えー、新しいバイクが来ると必ずやらなければならない儀式。そう、CB1100の愛称問題です。まぁ皆さんもそろそろ来るんじゃね?と思っておられたのではないでしょうか?今後、インプレをやっていくにしても愛称がないと締まらないし、そこが決まらないと、いつまで経っても自分のバイクになった感じがしないんですよね。

少女漫画でも最初は名字で呼んでいるけど、お付き合いがはじまって、男女の仲が親密になってくると「お互い下の名前で呼びあいましょう」イベントが発生するじゃないですか。で、その話の間中、テレとドッキドキの初々しくて甘酸っぱい世界が展開されていくってことになる。

でもねぇ。50代で今日にも「公然かっこ悪い罪」で逮捕されそうなオッサンにそんなテレもドッキドキもありません。テレなんてこのブログ見てれば微塵も残ってないのは明白だし、ドッキドキは血圧の高さと不整脈による生活習慣病で、甘酸っぱさは全身から立ち上る加齢臭です、オェエエエエ!!

そんな嫌な臭いがしているブログにうるおいを与えているのが、擬人化されたバイク達なんです。

「いやいや、そもそもバイクを男にすりゃ愛称なんていらないんじゃね?やっぱりバイク乗りは硬派じゃなきゃ!!」

って言ってる人。あーー、もうね。いるんですよ。今時こういうこと言う人。これについては、久しぶりに、私の熱い語りで答えましょう。

すぅーーー(息を吸い込む)

「はぁああああ?今どき硬派?はぁ?え?ナニいっちゃってんの?あのね。そんなワキガ臭そうな世界に需要なんてないんですよ。マチルダさんとかハモン様とか妙齢のお色気キャラをバンバンあの世送りにして、超老け顔キシリアちゃん24歳で勝負にいったガンダムですら、水星の魔女では百合に走って萌え豚達が狂喜乱舞してんですよ。今封切りしてる「Gundam GQuuuuuuX(ガンダム・ジークアクス)」も主人公は女子高生だよ!ほら、このポスター見て下さいよ!女子2に男1!!一週間くらい風呂入ってなそうな臭いオッサンなんてビジュアルに一人もいないでしょ?

ジークアクス

それはね。オッサンいらないからなの。女子とイケメンの方が数字とれるの。そんな御時世に「スズキのインパルス」のようなギャランドゥ★ガチホモ路線がウケると思ってんの?ここまで言ってもまだバイクを男にしろってんなら、もはや私が女装するしかないですよ?それでいいんですか?それこそダメでしょ?ブラジャーした50男なんて完全無欠のギルティじゃないですか。エレファントマン並のバケモノですよ。人型のナニカですよ。とにかく住宅地に侵入させちゃダメだから、職質すっ飛ばして猟友会が総員出動ですよ。あなた方、私が熊撃ち達に駆除された後、責任がとれるんですか?怪獣達のあとしまつならぬ、へっちまんのあとしまつができるんですか?葬儀場でHAWK11のロケットカウルを頭にかぶせてくれるんですか?

つまり結論はですね!公共の福祉を鑑みると、バイクを可愛い女子にするくらいしか手はないってことなんですよ!!これでも文句いうクソゴミ野郎はルンバに吸われて消えちまえ!!」

はーーはーーーっ!ああ、スッキリした!!でも、このテンション続けると優しい目で、「あっ、なるほど!わかりました♡強めのお薬出しときますね♡」っていわれちゃうから。少しトーン落としますね。

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(こちらがスズキの初代インパルス伝説のカタログ。キャッチコピーは「剥き出しの感性」。販売は当然ですが爆死。感性を剥き出す前に、砂時計みたいな胸毛を剥き出していったのが敗因と私は分析しています。)

「ああ、愛称ね。別に即物的にCB1100でいいんじゃないの?」

っていう人もいると思うんです。でもね。バイクを女キャラにするのなら、英語とか数字の羅列ってダメじゃないですか?そもそも女子に番号って、

南極11号とか愛人1800号みたいなのしか浮かばないんだが?

南極11号とか、ナニをナニすんのに、どんだけこだわっちゃったの?(呆然)・・って感じだし、愛人1800号になると、メンタルと股間が鋼鉄じゃないですか。修羅とか犯罪とかを通り越して生命保存の神でしょ。「弾幕薄い!」が口癖のブライト艦長も、あまりの無駄撃ちに血糖値が振り切れて「・・ちょ・・濃すぎ・・」って白目になっちゃうと思う。

そんな穢れたイメージの数値主義から離れ、素敵な愛称をつけていきたいわけですが、難しいのは他のバイクと被っちゃうのもイマイチ面白くないってことなんですよね。ちなみに私の他の4台のバイク達についている愛称とは下記のとおり。

ダイナ・ローライダー=ダイナ

ゴールドウィング=きんつば嬢

HAWK11=※のじゃ子

MotoGuzzi V7=ヴィーセ本口

名付けの由来はバイクごとに色々あるので、過去ブログを見て貰えばいいんですが、※のじゃ子以外は基本的にバイクの商品名をもじったモノになってます。これは、愛称からバイクを連想できた方がいいから、って理由ですけど、唯一※のじゃ子だけは私の作ったキャラが「のじゃのじゃ」言ってるから※のじゃ子になってます。

では、これらを頭に入れつつ、「CB1100の愛称をどのようにしていくの?」となった時に、まず最初に頭に浮かんでくるのは、バリ伝ですよ。


しび子ちゃん

はい、超有名な「しび子ちゃん」ですね。この漫画の後、自分のCBに「しび子ちゃん」ってつけた人は山ほどいると思うんですよ。バリ伝はバイク漫画界の金字塔ですから、私世代への影響力が桁違いなんですよね。

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(我が家にずらりと並ぶバリバリ伝説。この漫画は当時のバイクシーンの熱さそのままです。)

話が逸れますけど、しげの秀一御大の漫画の一番の特徴は「メカに情緒や感情」があるように感じることですねぇ。とにかく描かれるバイクや車のデッサンが熱いの。しげの秀一はキャラの表情筋はちと堅いんですけど、メカの姿や挿入されるエンジン音やタイヤのスキール音が饒舌にモノを語る。柔らかいラインで手描きされたグンの愛車CB750F、鈴鹿4時間耐久で駆ったGSX-400R、全日本選手権のRS250、ガン・ボーイ時代のNSR500。こいつらの語り口の熱さはハンパありませんぜ。だからこそ未だに「バイク漫画の金字塔」って言われてるんですよね。

バリ伝
(おお、世界よ!コレがしげののCBだ!!徹底的に描き込まれた情報量がバイクへの愛を語る。CB1100も正面から見ると、このデザインの系譜を受け継いでいるのをヒシヒシと感じますね。)

つまり、CB750F=しび子ちゃんは愛称として、私の中でもはや動かせないネタなんです。「しび子=CB750F=青春」が基準イメージになってますから、どうしてもこれに引っぱられるんですよ。つまり、CB400SFあたりだと、もうちょっと若々しい感じで「しび美」くらいがいいのかな?って思うし、CB250Rは、排気量帯からしてまだ大人の世界に染まってない清いイメージがあるから、ドラえもんのヒロインに寄せて、「しびかちゃん」あたりに落ち着いていくわけです。

「それじゃあ、今年終売のCB1300SFはどうなっちゃうの?」っていうと、うーん、どうでしょう?なんせ、なんせホンダのフラッグシップを張っている「女帝の系譜」ですからね。いろんな時代を経由して妙齢となり、落ち着きも出てきている。しかも、腕の立つ乗り手が啖呵を切らせると馬鹿みたいにお強いわけですから、昭和の巨匠、故松本零士氏の作品からイメージを頂いて、

「クィーン・シビラルダス様」

あたりでいきたいかも。宇宙に名がとどろくほどの美女なのに、トチローという水虫ブサイクにベタ惚れしちゃってるのもいいですね。

そんな私の感覚でCB1100をどうネーミングするのか?ってことですが、実をいうとCB1100EXを買って2週間もしないうちに、ネーミングは決まってたんですよね。

そう、その名も



「しび江さん」


うーん。この・・。なんともいえない場末感というか、幸薄い夜の蝶って感じがたまりませんな~。

CB1100は他のバイクと同様「熟女系スナックのメンバーの一員」であることは間違いないんですよ。ただ、その中でも精神年齢がめちゃめちゃ高いんですよね。オッサン専用と言われている、ハーレーよりも、モトグッチよりも高いと思う。あえて言うなら、故大原麗子さんとか、吉永小百合さん。カウンターの向こうにいる小料理屋の女将さんみたいなイメージなんです。日々下らない無駄話ばかりしてる乗り手を、カウンターの向こうで相づちをうちながら、にこやかに受け入れてくれる包容力がある。

多くのリッターバイクって、キャラクターがバチッと立ってて、「そのバイクが何者であるのか?」という出自をしっかりと意識させてくれる。そのキャラ立てこそが、バイクの趣味性の高さであり、売りでもあるから、そこをとにかく磨いています。でもCB1100は自分のキャラを立てるより、乗り手のフォローに徹してくるんですよね。「バイクが何者であるか?」より、乗り手に対して「あなたは何者なの?」ってことを静かに問う。走っているうちに、いつの間にか自分語りをしてて、1時間が2時間になり、ふと気づくと3時間になってたりする。この感覚を物足りないと取るか、心地よいと感じるかでこのバイクの評価は2つに割れると思うんですよ。

リッタークラスは性能や個性を盛って、その圧倒的な主張でグイグイ来るケースが多いんですけど、CB1100はリッターのトルクと空冷のフィールで優しく静かにオーナーのケアをするんです。

「これってもう、終末医療っていうか、看取り介護じゃないの?」

っていぶかしむくらい、乗り味が優しさに満ちている。あえて私の感想を言うなら

「バイク界のパラマウント・介護ベッド」

ですよね。もうね。乗り手はシートの上で「ふわぁぁぁあああ・・」って言ってるだけでいいんですよ。コーナリングからなにから、バイクが全部やってくれるんで、こっちは身を任せて尿意の管理だけしてりゃ良いんです。

「貴方に残されたバイク寿命をより良いものにするために、クォリティ・オブ・ライフの実現を目指してます。」

ってバイクが優しく微笑んでくれる。そして私は「・・それいい・・好き♡・・」と受け入れる。わかりますかね。この感覚。

「オィィイイ!お前、50代前半で早くも終末ケアかよ!?」って言いたい気持ちもわかりますけど、バイク乗りに限らず、人が最後に求めるようになるのって、「バブ味か、介護か、盆栽か?」だと思うんですよ。

CB1100は、そんな末期のバイク乗りの願望をまるっと受け止めてくれる。その静かで優しい終末ケアの精神が、30年以上リッターオーバーばっかり乗ってきた私にはとても得がたい個性、持ち味に感じるんです。これに乗っちゃうとゴールドウィングですら「まだまだ・・若いのぅ・・」って思いますからヤバいっすよ。

でも、この方向性って中型とかミドルクラスとかからステップアップしてきた人達が、リッタークラスに求めるものとはかなり違うと思うんですね。これがハマる人って、もうバイク人生の山を越え、平地に降りてきた人達じゃないかと感じちゃう。

そう、私にとって、CB1100EXはバイク終末期ケア協会から派遣された、終末ケア専門士「※しび江さん※」なんですよ。こいつとカブがあれば、高齢のバイク乗りも焼き場まで安心かもしれない。私は、今後この※しび江※さんとバイクライフの(お笑い)終末ケアにいそしんで参りますので、皆様、これから紡がれる「※しび江※介護報告日誌」に、どうぞご期待下さい。




(オマケ漫画「CB談義」)
シビ江2

シビ江・P2

シビ江・P3




(こちら、漫画のオチに使わせて頂いた不朽の名作アニメ「カウボーイビバップ」から「Tank!」です。まさにセンスのカタマリ。)