皆さんこんにちは。そろそろ気温も暖かくなり、春の足音が聞こえてきましたね。

春の訪れにあわせて、この度ヘッダーを春仕様に変更いたしました。春になると人は浮かれて少し頭がおかしくなるといわれていますが、私みたいなキモいオッサンが、誰はばかることなくピンクを採用できるのは春だけです。

2025・春・スマホ鷹・下絵

(こういう下絵を出さないとAI絵じゃないですか?っていわれちゃうのが今の御時世。世知辛い。)

今のところヘッダーに関する最大の問題点は

「春夏秋冬をバイク4台で描き分けてきたのに5台になっちゃって、これからどうすんの?」

ってことですね。まぁ現状では春HAWK11、夏ダイナ、秋ヴィーセ、冬きんつばで確定してますから、※しび江さん※は、よっぽどの時以外はヘッダーには登場させない可能性が高い。だって、

着物の柄描くのを想像しただけでゲンナリするんだもの

ということで、2025年の春も昨年に引き続き「※のじゃ子さん」ことHAWK11がモチーフになってます。まぁうちのバイクの中では最軽量(214㎏)のスポーツバイクですから、元気度からいえば、一番であることは間違いない。塗りは冬ヘッダーと同じ。色の境界線を明確にしていくアニメ塗りです。

最近は全身絵をしっかり描くことを目標にしているので、今回は頭から足先までキッチリ入れました。これにあわせてスマホのヘッダーも縦長に設定。全身絵を描くとなると、必然的に人間観察が必要になるので、関節の繋ぎ方、人体の可動部なども研究しないといけないわけですけど、私は単細胞なんで、そんなのは段階を踏まないとできません。「ステップアップするには、ここ勉強しないとダメだね・・」という問題意識が生まれて、人はようやく学習するようになる。必要性を理解するまでは、真の学びに至ることはないのだと改めて納得しちゃいますね。こりゃ義務教育で勉強する気が起きなかったのも当然です。

イラスト描きとしての現状はそんなところですけど、ライダーとしてはどうなのか?免許を取って長い月日が経ちますが、こっちの方は何を学んで、何が向上しているのかイマイチよくわかりませんねぇ・・。

ただ、若い頃とはバイクの乗り方や選び方は明らかに変わってきたと思います。イラストと同じで、全体像や背景を含め、広い視野で見るようになった気がするんですよね。

免許を取ってしばらくは加速やコーナリング性能だけを重視する超近視眼ライダーで、

「このバイクは速いです」

「このバイクは遅いです」

というシンプルな評価軸しか持っておらず、実に大雑把な振り分け方をしておりました。馬力や車重、運動能力、スペックってわかりやすいし、基準が明確で優劣が簡単につきますからね。

若き日の私にとって、スポーツバイク=レーサーレプリカであり、スポーツライディングとは「猪木プロレスのようにストロングかつ、ストイック」なものでした。しかし、最近はいろんなものが吹っ切れて、心が軽やかになったので、どう走るか?どう楽しむか?というエンタメ方向に邁進しちゃってます。

ストリートトリプルRSで年甲斐もなく色気を出し、「我が青春のストロングスタイルを今一度!ふふふ、限定解除一発試験時代のライダーの実力をわからせてやるわ!!」なんて思ってましたけど、バイクのあまりの進化にジャイアントスイングみたいに振り回され、「ロートルだとわからされる」という返り討ちの結果になってしまった。「・・こりゃもう、ドン荒川みたいに、前座でひょうきんプロレスやるしかねぇな・・」って思いましたね。

2025・春・空・※のじゃ子・ぺんいれ(ペン入れ。カラーにするのでペンの強弱は少なめ。ここから色を入れていきます。)

そんなときにホンダから発売されたのが「大人のスポーツバイク」、HAWK11でした。そう、ここからようやく本題ですよ。いつもながら前置きが長くてすいません。

HAWK11はリッタースポーツでありながら、ストイックでガチな走りをするイメージがまったくありませんでした。まぁネットの専用ページのキャッチがいきなり「速くない、でも少し速い」ですから、競走馬としてはハナから終わってます

でもそれがどうだというのか?私みたいにボッチで穴場を走るライダーは他者と競争なんてしないんで、そもそも過度な馬力や戦闘力はいらない。それよりもっと大事なものがある。

私が走るワインディングって、地元の地の利を生かして、裏道みたいなところばかりなんです。交通量が多い道は車に邪魔されてスピード出せないから、とにかく寂れた道を選ぶわけ。でも、そんな過疎った山道は直線や高速コーナーより低中速コーナーが圧倒的に多く、道路整備の優先度も低いから、路面コンディションにはほぼ期待ができないんです。ひび割れあり、うねりあり、穴あり、浮き砂あり、流水ありで、とにかくハチャメチャなんですよ。でもね。

この日本において、バイク乗りが自分のペースで清々しく走れる道って案外そんなところばっかりじゃないですか?

とにかく一人になりたくて寂れ果てた道をホームコースにしている私と、今の本格的なリッタースポーツはマッチングが良くない。良路での高負荷走行を想定したタイヤとサスは、非常に繊細なのはいいんだけど、路面が荒れていると、その状況をそのまま乗り手に正確かつダイレクトに伝えてきてしまう。理想的な路面では美点になるはずのサスペンションの繊細さと固いバネが、アンジュレーションが多い田舎の悪路ではそのままネガになってしまうんです。

実際、ストリートトリプルRSは、高負荷対応の足回りが路面のアンジュレーションで跳ねまくり、腰が強烈に突き上げられていたんです。私は腰の崩壊を防ぐため、路面のハードバンプやアスファルトの継ぎ目、穴などを全て記憶するという対応をしていました。いわゆる覚えゲーですね。でもそれは初見の道じゃできないから、勝手知ったるホームコースだけに引きこもる結果を生んでしまった。走りは最高でしたけど、私の腰の弱さにより、その性能を存分に発揮できなかったんですよね。やっぱ、良馬場で鍛え抜かれたサラブレッドは良馬場を走るべきで、汚部屋みたいな環境で走らせるのって無理があるのでは?・・って、しみじみ身に染みた3年間でありました。

2025・春・空・※のじゃ子
(色塗りが終了しました。アニメ塗りはトーンと同じ感覚で塗っていくから、白黒絵師には馴染みが良いかもしれません。)

私の住んでいる自治体は貧乏街道まっしぐらですから、道を補修する余力などなく、交通環境は年々荒れていくばかり。しかし、そんな状況などお構いなしに、スポーツ系のリッターバイクは電子制御による馬力競争に走り、サスはどんどん固くなり、日本の路面環境とのギャップは広がる一方でした。

そこに突如として登場したリッタースポーツがHAWK11だったのですよ。

登場直後はアドベンチャーからの流用だってことで、随分叩かれていましたけど、私は日本の山道を爆走するスポーツバイクを作るのなら、アドベンチャーベースでやるのは全然アリだと思ってます。その感想は、※のじゃ子と2年半付き合った今でもまったく変わっていないし、このサスとシャーシの柔軟性の素晴らしさが乗る度に染みてきてる。でも、そのコンセプトを実行するメーカーは今後も出ては来ないでしょう。

だってリッターバイクって、排気量マウントに代表されるように「イキりの象徴」じゃないですか。特に高額なリッタースポーツはヒエラルキーの頂点で最強イメージ優先のところがあるから、アドベンチャーベースじゃ訴求力が弱すぎます。だから売っていこうにもウリがない。下手なこと書くと自社のSSを否定するようなことになりかねないから、広報も実にやりにくいんですよね。つまり普通は協議するまでもなくボツ。企画会議が開かれてもこんな感じになるでしょう。

「え?アドベンチャーをベースにしてスポーツバイク作るんスか?」

「ああ、アフリカツインをベースにしてセパハンのロードスターを作るっていう企画が立ち上がってるらしい・・・・」

「いやこれ、骨格が完全にゴリラなんですけど・・鷹みたいになるんですかね・・」

「無理でしょう」

「欽ちゃんの仮装大賞かな?」

「それ、アンドレ・ザ・ジャイアントにマスクかぶせてマシン軍団に入れるみたいなもんなんじゃ・・」


ジャイアントマシン
(入場してきた瞬間に「アンドレ・コール」が起きてしまったという伝説のマスクマン、「ジャイアント・マシーン(笑)」。そもそも身長220㎝の段階で中身はアンドレ。マスクマンの一番の魅力である「正体が不明」の要件を1ミリも満たしていないから、マスクマンである必要性が皆無です。)

とまぁ、普通はこんな感じになりますよね。でもホンダは、大マジでアフリカツインをスポーツバイクに魔改造してきたんですよ。しかも、アンドレにマスクかぶせただけっていい加減なシロモノではなく、ちゃんとスポーツバイクになっていて、メチャクチャ素敵なロケットカウルを被ってるときた。擬態レベルが凄いどころか、過去に似たバイクがない超個性的なデザインになって出て来たんです。これはヤバい。

20250309_121941183
(見てよ。この写真映えするロケットカウルのグラデーションを。はぁ~、好き。いまだに、これが量産品とは信じがたい。この塗装と造形の質はいつ見てもヤバい。)

この世にネイキッドのシャーシをアドベンチャーに流用したり、ハナから共用前提で作りわけてるメーカーはあっても、純アドベンチャー用に作られたシャーシとエンジンをセパハンスポーツに魔改造し、少量生産の変態FRPロケットカウルをつけて販売するという力業企画を実行に移すのはホンダくらいでしょう。

しかも、その開発に勇退間際の大御所と若手のエースを投入していくなんて、開発体制からしてヒネりすぎ。ホンダのバイクにヒネリが欲しいというキャッチどおり、バイクと一緒に若手技術者をヒネリにいっているから、開発現場は阿鼻叫喚になっている。

最近発表されたV3電気ターボもそうですけど、ホンダってメカの面では他がやらないことにこだわるド変態メーカーなんですよ。売れ筋は真面目なバイクが多くて、あんまりそんなイメージがないって人もいると思うけど、それは「変態バイクは爆死しやすく、爆死するとすぐ引っ込める」からで、歴史を見るとそんな変態モデルを恐山の石のように積み上げていっています。

HAWK11もその系列で、普通の人には難解なバイクだと思うんですよ。だから発表当時はいろんな人から、もの凄く叩かれたんですよね。でも、それは多くの人がこのバイクを「サラブレッド」と勘違いしたからだと私は理解しています。

雑誌で見る試乗会は綺麗な路面ばっかりだけど、日本の地方道のほとんどが荒れている。そんな中で、「リッタースポーツ=専用設計のサラブレッド」という固定観念から離れ、常識外の発想でワインディングを走るリッタースポーツを追求したところに、このHAWK11の真の価値はあると思う。日本のワインディングをどう走る?って命題に、誰も考えないようなところからアプローチした発想そのものが、このバイクの個性であり、魅力なんですよね。

実際乗ってみるとこれがまたよく走る。跳んだり跳ねたりドンとこいの骨格を持つアフリカツインにスポーツシューズ履かせたみたいなもんですから、悪路にメチャ強い。旋回性能はグイグイ曲がるSS系モデルとは異なり、タイヤに無理させず乗り手が曲率に合わせて曲げをコントロールするような特性ですが、この自由度の高さが悪路によくハマる。サスのストロークも長くて「路面を捉え続ける能力」がバカみたいに高いから、余計な雑念がなく、曲げに集中できるんです。

荒れた公道路面でここまでリアタイヤが路面を捉え続けるセパハン前傾のバイクってちょっとないんじゃないかと思う。しかも270°クランクが生むトラクションで路面への駆動伝達能力もクソ高い。道を選ばない走破性はまさに「峠の妖怪」といえるでしょう。このバイクはお化けの出そうなマイナー道で、その本領を遺憾なく発揮するんですね。

結局のところ「公道でガチでスポーツしましょう♡」ってリッターSSを買ったところで、日本の道じゃ苦労を背負い込むことの方が多いんです。有名道を選べば路面は良いけど車が多く、マイナー道を選べば車はいないけど路面が悪い。どんなに理想を追ったとしても、ライダーが向き合うワインディングってのは理想環境からはほど遠いんですね。バイクは選べるけど、道と路面は選べない。それは国土が狭く、人口が多い日本を拠点とするライダーが、永遠に背負い続けるジレンマであるといえるでしょう。

HAWK11を購入した人達は、私と同様、理想主義者ではないと思うんです。過去に理想を追って苦しんで、「千変万化の公道に理想的環境なんて存在しない」という諦めに至った人が大半ではないでしょうか。理想が否定された環境では、理想とは異なるアプローチや発想で生まれたバイクがハマるのは当然と言えば当然です。

多くの人がHAWK11を「変なバイクだ」というけれど、私から見ると200馬力を軽く超えるリッターSS軍団と地方道の関係性はもっと変でイビツです。HAWK11はそのイビツさを、アドベンチャーをセパハン化するという強引な力業で埋めにいったわけですけど、なかなか見事にハマったんじゃないかと私は思ってますね。

現実を見るか、理想を追うか?人はいつか分岐点に立たされる。このバイクに乗っていると、

「理想より現実じゃろ?」

「いい歳になったんじゃから、見栄を張らずに楽しんだ方が良いじゃろ?」

「それが大人というものじゃろ?」


とバイクから、諭されているような気がするんですよねぇ・・。




・・・ということで、また長々とロートルが駄文を書き散らしてしまいましたが、今年も峠のヘタレ妖怪として※のじゃ子と共にいろんな道を駆け回りたいと思っております。

なお、※のじゃ子もいよいよ3年目に入りましたので、これまで散々お世話になってきたダンロップのGPR-300から、奮発してミシュランのパワー6に履き替えてみました。このタイヤのインプレは、私のホームコースで100㎞くらいシゴいてから、お届けしたいと思っております。


2025・春・スマホ・歌舞伎
(とりあえず2025年春のヘッダーが完成です。これは初期案の歌舞伎バージョン)


2024春ヘッダー下絵・スマホ+1
(こちら昨年のヘッダーです。昨年の段階ではアニメ塗りじゃなくて水彩塗りになってますね。)