2月のホンダコレクションホール特集で無双したおかげで、ブログを飛ばされまくっていたきんつば嬢さんが久しぶりの登場です(笑)

20241124_144316500(5月に秋ツーリングの写真。季節感が皆無です。)

きんつば嬢といえば私のブログでは「マイナートラブルの化身」などと不名誉な称号を与えられていて、販売店との間を定期的に往復するバイクとして定着しているわけですけど、この2ヶ月の間でも以下の2つの理由でディーラー入庫しています。

①昨年にも報告したドライブギア固定ボルトのリコール

②ヒルクライムアシストの警告ランプが点滅するトラブルの再発


いや~困ったもんだ・・。

ドライブボルトのリコールについては、ソコソコ大手術なので11月の車検のついでに直して貰おうと考えていたんですけど、HAWK11のタイヤ交換をしたときに、

「HAWK11と入れ替えでゴールドウイング置いていきませんか?忙しいシーズンになる前にリコール対応しますので」

ってことだったので、お願いしました。

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このリコール、カウル全部外して、オイルも抜いて、なかなか大変な作業だったみたいっすね。

2週間ほどで整備が完了し「取りに来ていただいても大丈夫ですよ~」って電話が入りましたが、仕事も立て込んでたし、雨模様でなかなかバイクを取りに行けなかったんですよ。そうしたら、ドリーム店から電話があって

「オィィィィィイイ!!春先でバイクがたくさん入ってくるこの時期にゴールドウィングがデカすぎて倉庫を圧迫してるのだがぁあああ!耐えられんのだがぁぁああ!」

「んなこと言われましても、動けないのでございます・・」

「んあぁぁああ!!ご自宅まで届けます!届けさせてください!お願いします!!」

って泣きの電話があり、仕事終わりの夜7時30分に自宅ガレージに納車していただきました。いや~、ありがたや。でかいバイクもたまには恩恵がありますな~。

ゴールドウィングが新型にフルモデルチェンジしたのが2017年ですから、もう8年ですか。多くの人がガンガン乗っているからこそ、このような機械的な問題点が発見されるわけで、人柱になってくれたお方には感謝のしようもございません。

ホンダって「信頼性が高い」といわれているメーカーですが、これは設計がしっかりしていることと、長期にわたってネガ出しをして、細かく改善していく姿勢も大きいと思う。CB1300に至っては、全国の数多のライダーと白バイ警官達が総出でネガ出しをしてきたわけだから、機械的にはもはや「信頼性オバケ」と化しているといってもいいでしょう。

あ、ちなみに私、ここ最近CB1300を集中的にヨイショしてますけど、これはファイナルを迎えたからですね。

4気筒で1300ccという大排気量を抱えながら、環境規制のハードルを根性で乗り越え続けているのは、もはやハヤブサとCB1300くらい。ハヤブサは爆速ハイウェイスターですが、CB1300は街道の星。多くのベテランライダーや交通機動隊の足となって幾星霜。

この私めもCB1300の白バイに罰金納税を求められたことは幾度もある。もうね。その度にCB1300が「連邦の白い悪魔」に見えたものですが、ディスコンが決定した今となっては、我々世代のバイクシーンを支えてくれたスタンダードネイキッドの偉大な一台という認識です。そんなモデルの販売終了にあたって、いちブロガーの私にできることは

「褒め殺し」

しかございません。そこで、最近は街宣車級のボリュームで、意識的に褒めにいっているというわけです。

なお、この手のスペックに出ないところで営々と積み上げられた機械的信頼性ってのは、動的質感につながってるところもあるから、私にとって結構大事な要素だったりする。バイクって、「コイツは耐久性高そうだな・・」っていうのは乗ると何となくわかるんですよ。その中でも、明らかに耐久性バカといえるバイクがハーレーで、とにもかくにも重厚なる乗り味。その根拠は極めて明快で、

「全ての部品が分厚く重い」

この、タネも仕掛けもないわかりやすさよ・・エンジンは物的質量のあるピストンを巨大な爆発力で押し下げ、重いクランクをゆっくりと回すという古典的なロービート。「これが長持ちしなかったら何が長持ちするの?」ってフィーリングですよ。

そして、シャーシ。これも素材的な重厚感がヤバい。「振動?ははっ、その程度じゃビクともしないゴリマッチョな車体を作れば良いじゃない!」って豪快に開き直っておられます。距離乗っても味オチだって全然しない。だって、元がケチャップ、タバスコ、マスタードのジャンク調味料をまとめて秘伝のタレにしたような味わいで、楽しむのに細かい味覚なんていらないようになっている。これはですね。物理で殴るアメリカ型脳筋主義ですよね。工業力と資源の豊富さにモノをいわせた力業。でも、そのネガを含めて楽しむのがアメリカン・クルーザーの醍醐味なんですね。

この「物理で殴る」の見本のようなハーレーに対し、ホンダのリッタークラスの長持ちフィールって、ちょっと違うんですよ。

ホンダのリッターバイクはよほど攻めたモデルでない限り、機械的な余力をタップリ残してて、そこが長持ち感につながってる。昔乗ってたF6Bは109馬力しか出ていなかったけど、「これもうちょっと回せばとんでもない馬力出るでしょ?」ってエンジンを上限6千回転で止めてるってイメージがありました。

CB1000ホーネットもCBRのエンジンから50馬力近く落しているけど、エンジンに無理をさせなきゃ耐久性は飛躍的に高まる。スズキのK5ベースの市販エンジンだってデチューン分の余裕と機械的熟成期間を考慮すれば耐久性の高さはあきらかです。

ホンダが近年大型モデルに積極的に採用してるユニカム機構も、公道エンジンとしての適正化を狙う発想の最たるものだと思います。ユニカムが良いのは軽々と回りつつ、「このバイクはここまでにしといたろ!」というデチューンエンジン特有の「出力抑えました感」がないところ。「おいしいところはしっかり出し切りましたよ♡」ってエンジンが伝えてくれるから、フラストレーションが少ないし、エンジンを尖らせ過ぎると車体もそれに合わせて尖らせなきゃならない。ユニカムで自然にバイクと乗り手を中速寄りに振るのが公道で走る上でのツジツマとしては丁度良いと私は感じるんですよね。

いずれにせよ、どんなに乱暴に扱っても、エンジンが頑張りすぎて心臓がきゅーっとしてくる感覚はないし、振動は出るにしろ、その振動自体が完全にコントロールされていて、エンジンが暴れる印象もない。「十二分な性能を出しつつ、必死さがない」ところが、耐久性や信頼性を感じる理由になっている気がします。

ホンダって80点主義といわれますけど、あちらを立てればこちらが立たなくなるオートバイの世界で、いろんな部分を高いレベルに統一するのは、非常に難しいことだと思うんですよ。ホンダはトータルバランスを重視しつつ、各々の指標でも他メーカーに負けないレベルを目指してるフシがある。当然、すぐには達成できなくても、時間をかけてジリジリとそこに到達する。この手の無理難題を達成するべく、ああでもないこうでもないと揉まれ、叩かれた結果、生まれたものって、やっぱ使いやすいし

「フィーリングに人格者めいた風格」

があるような気がするんです。まるで、大沢たかおの王騎将軍みたいに

「そうですねぇ・・(笑)」

「ンフフ・・どうでしょうか(笑)」

「せいぜい頑張りなさい。わらべしん❤️」

と薄ら笑いしてる感じなんですよ。

大沢たかお
(大沢たかおの当たり役「王騎将軍」。穏やかな笑顔とオカマ喋りの中に漂う男気と強者感がステキ。)

モデルライフも長く、他がどんどんギブアップしていっても、最後まで笑顔で立ち続けてる。時代が流れ、もの作りが変わってゆき「こんなバイクは今後もう作れないゾ」ってところまで、ピン立ちしてるからこそ、最後の最後でファイナルエディション祭りができたりするわけです。

なお、この手の大将軍の風格って乗り手に対しても存分に発揮されてます。バイクが乗り手の能力を完全に上回ってるくせに、とてもアタリが優しく、好き勝手させてくれるんですよ。このため

「お釈迦様の手のひらからまったく出られない」

ような気分になることもあり、それがイケイケの人達にはウケない理由かもしれない。しかし、年を食って天国に近くなればなるほど、自我が消え、その手の偉大なものを「ありがたや~、ナマンダブナマンダブ♡」と拝むようになるんです。人間って不思議ですね。

ゴールドウイングはそんなホンダの中でも、CB1300と別の意味で

「安心感と耐久性と信頼性のバケモノたれ!」


ってモデルです。

なんせエンジンの耐久性は30万㎞。今回のリコールについても、とにかく「砂漠のど真ん中で立ち往生するような要素は全て根絶する」というホンダの執念を感じる。アメリカ社会ではホンダは消費者訴訟の狙い撃ちを食らうから、鉄壁の守りを敷いてるところもあるでしょうが、やはり使用環境や使われ方がそれだけ過酷なんでしょう。耐久性に関しては、もはや日本とスケールが異なる土俵で勝負していて、各部のパーツにもそういう余力というか、重厚感を感じますよね。まさに大陸横断型グランドツアラーです。

そんなゴールドウイングは乗り手への各種おもてなしのために、いろんな便利機構を満載しているわけですが、これだけ機能が多岐にわたると、不具合発生率も上がりますよね。今回のヒルクライムアシストについてもそう。

ヒルクライムアシストは以前も警告灯点滅のトラブルがあり、これで2回目なんです。(その際のブログはこちら「ピーマンと警告灯」)前回はクラッチだったかブレーキだったかのスイッチを交換したら治ったようなので、また今回もそこが原因なんだろうと推測してますが、こういう端役的な機能のトラブルでケチがつくのは実にもったいない。

ヒルクライムアシストなんて納車直後に、「んんん、どんな機能なのかにゃ~」と確認のために一度だけ作動させて、「おお!なるほど!なるほど!コレはいらないですっ!」となってから一度も使用しておらず、もはやどうやって作動させるのかもわからないわけですよ。そんな機能がぶっ壊れたところで痛くも痒くもないのですが、作動表示が蛸メーターのど真ん中にあるため、不具合が生じるとイエローの警告灯がビカビカ点灯し、乗り手のメンタルを削ってくるんですよ。もうね。私にとっては「トラブル警告灯のウザさこそが深刻なトラブルである」という悲しい倒れ込みになっている。

細かい機構を満載するのを別に否定はしないけど、便利機能が複雑化し、盛りだくさんになればなるほど、トラブルの要因も増えるし、新車価格も上がり、メンテ費用もかさむ。良いことばかりじゃないんですよね。また、乗り手を過度に甘やかすことにもなり、本来ライダーとして、できてしかるべきことができなくなっていく弊害もある。そもそも坂道発進ができないライダーがゴールドウィングを選ぶことが想定されてるの?って感じもするけど、お金でイージーさを買う時代なのかもしれない。

ただ、私にとって特段求めていない機能を搭載し、そこがトラブルというのは、メーカー自ら維持と信頼性のハードルを上げ、首を絞めるだけで、乗り手とメーカーどっちのプラスにもなっていないようにも感じるんですよね。

私が力説したいことは、私にとってゴールドウィングが便利なのは、デイキャンプツーリングをするための十分な積載能力があり、聖帝様と安楽な2ケツができ、寒さに強く、乗り心地が良く、エンジントルクがバブ味に満ちてるというバイクの本質的な機能からきているもので

ハイテク便利機構のあるなしと1ミリも関係がない

ってことです。便利機構を盛りに盛ったバイクが増えてるけど、それってきっと本質ではないんです。過剰装備が昔のカタログ馬力のようにもてはやされる中、乗り手も便利さの本質を今一度問い直すべきなんじゃないかな~とも思ったりしてる今日この頃です。

ということで、現在きんつば嬢は「ヒルクライムアシストは二度死ぬ」という映画のようなトラブルでホンダドリームで修理中。すぐ戻ってくるとは思いますけど、バイクシーズン真っ盛りの入庫で、結構頭が痛い。便利機能のトラブルに足を引っぱられつつも、私にとって、頼りになって便利極まるバイクなんで、バイク自体の評価はまったく揺らいでないんですけど(笑)



(オマケ漫画「有能メイドのストライキ」)
きんつばヒネる2
(便利で頼りになるバイクがヒネてハンストを起こすと、バイクライフが途端に制限されてしまうから、非常に困るんですよね。当然ですが買い換えなんかいたしません。)