かもしれないんです。それはシャーシのヘロさに起因するモノだけど、大型のスポーツバイクの持つ危うさという現実がそこにちゃんと存在しているから、私はこのV7Specialをスポーツバイクだと感じてるし、そこにモトグッチの良心があるのかもしれないなって思う。
V7を購入した頃は、初めて向き合う縦Vとシャフトの特性、独特の乗り味にキャッキャしてたけど、8000㎞を越えたあたりから、それにも慣れてきて、今度はこのバイクに「人生の秋」を感じるようになってきた。昔の私だったら、足回りを総取っ替えしたと思うんですよ。実際ダイナは前後オーリンズにしちゃったし。でもV7に対してはその踏ん切りがついてない。リアにビチューボ入れようかなって思ったけど、それやるとフロントも変えたくなるのは間違いないから、これでなんとか気持ちよく走ろうかにゃ・・って開き直ってる自分がいるし、低性能!って簡単に切り捨てる前に、この設定になってる意味をちゃんと考えなきゃ・・とも思うんです。そんな自分に「歳をとったな~」って感じちゃうんですよね。
V7も今年の6月で購入3年を迎え、最初の車検がやってきます。ホント月日の経つのがはやいですよね。走行距離も14000㎞になろうとしていますが、まだV7の全てが理解できたとは到底言えないし、今後もいい付き合いをしていきたい。このバイクから汲みとれることはまだまだ沢山ありそうな気がするんで、これからもしっかり乗って、勉強していきたいと思ってます。
(オマケ漫画「便座のない洋式」)
V7はよく「好き嫌いがわかれるバイク」って言われてますけど、その中でも私が購入した2023年モデルのSpecialは、さらに好き嫌いが分かれそうな濃いものになっています。当時のSpecialは外見も2眼メーター+ハロゲンヘッドライトでクラシカルでしたが、足回りもかなりのものだったんですよね。
40㎜径正立サス(調整機構無し)+スポークホイール+前チューブタイヤ
今どきミドルクラスの850ccでこんな設定、逆に珍しくないか?って言いたくなるくらい前時代的。これに昔ながらのスチールパイプ製ダブルクレードルフレームを組み合わせてますから、乗るとあらゆる意味で「うぉぉぉぉお・・・お古いぃいいい・・(笑)」ってことになっていた。
(こちら今年のV7Special。現行は二眼メーターもハロゲンヘッドライトもなくなり、フロントもストーンと同じチューブレス。ベースのStoneとは、加飾違いの雰囲気モデルになっちゃいました。)
スポークホイールなのでチューブはしょうがないにしても、フロントくらい、もうちょっと凝ったサスを入れれば良いのに、モトグッチのフロントサスは調整機構なしのノーブランド品(多分シンプルで安価なサスを作る台湾メーカーのカイファ製と思われる)で、減衰もヨワヨワです(ちなみにリアはカヤバ)。ライバルのスピードツイン900はマルゾッキ製41㎜倒立サスで、ロイヤルエンフィールドのメテオ650ですら、流行のSHOWA製SFF-BPを奢ってるってのに、フロントにまったく頓着しない姿勢はなんとかならんのか。
うちのヴィーセを建物に例えると、カタログ上は現代の新築建物を装っていますけど、中に入って生活すると
「家の中でも風の音とか、蛙の鳴き声が聞こえますねぇ・・」
「うぉぉおおお!トイレが和式ウンチングスタイルなんじゃがあああああ!!」、
「風呂がテルマエですじゃあああああ!!」
って感じなんですよ。エンジンはフィーリング最高ですが、ブレーキも足回りも、質素かつシンプルで必要十分があればいいって仕立てです。ガチな旧車が元気に公道を走っているのですから、これでも現代の交通事情には何ら過不足ないわけですけど、近年このクラスのバイクが採用する常識的なフロントサスに比べると明らかに見劣りしてます。こんなのクラシックを免罪符に使った、イタリア的サボタージュじゃね?って思いたくなるレベル。V7は電スロやトラコン入れて安全が~なんて言ってるけど、「そんな金あったら、このサスなんとかしなさいよ」ってことですよ。
(桜が散る前に一回乗れたのは良かった~)
そんな先祖がえりしたかのようなフロントサスのV7に対して、スピードツインやボンネビルはそんなトリップ感などない。こいつはもう「誰が乗っても好き嫌いが出ないし、満足度高いんじゃね?」って思える。外観は古いイギリスの洋館なんだけど、中に入ると
「高気密高断熱」
「トイレはウォシュレット」
「風呂はエコキュート」
で、快適生活にジャストフィット。クラシックの雰囲気をふんだんに出しながら、不満がほぼ感じられないという素敵な仕立てになっている。
これについては、素晴らしいのぉ・・と思う反面、「こんな快適なものをクラシックと言って良いのだろーか?」と感じてしまうところもある。私から見てボンネが売れるのは、商品力的にもはや必然なのですが、「昔のフィールをもっとダイレクトに感じたい」って望むひねくれた層には、整いすぎてて物足りないところもあるかもしれない。そもそも現代の良く出来たパーツの製造基準や性能で、オールドな頼りなさを表現しろなんていうのは、無理な話なんですけどね。
ちなみに私の中で同じクラシックのカテゴリにいる※しび江さん※(CB1100EX)は、足回りに「正立サス+スポークホイール+前後チューブタイヤ」を採用しており、チューブ独特の足回りのふんわり感がある一方、SHOWAのデュアル・ベンディング・バルブ・サスペンションを入れて、フロントの減衰をしっかり効かせているから、昔のバイクにはなかった接地の安心感がある。日本の古式ゆかしい高級武家屋敷を演出しつつ、一切の危うさを感じさせないってのは「操安重視のホンダらしいな・・」って思っちゃいますね。
これがエンフィ(ロイヤルエンフィールド)になってくると、「性能や品質を含めて、ガチのタイムトリップを楽しむ」感覚になりますから、フィールも品質も全部がクラシック。ライバルのGB350と並べると良くも悪くも「手作り感」があり、その土臭さというか、インド的生活感がエンフィの得がたい持ち味になっています。でも、これはインドという広大な国土を持つ発展途上国だからこそ、生み出せる朴訥さだと思うんです。そこも含めて、現行バイクでは最も昔風の雰囲気が出てるし、中型免許で乗れる車種もあるしで、エンフィが売れるのも納得です。
一方のV7は同じクラシックなのに、売れてないんですよねぇ(笑)オーナー目線からも、これはオススメされて買うようなバイクではなく、自分で辿り着いてこそ価値のあるバイクではないか?と思います。他と比較するとアレやコレや出てくるから、そんな比較論から抜けだし、自分とバイクだけの関係に特化しちゃった人の方がいろいろと納得できるバイクだと思う。ビギナーだけど、スタイルに惚れてどうしても欲しいっていうのなら、昨年、足回りに大幅に手を入れたスポルトの方が安心して乗れるでしょう。
(このバイクを一言でいうと「イタリアの濃い親父が乗るクラシック」。ジローラモのようなイケオジじゃなく、髭ヅラ小太りで「ガハハハ」という笑い方する頑固オヤジのイメージです。)
そもそもV7ってバイクは、これまで幾度となくモデルチェンジとパワーアップを繰り返していて、シャーシにもちゃんと手を入れてきているんですよ。それでも、なおこの設定なのですから、これはもう低性能というよりも、モトグッチの設計者が「クラシックってのは、これくらいのシャーシを、乗り手側で頑張って走らせるから面白いのだ」と考えているフシがある。新しいものが作れないわけじゃないってのはV100マンデッロが証明していますしね。
V7の足回りって、現代の常識的感覚だと、GB350やSR400みたいに20~30馬力くらいのエンジンと組み合わせて、「景色見ながらマッタリと流していきましょうよ・・」ってレベルのものなんですよ。でもね。V7Specialは、そんな足回りに、滾りまくるエンジンを組み合わせちゃってるから、とたんに前時代の危険なスポーツバイクの香りが漂ってきている。問題はコレが確信犯なのかどうなのか?ってことですけど、最近私は確信犯のような気がしてきた。
V7の搭載する空冷縦Vは、65馬力しかないけど、公道でぶん回せる65馬力って速いですからねぇ(笑)設計は古くさい空冷OHV2バルブですが、そこはイタリアンの作ったエンジンですから。「バイア〇ラ飲んだみたいに高回転までギンギン」なんですよ。しかも回転が上がると車体がジャイロで安定する縦Vですから、どうしてもワインディングの立ち上がりで開けたくなる。そんなバイクの足をオールドに振っちまったスペシャルは、エンジンパワーが足回りに完全に勝っておりますから、楽しさを引き出して走ろうとすると結構キツキツなんですね。
加えてモトグッチの伝統ともいえる仕立てにより、古くさいのにヒラヒラ舞うから、コーナリングが楽しいのもタチが悪い。だって、どーして頑張りたくなっちゃうじゃないですか。フロント18インチなのでクイックではないけど、バンキングの無抵抗感が際立ってるから、そこを堪能したくなるのはバイク乗りの本能じゃない?
エンジンもトルク重視型で立ち上がりのトラクションをガッツリ出してくるから、「これぞツインの真骨頂!!」って走りが可能なんですけど、Specialは足回りのパラメーターの上限が低く、コーナーでそこまでシゴける足じゃないから腸捻転になる。小僧時代みたいに「ウワォ!ハェェェーー!!ヒャッハハハハハ!ギャハッ!!」ってコーナー飛び込むと道路脇の木とかに刺さってクワガタになってしまいそう。これって、魂は燃えてるけど、体がまったくついていかない50代~60代のオッサンそのものじゃないですか。
「どうせメッキでキラキラのSpecial選ぶ奴なんて、光り物好きのオッサンしかいないんだから、バイクの足回りもオッサンの下半身にあわせときましたヨ!これで仲良く走ってネ!!プププ(笑)」
ってモトグッチに言われちゃってるの。おのれぇぇえええええ!!
そう、V7は人もバイクも古いものほど個性が強く、声がデカいけど足にきているという真理に忠実で、これに向かい合うことを強制される。機械と乗り手という2つの老体が、自身に与えられたリソースの中で、いろいろと考え、加減したり、抑制したりして、一番良い按配を導き出していかねばならぬという、「走りのワークライフバランスを考える」なんとも切ないバイクなんですね。この老後感、まさに人生の縮図。実に深いじゃないですか(涙)
これが今時なぜ際立つかっていうと、現代の大型スポーツバイクの考え方って、V7とまったく正反対だからです。今の大型スポーツは乗り手の高齢化による操作ストレスを電制でことごとくケアし、快適さと気持ちよさだけを抽出しにいってます。そうじゃなきゃ、ハーレーやW800みたいに、エンジンを中低回転に張り付けて、そもそものアベレージを下げるかですよね。まぁそりゃそうでしょう。ハイアベレージ時の素早い操作の難しさ→ミス→事故って流れが明確にあるわけだから。
私みたいな年齢層って、バイクに金を出せる余裕があるから、高性能モデル売るには良い顧客層になる。この層にできるだけハイスペックで高額なバイクを売りたいけど、年齢的にフィジカルが衰えてきていて、いろいろ危なっかしいから、「てんこ盛りの電制でサポートしましょう♡」ってのが、偽らざる実情ではないでしょうか。
でもね。そこに私は大きな違和感があるんです。私にとってバイクは昔から自己責任のダークな世界で、今もそれは変わっていない。だから「足が衰えているジジイがバイク選ぶんなら、足が衰えているバイクと仲良く走れ!」って突き放された方が、逆に落ち着きがいいまであるんですよ。自分が衰えたら、バイクに補正して貰うのではなく、自分の枠の中で走れるバイクを選ぶ方が自然の摂理にあっている。私みたいな考えの人間が一定数いるから、現代の旧車みたいな、SR400やW800に一定の支持があるんだと思うんですね。
今のハイパワーのオートバイって、昔に比べてイメージがアッケカランと明るいんです。それは悪いことじゃないんだけど、「本来そこにあるべき本質的なダークさや危険性が見えにくくなっているのではないか?それでいいのか?」って危惧するところもあるんですよね。過去に1000馬力級のランボとパニガーレv4が対決している動画を見ましたけど、200馬力級のリッターSSって、車でいうと、これらのスーパーカーと同じ加速するわけですよ。これが大根みたいにドカやホンダのディーラーで金さえ出せば誰でも買える世界ってイカれてる。実際50代がメチャクチャ事故ってるらしいけど、そこに大型バイクの欺瞞はないのか?って正直思うわけですよ。
だって、80年代から90年代の感覚で、200馬力なんていうバケモノを目の前にお出しされたら、「遺書を書いといた方がいいかな・・」ってくらいの気分になってたはずなんです。当時レーサーレプリカに乗った多くの若者がこの世を去った理由は、ABSもトラコンもないのに開けっぷりが良すぎたからです。前が開けたら基本、全開ですよ。そんな頃の100馬力オーバーは、本質的な危険と恐怖に直結し、死の臭いが濃厚に漂うものだった。でも、今やアドベンチャーがポンッと150馬力でしょ?交通の中でのスピードの本質ってまったく変わっていないのに、「このアッケカランとした明るさって一体何なのだろうか?」って考えてしまうんですよ。
V7のシャーシは現代のバイクの基準でいうと、ビックリするほどローテクで質素だけど、この足回りは、公道で許容される速度域の範囲内で「65馬力の怖さ」をちゃんと伝えてくる。今うちにいるバイクで一番緊張感を持って乗ってるのは案外V7かもしれないんです。それはシャーシのヘロさに起因するモノだけど、大型のスポーツバイクの持つ危うさという現実がそこにちゃんと存在しているから、私はこのV7Specialをスポーツバイクだと感じてるし、そこにモトグッチの良心があるのかもしれないなって思う。
V7を購入した頃は、初めて向き合う縦Vとシャフトの特性、独特の乗り味にキャッキャしてたけど、8000㎞を越えたあたりから、それにも慣れてきて、今度はこのバイクに「人生の秋」を感じるようになってきた。昔の私だったら、足回りを総取っ替えしたと思うんですよ。実際ダイナは前後オーリンズにしちゃったし。でもV7に対してはその踏ん切りがついてない。リアにビチューボ入れようかなって思ったけど、それやるとフロントも変えたくなるのは間違いないから、これでなんとか気持ちよく走ろうかにゃ・・って開き直ってる自分がいるし、低性能!って簡単に切り捨てる前に、この設定になってる意味をちゃんと考えなきゃ・・とも思うんです。そんな自分に「歳をとったな~」って感じちゃうんですよね。
V7も今年の6月で購入3年を迎え、最初の車検がやってきます。ホント月日の経つのがはやいですよね。走行距離も14000㎞になろうとしていますが、まだV7の全てが理解できたとは到底言えないし、今後もいい付き合いをしていきたい。このバイクから汲みとれることはまだまだ沢山ありそうな気がするんで、これからもしっかり乗って、勉強していきたいと思ってます。
(オマケ漫画「便座のない洋式」)





コメント
コメント一覧 (12)
今日の札幌は寒くて現在8℃。今シーズン、まだアドレスにしか乗っていません。
昨晩は先日届いた電動空気入れ(ポンプ:もちろん安物)を使ってみたのですが、もっと早く買えば良かったと思いました。自転車用ポンプでえっさえっさと入れていたのがバカみたいです。
さてヴィーセ嬢、久しぶりですね。
フレームと足回りについては、古いまま来てしまったと言った所なんでしょうが、スポルトやストーンとのキャラクターの違いを出すということもあったのかも知れませんね。実情はコストかけられないってところが全てかも知れませんが…。
「フロントサスの中身なんて見えてへんし、こんくらいでええやろ!」みたいな会話があったりなかったりして。なんか珍タコメーターと同じノリを感じますね…。
>現在のバイクのあっけらかんとした明るさ
これ、本当の意味での確信犯かも知れませんね。本気でメーカーはこれが正しいと思ってるとか…。
でもまあ、私の様な脚萎えが50代に入ってから大型自動二輪免許を取得したように、脚萎えになってもSSに乗りたいという人が一定数いるのも間違いないでしょうし、年寄りの事故が目立つのは絶対数が多いからということもあるかも知れません。年代別事故率を見ないと分かりませんし、報道が偏っている可能性もありますね。
私も一度くらいすごい速度を体験してみたいとは思うものの、それこそ「年寄りの冷や水」になりそうです。年寄りがお冷やなんて飲んではいかんのですよ。
>便器のお話
旧帝国海軍だと、やはり便座で他人と間接的に接触するというのが嫌われて和式が採用されたと何かで読んだことがあります。閉鎖空間でまともに風呂にも入れない軍艦内では、より衛生的なのは間違いないですしね。
ヴィーセ嬢も、もう3年ですか…。早いですね。私も来週末にGB2回目の車検です。今回は前輪を交換します。GBの優しい乗り味が、ますます好きになっていきますね。
へっちまん
が
しました
カイファって聞いたことないメーカーでしたけど、アジア系の小排気量向けサスペンション作ってるメーカーなんですね、面白い組み合わせですねぇ〜
ダラダラ検索してみるとモトグッチの現行モデル、サスメーカーの組み合わせかなりバラバラなんですね勉強になる!
バイクは基本エンジン買いなんですけど、足回りがついてこないとヤキモキしたりビビり散らかしちゃうタイプなんで、純正を一通り楽しんだらアップグレード品探しちゃう…
でもクラシックを楽しむならまた別かもですね
ビチューボのリアサス換装はひとまずはステイですね!?
ランボvsパニガーレの動画だと「carwow」ですかね?
スーパーカーvsSS面白いですよね!
私は軽四の加速対決が好き、カモォ~ンと叫びながらおっさん達が必死軽四しごき回す姿は趣深い物がある
まぁクローズドでやってる企画だから笑えるものがあるけど、逆に公道でその明るさに引き摺られる人が出ると思うと薄ら寒いものを感じますね
慣れちゃうし壊れるんだけど…怖いって感覚、危機センサーはできるだけ大事にしときたいですね
へっちまん
が
しました
V7ユーザーではないので、間違っていたらごめんなさい。
物足りないくらいが丁度良い、良くも悪くも公道でスポーツバイクに乗ると言うことに適した誠実かつ貧相な足回りかと思います。
便座の無い洋式だろうと慣れればOK、楽しく乗れればOKだと思います。
へっちまん
が
しました