全国のロケットカウル戦闘団HAWK11部隊員の皆様あけましておめでとうございます。2026年もHAWK11をよろしくお願い申し上げます。なお、タイトルは今期の覇権アニメ候補「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」の丸パクリ。(原作はかなり面白く、ひととおり読んでいますが、いよいよアニメ化。オススメです。)

本日は一部のライダーからポジションがキツイと忌み嫌われているHAWK11のセパハンスタイルが「如何にありがたい刑罰なのか?」を受刑者の立場から、主観的に述べていきたいと思います。

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(こちらは昨年の冬走行の写真。今年の北陸の冬はあまり雪が積もらないかわりに、雨が多く、天気の良い日が非常に少ないので、イマイチ走れていません。)

私の愛車、HAWK11はマニアックなバイクです。販売上はぶっちゃけ不人気(笑)ロケットカウルの発注ロットの問題で、総生産台数2000台くらいらしいですが、ごく一部の人間に熱烈に好かれこそすれ、爆発的に売れた事実はありません。その不人気要因の一つが「セパハンによるそこそこキツイ前傾ポジション」であったことは間違いないでしょう。今時、スポーツバイクですら、その多くがアップライトなストファイスタイルですからね。

さすがにバイク乗りでセパハンを知らない人はいないでしょうが、その定義づけは、少々曖昧なところがありますので、最初にその点について私の認識を示しておきたいと思います。

通常のバイクでは、ハンドルは湾曲した一本のスチールまたはアルミパイプになっており、これは「バーハンドル」とか「バーハン」などと言われてます。しかし、前傾姿勢のスポーツバイクやツアラーでは、ハンドルが右と左に分割され、個別に取り付けられることがあり、それが「セパレートハンドル」、いわゆる「セパハン」の構造的定義となっております。

この定義からいうと、トップブリッジ上にハンドルをクリップした穏やかなポジションでも、2分割されていればセパハンの定義に入るってことになりますが、実際はトップブリッジ下にハンドルが取り付けられたものに対して使われるケースがほとんどだと思います。遙か昔、セパハンは暴走行為を助長するスタイルとして官憲の取り締まりを受けていた歴史があり、古参のオジサン達はセパハンを「単にセパレートされたハンドル」ではなく、当時許されなかった「前傾を伴うレーシーなポジション」という意味を含めて使っているケースが多いのでしょう。

HAWK11も大人のスポーツバイクを名乗るからにはオジサンがメインターゲットですから、トップブリッジ下にハンドルをクリップする由緒正しいセパハンスタイルを採用いたしました。しかし、これに関して、いろんな人が「おっさん向けのスポーツバイクなのにポジションがキツイのではないか?」と非難の声を上げていたように思います。

まぁ、確かにこのセパハン前傾スタイルってのは、普通に日常生活を行っている限り、まず体験することのない姿勢です。いい大人が2輪車以外でこの格好をとるのって、

①女王様の椅子になるとき

②マッチョ野郎にケツを掘られるとき

③座薬の挿入

くらいでしょう。アブノーマルプレイか医療行為でしか味わえない特殊姿勢をずっと強要されるわけですから、それなりのメンタルと覚悟が要求されることは間違いありません。

そんなセパハンスタイルを採用したHAWK11は、多くの人から「これから上がろうというライダーになんて格好させるの?」「老人虐待!!」と言わんばかりにツッコまれたわけです。でも、私は諸般の理由で「スポーツバイクを乗り継いできた大人こそ、最後はセパハンに乗らなくてはならない」と確信しています。

HAWK11というバイクは、大人や上がりというワードに対し、買い側にも一定のイメージを要求したバイクだと思います。HAWK11にそのイメージを重ねることができた人にはメチャ刺さったでしょうけど、そういうイメージがない人やそれに反発する人には「なんじゃこりゃ?」っていうバイクに過ぎなかったと思う。

「スポーツっていう以上、エンジンはドカーンとパワーが出て、コーナリングはキレッキレで、ブレーキはバキバキに効くべきでしょ?」って主張は、まぁわかる。この世のセパハンスポーツって基本SS系であり、大概そっち方向に振れてますからね。でもHAWK11は少なくともそういうバイクではない。「だから認められんのだ!」という主張もわからんではないけど、「じゃあアナタの考える大人要素ってなんですか?」ってツッコまれると「ウムムムム・・」ってなる人が多いと思うんです。

大人のスポーツという定義に対する私のイメージをあえて挙げるとすれば、東名高速でブッ飛んだ後にキリンが乗ってたBMWのK1200RSあたりがそのイメージに近いですかねぇ・・。現在の私は下道ライダーなんで、200km/hオーバーで本領発揮の高速バイクは不要ですが、選択嗜好としては近いかな~と思う。なんせこいつはテレレバー+縦置4気筒+シャフトドライブ駆動という、「こんなのBMWしか作らんだろ?」っていう変態スポーツモデルで、まぁぶっちゃけド不人気車なんですよ。重量も300㎏クラスで馬力も日本製SSに比べれば随分控えめ。スタイリングも、宇宙船のようなアッパーカウルにエンジン縦置きで、スリムさの欠片もなく、販売されてた頃は「走るレンガ」なんて揶揄される始末。

K1200RS
(キリン第18巻の表紙を飾ったイエローチェックのK1200RS。バイクも柄もあまりにマニアック。これを選ぶような奴は間違いなくド変態です。)

でも、その選択が私の中でのベテランイメージと割と一致するんですよね。バイクのチョイスに王道を外すひねくれ感があり、誰の忠告も意見も受けつけず、自分だけが良ければいいという頑固さを感じる。BMWのKシリーズはベテランが乗るバイクの象徴としてはなかなかにいい線をついていた気がする。モトグッチV7とか、HAWK11も、私の中でそんなオジサンイメージ枠にしっかりとハマってるバイクなんですよね。

「イメージはわかるけど・・アフリカツインベースのスポーツバイクなんて(笑)」っていう意見もあるでしょう。そういう人達には、ニヒルに笑いながら、赤い彗星っぽく、こうつぶやいてやりましょう。

「バイクに依存して走ろうなんてとんだお子様じゃないか。」

「君にトルクのバブみの価値がわかるのかね?」

「私には母のような大排気量ツインのバブみが必要なのだ。」

「昔、バブみを奪われた男が地球に小惑星を落とそうとしたことがあった・・劇場版だがね・・(遠い目)」

こんな調子で呟いとけば、なんとなくカッコがつくわけですから、年齢って便利なもんです。

そんな私が想像する大人の走りってのは、速いとか、遅いとかじゃなく、走りにおいて、いろんな憑きものが落ちているイメージです。力で強引に押し切るわけじゃないし、乗ってるバイクもトンデモないパワーがあるわけでもないけど、そのコースに応じた適切なアベレージがしっかり出ていて、走りに無理がなく、後ろについてるとやけに安心できるから、抜くに抜けない、手が出ない。ピッチングで例えると、ナックルボールや縦のカーブ、落ちるスライダーを無表情で淡々とコースに投げ込んできて、気がつくと「あれっ?いつの間にか俺見逃し三振してる・・」って唖然としちゃうような、そんな感じ。

そういう走りの雰囲気って、経験から得られる冷静さと的確な判断、基礎を固めた走りの質と、適切なバイク選択から生まれるものだと思うから、絶対的な性能より、自分の走りにあったものを受け入れていきたい。HAWK11は日本のワインディングで質の高い走りを提供したかったバイクであり、それを高めるためのセパハンポジションの採用だったと思うからこれは受け入れなくてはならないでしょう。これをポジションがキツイからヤダとか言い出しちゃうと、「スポーツ走行の質とは一体・・?」ってことになってしまう。

この世にはいろんなライディングポジション、ライディングスタイルがありますけど、シュチュエーションに応じて、走りの質を高めようとしたとき、ポジションは必然的に特定の位置に落ち着いてくるもので、そこに乗り手がシンクロしようとするから、腰に厳しい前傾姿勢も受け入れられると思うわけです。

キリンがK1200RSを選択したのも、スペックや人気で選んだわけではなく、キリンの使用環境のもとで「走りの質が高い」と判断して選んでいることが明らかなわけです。他者との比較や評価ではなく、自分の価値基準と目的に沿うようチョイスしているからこそ大人を感じるわけですね。私にとっての大人の定義は、「バイク選択においても走りにおいても自立している」ってことなんだろうと思います。

バイクには、ヒザスリの呪いとか、最高速の呪いとか、アマリングの呪いとか、いろんな呪いが存在していて、私みたいに底の浅いバカは、若い頃からそれに縛られまくり、そのたびに痛い目にあってきているんですよ。しかし、その手の呪いって人を強烈に縛るけど、そこには自己満足や快楽以外にたいした目的がないんです。目的がないから最終到達点もなく、最終到達点がないからクリア報酬もありません。

最高速や峠最速は胸躍る夢かもしれないけど、夢と呪いは表裏一体で、その向こうには何もない。私から見るとバイク界隈ってのは、「ほとんどの呪いが虚無であるということを一つ一つ理解していくために、数多くの呪いが存在する」っていうなんか良くわからんことになっている。

私のようなスカポンタンも、歳をとるごとに夢から覚めて、過去に自分を縛っていたいろんな呪いや、憑きものが一つ一つ落ちていくのを感じてます。最近は目的が無いのに手段だけをあーだこーだ語られるのは不毛だからイヤまである。目的、理由、実益、それを明確に感じることができれば、特殊なものでもちゃんと受け入れられるけど、目的が薄いとか、着地点がわからないとか、なんかふんわりしちゃったり、矛盾してんじゃね?と感じるものは、どんなに派手で豪華でメディアの評価が高くても、存在的に薄く軽く浅く見えちゃうんですよね。これはバイクに限らず全てのものに対してそんな印象です。

HAWK11ってバイクは、リッターバイクには珍しく、そんな呪いや夢がなーんもないバイクです。余計な装備もなければ、売ろうという下心もない。それは沢山の夢を詰め込んで、それを価格の根拠としているリッターバイクの中では極めて異端で、多くの人が理解できないでしょうし、バカ売れしないのも当然です。

しかし、そんなバイクだからこそHAWK11は、セパハンでなくてはならない

バイクに長年乗ってきて、そんなスポーツバイクを今更好んで選ぶような輩は、これまで数々の悪行を重ね続けた罪人に決まってるからです。憑きものが落ちた後にあるのはいつも罪の自覚で、ベテランの走り屋であればあるほど、そんな罪が賽の河原の石塔のように積み上がっているはず。そう、そんな重罪人は

「セパハン刑に処さなくてはならない」

このバイクのセパハン前傾は、これまでの所業への懲罰であり、社会に対する贖罪のドゲザでもある。ベテランが長い歴史の中で行ってきた悪行を考えれば、ふんぞり返った殿様ポジションが許されるはずもないでしょう?誰もが勇者を夢見て、レーサーレプリカやSSという超攻勢マシンを振り回してきたのではないですか?散々オイタをした結果、このバイクにたどり着いたのではないですか?そろそろ、その罪を受け入れて、上がりのバイクでセパハン終身刑に服するべきではないですか?

そのように考えれば、ジワジワ押し寄せてくる腰の鈍痛も、なにやらありがたく、必然的なものに思えてくるから不思議です。さぁ皆さん、今年もHAWK11で懲罰ライダーとして、喜んでセパハン刑に処されていこうではありませんか!


トンファー2.3
(※のじゃ子さんは撲殺武器もセパレート。トンファーってリーチが短く意味がわからん武器ですけど、振り回して戦う姿が格好いいんで割と好きなんですよね。)