全国のロケットカウル戦闘団HAWK11部隊員の皆様!お元気ですか?世界の片隅からHAWK11をひたすら推していく、へっちまんのモーターサイコルです!

HAWK11といえば、先日とある方から「HAWK11のメタルエンブレムのカプセルガチャが存在するらしい」との情報が入り、HAWK11愛好家として、「これはゲットせねば~!」ってことで、県内を探索してみたんです。でも、残念ながら既に設置期間が終了していたようで、どこにもなかったんですよ。やむなくネット通販で売りに出されていたHAWK11のメタルエンブレムを購入。ガチャ1回が400円のところ、1個650円でしたのでガチャ回すよりもお得だったかも。

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ちなみに、カプセルガチャなので、何種類かのエンブレムがランダムに出てくるわけですけど、その種類がこちらになります。

バイクメタルエンブレムコレクション

いや~、ここにHAWK11入れるってのは悪意すら感じられますな。だって、これら7種のエンブレムをガチャ回している人目線で分別するとこうなるじゃないですか。

①ユーザーがクソ多い&歴史的名車のアタリ枠

→ハンターカブ、クロスカブ、CB400スーパーボルドール、VFR750R

②ユーザーから見てもエンブレム化は妥当だよね&まぁ出ちゃったからには持ってても良いかな枠

→VTR、CRF250ラリー

③オィィィイイイ!!こんなわかりやすいハズレ枠があるのかなぁああ!!

→HAWK11

オーナーから見てもこうなんだから、一般のガチャやる人達からすれば、

「ギャァアアアア!!400円払ってよりによってHAWK11キタァァアア!」

「どうすんのコレェェエエ!?」

ってことになりますね(笑)

買取業者に売りに出しても、「HAWK11?はぁ~?そんなバイクありましたっけ?あ、発売2年でディスコン?それエンブレムにする必要あったんですかねぇ・・?まっタダ同然でいいなら引き取りますが?」ってとりつくシマもないことが予想される。

いや~ガチャに挑む多くの人々を、我がHAWK11が悶絶させているなんてメチャ快感ですな。

「クハハハハハハ!使いようのないHAWK11のエンブレムを抱え、震えて眠るがいい!!」

企画側が混入したハズレ枠が痛くもかゆくもない私にとって、これはお宝ガチャみたいなもんだったのですけど、回せなかったのは残念です。

前置きはここまでにして、今回のお題は何か?と申しますと、HAWK11のデザイン再考です。バイクのデザインってのは、発売中は

「売れてる=良いデザイン」

「売れてない=悪いデザイン」

という概念に引っぱられがちになっちゃうんですけど、そもそも沢山売ることを前提としていないHAWK11に、そういう視点からの議論は極めて不本意なところもあったわけ。しかし、昨年末、晴れてカタログ落ちとなり、前々回のブログ「HAWK11伝説になる」で、販売的には「歴代爆死勢の仲間入りをしちゃったの♡」って報告もできましたので、そろそろHAWK11のデザインの私的再評価をしてもいいのかな~ってのが今回のブログであります。

ちなみに私はCB1000Fのデザインを語るにあたって、「日本的ネイキッドの文法を守って欲しい」と力説しておりました。その一方で、コンサバもクソもないHAWK11のデザインを諸手を挙げて支持しているってのは

「どう考えても矛盾してるんじゃね? 」

って指摘される方もおられると思う。でもこの2台は水と油ですから、同じ土俵で論じることはできないんです。つ~かね~。自分のバイク以外で私がデザインについてギャーギャー言うのってCBとZくらいっすよ。私みたいな枯れたオッサンは刺さるバイクってほぼ限られていて、自分のバイクだけで手一杯だから「刺さらなければ、ほぼ無関心」なんです。でもこの2車種は日本のバイク乗りとして、さすがに興味ないってわけにはいかないでしょう。リッタークラスのカワサキZやホンダCBって落語で言うと「真打ち」ですから。

真打ちってのはその門派を代表する存在ですから、新しい価値観を取り入れつつ、「バイクの持つ伝統的な精神性」を未来に受け継ぐ責務がある。だから初代から今につながる「CB的なものの延長線上に位置すべき」という考え方にどうしてもなるんですよね。で、その精神性ってなにか?っていうと、消費者にとって一番わかりやすいのはスタイリングなんです。

だって乗り味って借りて乗ってみないとわからないけど、デザインは見ただけでわかりますからね。「心は形にはまる」って言葉もありますけど、日本人は「形の中に精神が宿る」みたいなところを大切にする傾向があると思う。時代が進化する過程で中身は変わるのはしょうがない。でも、伝統的な美しさを変えないことはそれなりに重要なことじゃないかと私は感じているんです。例えば、時計の世界も一部の定番モデルは中身の機械は変えてもガワはほとんど変わらない。それは、「変わらない伝統や文化、長い時間軸の中で作られたアイデンティティを顧客が求めている」からに他ならないんですね。

私がダイナやモトグッチV7、CB1100EXを購入したのは「そこに各々の国の古き良き伝統的な文化の香りがある」からです。トラのボンネビルやスピードツインが日本で人気なのも、そこをハズしてないからでしょう。ちなみに私は水冷エンジンに空冷風の仕上げをするスケベ心は好きじゃないけど、トライアンフの空冷フィンに文句を付けるつもりはありません。あれは水冷エンジンを空冷に見せたいのではなくて、精神は形に寄り添うという考え方を地で行くもので、伝統的な精神性を形で表現してるのですよ。だから、下手な空冷バイクより空冷フィンをしっかり作り込んでいるし、インジェクションも昔のキャブ風の形にしたりで、やたらコストをかけている。それは水冷になってもなお、「過去のデザインへのリスペクトを持ち続ける」ということであって、スケベ心とは本質的に異なるものです。

そんな目線で日本のバイクを遡ると、原始的なバイクのイメージを作っているのは、紛れもなくCB750FourとZ2なんですよ。だからこそ、多くの人がその後継のデザインにこだわるし、自分達の持っているイメージや文法の中でものを語る。我々の心が「こういう形にはまりたいんだ」って求めているから、皆がそれを吐き出しているだけなんですね。

しかし、HAWK11は、私自身「マ・クベの同人誌」と形容しているように、市場評価を得るために作られたバイクではありません。当然伝統などという面倒臭いものは背負ってないから、評価軸はCB1000Fと180°変わってくる。

そもそも商業誌と同人誌の一番の違いは何なのか?それは評価する審査員が違うんですよ。

商業誌は金を出す顧客の評価

同人誌は作り手自身の満足度評価


です。

同人誌って作り手の熱い想いがガーッと溢れてきて、描きたいものを吐き出した結果生まれ落ちたものですから、本質的には同じ性癖を持つ人達の内輪ウケなんですね。昔の同人誌は「山なし、オチなし、意味なし」を略して「やおい本」などと言われていましたが、そんなものでもいいんです。重要なのは

「作り終えて満足できたか?」

「吐き出したいモノを吐き出しきったか?」

「生まれ出たものはピュアであるか?」

ってところです。私のブログもこれと同様、ランキングとか閲覧数がどうのというより、「私が満足できるものを作れたか?書きたいことを書けてるか?」が重要で、アップした瞬間に全てが終わり、その後の評価って割とどうでも良いんですよ。


マ・クベ2-3


過去に目を向けると、市場の意向をガン無視し、同人誌のような製作体制で作られたバイクの代表格って、スズキの「GS1200SS」が思い浮かびます。これはスズキ社員が大好きな8耐レーサーをこの世に召喚せしめようとしたものでした。夢に全振りだから、油冷エンジンのイナズマに8耐レーサー風の外装をつけるという、熱量だけのコスプレ仕様。しかしそれ故に「スズキ愛一本勝負」ってのが明確になっていて、私の胸を打つんですよ。

GS1200SS
(「こんなのは耐久レーサーじゃない!本物じゃない!」って批判するのは簡単。でも創作物なんてもっともっと自由で良いと思う。GS1200SSは周りは必死に止めたけど、「うるさいのよ!私はこの子を産むわ!」って熱量だけで出産したところが素晴らしい。)

そんな同人誌バイクの雄GS1200SSがディスコンから23年の時を経てどうなったか?こいつは菌王(B-KING)と並び、「スズ菌感染者にはたまらないバイク」として、実に高い評価を受けてるわけですよ。根強い支持があるにもかかわらず爆死バイクならではの希少性もあるから、中古市場価格は名車並みに高騰。当初は性能がたいしたことないとか、流用だとかで叩かれていたとしても、バイクの進化と共にそんな評価は自然に風化していく。その一方で、GS1200SSが体現しようとした「8耐マシンの夢」ってのは決して風化しないんです。そう、長い目で見れば、プロダクトの持つ風化しない何か?によって、バイクは評価されるようになっていくってことなのです。

そういう目線から、HAWK11のデザインについて語ると、コレは濃いですよ~(笑)量産バイクの常識ではできないことをいろいろと組み合わせてやっているので、ロケットカウルからサイドビューから、リアカウルから、果てはミラーまで、全てにおいて論争だらけ。そもそも「アドベンからセパハンスポーツを作っちゃう」というバイクの成り立ちを受け入れられるか?ってところから評価は真っ二つに割れてます。

HAWK11ってアフリカツイン流用で、「全然ヒネリがない」って思われてるかもしれないけど、アドベン→セパハンスポーツっていう、そもそものコンセプトが「あり得ないくらいブッ飛んでる」わけですよ。そんなトンデモ発想のバイクから、常識的なデザインが出てくるわけがない。そのコンセプトを受け入れた時点で「このバイクのデザインに常識論ってハナから意味ないな」って割り切りができちゃうところがあります。

登場当初は「こんなのHAWKじゃない!カフェレーサーじゃない!!」って言われてましたけど、あれってメディアが

HAWK11 = HAWKⅡの復活 = ネオレトロ

なんて刷り込みをやったからであって、現物は全然レトロじゃない。売りであるロケットカウルからして、複雑な三次元造形になってますから、逆に未来的までありますよ。バイク小屋に私のバイクをズラーっと並べて、正面から見ると、一人だけメチャクチャ美顔でビビる。そう、このFRPロケットカウルは、もはや市販品に装着されていて良いレベルではありません。なんせパーツ代が35万円もしちゃうわけですから。もうね。割れたら終わりの工芸品ですよ。

開発陣はこの理不尽極まる価格のロケットカウルを

「絶対に死守するぅぅう!!」

って頑張ったらしいですけど、私に言わせれば、これはまさに「マ・クベの壺」ですな。HAWK11を所有し続ける限り、日々眺めてナデナデしながら、「これはぁ~、いいものだぁ~」って、オーナーが悦に入ることができる強烈なアイコンなんです。私は死んで火葬されるときは、このカウルを頭に被り、人類史初のロケットカウル型遺体として荼毘にふされたいと考えているくらいですからね。

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(マ・クベよろしく、「このロケットカウルだけで、あと10年は戦える!」って言いたいところでしたが、2年でディスコン。結果はジオンの1年戦争を彷彿とさせるものとなりました(笑))

伝統的なバイクは普遍的な価値で記憶の中に生き残っていきますが、それと正反対のバイクは何をよりどころとして記憶の中で生きていくのか?それは強烈な個性と、今後出てくるバイクをもってしても決して上書きされない「何か」しかない。

ガンダムに僅か数話程度しか登場しなかったモブキャラのマ・クベが今でも高い人気を誇っているのは、「重度の壺好き」という強烈な性癖を持っていたからです。なんせモビルスーツまで壺に寄せちゃうくらいですから、もう病気ですよ。そして、それ以降どんなアニメにおいても彼のような「壺マニア」は出てきていない。だからこそ、ファンの記憶に焼き付くキャラクターとして長く君臨しているわけですね。

マ・クベの壺
(プレミアムバンダイでノリタケ監修の元で商品化された「マ・クベの壺」。価格は4万円でしたが注文殺到で抽選販売となりました。モブキャラのアイテムがこんな価格で市販され、あまつさえ抽選販売になるなど前代未聞。)

バイクの外装において、時代の流れに左右されないアイコンってなんだろう?って考えると、やっぱロケットカウルをおいて他にないわけです。だから開発陣はコストを惜しまず、FRPで作ったハイクォリティのロケットカウルをフロントに据えた。割れたときのことなんて考えていないのも、壺と同じです。どうせなら徹底的にやっちまえ!ってことで市販バイクには普通は入れないディティールもてんこ盛り。とにかく外装の大枠はひたすら尖っているわけです。

ただ、これはあくまで趣味人のための同人誌ですから、欲しい人が購入できる普及価格帯で出さなきゃいけません。FRPのロケットカウル外装にコストをかけすぎちゃった時点で、「他にはコストかけられない」ってことになるわけで、ここから真の苦しみが始まる。大枠以外の細かな部分は節約雑誌「素敵な奥さん」ばりにいろんなバイクから流用して成立させてるんですね。性癖を貫き通すために主婦の知恵のようなやりくりをして、生まれ落ちたのが、このバイクってことなのですよ。表紙カラーにこだわるあまり、金使い果たして2ページ目からコピー誌になっちゃった同人誌みたい。

アドベンチャーをセパハンスポーツに転用するのも、最小限のパーツ変更と、知恵出し&創意工夫でやっている。この流用の知恵を拾っていくのが、またなんとも味わい深いわけですが、そんなバイクを「商業ベースに馴染まない!」「流用だからダメ!」なんて叩いたところで、議論が噛みあうわけがない。

これまで書いてきたとおり、私にとってのHAWK11はホンダが出した「マ・クベの壺」です。このブログではメッチャ褒めてるように見えるかもしれないけど、それは幻想。ハッキリ言って、ド・マイナー宣言しているようなもんですから。そもそもマ・クベの壺がネタとして刺さる人なんて、一部のガンダムファン以外は、ほぼいません。

マ・クベはシャアへのライバル意識から壺の化身ギャンに搭乗し、ガンダムに挑みました。しかし、ニュータイプとして覚醒した主人公アムロにモブキャラが勝てるわけもありません。そんな彼は死を前にして「自分の愛する壺をキシリア様に届けてくれ・・・」って部下のウラガンに頼むわけですけど、

キシリア様は壺はいらないと思うし、マ・クベよりシャアが好きだと思う。

そんな悲しきスーパーモブ、マ・クベ大佐の性癖の象徴。それが「マ・クベの壺」なのですよ。でも、そういうものが受け入れられ、輝いてる世界って素敵だと思うんです。マ・クベの壺をネタにしてメチャ楽しんでいるアニメ業界には高い文化レベルと価値観の成熟を感じる。やっぱね。面白いものはどんどん受け入れていかないと、人生もったいですよ。

今回HAWK11はバイク業界に一石を投じたわけですけど、そういうバイクが今後も他メーカーから出てきてくれると、一定数いる変態さんの選択肢も増え、バイク業界も面白くなると思うんですが、なかなか難しいですかねぇ・・・スズキさん、最近真面目ですけど、ここらで一発やらかしてくれないですかね(笑)




同人誌「機動壺戦士ギャンダム」
マ・クベ
(最後はフラグの回収です。懐かしき1980年代のコピー誌風味でマ・クベ様同人誌の表紙を描いてみました。マ・クベ主人公のギャンダム、なんか教養番組みたいになっちまってます。)