「オィィィイイイ!!ホンダネタばっかりで飽きちゃったよ!他のバイクのネタ出してくれぇ!」

ってじれまくっていた方、お待たせ致しました!!今回は極めて少数の方にしか喜ばれない、モトグッチV7ネタであります。前回1月にブログアップしてから約2ヶ月。えらいご無沙汰でしたけど、まず最初に、現在のヴィーセの近況をご報告しておきましょう。

20250119_130736072(遙か彼方に霊峰白山。いよいよ北陸にも春の足音が聞こえてきました。)

現在走行距離9000㎞。先日レッドバロンで2回目のタペット調整とタイヤ前後交換(脳死で純正銘柄を選択)、4回目のエンジンオイル交換を行っております。レッドバロンは定期点検はオイル交換工賃も手数料に込みですから、オイルリザーブシステムに入ってると、基本オイル交換は全額タダ。オイル量僅か2リットルですから、「リザーブをさっさと使い切ってやれ!」とばかり交換しまくっています。あと点検はモトグッチの定期点検項目に準拠するよう、「タペット調整、しっかりやっといてね♡」って伝えておきました。そんなこんなで、購入して約1年9ヶ月、うちのヴィーセはマッタク故障のない健康体を維持しております。

もうね。維持費も手間も全然かからないし、消耗品のタイヤも安い。モトグッチの純正タイヤって新車時から溝が少なくて、「え~・・こんなのどこまで持つのかなぁ・・」って思ってましたが、いやー、普通のタイヤの常識で見てちゃダメでしたね。

「うぉぉぉおおお!!すげぇぇぇえええ!溝が全然減らねぇぇええ!!」

もうね。ピレリのスーパーコルサを消しゴムとするなら、こっちはまるで砂消しですな。結構なアベレージで気持ちよくワインディングを走ったと思うんですけど、しぶとく9000㎞も粘ってくれてビックリです。

「いや9000㎞って普通だろ?」

って思うかもしれないけど、あの溝の浅さで9000㎞も持つなんて、最近のトルクかけるとゴリゴリ削れるタイヤに慣れてる身にはミラクルみくるですよ。

ちなみにタイヤの名は

「アローマックス・ストリートスマート」


「おいおい、ダンロップだろ?ロードスマートの間違いじゃないの?ひょっとしてパチモンなのか?」

っていう人もいると思うけど、調べてみると、どうやらダンロップがおフランスで作ってる銘柄らしいんですよ。これがまた安いんですよ~。前後交換して工賃込みで3万6千円ですぜ?請求書見て、

「オィィィイイイ!!これじゃ俺の持ってる所有バイクで維持費が一番安くなっちまうだろうがぁぁああああ!イタ車のくせに生意気!!」

って衝撃を受けた。モトグッチなんて虚弱体質の権化みたいなイメージあったし、それなりの覚悟をして、「ふふふ・・トラブルを全部ブログネタにしてやるぅ・・」っていう総受けの意気込みで買ったけど、完全に右から左に受け流されている。現状では乗り味の良い丈夫なバイクにすぎない。もうね。「イタ車=壊れる=金かかる」という三段論法が完全に崩壊していってますね。

そんな維持費のクソ安いヴィーセの維持費をさらにお安くしていこうと、メンテナンス編を企画しました。そう、ここら辺で、イタ車ならではの整備性の悪さを発揮して、「はっはっは、やっぱ、イタリア・・この頭悪さよ・・」って私のおいしいブログネタになってくれることを望みたい。

日常メンテの代表的なものにオイルメンテがありますが、モトグッチのような基本設計の古い空冷エンジンはエンジンオイルとミッションオイル、プライマリーオイルが別々になっております。ヴィーセさんは乾式クラッチなのでプライマリーオイルはありませんが、その代わりシャフトドライブのギアオイル交換が必要になる。この構造はBMWのRnineTあたりも同様だと思いますけど、バイクを潤滑するオイルを全交換しようとすると3箇所のオイル交換を実行しなきゃいけないんですよね。

エンジンオイルはレッドバロンで交換してもらってるから、ミッションとシャフトはコッチでやろうってことです。

まずは下回りを覗いてみます。

「んー、ミッションオイルのドレンはどこかな。あ、あったあった・・この青ポンチのあるボルトだな・・」

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「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「フフフフフ・・フハハハハハハ!!フゥーーーーハハハハハハ!!!」


まぁ、なんということでしょう♡丁度ラチェットレンチのロッドの延長線上にマフラーの連結部があったのです♡(劇的ビフォーアフターのナレーションの声で)

「こんのクソバカがぁぁアアアアア!!なんでこんなところでマフラーつなげたぁアアアア!!ラチェットレンチが入らんのじゃがぁああああああああ!!!」(ブチキレ)

ホンダだったらさらにブチキレ度3倍になってたと思うけど、まぁイタ車ですからね(笑)ちなみにこのドレンボルト、径が24㎜もあるんですが・・・こんな馬鹿でかいドレンはちょっと見たことない・・(呆然)

どうやらドレン排出口の経路にフィルターが内蔵されてて、そのせいで径がやたらデカくなってるようなんです。縦置きエンジンのデコボコした下回りに24㎜の巨大なメガネレンチやスパナが入るわけがありませんから、このままだとミッションオイル交換するのにマフラー外すことになる。

なにコレ?バカなの?死ぬの??

若かりし頃の私なら発狂しつつもマフラー外していたでしょうけど、今時そんなことしたら、

「へちまくん、イタ車もバカだが、きみも本当にバカだな・・・」

って青い猫型ロボットにバカにされますよ。そう、整備で重要なのは、

「手を入れるところを可能な限り広げない」

ことです。DIYで良く見るパターンは「単細胞が力ずくでいろいろしようとした結果、不要なトラブルを引き起こし、対象をどんどん破壊していく」というもの。時計の世界には「時計は素人時計師が壊す」という格言がありますが、バイクも私みたいなすぐ頭が煮えちゃうバカが壊すんですな。

メンテに必要な箇所以外は、できる限り触らないのが肝要。医療だって昔はめちゃめちゃ体を切ってたけど、今は、内視鏡カメラやマイクロデバイスなどを駆使して、患者の体を不要に傷つけないから、回復も早いし、患者の体力に起因する事故も減ってるわけですよ。

今回のような「目の前に見えているのに、回せそうにないネジ」ってのは「整備性が悪いバイクの典型パターン」ですけど、こういうときこそ知恵と工夫が必要になるのです。そう、今回必要になるのはこれを回せる「工具」です。

プロ用工具は、昔はなかなか手に入らなかったけど、今はAmazonという金さえ払えば何でも手に入る「電子世界の四次元ポケット」がありますからね。皆さんも困ったときにはここに泣きつきましょう。

「助けて!マゾえも~~~ん!!」

アマゾンとドラえ〇んを合成したら、ソコソコ性癖の濃いロボットが爆誕したけど、私の助っ人にはそんな変態ロボこそがふさわしい。で、マゾえもんのポケット検索したら、あったあった、ありましたよ。


クローふっと


「クローフットレンチ~~!!」(ド〇えもんの声で)

こいつの24㎜が約850円で販売されてましたので、とりあえずポチっときました。こんな特殊なサイズは「ほぼモトグッチ専用工具」になっちまいますが、ミッションオイルは今後も交換すると思うから、モトはとれるでしょう。

このアイテム一個が加わるだけで、作業風景が一気に変わるんですな~。ドレンとマフラー連結部の位置関係を見て呆然としていた昨日までがウソのよう。

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(見てくれこの見事なオフセットぶり!ククク・・こうなっちまえば造作もないぜ。)

ということで、難なくドレンを緩めて、ミッションオイルをドバドバ排出しました。ここで意外だったのはフィルター見てもオイル見ても、ほぼ鉄粉が出ていないこと。納車最初の交換時にオイルが鉄粉でギラッギラだったハーレーに見せてやりたい。現行のV7はミッションの部品精度も極めて高そうですねぇ。確かに乗っててもギアからもシャフトからもフリクションを感じない滑らかな乗り味でしたが、それがここでも証明されましたね。

指定のオイルの粘度は「75w-140」でかなり堅め。以前のV7は85w-90の指定だったようですけど、車両についてきたメンテナンスブックを見ると、21年モデル以降のV7はシャフトドライブオイルと同様に75w-140の粘度になったみたいなんですよ。こんな粘度のトランスミッションオイルは、日本で買おうとすると、ほぼモチュール1択で選びようがないんですけど、ミッションとシャフトを共用できるのはコスト面でもありがたい。

モチュール
(こちらがミッションオイル、100%化学合成だから高いんじゃあぁああ!!でもデフオイルも兼用できるみたいだからまぁ許す。)

ちなみに現行のV7のミッションオイルの規定量は500mlです。以前は1000mlだったみたいだから、かなりエコになってますね。モトグッチさんって年式によってミッションオイルの規定量や粘度がメチャクチャブレるんですよ。ホンダみたいにどのモデルにもG1かG3入れときゃいいの♡みたいな統一感が全くない。マジで年式ごとに粘度指定を変えるのはやめてほしい。V7の850に乗ってる人は、850系以外に乗ってる人の動画やブログで入れてるオイルの粘度はまったく参考になりませんから、気をつけてくださいね。

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(ギアオイルの粘度は高いけど、オイル注入口が上を向いているから、まだ入れやすい。規定量入れて締めたらミッションオイルの交換は完了です。)

さぁてお次は、シャフトドライブギアのオイル交換ですよぉ。

ここでの問題は「オイルをどう入れるか?」ですな。

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(まずはドレンボルトを外さないとはじまらないけど、角度がとれないんでイラッとするんですよね。)

シャフトのオイル交換作業を過去のネット記事で検索致しますと、いろんな記事が出てまいりますが、古いモデルはシャフトの上にある空気穴を外し、オイルを入れてる人がほとんどなんです。確かにこれだけオイルが固いと上から入れるしかねーなー、とボルトをカバーしているゴムのメクラ蓋を外してみたんですけど、昔のモデルと異なり、ここの部分に形状変更があったらしく、タイヤを外さないとこのボルトは回せない。

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(ペンキを打ってあるトップのボルトがホイールに擦りそうなくらい傾いているのがわかりますか?)

上からオイルを入れられないとなれば、側面にある注入口からオイルを入れるしかないわけですけど、問題は粘度。75w-140の粘度になると、ユルい水飴とか蜂蜜みたいなもんですから、オイルがなかなか入っていかないんですよね。

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(上がダメなら、この横穴から入れるのみです。)


ということで、シャフトオイルの交換顛末はこちらの漫画をご覧下さい。


浣腸
浣腸3
浣腸4


この漫画でもうおわかりですね(笑)

「オイルが固くて入っていかないのなら、浣腸っぽく入れていけばいいじゃない!そう!人と違ってバイクに尊厳などないのだから!!!」

気分はまさに

「カンチョーの夏!日本の夏!!」

冬だけど。

いや~私が小学生の頃は、カンチョー攻撃がやたら流行りましたけど、それ以降カンチョーなんて記憶にない。

作業性を一切顧みず、私の所有するシリンジでもできるだけ大きいものを選択したのは、巨大浣腸器に憧れる自分の性癖以外の何ものでもありませぬ。そして、バイク最後部にあるシャフトギアオイル注入口は人に例えるとまさにケツ穴。そこに浣腸液ならぬギアオイルを「ブチュウゥゥゥッゥウウウ」とばかりにブチ込んでいったわけですよ。

「うおぉぉぉおおおお!!気持ちいいんじゃぁあああああ!!」

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(後ろから穴に巨大注射器を突き刺しているこの絵面よ。これはどう考えてもイケないプレイでしょう。この瞬間がイタ車だね♡)

容量は180ミリリットルなのですが、オイルが固いので100ミリリットルずつ2回にわけて入れていきました。「え?入れすぎじゃない?」って突っ込みが入るかもしれないけど、大丈夫です。モトグッチはここら辺が実に大らかでございまして「多めに注入したオイルが注入口から溢れてきたら、しばらく放置し、あふれるのが止まったらほぼ規定量が入ってます♡」という、スカ〇ロ趣味の人も大満足の仕上がりっぷりなんですよ。パンパンになるまで注ぎ込んで、あとは漏れてくるのをじっくり眺めてればいいの。もうね。変態性の爆発を感じる。

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(多めに入れるとあふれて垂れてきます。あまりにもエロい。これはメンテに名を借りたバイクへのセクハラではないのか?)

ということで、最後は注入口を閉じて怪しげな儀式が無事終了(笑)

変化は・・・特段ありませんねぇ。でもやることやったから、私の気分は実にスッキリ晴れ晴れとしておりますね。この手のメンテって、所有者のトランキライザー(※精神安定剤)みたいなもんで、より良くするためではなく、悪くならないための保険みたいなものじゃないですか。「オイル交換を頻繁にやる!」なんてのは、大事な子供に過剰な保険をかける親の心理に近い。つまり必要性が半分、安心感や自己満足が半分です。

多分ほとんどの人が、メーカー指定サイクルより早めにオイル交換してると思うけど、それは趣味の世界に求められるのが効率や合理性じゃなく「機械への愛」とそれによる「自己満足の最大化」だからです。

私はエンジンオイルは4000㎞~5000㎞くらいで交換してますけど、10000㎞や3000㎞の人がいたって全然良いと思うし、それは各々のバイクとの向き合い方だから、特段外野からどーこー言う必要なんてないと思うんですよ。エンジンオイル交換で心の満足や精神の安定を得られるのなら、オーナーが自己判断でどんどん交換すればいいし、無駄だと思うのならメーカー指定距離まで引っ張れば良いだけ。

この世の中には、いろんな意見が溢れててやたら情報過多ですけど、趣味の世界ってのは自分だけの固有結界なんで、自分良ければ全て良しなのですよ。人がやってるメンテ頻度なんてのは「よそのウチの食卓と同じ」で、正直どーでも良いわけです。まぁ私はメーカー指定距離の半分を目安に交換してますけど、そこに根拠など何一つありませんし。

ということで、今回はうちのヴィーセ本口嬢のうれし恥ずかしメンテナンス編でした。なお、あまりにも交換作業が愉悦に満ちていたので、メーカー指定は3万㎞交換ですが1万㎞あたりでまたやるかもしれません(笑)

それでは皆様!またお会いいたしましょう!!

アリーヴェデルチ!!


浣腸5
(メンテナンスの名の下に合法的に行われた怪しい儀式。うーん、イタ車の世界・・深すぎる。)