全国のロケットカウル戦闘団、HAWK11部隊員の皆様、お元気でしょうか?

この度へっちまんはウチの※のじゃ子(HAWK11)にミシュランのPower6を入れました。

「うおおおお!気合いの入ったタイヤ入れてやったぜ!これぞスポーツタイヤ!!格好いいっす!」

って通常ならテンションが上がるところですが、私の頭の中では、悲しいかなこのPower6の「パワー!」が常に「なかやまきんに君」の声で再生されてしまっているんですよ。その影響によって、イマイチ格好いいという感覚が抱けていない。

そもそも私がミシュランのビバンダム君に抱いている印象はズバリ

ビバンダム

デス。

そんなところに「POWER!」ってつけられたら、イメージがきんに君に固定されてしまうのもやむを得ないと思うのですよ。そんなPOWER6を、あえて日本風に表現するなら

第六チカラ肉

これから、このブログを読まれる方は、Power6の「パワー!」をこちらの動画のきんに君の声に変換してお読み頂くと、私の脳内イメージが伝わると思いますので、是非とも実践お願いします。

(私はきんに君みたいな肉体の勢いだけで勝負するバカっぽいお笑いキャラが大好きなんです。)

ウチの※のじゃ子はこれまで純正装着のGPR-300一本で勝負して参りました。実は私は「安定して機能し、満足できているものをあえて変える必要はない」って考え方をしている脳死ライダーです。

満足できる状態と満足できない状態を自分の中で明確にわけないと、カスタムってとっちらかりますからね。そのバイクに自分が求めるものや、改善したい問題点、はたまた大きなステップアップを図る必要があるのであれば、その部分はしつこくしつこく追求するべきですけど、不満がなければ変える必要なんてない。変えることによってバイクの美点が失われるのであれば本末転倒だし、リッターバイクなんて基本どれも良くできてて、ノーマルで乗り手の能力を軽く超えているわけですから、一昔前のハーレーのような

「カスタム前提のバイク」

以外は、そんなに変更する必要なんかないわけですよ。

私みたいなニブチンは、不満点の洗い出しとバイクのエンジンの本領発揮に1万㎞くらいかかりますので、その後にいろいろと考えていくことが多いのですが、※のじゃ子はそれだけの距離を走っても「特段の不満がない」という非常に珍しいバイクでした。ここからあえて何かをしようとすると、方向性は自分のステップアップかステップダウンかに道は分かれるわけですよ。ヘタレてる私としては、ステップアップどころかステップダウンを考えるまであるんですけど、ステップダウンってことになると

「オィィィイイ!それじゃ大人の上がりバイクじゃなくて、ジジイの下がりバイクになっちゃうんじゃね?!」

って言われそうだし、HAWK11が純正装着してるGPR-300はダンロップの展開するラジアルタイヤでも一番お優しい街乗りラジアルですから、これ以上タイヤをグレードダウンしようとすると、「ラジアルからバイアスへ」という、名状しがたき逆進化になってしまう。

「ハァァアア?!現代の17インチ、セパハンスポーツにバイアスタイヤ装着ってバカなの?死ぬの?80年代まで逆行するの??」

ってことになるじゃないですか。お笑いブログネタとしては最高ですけど、※のじゃ子をお作り頂いたホンダ開発者の方々のアゴが外れてしまうでしょうし、そんなインプレは「ネタにはなっても誰の参考にもならない」という悲しく無価値な情報発信になる。

でもね~良いサスが入ってるバイクって、タイヤを高性能なものに替えると、振動特性とか路面からの突き上げとか、細かなフィールも変わっちゃうケースがほとんどなんですよ。これが純スポーツバイクなら

「一に性能!二に性能!!三四がなくて五に性能!」

「快適性なんていーーらないっ!!」


って、なかやまきんに君みたいに絶叫してれば良いんですけど、乗り心地やフィーリングも重要な要素の一つであるストリートスポーツの場合、新たなタイヤをベースに「乗り心地やフィーリングをどう再構築するの?」というところが課題として浮かび上がってくる。そして、そこの細かな調整に本領を発揮するのが、オーリンズのような高性能サスでもある。

CB1300のSPモデルのようにクッソ性能が高く、調整がきめ細かにできるオーリンズが入っておりますと

「うふふ♡私の純正はロードスマートだけど、オーリンズ様がこのタイヤで満足できるとお思いかしら?もっともっと良いタイヤも履けるのよ♡良い奴に変えてくれてもいいのよ♡」

って、バイクがクネクネとおねだりしてるように感じる。でもねぇ。ホンダってここからが変なメーカーで、「よぉーっし、お父さん頑張っちゃうぞ!良いタイヤ入れちゃうぞ!!」って盛り上がっても、「超ド変態特殊タイヤサイズ」が採用されてて、他のタイヤ選択肢がほとんどないのですよ。

つまり、そのサイズのロードスマートって、もはやCB1300の専用開発みたいになってんですね。それをさらにオーリンズで追い込んであるとなると、タイヤとの相性レベルはルパンと次元、ミオリネとスレッタのようなレベルになってると予想できる。そこまで完璧に練られちゃうと変えられない気がしませんか?GLもタイヤ選択肢がほぼなくて、サイズがあう選択肢の中からお高いクルーズテックを入れてはみたけど、トータル的な相性でほぼ専用開発の純正エグセドラには及ぶべくもなく、また元に戻すってことになってます。これはタイヤの性能云々ではなく、煮詰まった相性の問題なんですよ。

ここら辺、まさにホンダの特有の「釈迦の手のひらから出られない感」が炸裂してるといいっていいでしょう。

しかし、モノは考えようで「はぁ?お釈迦様の手のひらってメチャ広いじゃん?その中で楽しめれば十分じゃん?」って割り切ってしまうと、ホンダほど脳死で身を任せて乗れるバイクはない。ロートルになると、巡り巡ってバランス型ライダーになり、ある部分の能力をかさ上げするなら、「かさ上げした状態で綺麗にバランスしなくちゃダメじゃない?」と考えるようになってくるから、バイクの完成度が高いほど「これでいいじゃん。手を入れるとおかしくなりそうだし・・」ってなるんです。F6Bを購入して以来、ホンダのバイクに毒されて、思想的に染まってしまったところもあると思うけど、そういうバイクがあるからこそ、ハーレーやモトグッチが楽しいってのもあるわけです。

うちの※のじゃ子は今年2月に走行距離12000kmを超え、2セット目のGPR-300にスリップサインが見えてきて、「さぁて・・次のタイヤをどうしようかにゃ・・」ってのが悩みのタネだったんですよ。GPR-300の乗り味と、「ちょっと性能低めのタイヤをトラコンをフル活用してシゴきまくる」というパフォーマンスに特段の不満はなかったので、これを三たび入れるという選択肢もあった。しかし、現状を唯々諾々と受け入れてしまうと「退化するだけの萎びたライダーになってしまう・・」という懸念もあり、一念発起してデリバリー間もないPOWER6を入れてみたという次第です。

そう、エクセドラに引き続き「釈迦の手のひらからの脱出を試みた」わけですよね。

まずは、当初履いていたGPR-300がどんなタイヤかであったか?ってことを解説しておきましょう。このタイヤは、中型バイクに純正装着されてることが多く、大型では大ベストセラーのZ900RSが履いています。ちまたでは「完全無欠の街乗りタイヤ」って評価のようですが、私的には「ほぼ日本特化型の公道用ラジアル」っていう印象です。200km/h以上の速度域を切り捨てた上で適正を作り込んでるタイヤ。中型バイクやネイキッドバイクに装着されている理由は、性能が低いというより、小中排気量車やカウルなしバイクは、このタイヤがカバーしてる速度レンジを超えることがないからでしょう。

ワインディングを走った印象としては、現代のスポーツラジアルみたいに潰すと旋回力がぐんぐん出てくるという特性ではないし、グリップはするけど、トラクションかけると割とアッサリヘリまでいってしまうから、比較的根を上げるのも早い印象。※のじゃ子のトルクですと、コーナー立ち上がりでトラコンランプがピカピカ介入いたしますから、全体的にあまり無理させず、サラリと乗るのが良い感じのタイヤです。

ちなみにダンロップではこれより上のスポーツラジアルに、ロードスマートとα-14があり、GPR-300はラジアルタイヤのヒエラルキーでいうと一番おとなしいタイヤで、価格もお安く、お財布にも優しい。

それに対し、今回のミシュランのPower6はミシュランの誇るサーキット用タイヤ「POWER GP」とか「POWER CUP」の公道版。いわゆる純スポーツラジアルです。肉野郎が赤目の攻撃色になってバンザイポーズでカポンカポンしてる感じですね。

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(これがミシュランの第六チカラ肉ことPOWER6)

ミシュランの公式から市場アナウンスを引っぱりますと、

優れたグリップ力とコントロール性能を発揮し、スポーティーな走りを実現するハンドリングと俊敏性を兼ね備えています。

モータースポーツで培ったノウハウを惜しみなくフィードバックしています。

と自信満々。もはや煽り文句からしてスポーツ全振りじゃないですか。ただ、このタイヤはストリートトリプルRSで3年つきあったスパコルSPと違い、「サーキットと公道兼用」ではなく、純粋な「公道用」ってアナウンスになっている。

「公道とサーキットでは、タイヤに求められるものは大きく異なる」と私は考えていますから、公道用とサーキット用で明確に区分けしたミシュランの考え方には大いに共感できるところです。まだまだインプレも少ない銘柄ですから、「人柱としては丁度良いかな~」ってところもある。ちなみにこの前、県内の海外ディーラーが集った輸入バイクの合同試乗会に参加した際、デイトナ660がこのタイヤを純正装着してて、なるほど、なるほど・・と妙に納得いたしました。

海外製はメッツラー、ピレリと味わってますから、「久しぶりにミシュラン行ってみるかな?」ってのもありましたね。

タイヤ交換したのは2月の頭で、その時期の外気温は5度。交換して一発目の印象は「ポジションがリア上がりになったな・・」ってことと「タイヤが固ぃぃぃいい!!」っていうものでした。動的フィールは悪くなかったんですけど、ステアリングにエンジン振動がビリビリくるし、リアの突き上げも酷い。

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(交換したのは2月の頭ですから、もう3ヶ月以上も前。これは電動空気入れのマキタちゃんを担いで出張ったタイヤ初乗り時の写真です。見るからに寒い。)

性能云々を語る以前に「巡行時の心地よさ」が大きくスポイルされる結果になってしまったんです。うーん、予想はしていたとはいえ面倒くせぇことになった・・。

HAWK11の指定空気圧は現代のバイクのトレンドともいえる前2.50、後2.90。POWER6も最近デリバリーされたタイヤですから、このトレンド値であらかた適合するはずと踏んでましたけど、指定空気圧ではやたら固い。海外製のタイヤって、おろしたては他人行儀なことが多いんですが、その中でもかなり身持ちが堅い印象です。こんなので数百㎞もガマンできませんから、リュックにマキタの電動空気入れをツッコんで、走りながらとりあえずの落とし所を探るということになりました。

交換時には外気温が5度くらいしかなかったこともあり、いろいろ検討した結果、空気圧を前2.45、後ろ2.80に落してみました。これでステアリングに伝わるエンジン振動が許容範囲になり、リアの突き上げも許せる程度になりました。フロントをデイトナ660の指定空気圧である2.35まで落して見ましたが、倒し込みが眠くなる感じがして、また上げてます。リア上がりなどの根本的な問題は解決しておりませんが、新品タイヤの固さがとれて本調子になるまで、これで粘ることにしました。

そんな生煮え状態で2月はタラタラ走っておりましたが、3月に入り1日だけ気温が20度を超える日があったんです。タイヤをシゴくならここしかないということで、朝5時に飛び起き、湖畔道路でちょっとだけ頑張ってみました。するとどうでしょう。

「カチカチだった筋肉がようやくほぐれてキマしたわぁ・・」

やっぱこういうタイヤは、一度強めのマッサージを入れてやらないとダメみたい。

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(こちら、私のホームコースの一つである湖畔道路を走った直後の第六チカラ肉。この一発でかなりしなやかになりました。)

ほどよくほぐれたところで、まずはもう一度指定空気圧に戻し、いよいよ調整を開始します。指定に戻した理由は、タイヤにアタリがついたし、外気温も上がってきたしで、調整は基準値の指定空気圧ではじめようってことです。

調整っていっても※のじゃ子のサスは減衰調整がないので、やれることは「プリロードとタイヤ空気圧のみ」というシンプルさ。まずはプリロードで調整し、さらに微調整が必要なら空気圧でって方針でいきます。

この手のスポーツタイヤは250km/h以上の速度域に対応するべく、運動筋でパッツンパッツンになってる筋肉バカの殴るマンですから、鍛え抜かれた肉の鎧のせいで乗り心地はほとんどのケースで悪化します。公道専用のPOWER6はスパコルに比べれば衝撃吸収性は随分マシに感じるけど、ジョガーみたいにアベレージが低いGPR-300に比べりゃそりゃ固い。その固さを受け入れて、ムキムキ感に酔いしれるのもアリですが、乗り心地を維持したければ、タイヤが固くなった分、どこかを弱めてバランスさせなきゃなりません。

とりあえず、尻上がりで突き上げてくるリアのプリロードを一段抜いてみました。するとなんということでしょう。ワンクリックで車高も乗り心地もほど良いところに落ち着いてしまった。「プリロード一段で何が変わるの?」って思われるかもですが、速さ以外の価値を求めた大人のスポーツバイクは微妙な感触こそが命。そこを雑にしちゃうと存在意義がなくなって、ミドルや400で良いんじゃね?ってことになりかねない。そのため、細かいところの満足感をネチネチ追い込むことになるんで、そこがピッタリくると達成感があるんです。

ではフロントはどうかというと、いろいろと試した結果、プリロード4分の3回転抜きで落ち着きました。乗り味の固さというより、ステアリング振動の尖りを心地よいところまで減衰させる必要性からこうなってます。これ以上抜くとエンジン振動が薄くてつまんないし、これ以上だとうっとうしいってことで。そこら辺に落ち着いた感じですね。

ダイナにオーリンズ入れたときも問題になったんですけど、ステアリングに伝わるバイブレーションって、フロントサスやタイヤの固さによってかなり影響を受けるんです。特にデリケートで良いサスは路面の状況をステアリングにちゃんと伝えてくる反面、エンジン振動もちゃんと伝えてくるってことになる。

多気筒エンジンはともかく、大排気量ツインは「振動を心地よさに変換している」ところがありますから、それでスポーツしようとすると走行性能を上げつつ、エンジンの振動伝達の気持ちよさも維持しなきゃならんということになります。でも、これって相反する要素なんじゃないかな?って思うんですよ。HAWK11は心地良いエンジン振動とスポーツ性を上手く両立しているバイクですけど、これ以上サスやタイヤを固めて性能を上げようとすると、アフリカツインのエンジンの心地よい鼓動が、逆にガマンの対象になっていく気がするんです。

私がダイナにマラソンウルトラ入れ続けてるのも、他のタイヤ入れると振動特性が変わり、また微妙にサス調整しなきゃならないからですが、ダイナのノーマルのフロントサスではこんなことはありえませんから。ノーマルサスはフニャフニャの不感症野郎で、どんなタイヤでも入れっぱなし、履きっぱなしでOK。振動がなく滑らかな多気筒エンジンでも、あまりこういう問題はおきないと思う。よくハーレーがエンジンの鼓動が~っていっているけど、鼓動を尖らせれば車体を丸くしなきゃならないんで、突き詰めた性能は期待できない。バイクのカテゴリーによっては不感症がプラスになることだってあるってことで、なんとも奥が深い世界です。

ということで、春を迎える前までに車体側の調整はほぼ終わりました。後は私のホームコースでシゴきまくってインプレするだけ。5月に入ってからは、路面状態も良く、ワインディングを走る機会もそこそこありましたので、その印象もお伝えしていきたいんですけど、既に調整編で6000字を費やしておりますので、前後編にせざるを得ない。

POWER6の実力やHAWK11との相性については、後編でお送りしたいと思います。次回はいよいよ※のじゃ子さんが走り回りますので、乞うご期待。

※のじゃ子2.1.4
(今回はかなり肉々しいブログになりましたが、スポーツ女子※のじゃ子さんの見事な腹筋回りをお楽しみください。)