CB1100EXとCB1300SFを所有して、「自分の4気筒に対するイメージって、昔と随分変わったな~」とあらためて感じております。若い頃の私は4気筒こそ「大型バイクのスタンダードである」と思っていたから、4気筒を通していろんなエンジンを見ているところがありました。
それはもうしょうがないと思う。だってダイナに出会うまで、私の大型バイク遍歴はZ1300を除き、すべてが4気筒でしたから。
これは、私だけでなく、同年代の大型乗り全般がそういう傾向だったはずです。私が大型免許取った1990年代前半の大型スポーツクラスは4気筒勢が圧倒的に幅をきかせていて、4気筒以外選びようがなかった。
当時の大排気量2気筒スポーツの代表格といば、やっぱドカティ900SS。マニア層に支持されていたドカは都内や奥多摩でもたま~に見かけましたが、同じくツインが主力だったBMWやモトグッチは、もはや生きているのか死んでいるのかすら良くわからないという悲しい状態だったんです(まぁモトグッチは今でも生きているのか死んでいるのか良くわかんないですけれども・・)。
(私の若い頃の大型2気筒バイクの代表格といえば、このドカティ900ss。希少車にもかかわらず、奥多摩で事故っているのを2回も見たという、なかなかに印象深いバイク。恐らくNSRかTZRあたりにけしかけられて、無理しちゃったんだろうなぁ・・南無~って合掌しつつ通り過ぎました。)
ドカの900SSは圧倒的馬力を誇る4気筒に対し、「高速道路?そんなの知らん!!わしはワインディング命なのじゃあああ!!」って叫んでる感じだったけど、当時の日本のワインディングには転倒上等で攻め込んでくる小僧の零戦、「2スト250cc」がおりましたから、立ち位置が実に微妙だったですよね。
90年代も中盤に入って、ようやくヤマハがTRX850を出し、ホンダがVTR1000、スズキがTL1000と、国産大排気量ツインがいろいろ出てくるようにはなりましたが、スーパーブラックバードやハヤブサの脳筋大馬力の影に隠れ、あんま話題になってたイメージがない。
そう、あの頃の大型バイクシーンにおける2気筒エンジンは、パワー的にもイメージ的にも「アメリカン専用か、アフリカツインのような特殊なオフ車専用エンジン」って印象で、今と違って「潰しの効くエンジン」のイメージはありませんでした。その点で2気筒が頑張っていた中型クラスとはまったく違う光景が広がっていたわけです。
昔の大排気量2気筒って極低速はグズりがちで、中速から本領を発揮するけど、上は4気筒ほど伸びず、エンジンの振動面でもスロットルの制御面でも疲れるエンジンっていうイメージが強かった。キャブの時代は、吸気と燃料供給がアナログで、リアが滑ってもトラコンなどなかったから、アクセル開け始めのツキが穏やかで、高回転に向けて徐々にパワーが盛り上っていく4気筒の方が大馬力を制御しやすかったという面もあります。
しかし、燃料制御がキャブからインジェクションに変わり、トラコンが標準装備され、電スロ時代に突入すると、エンジン勢力図が大きく変わり、大型クラスは新時代に突入しました。
特に大きく進化したのがパラツインで、その印象は昔とまったく異なるものです。昔のパラは低速に強い360度クランクか、スムースな180度クランクが多く、360度クランクは高回転で振動が出るから中低回転メインって感じだったし、180度クランクは割とスムーズに回るけど、緻密な回転感で上までスカッと回る4気筒エンジン達と比べるとどうにも見劣りしたんですよね。そう、キャブ時代のパラツインって初代レブルみたいなコストバランスに優れた実用エンジンのイメージがあり、「大排気量ツインでスポーツしたいなら振動特性に優れるV型積んで来いや!!」って言い出すのは大概私みたいなオッサンです。
そう、オッサン世代ほど
パラツインをナメている。

(パラツインと聞いて、まず思い浮かべるのはコイツ。実用性に優れた空冷パラツインの初代レブルです。スティードとかレブル、ビラーゴって当時の中古屋の商売の種。中古が良く回りました。)
でも、現代のパラツインに昔の常識など通用しない。昔はエンジンの構造で振動を消すのが常道だったけど、今の大型クラスはバランサーという魔法を使って、振動を消しにいくという手法を積極的に活用するようになりました。確かにバランサーはパワー食われるけど、排気量に余裕のある大型カテゴリーに多少のパワーロスなど関係ない。
バランサーが1軸ならツインらしいパルスが残るし、2軸のバランサーなら振動がほとんどなくなりシュイーンになっちまう。もうね。「270°クランクのパラツインに2軸バランサーを入れれば、理論上は6発並みに振動を消せちゃいます~。うふふ~。」って技術者が言い切ってるわけですから、今のパラツインには昔のような安っちい不快さなど一切ないわけです。
うちの※のじゃ子(HAWK11)などは、大排気量エンジン特有の振動を1軸バランサーで心地よいパルスに変え、8000までフツーに回してくる。リア滑ってもトラコンがあるから、1100ccのパワーに臆することなくアクセル開けられるし、ツインはタダでさえレスポンスに優れるところ、ダウンドラフトによる吸気経路をとっているから、吸いも良くってマジ気持ちいい。
こうなると2気筒の「中速トルクがブ厚く、レスポンスが良く、上がソコソコ伸びて、道によっては上まで使い切れる」という特性が逆に公道でのちょうど良さに繋がってくるんですよ。だから、今の大型クラスの2気筒エンジンは公道スポーツユニットとして合理的にハマッてる印象がありますね。
結局のところ「技術進化の恩恵を一番受けたのはパラツインじゃね?」って私は思ってます。最新のパラツインに乗ると今のエンジン製造技術を否応なしに実感できるから、各社から次々とこのエンジンが出てくる理由もわかる。だって、新たな技術が目に見える形で反映され、体感上それを感じられるエンジンって開発者にとっても魅力でしょう。
その一方、4気筒は現代のエンジンとしてはちょっとしたタコツボに入ってる印象があります。ピークパワーはいくらでも出るようになったけど、それは「キリンの時代と価値観が何ら変わってない」とも言える。なんならさらに先鋭化している。そんな馬力の世界に疲れ果てた私としては、「あの~・・その路線で突き進んでいっても、先がないと思うんですが・・」ってコメントしかない。性能のインフレは行きすぎると猛毒で、それを浄化するようなブレイクスルーが4気筒にはないんですよね。製造コストの上昇に伴い、ハイパワー方向に伸びたのはいいけど、パワーを生かしたくても、もはやアクセルをガバ開けして高速道路かっとぶことが許される時代でもない。高額なのに使えない。そんな4気筒の矛盾のスキマを2気筒にゴリゴリ浸食される構図に見える。
あと、昔の大排気量4気筒ってバカトルクとスムースさで、極低回転時のマナーが良かったのも特徴でしたが、最近は環境規制で低回転域のガスを削られ、極低回転での粘りがなくなってるのもツライ。ウチの※しび江さん※(CB1100EX)のような、超低回転域まで、トルクのアンコがぎゅうぎゅうに詰まった「老舗のたい焼きのような4気筒」は、エコを要求される今の時代はもう作れないのかな~って思うとちょっと寂しくなっちゃう。
つまり、技術の進化で欠点がどんどん消え、優位性が目立ってきた2気筒に対し、4気筒は昔と同様の価値観で突き進むだけで新たな価値観を提示できていないし、逆に低回転域ではガスが薄い弊害も出てきている。コストまで視野に入れると、大型クラスの4気筒は2気筒に対して、「日常使いには、価格的にも性能的にも過剰」って状態になっちゃってます。
しかし、そんなパラツイン全盛の時代になって、私は逆に4気筒に惹かれるようになった気がする。不思議ですね。
2気筒のパルスってある意味で生命力の象徴じゃないですか。イタリアンがツインを好むのってモトグッチに乗るとわかる気がするんですよ。特性はベテラン向けでも、回り方に湿っぽさがなくって、わかりやすいし、シンプルで明るいんですよね。
一方、良く出来た4気筒って極めてスムースに吹け上がり、機械が綺麗に組まれている精緻さがある。無振動でシュンシュン回っちゃうと、ちょっと味気ないところもあるけど、CB1000Fなんかに乗ると、現代の4気筒でも、昔風の味わいを演出することもできるんだな・・ってのを感じる。2気筒の世界に浸ったからこそ、4気筒のフィールを「決して2気筒では得られないもの」って強く感じられてると思う。
私は2気筒という柱がある今の時代にこそ、4気筒は肩の力を抜いて、馬力を欲張らずフィール面で復権してほしいと願っているんですよね。2気筒に対する感性的なカウンターになれるのってやっぱ3気筒じゃなくて4気筒だと思うんです。
欧州メーカーはずっと2気筒で生きてきたから2気筒でいいんです。でも4気筒で世界を席巻した国産メーカーまで4気筒を諦め、2気筒メインになってしまったら、「日本のバイク文化のアイデンティティと4気筒で若き日々を過ごした我々の魂の行き場はどうなってしまうんだ?」ってことですよ。
最近の4気筒って、2気筒に押され「なんとかしなくちゃ・・」って気負っちゃってる気がするけど、スピードレンジが上がれば、シャーシにもサスにも金がかかる。コストに差が出るのは、エンジンの部品点数や構造上やむを得ないけど、作り込まれた良いエンジンほど、我々は日常で楽しみたいんですよ。だから4気筒は、日常という土俵から逃げないで欲しいと感じてます。2気筒より高くてもいいけど、+10万円~15万円くらいで肩肘張らない4気筒があると嬉しいじゃないですか。
私は現状CB1300SFとCB1100EXの2台の4気筒を所有していますが、この2台は「リッター4気筒の過剰パワー」をバッサリ切って、2気筒と同じ土俵で、「フィールとトルク」で勝負する「大型クラスで4気筒がまだスタンダードエンジンだった頃」の価値観を残している存在なんです。
目標だった200馬力の大台も各社突破したわけですし、シグナルダッシュでブイブイいわせるストファイ系ではなく、無理をしないバランス型のシャーシで日本の道をユルユル回しながら走っていく4気筒もあっていいはず。
2気筒メインの時代になったからこそ、4気筒はもっと肩の力を抜き、「2気筒のカウンターとしてのフィーリング」を楽しむものとして再定義してはどうか?って思うんですよね。私はCB1000Fのエンジンフィールに、4気筒の日常への回帰を感じたんで、あのエンジンの印象がメチャ良いんです。
結局、私が4気筒に込めてる願いって昔と正反対なんですよ。私はゼファーが出た当時、「なんでこんなガサツで遅いのが売れるのか?」って正直良くわかんなかったんですけど、そんなバイクが高回転高出力の権化だったレーサーレプリカの勢いを止めたんです。あの当時ゼファーを諸手を挙げて歓迎した人達が求めたものって、今の自分と同じものだったんだろうなぁ・・って、この歳になって、ようやく理解できたところがある。
(レーサーレプリカ時代に終止符を打った偉大なるゼファー。年を食って、このバイクの価値を再認識しています。ああ・・懐かしくも愛おしい。)
そんな目線で最近の4気筒を見ていたら、モーターショーでCB400SFの後継機が発表されているじゃぁああないか。いや~ステキですね~。2気筒や単気筒が席巻している中型クラスでフツーに乗れる4気筒が出るって素晴らしいことですよ。ハイパワーに振り切り、やたら高額化しちゃったカワサキのZX-4Rと同じ路線には行かなかったのがまたいい。
ライダーは高齢化し、大馬力に対抗できるフィジカルがなく、若者には高性能な4気筒を買う金がない。こんな時代だからこそ、「4気筒特有のフィールを日常でたっぷりと摂取したい人は沢山いる」と思うんですよ。あ、ちなみに400を日本専用に作るのなら、高出力方面にそんなに頑張らなくていいですから。フィールと価格重視でお願いしますよ。大型免許が高嶺の花だった昔と違い、今はパワー欲しけりゃ、大型免許取って排気量をステップアップすればよりどりみどり、400で必死になる必要はどこにもない。パワーはソコソコで、小排気量4気筒ならではの回転感とスカッとした伸びきり感を重視した、気持ちいい調律型エンジンを期待してます。
(こちらモーターサイクルショーで姿を現したCB400SF。ホンダ公式のダウンロード画像を使わせて頂いています。お値段予想はズバリE-Clutchなしの素のグレードで98万7000円!パワーは55馬力!これでどうだぁ!)
CB400SFコンセプトのおかげで、ここしばらく4気筒が全盛だった90年代に気持ちが戻った気がしております。こんなブログ書いちゃったのも、そのせいですね。こうなると、「カワサキもこのクラスでZを出してくれないかなぁ・・?」な~んて思ったり。やっぱね。販売ってのはライバルがいないと競争も進化もなくって面白くない。リッタークラスではZとCBがバチバチの戦いってことになりましたので、この2台が切磋琢磨し進化していくのはほぼ確定。400ccクラスでも両巨頭が揃うと、まさに90年代の販売競争の再現で、クラスとしてもとっても落ち着きがよくなるんだけどなぁ・・なんて思っている今日この頃であります(笑)
(オマケ漫画、「4気筒の逆襲」)
(※のじゃ子さんを全面的にイジっていく当ブログの典型的なスタイル。他のホンダ勢がCB2台とゴールドウイングですから、小姑感すごい。それにしても真面目なホンダで、HAWK11ほどイジれるバイクって極めて貴重です。)
それはもうしょうがないと思う。だってダイナに出会うまで、私の大型バイク遍歴はZ1300を除き、すべてが4気筒でしたから。
これは、私だけでなく、同年代の大型乗り全般がそういう傾向だったはずです。私が大型免許取った1990年代前半の大型スポーツクラスは4気筒勢が圧倒的に幅をきかせていて、4気筒以外選びようがなかった。
当時の大排気量2気筒スポーツの代表格といば、やっぱドカティ900SS。マニア層に支持されていたドカは都内や奥多摩でもたま~に見かけましたが、同じくツインが主力だったBMWやモトグッチは、もはや生きているのか死んでいるのかすら良くわからないという悲しい状態だったんです(まぁモトグッチは今でも生きているのか死んでいるのか良くわかんないですけれども・・)。

ドカの900SSは圧倒的馬力を誇る4気筒に対し、「高速道路?そんなの知らん!!わしはワインディング命なのじゃあああ!!」って叫んでる感じだったけど、当時の日本のワインディングには転倒上等で攻め込んでくる小僧の零戦、「2スト250cc」がおりましたから、立ち位置が実に微妙だったですよね。
90年代も中盤に入って、ようやくヤマハがTRX850を出し、ホンダがVTR1000、スズキがTL1000と、国産大排気量ツインがいろいろ出てくるようにはなりましたが、スーパーブラックバードやハヤブサの脳筋大馬力の影に隠れ、あんま話題になってたイメージがない。
そう、あの頃の大型バイクシーンにおける2気筒エンジンは、パワー的にもイメージ的にも「アメリカン専用か、アフリカツインのような特殊なオフ車専用エンジン」って印象で、今と違って「潰しの効くエンジン」のイメージはありませんでした。その点で2気筒が頑張っていた中型クラスとはまったく違う光景が広がっていたわけです。
昔の大排気量2気筒って極低速はグズりがちで、中速から本領を発揮するけど、上は4気筒ほど伸びず、エンジンの振動面でもスロットルの制御面でも疲れるエンジンっていうイメージが強かった。キャブの時代は、吸気と燃料供給がアナログで、リアが滑ってもトラコンなどなかったから、アクセル開け始めのツキが穏やかで、高回転に向けて徐々にパワーが盛り上っていく4気筒の方が大馬力を制御しやすかったという面もあります。
しかし、燃料制御がキャブからインジェクションに変わり、トラコンが標準装備され、電スロ時代に突入すると、エンジン勢力図が大きく変わり、大型クラスは新時代に突入しました。
特に大きく進化したのがパラツインで、その印象は昔とまったく異なるものです。昔のパラは低速に強い360度クランクか、スムースな180度クランクが多く、360度クランクは高回転で振動が出るから中低回転メインって感じだったし、180度クランクは割とスムーズに回るけど、緻密な回転感で上までスカッと回る4気筒エンジン達と比べるとどうにも見劣りしたんですよね。そう、キャブ時代のパラツインって初代レブルみたいなコストバランスに優れた実用エンジンのイメージがあり、「大排気量ツインでスポーツしたいなら振動特性に優れるV型積んで来いや!!」って言い出すのは大概私みたいなオッサンです。
そう、オッサン世代ほど
パラツインをナメている。

でも、現代のパラツインに昔の常識など通用しない。昔はエンジンの構造で振動を消すのが常道だったけど、今の大型クラスはバランサーという魔法を使って、振動を消しにいくという手法を積極的に活用するようになりました。確かにバランサーはパワー食われるけど、排気量に余裕のある大型カテゴリーに多少のパワーロスなど関係ない。
バランサーが1軸ならツインらしいパルスが残るし、2軸のバランサーなら振動がほとんどなくなりシュイーンになっちまう。もうね。「270°クランクのパラツインに2軸バランサーを入れれば、理論上は6発並みに振動を消せちゃいます~。うふふ~。」って技術者が言い切ってるわけですから、今のパラツインには昔のような安っちい不快さなど一切ないわけです。
うちの※のじゃ子(HAWK11)などは、大排気量エンジン特有の振動を1軸バランサーで心地よいパルスに変え、8000までフツーに回してくる。リア滑ってもトラコンがあるから、1100ccのパワーに臆することなくアクセル開けられるし、ツインはタダでさえレスポンスに優れるところ、ダウンドラフトによる吸気経路をとっているから、吸いも良くってマジ気持ちいい。
こうなると2気筒の「中速トルクがブ厚く、レスポンスが良く、上がソコソコ伸びて、道によっては上まで使い切れる」という特性が逆に公道でのちょうど良さに繋がってくるんですよ。だから、今の大型クラスの2気筒エンジンは公道スポーツユニットとして合理的にハマッてる印象がありますね。
結局のところ「技術進化の恩恵を一番受けたのはパラツインじゃね?」って私は思ってます。最新のパラツインに乗ると今のエンジン製造技術を否応なしに実感できるから、各社から次々とこのエンジンが出てくる理由もわかる。だって、新たな技術が目に見える形で反映され、体感上それを感じられるエンジンって開発者にとっても魅力でしょう。
その一方、4気筒は現代のエンジンとしてはちょっとしたタコツボに入ってる印象があります。ピークパワーはいくらでも出るようになったけど、それは「キリンの時代と価値観が何ら変わってない」とも言える。なんならさらに先鋭化している。そんな馬力の世界に疲れ果てた私としては、「あの~・・その路線で突き進んでいっても、先がないと思うんですが・・」ってコメントしかない。性能のインフレは行きすぎると猛毒で、それを浄化するようなブレイクスルーが4気筒にはないんですよね。製造コストの上昇に伴い、ハイパワー方向に伸びたのはいいけど、パワーを生かしたくても、もはやアクセルをガバ開けして高速道路かっとぶことが許される時代でもない。高額なのに使えない。そんな4気筒の矛盾のスキマを2気筒にゴリゴリ浸食される構図に見える。
あと、昔の大排気量4気筒ってバカトルクとスムースさで、極低回転時のマナーが良かったのも特徴でしたが、最近は環境規制で低回転域のガスを削られ、極低回転での粘りがなくなってるのもツライ。ウチの※しび江さん※(CB1100EX)のような、超低回転域まで、トルクのアンコがぎゅうぎゅうに詰まった「老舗のたい焼きのような4気筒」は、エコを要求される今の時代はもう作れないのかな~って思うとちょっと寂しくなっちゃう。
つまり、技術の進化で欠点がどんどん消え、優位性が目立ってきた2気筒に対し、4気筒は昔と同様の価値観で突き進むだけで新たな価値観を提示できていないし、逆に低回転域ではガスが薄い弊害も出てきている。コストまで視野に入れると、大型クラスの4気筒は2気筒に対して、「日常使いには、価格的にも性能的にも過剰」って状態になっちゃってます。
しかし、そんなパラツイン全盛の時代になって、私は逆に4気筒に惹かれるようになった気がする。不思議ですね。
2気筒のパルスってある意味で生命力の象徴じゃないですか。イタリアンがツインを好むのってモトグッチに乗るとわかる気がするんですよ。特性はベテラン向けでも、回り方に湿っぽさがなくって、わかりやすいし、シンプルで明るいんですよね。
一方、良く出来た4気筒って極めてスムースに吹け上がり、機械が綺麗に組まれている精緻さがある。無振動でシュンシュン回っちゃうと、ちょっと味気ないところもあるけど、CB1000Fなんかに乗ると、現代の4気筒でも、昔風の味わいを演出することもできるんだな・・ってのを感じる。2気筒の世界に浸ったからこそ、4気筒のフィールを「決して2気筒では得られないもの」って強く感じられてると思う。
私は2気筒という柱がある今の時代にこそ、4気筒は肩の力を抜いて、馬力を欲張らずフィール面で復権してほしいと願っているんですよね。2気筒に対する感性的なカウンターになれるのってやっぱ3気筒じゃなくて4気筒だと思うんです。
欧州メーカーはずっと2気筒で生きてきたから2気筒でいいんです。でも4気筒で世界を席巻した国産メーカーまで4気筒を諦め、2気筒メインになってしまったら、「日本のバイク文化のアイデンティティと4気筒で若き日々を過ごした我々の魂の行き場はどうなってしまうんだ?」ってことですよ。
最近の4気筒って、2気筒に押され「なんとかしなくちゃ・・」って気負っちゃってる気がするけど、スピードレンジが上がれば、シャーシにもサスにも金がかかる。コストに差が出るのは、エンジンの部品点数や構造上やむを得ないけど、作り込まれた良いエンジンほど、我々は日常で楽しみたいんですよ。だから4気筒は、日常という土俵から逃げないで欲しいと感じてます。2気筒より高くてもいいけど、+10万円~15万円くらいで肩肘張らない4気筒があると嬉しいじゃないですか。
私は現状CB1300SFとCB1100EXの2台の4気筒を所有していますが、この2台は「リッター4気筒の過剰パワー」をバッサリ切って、2気筒と同じ土俵で、「フィールとトルク」で勝負する「大型クラスで4気筒がまだスタンダードエンジンだった頃」の価値観を残している存在なんです。
目標だった200馬力の大台も各社突破したわけですし、シグナルダッシュでブイブイいわせるストファイ系ではなく、無理をしないバランス型のシャーシで日本の道をユルユル回しながら走っていく4気筒もあっていいはず。
2気筒メインの時代になったからこそ、4気筒はもっと肩の力を抜き、「2気筒のカウンターとしてのフィーリング」を楽しむものとして再定義してはどうか?って思うんですよね。私はCB1000Fのエンジンフィールに、4気筒の日常への回帰を感じたんで、あのエンジンの印象がメチャ良いんです。
結局、私が4気筒に込めてる願いって昔と正反対なんですよ。私はゼファーが出た当時、「なんでこんなガサツで遅いのが売れるのか?」って正直良くわかんなかったんですけど、そんなバイクが高回転高出力の権化だったレーサーレプリカの勢いを止めたんです。あの当時ゼファーを諸手を挙げて歓迎した人達が求めたものって、今の自分と同じものだったんだろうなぁ・・って、この歳になって、ようやく理解できたところがある。

そんな目線で最近の4気筒を見ていたら、モーターショーでCB400SFの後継機が発表されているじゃぁああないか。いや~ステキですね~。2気筒や単気筒が席巻している中型クラスでフツーに乗れる4気筒が出るって素晴らしいことですよ。ハイパワーに振り切り、やたら高額化しちゃったカワサキのZX-4Rと同じ路線には行かなかったのがまたいい。
ライダーは高齢化し、大馬力に対抗できるフィジカルがなく、若者には高性能な4気筒を買う金がない。こんな時代だからこそ、「4気筒特有のフィールを日常でたっぷりと摂取したい人は沢山いる」と思うんですよ。あ、ちなみに400を日本専用に作るのなら、高出力方面にそんなに頑張らなくていいですから。フィールと価格重視でお願いしますよ。大型免許が高嶺の花だった昔と違い、今はパワー欲しけりゃ、大型免許取って排気量をステップアップすればよりどりみどり、400で必死になる必要はどこにもない。パワーはソコソコで、小排気量4気筒ならではの回転感とスカッとした伸びきり感を重視した、気持ちいい調律型エンジンを期待してます。

CB400SFコンセプトのおかげで、ここしばらく4気筒が全盛だった90年代に気持ちが戻った気がしております。こんなブログ書いちゃったのも、そのせいですね。こうなると、「カワサキもこのクラスでZを出してくれないかなぁ・・?」な~んて思ったり。やっぱね。販売ってのはライバルがいないと競争も進化もなくって面白くない。リッタークラスではZとCBがバチバチの戦いってことになりましたので、この2台が切磋琢磨し進化していくのはほぼ確定。400ccクラスでも両巨頭が揃うと、まさに90年代の販売競争の再現で、クラスとしてもとっても落ち着きがよくなるんだけどなぁ・・なんて思っている今日この頃であります(笑)
(オマケ漫画、「4気筒の逆襲」)
(※のじゃ子さんを全面的にイジっていく当ブログの典型的なスタイル。他のホンダ勢がCB2台とゴールドウイングですから、小姑感すごい。それにしても真面目なホンダで、HAWK11ほどイジれるバイクって極めて貴重です。)


コメント
コメント一覧 (24)
現代における4気筒モデルのお話、興味深かったです。
私は4気筒って学生の頃乗っていた250だけなので、正直語るべきものを持っていません。あの頃の250cc4気筒って、最初はカリカリレプリカって感じでしたけど、最後の方って女の子が乗るバイクみたいなところありましたよね。しかも私が乗ってたの2年だけですし…。
当時の国産大型バイクって、4気筒しか記憶にないんですよね。TRX850が出たのが95年で私は一旦ドロップアウトした後。TRXは270度クランクを採用しててものすごく時代を先取りしていたようですが、先取りしすぎて日本でも欧米でも全く相手にされなかったみたいですね。VTR1000SPは日本では全然でホンダも売る気は全くなかったようですが、アメリカではかなり人気があったようです。TL1000はロリダンが酷すぎて完全な黒歴史。SV以降は良くなってVストまで続いていますから、エンジンそのものは名機といって良いんでしょうね。650の方はまさに名機で、復活しましたしね。
CB400SFは私も期待しているところです。CB1000Fに続いて市場を獲りに来ているのが犇々と感じられます。価格も1000Fを考えると、私は100~110ってところかなと思ってました。へっちまんさんと同じくらいですね。あるユーチューバーは150もありうるなんて言ってましたけど、1000Fより高いなんてことあるかいって突っ込んでしまいました。
今の1000ccSSはもう行き着くところまで行ってしまって、レプリカブームの終わり頃みたいな印象です。性能も価格も上がり過ぎちゃって、ユーザーがついて行けなくなってる。ただレプリカブームの頃と違って、皆がそれぞれに好きなジャンルのバイクに乗っているという感じですから、一気に崩壊するということはなく、技術やブランドの維持という観点から、モデルサイクルは長くなっても、出し続けるんじゃないかなと思ってます。
ちなみに私、初代レブル250すっごい好きなんですよね…。
へっちまん
が
しました
昨年の1月に大型二輪免許を取得して最初に公道を走ったのがドリームで借りたホークでしたが、車体に慣れると気が緩んで発進エンストを数回やっちまいましたのを思い出しました。
そんな初心者でもCB1000Fはエンストしない不思議な粘りがあります。
都内の渋滞にハマっても低中速でそろーりそろーりと粘っこく走ってくれます。
交差点でUターンかます際も不安を感じなさせない操作性の良さも感じています。
これはエンジンというよりも背筋ピーン!とまでは言わないものの直立姿勢に近いライディングポジションゆえの安定性かもしれません。
CB1000F SEは乗っていて本当に楽しいバイクですが、リコール修理のための入院日が決まりました。
3週間の入院と聞いていますので辛抱強く待ちたいと思います。
春夏ライディングをより一層楽しむためにカドヤの革ジャン買っちゃいましたー!
吊るし売りなので価格はリーズナブルでしたから良い買い物をしたと思います。
東京は桜が満開になりつつあります。北陸もそろそろですよね。週末はお花見行ってきます!
へっちまん
が
しました
ちょーツボりました(笑)
御無沙汰しています。
今回の2気筒と4気筒の今昔物語、とてもわかりやすくて勉強になりました。まさしく自分は昭和の頭だったものですから、2気筒はドコドコ言わせてトルクで圧倒するってイメージしかなかったです。
メーカーがこぞって2気筒に舵を切った理由が、技術革新の賜物でイイトコドリの2気筒が出来上がったからだったんですね。
自分は4気筒のフィーリングが好きです。でも2気筒のあのドコドコ感も憧れます。あのドコドコ感を腹と尻で感じてみたい今日このごろです(笑)
CB姉妹のマウント感、強いですね〜🤣ホンダ党の自分としては嬉しい限りです(笑)
へっちまん
が
しました
ホンダでドゥカティに凸ってGETしたSCR替 5年余り。
合わせて地球を4周半、寄る歳の波にアガナイなんとか失われた20年を取り戻せたように感じています。途中でココロ動かされたスピトリ1200RRとXSR900GPですが、諸般の事情もあり踏みとどまりました。
その時々の勢いで選んだだけなのに、2台持ちとしては最も普遍的な組み合わせだったようです。今回のテキストで再確認させていただきました。
へっちまん
が
しました
記事を拝見して調べ直したら、そもそも日本製の400cc級新規E/G自体がほぼ無かったり、BMWの900cc級はドゥカの水冷900級に引けを取ってないとか、KTMの新型は驚くほど絞り出してる、ので思い込みは良くないですね。
ゼファー(400)、心地良い けど遅い 思い出が。オッサンにはXJR400くらいがちょうどよい塩梅に思えました。
へっちまん
が
しました
4気筒とか6気筒の乗り方のまんまだとガックんガックんするし、不意にカヒュッとエンストかましてしまいました(情けない)
最新のはめっちゃ粘るし、味付け次第ですけど想定外な行動で丁度良いお上品吹け上がりで驚きましてヨ!
SUZUKIの800系も良いけど、HONDAの攻めけ強そうな750ccパラツインは常々気になってます
4気筒で所持バイクならブラバのエンジン積んで低中にふってバランサー一本抜いたX11
上はないけど停止からアホみたいな加速して(0-100だと当時指折りだったんじゃないかな)振動もビリビリ荒く伝えてくる感じ
一番長く乗りはしたものの…多分CB1300、1100、X4の様な物の方があってただろうなぁ〜と今は思います
サブ機候補車筆頭にエンジンがイタリア製造(ミナレリ製)になったFANTICの500考えてたんですけど、試乗会があったんで参加してきました
話が前後しますけどツインで思ったような洗練された感覚がシングルでも感じられました!
私には好感触でしたけど、コレは「外車」求めてる層にはもしかしたら受けないフィーリングかもなぁと、収斂すれば「国産」化しちゃうのかもと…
勾配急なタイトワインディングでの試乗だったので先導員と私より後ろがかなり引き離しされた形に…
あのあと上手く進行できたかなぁ
へっちまん
が
しました
CB姉妹のザ・4気筒に対して※のじゃ子さんとヴィーセ嬢の2気筒勢はいろんな意味でヘッポコ感があって、本文の内容との対比が面白かったです😆
へっちまん
が
しました
1975年の免許改正を待って大自ニに免許試験場でZⅡ(明石やからね)で限定解除、買ったのはZⅡでもCB400F(408cc)でもなくGX500❗何故か皆と同じが嫌で4発は買わなかった。で次は900MHR🥵今考えるとこの頃4発乗ってたら良かったと思う。
まぁ怖いだけで曲がらんバイク達(勿論ワイに腕もない❗)
なのに何を血迷ったかdb1に取り憑かれ買ってしまうと「曲がるやん❗」初めてバイクでコーナーが楽しくなった。(以前は怖いばかり)当時東京勤務だったのでターンパイク/伊豆スカ等で2スト250に絡まれまくり😰伊豆スカでRZV500に圧倒的な差を見せつけられ次元が違うことに気付き、死なずに今を迎えてます。
当時は雑誌も空冷デスモの特集ばかりで乗せられてたなぁ〜。
またあの頃はホントによく事故を目撃したもんですね~。
漸くdb1復活に向けて準備始めましたが、へっちまんさんによると良さげなんで最新4発買いたくなりそうです。(買ってもへっちまんさんのせいにはしませんよ〜🤗)クワバラクワバラ
へっちまん
が
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お題と関係ない話で恐縮ですが、昨日、ドリーム店の試乗イベントでゴールドウイングに乗ってきました。
最初はデカさと重さにビビりましたが、走り出すと実に快適、バイパス路で最高なのは言うまでもなし、混んだ狭い街中でも意外と持て余すこともなく、まさに魔法の絨毯でした。あれなら一日500kmくらい走れちゃいそうですね。
前にレガシィで試乗して以来の水平対向6気筒、もっとシュンシュン回る感じかと思ったら意外とグリグリした力感と表情があり、飽きさせない。DCTだったのでトントンシフトアップし、加速中でも2,000いくかどうか。もう少し回してみたかったなぁ。
気温が20℃にせまる暖かさだったので、ウィンドプロテクション良すぎて暑いくらい、冬はいいけど夏は向かないかも?
へっちまん
が
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4気筒に未練はなかったんですが
今年新型Z900RS SE買いました
まさに購入前CB1000Fを試乗したのが原因です(笑)
へっちまんさんのおっしゃる通り
若き日の魂をフツフツとまでは活かせないですが
肩の力を抜いた4気筒特有のフィールを日常でたっぷりと摂取してます
へっちまん
が
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ロケットカウルなんてものは無くても成立しているバイクにあえて装着する、「プラスの美学」
そういうものを主役に据えて企画したあざとさをやはりユーザーは見抜きますから
へっちまん
が
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ヘッダーの更新、ありがとうございました。心配しましたが最適解だと思います。
レブルは1994年の最終版ですね?無理やりのマフラー、ちょっと遊び過ぎました。
同じ遊ぶにしても大阪MS、あのメーターカバーは笑いを通り越しました。
現役世代には是非アーカイブやこのブログを読んで、進化させて欲しい気がする。
そう言えば書籍やバイクの専門誌が減ってあのパラパラ音が懐かしいと感じたのに、
北斗の拳は積んでる第2巻目に手が伸びない。ワクワク感が起きないのは老化か?
さて春から夏へ、今年はどうなるんでしょうか? 暑すぎない夏が良いな!と。
ではまた。
へっちまん
が
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