いや~。今年の夏は暑かったですねぇ・・。それに比べると最近は随分涼しくなってまいりました。今回は今年のサマーシーズンを振り返りつつ、夏場のリッターバイクで避けて通れない「エンジン熱」をネタにしたいと思います。

10月頭に真夏の話題という、完全に時機を逸した倒れ込みですが、これを語らずにリッタークラスの夏の総括はできません。特に今年の夏はCB1100という空冷大排気量4発と過ごした夏であり、夏を乗り越えた今こそレポートできるネタなのです。

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(午後4時において、なお気温37度。逃げるように山へ向かう。)

私のラインナップの中で、夏のエースといえばダイナですけど、今年はコイツがエンジン振動の不具合でまるまる療養中でしたから、夏の激熱エースは必然的に1100cc空冷4発の※しび江さん※ってことになりました。

※しび江さん※は涼しい季節は質素でおしとやかですが、夏になるとエンジン回りから、オーラのような陽炎を立ち上らせる強豪。

「うふふ・・・これまで、多くのライダーを蒸し焼きにしてまいりましたのよ・・」

と言わんばかりの風格。この地球温暖化+燃料が薄いエコの時代に空冷4発でリッターオーバーなんて、冷静に考えてマジ狂気ですな。走行風などというアテにならないものを頼りに、バイクの排気量を上げ、熱量を最大化せんとしているわけですから、冷却とのチキンレースに挑んでいるようなもの。水冷エンジンが水風呂に入ってるとすれば、空冷はうちわで冷却しているようなもんですからね。しかも昨今は燃料を潤沢に吹けないからエンジン冷却のハードルは上がるばかり。

やっぱね。空冷四発は熱量と冷却を考えるとナナハンあたりで止めとくのが妥当じゃないかと思ったりするんですよ。それを最後の最後で1100ccの新設計で出してきちゃったのは、「技術と変態のホンダ」の香りが漂う。2気筒とはいえ、もうそろそろ2000ccに迫りつつあるハーレーも随分頭がおかしいですけども。

エンジンは正直ですから、パワーと排気量を上げると出てくる熱量は誤魔化しようがございません。真夏にパーキングで休憩してCB1100を眺めると、現代に送られてきたターミネーターみたいに、バイク回りの時空がモヤモヤと歪んでますからね。真夏の空冷1100は、物欲まみれの罪人を聖なる塩の柱に変える浄化装置です。

しかし、この私とてダテに溶けて焼けるほど熱い夏をダイナと共に過ごしてきましたわけではありません。何やら官能小説のお題みたいですが、溶けるのは人体で、焼けて穴が空くのはジーンズなのが実に悲しい。それでも「夏の入道雲の下でバイクに乗らずして何のバイク乗りか!」って思いは強い。

で、そんな私が※しび江さん※と夏を乗り越えた感想は・・・

「オィィィィイ!バイクが熱いって言う前に、そもそも気温が熱すぎるんじゃがああああああ!!」

もうね。いつも走る県道が40度超えですから。ここまで行くとバイクが熱いとか、熱くないなんてもう関係がございません。原付もリッターも、生き地獄であることは何ら変わりない。バイクに炙り殺される前に、ぶっちゃけ気温にヤラレれますから。

なんで夏にクソ熱い空冷のリッターに乗れるのかっていうと、ぶっちゃけ「下半身はどんなに暑くなっても熱中症にはならない」からです。大型バイクは時に股火鉢なんて言われますけど、股に火鉢抱えてたって人は倒れるわけじゃない。長年リッタークラスに乗ってきてるので、下半身の熱さに対しては、かなりマヒしている感覚もある。真夏でも「とにかく上半身さえ冷やせばなんとかなるわ」って思ってるし、これまではそうやって夏を乗り越えてきました。でも気温40度ともなるとさすがに限界を感じる。

私は大型カウル付きのバイクの所有が少ないのですが、これは夏場の風当たりを良くし、身体冷却を行うためです。田舎は交通量も少なく、山方面のマイナー道を目指せば、夏休みシーズンでもそれなりのペースで走れるから、ある程度の気温までなら乗り手もバイクもしっかり冷却することが可能なんですよね。そう、5年前くらいまではそれで良かったんですよ。

でも、地球温暖化で気温が40℃とかになってくると、直射日光がヤバい。夏は日焼け対策に長袖のトレーナー着て走ってますけど、数回の使用でトレーナーの柄が褪色してしまうほどの強烈な紫外線。黒ヘルメットしか持っていない私にはかなり過酷。

ショウエイはともかくシンプソンなんてロクなベンチレーション機能がないから、メット内部が加熱され、しばらく走ってると頭痛がしてきて「あ、熱中症ヤバイ」って、生命維持のアラートが鳴ってしまう。

今年の夏は日射しがキツい正午から14時まではあえて走らず、15時以降から日没くらいまでを狙って走るようにしたんですよね。夕日の写真がやたら多いのはそれが理由です。

そんな夏の暑さ対策として、ここ3年ほど重宝しているのが、「冷感タオル」です。冷感タオルは水にひたして首に巻くだけのお手軽アイテムですが、首回りの冷却と首筋の日焼けを防ぐというダブル効果があって超優秀。欠点は「見てくれが農家のオジサンのようになる」ことですけど、山奥に行けば、そこにいるのは猿と鳥と猪だけ。環境は「まんが日本昔ばなし」とほぼ同じですから、見てくれなんてどうでもいい。

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(のら仕事には必須となった冷感タオル。第一次産業は無駄がないから、そこからのフィードバックは費用対効果が最高。)

首に濡れタオルって外仕事のプロである農家の皆さんが採用しているだけあって、「ああ、水冷って偉大だなぁ」ってしみじみ感じる涼しさがあります。バイクは常に走行風が当たり、首回りもよく冷えますから、40℃超えても全然イケますね。

そんな過酷な今年の夏に、CB1100のエンジン熱はどうだったのよ?ってことですが、ぶっちゃけ※しび江さん※のエンジン熱は

フツーに耐えられます

夏全般を通じて、さしてシンドイと感じることはなかったですねぇ。なぜならCB1100の熱さは「蒸し焼き型」ですから。

小中排気量に乗ってる人はほとんど意識しないかもしれないけど、長年リッターバイクに乗ってきた私にとって「エンジン熱で燻されるのはバイクの常識」みたいなものです。股に大排気量エンジン抱えているわけですから熱いのが当たり前で、「その熱さがどの程度か?」ってことが重要なんですよね。ちなみに「熱量ソムリエ」の私の分類ではリッタークラスのライダーの熱地獄には主に4タイプあって、

①蒸し焼き地獄→エンジンが周囲の空気を暖め、その空気が上昇気流となり乗り手をフンワリ包み込んで蒸し焼きにする熱地獄。

②強制空冷ポンコツ熱風地獄→交通渋滞などでラジエターの冷却ファンがひたすら回転し、その熱風で乗り手をフライヤー調理せんとする熱地獄。

③輻射熱直火焼地獄→エンジンやエキパイが乗り手と非常に近く、発生した熱が電気ストーブのように直接乗り手を炙ってくる低温火傷型熱地獄。

④科学忍法「火の鳥」→全ての熱攻撃が一体となって襲い来る、もはや逃げ場のない熱地獄の究極形態。渋滞対策で気筒停止システムを採用する前のパニガーレV4などがその代表格。バックに「命をかけて飛び出せば~♪科学忍法火の鳥だ~♪」というガッチャマンのテーマが流れる。信号待ちでバイクから出火した事例もあり、勇者度はMAX。

の4つがあります。④はもはや論外ですが、①、②、③はリッターバイクではお約束。この中で※しび江さん※は典型的な「蒸し焼き地獄」に該当しますが、残りの「強制空冷ポンコツ熱風地獄」「輻射熱直火焼地獄」の要素はほぼありません。また蒸し焼きにしてもノーマルのダイナみたいに燃調が薄くて不自然なほど熱くなり、「ぎゃぁぁああ!アチいぃぃいい!インジェクションチューンしなきゃああ!!」ってこともないから、せいぜいサウナの中にいる程度。ホンダらしく非常によく考えられたほどよい熱地獄設計といえます。蒸し焼き型って、どんなに熱くなっても「火傷レベルまでいかない」から、慣れと「心頭滅却」で耐えられるんですよね。

空冷はエンジン回りが割とスカスカで熱源であるエンジンとの距離もとれるようになっているから、暑いことは暑いけど、「直接的な熱」を伝えてこない。風が当たったときに乗り手とバイクが同時に冷えるというシンクロナイズな気持ちよさもハンパないから、夏に結構な活躍をするんですね。

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(※しび江さん※のエンジン回り。この冷却フィンが湿り気を帯びた暑い上昇気流を生成する。)

夏の暑さで耐え難いのは、やはり輻射熱直火焼地獄です。熱輻射は熱源との直接の接触はないものの、高温が直接伝わってくるので、それを遮断しないと確実に火傷します。私がダイナに入れているデイトナのノスタルジアマフラーはエキパイの取り回しが最悪で、夏場に高回転を連続使用すると放射される輻射熱で、ジーンズに大穴が開く。現在は耐熱バンテージとヒートガードのダブル使用で対策していますが、そこにたどり着くまでに何枚ジーンズをダメにしたか・・。私はダイナ搭乗時には、アメリカの森林降下消防士用の防火靴(スモークジャンパー)を履いてますが、普通の靴を履いて走行してるときに、くるぶしあたりがやたら痛くなって、「ぎゃぁあああ!!ナニ?ナニ?」と思ったら実は大やけどしてて皮膚がベロベロ剥がれたってことがあったんですよね。

リッターバイクの熱地獄最終形態の科学忍法火の鳥になるともはや、「バイク全体、接触面全てが熱くなる」ので、少なくとも「下半身は革パンで♡」ってことになる。焚き火の時に、燃えてる薪触るのに分厚い耐熱革手袋をはめるのと理屈は同じ。まぁバイクによって対策方法とかかるコストが違うだけで、結論としては

「どんなバイクも乗れないことはない」

んですよ。

ただ、革パンやツナギは、「一度熱くなったら熱をもったまま」なんです。走ってもさして冷えない。よって人間側は革の内側でひたすら蒸れるのみになります。格好いいSSに乗って、外見は颯爽としてても、ツナギの中はもうグジュグジュ。一枚革の裏側は到底お見せできない放送禁止レベルの地獄絵図ということになっております。

結局熱さって2種類しかなくて、「耐えられる」「耐えられない」かしかないんです。耐えられるような暑さは「工夫とメンタル」でなんとかできるし、耐えられない暑さは「耐熱装備とメンタル」で、耐えられるようにするだけ。要はバイクの種類によって、こちらの覚悟と耐熱にかかるコストが変わるだけなんです。絶対に必要なのは暑さに負けないメンタルと、バイクに対する愛だけで、それさえあれば後はどうとでもなりますよ。

「そのバイク、夏場暑いんでしょ~?」なんて人に聞く前に、まずは所有して焼かれてみましょう。人は深刻なダメージを経験して、それに向き合わないと、ダメージコントロールもできないし、熱さに対抗する知恵も出てこないわけですから。

人類に耐えられないほどの熱量だったらそもそも夏にそのバイクは走ってない。つまり耐えられるってことが第三者によって実証されているじゃないですか。実際、今年の夏もハヤブサは元気に走っておりましたし、パニガーレだって、R1だって見ました。その姿を夏に見られるということは、「リッタークラスの200馬力をもってしても、人類の生存限界線を越えていない」ってことです。なんら恐れることはありません(笑)

配偶者からのメンチビームに比べれば、バイク熱なんて対策方法が明確なだけ幸せですよ。奥さんのメンチビームは発射された瞬間に体は焼け焦げ、心は凍る。巨神兵のプロトンビームよりも恐ろしく、照射されてる間はハマチ大量死なんていうワードも頭に浮かぶ大惨事ですから、「下忍ムーブ」「ドゲザ」「ワイロ」を駆使して立ち回るくらいしか対策法がありません。そう、ライダーは生き残ることが大事で、役に立たんプライドなんて捨ててしまえばいい。重要なのは決定的な危機を回避することなんです。

ビビってる前にまずはその熱量に飛び込んで、体験してこそのバイク乗りではないですか。日常で味わえない体験こそがバイクの醍醐味。熱量だって例外ではない。どうせバイクはバカと阿呆にしか乗れないんだから、常識を外してバイクの上で踊らにゃ損です。熱い熱いと言っている動画だけ見て分かった気になっている人達に言いたい。

「それは龍が如くをプレイして、歌舞伎町を知った気になっているのと同じです」

ちなみにCB1100以外のバイクの夏はどうかというと、あえて語るようなネタはないですねぇ・・。きんつば嬢(ゴールドウィング)は左右のツインラジエターで横排熱ですから、乗り手は全然熱くならないし、※のじゃ子はそもそも排熱少ない。発売当初のHAWK11のインプレ動画の中に「エンジンからの熱が凄いから夏場は大変そうですね~」なんてのがありましたが、「ん?どこが?」って感じでしたね。リッターバイクのビギナーにとってはかなりの熱量でも、1100ccクラスの常識からすれば、HAWK11の水冷パラツインなんて地獄の入り口ですらありません。モトグッチV7も、エンジンシリンダーがヒザの前にあってやたら熱そうですけど、走行風でエキパイとシリンダーがメチャクチャ冷えて、実際は熱くもなんともない。

私の中で夏場にリッターらしいエンジンの存在感を伝えてくるのはダイナとCB1100、CB1300の両姉妹ってことになりますが、どれも熱さは膝下くるぶし付近に集中してるから、ちょいと長めのブーツ履けば、相当長い交通渋滞にはまらない限り問題ない。停止して茹で上げられている時間があるからこそ、走り出したときの爽快感が際立つわけだし、汗流しながら道の駅で飲むドリンクの味わいも増すというものです。

ということで、今回のご報告は以上です。今年の夏も熱中症になることなく、かなりの距離を稼ぎました。私にとっては夏こそバイクの季節ですから、暑さに負けることなく、今後もリッタークラスとのお付き合いを続けていきたいと思います。

※このブログを読んで、新たに「リッターの夏」に挑もうと思った人もいるかもしれませんが、くれぐれも熱中症だけは気をつけてくださいね。あと、水分なくなったときにつま先立ちで踏ん張ると足がツリますから、水分補給も大事ですよ。




(オマケ漫画「夏の夜空にパッと散る」)
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yukatap2.1
(本編とまったく関係ない漫画。※しび江さん※の清楚な美しさをご堪能下さい。)