今回はハーレー回なんですけど、まず前編として、時事ネタについてちょこっと述べておきたいと思います。先月の6月30日に、私のブログアクセスがドカーンと増えたんですよ。実は以前にも同じことがあって、そのときはハーレー・ダビッドソン・ジャパン(以下「HDJ」と略します)に公取が査察に入ったという情報が大手ネットメディアから発信され、

「ディーラーがどんどん閉店しているのだが?」

という実態をレポートしていた私のブログの閲覧数がやたら伸びたんです。(そのブログをご覧になりたい方は「ハーレー 公取」でGoogle検索してください。)

今回も同様の現象がおきて、

「オィィイイイイ!またか?今度は一体何が起きたぁあぁあ!」

って、Yahoo!ニュース見たら、どうやら独占禁止法違反でHDJに「課徴金(約2億円)と排除措置命令が出される見込み」という記事が出たみたいなんですよね。この話題が一斉に大手メディアで報道された結果、検索上位で出てくる私の過去記事が閲覧されて、ブログアクセスがドーンと増えたってわけです。うーん、これが「バタフライ現象」「風が吹けば桶屋が儲かる理論」ってやつですか?

スクリーンショット
(これ翌日の7月1日のランキング。私のブログが一瞬とはいえ、ネオガレージさんを抜いて大ゴマ扱いになるとは、もはやこの世の終わりも近い。「何て場違いなんだ・・さっさと下位に沈めばいいのに・・」と自分のブログに対し、ヘイトがたまってしまう。)

「ハーレーに対して公取がなにかアクションを起こす度に、私のブログの閲覧数が伸びる」という構図は、ハーレーオーナーとして非常に不本意であり、いい加減に事態が収まって欲しいものです。

この問題について、言いたいことは全て過去ブログで申し上げておりますから、HDJに対して今更申し述べることは何もないんですけど、今回正式に排除措置命令と課徴金が出る見込みとなったということは、公取の調査の結果、ここ数年のハーレーの販売方法はグレーでも何でもなく「完全無欠、真っ黒の独禁法違反でした」って認定されたってことです。

2021年から現在までに約20店舗のディーラーが閉店し、そこで購入した顧客達の多くが整備難民となってしまったことを考えれば、今回の「排除措置命令+課徴金」という公取の処分方針は極めて妥当であると私は思ってます。罪には報いを、不当にはペナルティを、それがこの世の習いだからこそ、

「私がゴールド免許になることもない」

ああ、実に妥当ではないですか。

Yahoo!記事のコメント読むと「国産メーカーでも同じことをやっている」「業界では押し込み販売は常識」「昔は当たり前のようにあった」とか、そんな擁護や指摘の声もあり、まぁその気持ちはわからんでもない。でも、イケイケだった時代とはコンプライアンスの基準も違いますし、公取がアウトを出したってことは、業界特有の商習慣を考慮してもなお「今回のこれはダメでしょ」ってレベルに達していたということですから、そこは受け入れるしかないでしょう。

業態や地域によっていろいろな商習慣がある中で、グレーとクロの見極めは、「業界の商習慣の平均的なあり方と比べ、どんだけ異常な行為だったのか?」ってところで判断することになると思うんですよ。平均ラインを処罰していたら、その業界全部を処罰しなきゃってことになっちゃうし、上手く回っているものを処罰する必要もない。我々消費者としては、バイク業界の商習慣について一定の理解と納得をしつつ、「ハーレーがグレーを越えて、ブラックと認定された理由はどこにあるのか?」っていう線引きの部分を、しっかり検証すべきなんだろうと思う。

そもそも大人の世界の契約なんて、ほぼ自己責任で、契約外の人間がどうのこうのいう筋合いじゃないんです。パワーゲームがまったくない業界なんてありませんし、完全に公正中立なんて事業者同士では到底無理。

消費者は特別な法律でガッチガチに守られているから、のほほんとしていられますけど、事業者同士の契約は無法地帯の頭脳戦。丁々発止の交渉とハードな押し引きによって、たどり着く契約当事者の妥協点で成り立っているわけです。

しかし、企業間での力関係があまりに偏ると、弱い側はまっとうな押し引きすらできなくなり、市場全体が影響を受けるレベルのおかしなことが起こりだす。つまり、強い立場にある企業ほど「独占禁止法をしっかりと理解して、やり過ぎてはいけない」わけなのです。

バイク業界における専属ディーラー契約では、ブランドイメージにあうように、メーカーが店舗外観などの設備投資をディーラーに行わせています。従業員の数やサービスの質にも一定の要件があり、ハーレーのために設備投資や社員教育を行った店舗が他メーカーに鞍替えできるか?というと、それは極めて困難でしょう。

つまり、特定メーカーと専属契約を結んだ店舗側は、大枚はたいて行った設備投資が十分な利益を生むまで、引くに引けないことになる。

この状態で達成不可能なノルマや、赤字を逃れられないような押し込み販売を強制的に続けられれば、ディーラーは「撤退するか」「赤字覚悟で続けるか」という地獄の2択を迫られる。近年の約20店舗に及ぶハーレー・ディーラー大量閉店も、2つしかない選択の中で、数多くのディーラーが「事業を諦めた方がマシ」という経営判断をしたということであり、その要因はHDJの「市場規模を無視した目標値の設定と、それに基づく過剰仕入れ」ですから、これはなかなかに罪深い。

通常の交渉をしていれば、自らが赤字で潰れるほどの押し込み販売をディーラーが受け入れるはずがないですから、HDJが専属契約による優越的地位を最大限活用したことはほぼ確実なわけですけど、公取がそれを処分する上で重要なのは、

「その証拠がちゃんと出てくるかどうか?」

だと思うんですよ。外形的には何が起こってるか推測できたとしても、それに対する具体的な証拠が出てきて初めて処分が可能となる。ロクに証拠もないのに課徴金を取ったら逆に訴えられますからね。

今回はその点でも、HDJにとって最悪の流れでした。強制的に売れないバイクを押し込み続けたことによって、ディーラーのヘイトを買い、本来内部から出るはずのない情報がメディアにバンバン出てしまった。また、短期間で数多くのディーラーがハーレーとの専属契約を解除したことにより、公取の情報提供のパイプもそのディーラー数だけあるということになったわけです。

既存店のオーナー達が同じ経緯を語り、多くのディーラーが同じ流れで廃業したということになれば、HDJがいくら否定しても、押し込み販売の信憑性はどんどん上がっていく。中古市場を見てみても、証言を裏付けるような値崩れと在庫数がある。こんなの「独禁法違反の証拠は盤石ではないの?」ってことになってしまうわけです。

これだけ外堀が埋まっちゃうと、事実関係は争えない。となれば、あとは、独禁法違反を認めた上で、処罰をできるだけ軽くする情状酌量を狙うしかないわけですけど、ここでも八方塞がりになったはず。なぜなら「周りが情状酌量を許さない」からです。大赤字を押しつけられた既存ディーラーのオーナーからは、HDJを擁護するような発言はほとんど出てこないでしょうし、契約を切られたディーラーに至っては完全な敵対勢力になっています。

それでも、ハーレーを購入した顧客が大いに喜んでいるってことなら「いろいろやり過ぎましたが、顧客のためにはなったんです」という大義名分を掲げることができたかもしれないけど、中古市場の暴落とディーラーの大量閉店、ブランド価値の毀損などで、既存顧客にも確実にマイナス影響が生じているわけですから、

「減刑を求めてくれるような味方がどこにもいない」

しかも今回問題を起こした社長は、過去にBMWモトーレンで押し込み販売をしていた前科があるとなれば、もはや処分に手心が加えられるような余地などどこにもないんですよ。その結果が排除措置命令と2億円の課徴金という、重い処分方針になった理由だと考えてます。

つまりあらゆる方向に悪影響を出し、「HDJしか得をしていなかった」この事案は「公取が入った時点で詰んでいた」んです。

今回みたいなケースで、クロとグレーの線引きは、押し込み販売の規模の大きさと、それを受け入れた店舗側に納得感があったかどうか?だと私は思うんですよ。同じ押し込むんでも、それがメーカーの「泣きのお願い」に留まっているものなら、こんなことにはならなかったと思うんですよね。

「計画台数に販売が届いてないから、3台、お願い!ね?ね?」

「え~、〇〇さん、これ売れないんですよ~。しょうがないなぁ・・・3台だけですよ?そのかわりCB1000F出たら多めに回してくださいよぉ・・」

「それは無理」(無表情)

「オィィイイイイイ!!!!アメを出せよ!アメを!!」

なんて感じでお願いされるのと、

「計画配車で無条件にバイクを送るのである!売れようが売れなかろうが関係ないのである!ハーレーの高尚なる理想のために!立てよディーラーよ!」

っていうのでは、同じ押し込みでも受け手の納得感とスケールが全然違う。前者はまだ交渉になってるから合意の上といえるし、内部から刺されることもないでしょうけど、後者は完全にギレン総帥。話し合いが成立する余地がありません。こうなると、粛正しか道はなくなり、結果「身内に後ろから撃たれる」っていう独裁者退場のお約束パターンになってしまうんですね。

打倒ギレン1.2
(独裁者の座右の銘として「防弾チョッキは後ろ向き♡」というギャグを見たことがありましたが、まさにそれを地でいく構図。ジオン公国勝利のため、連邦のレビル艦隊もろとも、友軍をソーラーレイで焼き払ったギレン総帥と今回のハーレーに似たものを感じてしまうのは私だけ?)

ギレン様3
(過剰な押し込み販売により、戦死した友軍残党から反撃され、公取に脳天を打ち抜かれそうになってるのがハーレーの今現在ってところでしょう。アニメもしっかりと理詰めでストーリーを練っていけば、現実と起きることにそう違いはないという好例ですね。)

まぁ色々ありましたが、この件はこれで本当に終結するでしょう。押し込み販売に排除措置命令がなされれば、ハーレーは同種のやり方はもうできない、地道な正攻法の販売を続けていくしかありません。ブランドイメージも大いに傷ついてしまいましたが、過去に戻ることはできない。今を受け入れ、将来に向けて、ディーラーとの関係をどう立て直すのかを考えなくてはならないでしょう。

なぜディーラーが大事かというと「バイクとメンテのサポート体制は一体不可分」だからです。1台を長く乗ろうとすると、販売店との相性も重要になるから、ディーラーの在り方が購入後のメーカーの評判を決める。少なくとも私はそこを考慮してバイクを選んでいるから、元カワサキ乗りにもかかわらず、販売店との相性がイマイチ良くないカワサキを今1台も所有してない。そう、いいバイクを作るだけでなく、ディーラーを大事にしないとメーカーは成り立たないんですよ。

私は、バイクメーカーってそのバイクを愛する乗り手がいる限り、なんだかんだと生き続けるものだと思っていますから、ハーレーは販売手法をもう一度見直して、いちから信頼構築に取り組んで欲しい。

今後HDJが前執行体制でガタガタになった既存ディーラーとの関係をどう修復していくのか?ハーレーユーザーとして、しっかりと見届けたいと思います。

ということで、前半はハーレーの近況について話題にさせて頂きました。後半は私の乗るダイナの近況のご報告になります。こっちもなかなかの事態になっておりますが、実はイラストを含め、もう書き上がってます。アップは数日後になると思いますので今しばらくお待ち下さい。