最近は、気温が10℃以上になる日も多くなり、そろそろ春の訪れを感じますね。私も車をノーマルタイヤに変えたり、除雪機のオイル交換やメンテなどをして、春支度にいそしんでおります。

年初からのバイク事情を振り返ってみますと、今年の冬は例年にも増して、きんつば嬢が大活躍のシーズンでした。「冬のヘッダーは譲りません!」とばかりに、ページトップに張り付いておりますが、冬の王者の貫禄を遺憾なく発揮したといえるでしょう。

ちなみに北陸の冬は、曇天寒風暗い海となんとも鬱々していて、私のUSBやスマホに大量ストックされた「陰キャソング」を聴きながら流すには最高の季節なんですよ。だから、私は冬にきんつば嬢で流すのがメチャ好きなんです。

中国拳法の酔拳には酔八仙ってのがおりますが、私の好む女性ボーカルにも「陰八仙」が存在しており、これらの猛者達がきんつば嬢の中で膨大なオーディオファイルを形成しているんですね。その8人の名をここに上げますと、

「天野月」「Fayray」「Aimer」「Cocco」「中島みゆき」「鬼塚ちひろ」「矢野真紀」「戸川純」

うーん、並べてみると凄いメンツですな~。最近は陽の者が陰キャのフリをしている「ファッション陰キャ」も増えておりますけど、ホンモノはその口から発せられる「陰の呼吸」で鬼すら調伏する力がある。陰八仙は「陰の呼吸を会得している」と私が認定した者達で、彼女達が紡ぐ陰の気に満ちた歌詞と染み入る曲調に、ゴールドウイングの「停止した心電図」のような滑らかな6気筒フィールが見事に寄り添い、冬の旅を構成する。ハーレーはハードロックをガンガンかけて走るのがお似合いですけど、暗い陰ソングを受け入れてくれるのは、世界でもゴールドウイングをおいて他にない。

(おお世界よ、これが「陰の呼吸」だ。つっこさん(天野月)は「陰の気」が極めて高い名曲を数多く生み出してくれた陰界の女傑。公の場にはほとんど出てこず、「陰の者」感があるのもいいんですよぉ。)

きんつば嬢がバルタイ調整から上がってきてから、4ヶ月ほどの間、この陰八仙をガンガンかけながら乗りまくりましたねぇ・・。バルタイ調整により6気筒最大の特徴である「トルクの艶」が復活し、ハチャメチャに気持ちよくなったんですよ。滑らかさやトルクの豊かさでは4気筒にも素敵なエンジンがあるけど、トルクに艶が乗るのは完調の6気筒ならでは。もうね、マジで最高で、乗れない間も「はぁ~、乗りたい乗りたい乗りたいわ~♡」とその場駆け足になってウロウロしていた感すらある。冬の間、数日の隙を見つけて、なんだかんだと1500kmくらいは距離を稼いだと思います。

走るコースは基本海沿いがメイン。山は気温が10度くらいまで上がっても、日陰の部分が凍結していたりと、全然安心ができないですから、冬に山ツーはマジで自殺行為なんでダメ。あと平野部でも北陸地方は、地域特有の雪害決戦兵器である「散水型融雪装置」が稼働しており、バイクが走れるルートは大幅に制限される。北海道とか東北のような常時氷点下の地域だと融雪装置から出た水が一瞬で凍っちゃうから、散水型融雪装置って逆効果のようですけど、気温がそこまで低くならない北陸地域では、地下水放水型の融雪装置は安価で絶大な効果があるのですよ。

ちなみに、この融雪装置、噴射方式にもいろいろあって、

①道路中央からのチョロチョロ型

②水流のチューニングが明らかにおかしい大放出大盤振る舞い型

③側面から豪快に水を放出する水平射撃型

などがあり、特に②と③は冬のバイクに対して致死性の攻撃を繰り出している。

特に③の水平射撃型融雪装置の殲滅力はあまりにも凶悪。この攻撃をモロに食らうと、戦艦三笠を旗艦とする連合艦隊に水平射撃のつるべ打ちを食らい、海の藻屑と消えたバルチック艦隊の気分を味わえます。

この水平射撃型融雪装置は地下水の汲み上げができない「橋の区間」に設置されていることが多く、何も考えずに橋のあるルートを選んで、この地雷にひっかかってしまうと、太ももからヒザ下にかけて凍てついた水をものッ凄い勢いで浴びることになる。この攻撃の前では、ゴールドウイングが前方に展開している巨大カウルなどただのお飾りにすぎない。デモ鎮圧を彷彿とさせる「無慈悲な放水攻撃」により、橋を通過し終わる頃には「水もしたたる巨大ドブネズミ」の出来上がりというわけです。

28238302_m(これが水平射撃型融雪装置だ!アーメン!!不覚にもこの区間に飛び込んでしまい、かつ橋の終わりが車で詰まっていたときの絶望感たるや・・写真だと噴射ノズルは水平ですが、たまにメンテが適当でノズルが上向きになっていたりする時もあったりする。この場合、悲劇度はMAX。)

昔、イエス・キリストは「右のホホを張られたら、左の頬も出しなさい」なんて、慈愛に満ちた自虐ネタを繰り出しましたが、上の写真を見てわかるように、水平射撃型融雪装置にそんな場面は訪れない。もうね。左のほおを出すまでもなく、初手からモンゴリアンチョップ状態なのですよ。これでは慈愛の心など持ちようがない。

私はきんつば嬢に乗ってるときは、冬でも「ハリソンのコルセア」というメットを被っており、このハリソンはペナペナのチンガードがお飾り程度にあるだけの開放型。このため、両側から散水攻撃を浴びると、目と眼鏡の間に水が入り込んで水滴で前が見えなくなるだけでなく、ギャーと叫んだ口の中まで大量の地下水が入ってくる。もうね。

「はい!終了ォォオオオオ!!!!!」

って大声で叫びたくなる。真冬に大量の冷水を浴びた後のツーリングなど、現世の地獄。このような仕打ちに耐えられるのは、小乗仏教修行僧のような「マゾヒシズム専業職」しかありえません。

両側から情け容赦ない放水を浴びていると、「ああ・・人が絶望のあまり、世界の全てを滅ぼす決意をするのは、まさにこんなシュチュエーションなんだろうな・・」って感じの暗黒思想に支配される。

きんつば 冬1
(リコールとマイナートラブルを指摘され、逆ギレする心の狭いフラッグシップ。車重と同様、プライドが重い。)

この融雪装置群、めちゃくちゃ腹立つんですけど、昭和時代から存在する「北陸の冬の風物詩」なんですよねぇ・・。地域の文化になっちまってるものだから、もはや文句も言えません。しょうがないので、融雪装置のない海沿いに向かうことになりますが、海沿いは海沿いで、また厳しいんですな~。

なんせ日本の冬は西高東低の気圧配置でございましょう?これって、「海から内陸部に向かってクソ冷たい風がガンガン吹く」ってことなのですよ。つまり、北陸の冬は海が荒れ、風が強い日が多くなる。この冷たい風に対応できるバイクと防寒対策の組み合わせがとても悩ましい・・。長年バイクに乗っていると、外気温から快適な衣服のレイヤーを組み上げるのはお手の物なんですが、ここに冷風という要素が入ってくると途端に難しくなるんですよ。

20260308_162154390(少々荒れ気味の日本海。波を見て貰えばわかりますけど、冬は海沿いの風がかなーり強いです。)

8℃以下の気温なら、風を一切遮断するオーバーパンツを履いてフルアーマー状態でいい。このオバパンとゴールドウィングの組み合わせの威力たるや、気温3度くらいまでならモモヒキ重ね着でどうとでもなる。「じゃあ、冬中オバパンで走っていればいいじゃん」って言われるかもしれないけど、オーバーパンツってレイヤー的には最強ですが、バイクの醍醐味である軽快さとインフォーメーションが大きく減殺されちまう諸刃の剣。厚みのある中綿を使ってるおかげで下半身がボワンと膨らんでる感じになり、足つきの感覚が普段と全然変わっちゃうし、バイクから得られる路面感覚もぼやけちゃう。あれ履く度に「バイク乗りとモーホーにとってケツの感度は何より重要」ってことを実感する。

そもそもそこまで乗り手が重装備になっちまうと、バイクに乗る目的自体もイマイチ曖昧になってまいります。バイクって大自然の一部になって走る感覚が素敵なのに、乗り手側を耐寒フルアーマー化して外部からのインフォーメーションの徹底遮断に走っちゃうと、乗り物として矛盾してくるっていうか、そこまでして外部環境を遮断しにいくのなら、「もはや車で良くね?」って気分になってくるわけですよ。

生きるために冬山登山みたいなカッコになってますけど、徒歩でしか行けない登山と違って、移動って快適さを極めた車でもできるわけ。その車ですら、極寒に幌開けて走ってるオープンカーなどを見ると「うぉぉ!君こそエンスーだ!」って賞賛されるくらいですから、その環境でバイクなんぞ、もはや気合いを超えて「は?バカなの?」とか、「北陸で暮らしてるのに、バイクしかもってないなんて可愛そう!!」ってなりかねない。

実際、融雪装置を浴びてメンタルが萎びた帰り道などは、

「俺の行く道は果てしなく過酷・・なのに、なぜ、なにを探して・・ 俺は行くのかあてもないのに・・」

って昭和の名曲っぽい自問自答を繰り返してしまう。この手の歌は歌詞の「君」「俺」に変えるだけで、心の迷宮を彷徨う自閉症っぽくなるのが味わい深いです。

そんな状況になるのはわかりきっているのに、冬ライドの魅力に負け、フラフラと走り出してしまうのは「さすがバイクといったところだニャ・・」って感じですが、私はワガママですから、その楽しさがオーバーパンツで何割か削られるのが嫌なんですよね。ちなみに気温が5℃くらいになりますと、郵政の赤カブかハーレーのグランドツーリング系以外のバイクとすれ違うことはまずありません。道の駅もバイクエリアはまったくの無人。

HAWK11(ある冬の日の道の駅。シーズン時はライダー達でごった返すバイクスペースに私と※のじゃ子のみ。はぁ~癒やされる~。マジでこのお一人様感が冬の醍醐味ですよ。ちなみにHAWK11も冬シーズンには滅法強いです。)

悩ましいのは、その上の9℃~12℃くらいの気温。風が吹いておらず、日中だけ走って帰るのであれば、モンベルのモモヒキ+防風ジーンズで十分行けるのだけれど、風が強かったり興が乗って日没まで走るとなると、体感気温がかなり下がってくるし、遠出だとオーバーパンツ履かないとやっぱ下は徐々に冷えてくる。

私みたいなアンデッドは冷えると体力ごっそりもっていかれるから、先を読んで対策しなきゃならないけど、やっぱどうしてもインフォメーション重視で薄着に走りがちになるんですよね。玄関出て、外の温度と風の強さ冷たさを体感した時点で、この着衣で良いのか?って、また悩みはじめ、家に引っ込んで着たり脱いだり、迷走することも結構あります。

でも、この世にはそんな悩みが関係がないバケモノもいるのですよ。実は私、凍えるような気温の中で、半ヘル&革ジャン一丁で対向車線を走ってくる信じがたいハーレー乗りに出会ったことがあるんです。もうね。こんなの稲川淳二の怪談より怖い。だって、こっちはゴールドウイングでモコモコのビバンダム君になってるのに、ピチピチの革ジャン&ジーンズ&エイプハンガーの奴が対向車線からきたら、「オィィィイイ!センターラインに次元の狭間があるのか!?」って思うでしょう?その薄着は明らかに人類が耐えられるレベルを超えていて、「こいつは地球人に化けてる宇宙人か、ターミネーターに違いない!!」って感想しかなかった。彼のその姿は「心のXファイル」にずっと保存されているんですよね。

まぁ、春を祈願するため、生け贄として我が身を捧げていたのかもしれないし、耐寒登山用品もない時代に冬の剱岳に登った山伏もいたと、映画「剱岳点の記」で語られていたし、人の可能性って計り知れないのかもしれない。でも、冬のバイクを経験すればするほど、冷気という大自然の驚異を根性でナントカしようというのはヤバいって思う。私は過去「電熱装備冬山故障事件」で、マジで命の危機にさらされており、その一件が完全にトラウマ化し、冬シーズンの「防寒の安全性」にかなりこだわるようになったんですよね。だから他人の寒そうな格好を見るとコッチまで寒くなってくるんです。

「いやいや、そのハーレー乗りも電熱ウェア着て、実はヌクヌクだったんじゃないの?」

っていうご意見もあると思います。確かに、TC96あたりで薄着なら私だって「オマエ、電熱頼みだろ?」って思いますけど、それ、ショベルだったんです。そう、ショベルだったんだよ!!私がその異形の存在を見た当時は電熱ウェアってバッテリーから引っぱるタイプしかなかったんですけど、ショベルにバッテリー給電の電熱なんてありえないでしょ?ただでさえ発電能力がヨレヨレなのに、そこから強引に電熱引っぱるなんて、おじいちゃんに「人助けですから!!」っていって致死量を超えた献血を要求するようなものだと思うんです。乗り手が死ぬか?バイクが死ぬか?ですが、出先でどっちも死ぬ未来しか見えない。

あと、電熱も使ってみると、全然万能ではないんですよね。価格がお高い割に何年か使ってると動作の安定性に難を抱えるようになるので、普通のウェアと比べて、耐久性を込みにするとかなり割高。メチャ暖かいので、冬でもレイヤー削ってスタイリッシュな薄着が出来るのが最大のメリットですが、逆に故障すると命の危機まである。ガッツリ着込んだ状態で補助的に使うのなら良いけど、カッコ重視で薄着するのためのレイヤーとして使っちゃうとかなり危険なんです。

私は色々と試した結果、フルカウル+オバパン+インナー重ね着が、一番安定してるし、万一のリスクもないって結論に達し、そこに落ち着いた。正直なところ電熱装備は充電器入れて稼働するタイプの電熱グローブだけにしておくのがいいと考えております。

あと、最近はアドベンチャーをツアラー代わりに使ってる人もいるらしいけど、極寒時にアドベンは見たことないですねぇ・・。気温低いときはネイキッドの方がまだ見る気がする。やっぱオフ車系だと下半身が寒いし、風にそこまで強くないのでしょう。その一方で、ハーレーのウルトラやグライド系は極寒の中で走ってるのをちょくちょく見るんですよ。どんな寒い日でも、フラッと跨がりロングツーリングが可能なのは、巨大カウルで鉄壁の防風能力を備えた重量級バイクならではですね。

そんな陰キャな私の冬環境において、ゴールドウイングの変わりになるバイクって、この12年間現れていないんですよね。あの6発特有の艶のあるトルクと、陰ソングをかけて走れる存在の奥ゆかしさ、そして圧倒的な冬の対応能力。そんなクルーザーは、なかなかない気がする。これから春になると、いろんなバイクで楽しめる季節になりますが、冬シーズンに関しては「今後もきんつば嬢におんぶに抱っこだな~」って気がしています。





いじける4
(こちら現在までのきんつば嬢のトラブル履歴です♡バルタイ調整はトラブルってわけでもないですけど、健忘録的に書いておきました(笑)