全国のロケットカウル戦闘団の皆様、あけましておめでとうございます。

新年になってバイク小屋の中に入り、まず最初にやったことは※のじゃ子のロケットカウルを眺めての二拍二礼でした。正月にあのロケットカウルを見たら、なんか無性に拝みたくなっちゃったんですよね。

かねてより私は、HAWK11のロケットカウルを、「バイク界の特級呪物」扱いしてますけど、それは販売面から見た評価であって、実際の造形は、仏教とか日本の神道に通ずる神々しさがありますよね。

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そういえば、今年は嬉しいことに、年初から私の願望が一つ叶っちゃってるんですよ~。

そう!いよいよHAWK11が2023年12月をもちまして生産終了なんですよぉおおお。新年にホンダのホームページを見に行ったら、HAWK11のところに生産終了の文字が!

「ウォォオオオオ!!ヤッタァアアアアアア!!!」

\(^O^)/

ブログ開始から9年目にして、本文での初の顔文字!皆様、この興奮が伝わってますでしょうか!?

HAWK11は2022年の6月に発売開始、2024年の12月に販売終了ってことで、モデルライフは約2年半。滑舌の悪い吉田LPL代行の「アフリカンツイン演説」で宣戦布告されたHAWK11の二年半戦争はア・バオア・クーがヘシ折れるような壮絶な敗戦で幕を閉じました。

当初吉田LPL代行の「将来的には発展形でDCT仕様も・・」というコメントを見て、「オィイイイイ!!それってベースをアフリカツインのMTからDCTにするだけじゃないのカ?!」ってツッコんでいた頃が懐かしい。

この戦い、HAWK11が好きで買った擁護派の私から見ても、ハナから勝ち目のあるものではなかった気がする。造形にこだわったFRPロケットカウルは、いまどき量産品では面倒くさくて誰も作ろうとしない20世紀の遺物。身もだえして嫌がる協力会社をシバキ倒して作ったであろうカウルは2400個程度だったようです。そう、この戦は当初より生産資源も限られた片道特攻だったわけですよ。

そりゃ、売れればロケットカウルの追加発注もあったのかもしれないけど、奇跡のバズりでも見せない限り、ロケットカウルがバカ売れするなんてことはあり得ないし、そもそもこの手のバイクは、この世に数がないからこそ価値がある。そう、アーティファクトや特級呪物はイカレたオカルト信望者達の間で密かに愛でられてこそナンボの世界なのであって、一般人が軽々に手を出していいシロモノではないのですよ。

そもそもHAWK11が、たくさん売れたらどうなります?前方からロケットカウルが続々と走ってくる国なんて、もう完全なカルト国家です。

「オィィィイイ!この国には洗脳されて仕上がったバイク乗りしかいないのか!?」

って他国から危険国家扱いですよ。HAWK11が売れちゃうような市場では、普通のバイクを売ることが逆に困難になるので、HAWK11がディスコンになったというのは、ある意味で日本のバイクシーンが健全であったという証明でもあるんです。

それでは、晴れてディスコンとなったHAWK11の生産台数はどれくらいだったのでしょうか?少なくとも2400個程度発注されたロケットカウルの総数を超えることはないと思われます。また、カウルが2400個あったとしても、その全部を売りものに回せるわけではありませんよね。メーカーは一定年数は修理保証しなくちゃならないから、修理用のストックも必要になってきます。

既に私が事故ってストックを1個使ってますし、レンタルバイクで使っていた個体も立ちゴケして傷が入ったりしたものは、保証修理で直すでしょうから、そういう余剰を差し引いていくと、2400台は到底生産できない。最終的な生産ロットは、おそらく2000台そこそこではないか?と推測している次第です。そこは最終発表を待ちましょう。

さぁて、これを踏まえ、今回の大ネタはこちら!!パンパカパーン!!

「歴代レギュラーモデルの中で、最も数が出なかったバイクのNO1を決めようじゃあああないか!!」

おお・・何という自虐(笑)

そう、今回はこれまで国内メーカーがラインナップしたレギュラーモデル(限定販売のバイクは除く)のチキチキマシン猛爆死レースです。その爆死度を生産台数で検証しつつ、お互いの傷をなめ合い、キング・オブ・不人気を決めようじゃないかという新年早々、実に尖った企画。

なお、派生モデルは選考の考慮に入れていません。例えば、ゴールドウィング無印は日本では超不人気でしたけど、これって「無印の買い手がツアーに吸われてる」だけで、「ゴールドウィング無印が爆死した」というのとはちょっと違うと思うし、その手の奴を挙げ出すと対象が広がりすぎて収拾がつかない。今回はあくまで「専用設計の単一種における爆死」を審査いたしますので、その旨ご了承ください。

それでは選手の入場です!まずは爆死系変態モデルの生産メーカーとして、他の追随を許さないスズキから、この2台!!

「GS1200SS」「SW-1」で~すっ!!!

いや~もう最初から横綱級が出て参りました。こちらスズキの悪夢が具現化したような2台。

gs1200ss

まずはスズキの東の横綱「GS1200SS」、もっと鉄臭さを!!という臭いフェチなコンセプトで製作されたスズキ渾身の1台。基本車体はイナズマ流用で、社内の反対をガン無視し、作り手の欲望のままに製作した結果、爆散してしまった。どことなくHAWK11と成り立ちが似てて、共感できるモデルであります。

最大の特徴は、とにかくスズキエキスが濃厚で、跨がるだけで鈴木家の子を妊娠してしまいそうなところ。現在では、その濃さと独特のデザインが鈴菌保菌者を強烈に惹きつけておりますが、シュッとしたバイクが多かった2002年においては、この安産型デザインは、市場にまったく受け入れられませんでした。こいつは私の中での優勝候補の筆頭といえるかもしれない。

SW-1

そして西の横綱は「SW-1」です。これはもう見ただけでわかるので語る必要はないでしょう。HAWK11のロケットカウルに並ぶ、バイク界の特級呪物です。GS1200SSがスズキの子を孕ませる分娩台なら、SW-1は排便を司り、「走る便座」「都市型オマル」などと呼称された伝説のアーティファクト。形式名もTOTO便器の製造番号を彷彿とさせる。また、レッグガード上部に埋め込まれた乳首のようなウインカーもセンシティブでなかなかの病気度を感じる。今走っているのを見たら、二度見、三度見、四度見まであると思う。

そして、世界シェアトップで、変態モデルに事欠かないホンダから立ち塞がるのは、この2台!!

「DN-01」「PS250」!!!

source

ご覧下さい、このうしおととらのラスボス「白面のもの」のような妖怪チックな面構え。ビクスクにあらず、ネイキッドにあらず、クルーザーにもあらず。「お前は一体何なんだ!」という、妖怪ぬえのような得体のなさ。独創的新機能を盛り込んで、機械的安定性や整備性に不安をてんこ盛りにしつつ爆死。熟成される前にディスコンになってしまいました。デザインはマジで完成度が高く、スキがなさ過ぎてあまりイジれるところがない。最近になってバイクAT化時代の到来をヒシヒシと感じていますが、DN-01はその先駆けなんですよね。価値観の提示が、20年くらい早すぎて売れなかった典型例といって良いでしょう。

ps250

そして最後に登場するのは、私の中で「現場作業員、並びにマタギ専用バイク」の扱いとなっている「PS250」です。若者の遊び心をくすぐるべく登場したハズですが、「ラフ」「タフ」「ブコツ」という3K要素を惜しみなくブチ込み、それが見事に昇華された結果、遊びの枠を超え、ガチ業務用にしか見えなくなった異色作。このバイクは、半ヘルくわえタバコにサングラス、鉢巻き、腹巻き、じか足袋、軍手のフルセットで、深夜の西武新宿線の枕木交換工事の現場に乗りつけるのが一番似合う。リアには当然、スコップとツルハシですねぇ・・。

ちなみにヤマハにもロイヤルマグザムなんていう最終兵器があるし、カワサキも鳩サブレとかあるんですけど、派生モデルだったり、爆死ではなくソコソコ売れてたりするので、私的にはこの四台を「爆死四天王」としていきたい。

今回HAWK11はこの最強四天王に挑むわけですけど、こいつらの国内販売での爆死ぶりを私なりに調査してみるとこうなっております。

DN-01→1300台


PS250→1400台


SW-1→1400台


GS1200SS→1600台


ば・・ばかな。最強のライバルだと思われていたGS1200SSが四天王最弱なんて・・(当然ですが、この場合は売れてない方が強い。)それにしても当時中型免許で乗れたにもかかわらず1400台とはSW-1とPS250の偉大さが際立ってますな~。

で、今回、そこにチャレンジするHAWK11の生産台数予想は2000台ですから、残念ながら国内販売では四天王には及ばずということになりました。いや~私的には108台でいいと思ってるので、売りすぎですよ。ただ四天王は海外でも売られているはずですから、全世界生産分をトータルした生産台数では圧勝しているものと思われます。

HAWK11
(異形感では、これらのバイクに決して負けていないHAWK11。ロケットカウル一発で見るものの精神をワンパンする破壊力がある。ロケットカウルマニアが作ったのがアリアリとわかりますね。)

「バカヤロウ!生産台数2000台以下の戦いなんて、目くそ鼻くそだろうがっ!!」

っていわれるかもしれないけど、あのね。「売れてない選手権」なんて、いつだってハナ差の争いの罵倒合戦になるのは当たり前でしょ。1台でも余計に売れてれば敗者ですよ。世の中は上ばっかり見てますけど、本当に味わい深いのは下の方なの。最下位競争ほど面白くて熾烈なものはないんですから。

その中でもHAWK11は、同じ爆死でも火薬量まちがえて、ブチアゲ状態じゃないですか。これぞ真の上がりバイクですよ!そもそも2000台なんて、カワサキ信者から「は?Z900RSのバックオーダーじゃん?プゲラッチョ❤️」って鼻で笑われちゃいそう。いやー、実に清々しい。

普通は生産終了というと、お通夜のようになるんだと思いますが、HAWK11は「歴代級に売れなかった国産レギュラーモデル」という金字塔を打ち立てて、サムズアップしつつ溶鉱炉に消えていった感じです。しかも、バンディット400リミテッドから約30年の時を経て、「ロケットカウルはやはり売れぬ」という得がたい教訓を作ってのディスコン。この結果からすると向こう30年は「アイ・ウィル・ビー・バック」はないし、その頃には、私は既に死んでいる。

そう、今回のディスコンにより、ロケットカウル戦闘団、HAWK11部隊は

「最も生産数の少ない国産レギュラーモデルのオーナー」

という輝かしい称号を手に入れてしまったわけですよ。まさに歓喜の極みじゃないですか。

これはホンダという実力で市場をねじ伏せてきた豪腕の速球派投手が、ナックルボールをど真ん中に投げ込んで、満塁ホームランを浴びたようなもんですな。

「なんで速球を投げないの!!」

って多くの人から袋だたきにされるかもしれないけど

「え?だって魔球が好きなんだもん(笑)」

って、理由はただそれだけだった。だからこそ、今回のディスコンに悲壮感はなく、心の底から潔い散り際を祝うことができる。

このバイクは社内の一個人のために作られたバイクだから、エゴや人間くささで、多少捻くれていた方が「らしい」んです。デザイン上の矛盾を排除していけば安心感が生まれるけど、このバイクはそんな当たり前の安定をハナから求めておりません。

そういうものを市販しちゃった是非については、ホンダ側が検証することで、私は特段言及する立場ではありませんので割愛しますが、私個人としては、このバイクに同人誌のような二次創作的世界の香りを嗅ぎ取っていて、それがすごく肌に合ったんですよね・・。

成熟した趣味の世界では、自由な二次創作ってのが活況を呈してます。そこは商売から離れ、自らの愛や性癖を炸裂させることができる楽園で、プロも参加して、商業ベースじゃやれないようなものを作って溜飲を下げたり、商業ベースでボツにされたオリジナルデザインをそのまま吐き出したりしてる。

バイクのカスタムだって、私に言わせりゃ市販車をベースにしてやってる二次創作です。メーカー内部でもそういう世界に打って出て、参考出品で終わることなく、共感した少数の人達に「自らの尖った作品」を買って貰う機会があっていいと思うんですね。

そう、バイクってのはどこまでいっても「たかが趣味」なんですから。

顧客に対する誠意さえあれば、バイクなんて別にこうじゃなきゃならないなんて縛りなどない。縛りがあるとしたら、それはメーカー側の事情で、そんなもんは知らん。

HAWK11の何がいいかっていうと、業界の常識を無視し、「好きなものを作りました。売れなくても、理解されなくても、それでまったくかまいません」って投げっぱなしにしたところです。結果、やっぱ売れなかったわけですが、そういう異常なコンセプトのバイクって数十年スパンに1度しか出てこないんですよ。

バイクを道楽と考えてる私にとって「一番売れなかったバイク」の称号は、うちの※のじゃ子にさらなる個性と魅力とアオリ文句を上乗せしてくれるご褒美でしかないんです。中途半端に受け入れられて無個性になるより、徹底してやらかしてくれた方が良いまである。

「クソゲーの帝王」の名を欲しいままにした「デスクリムゾン」が今でも多くの人に熱烈に愛されてるのは、ゲームに謎や矛盾、不条理や理不尽が多く、それが中途半端ではなく、突き抜けていたからです。実際、私がこのブログで上げた爆死四天王は、販売時は全然売れなかったけど、突き抜けた個性と覚悟があるから、ディスコンから数十年経った今でも忘れられることなく、私のブログでイジられ続けてるわけですよ。

消費者ってのは、今買えるものには価格に見合う「安定した価値」を求めがち。でも、過去のものについては逆に「際立った特別さ」を求める傾向にある。現行モデルは「売上げによって人気と価値が担保される」けど、生産が終了したモデルでは、古くなっても個性や輝きを失わないものが残っていく。

私の挙げた爆死四天王は販売時には日の目を見なかったけど、時の流れによって個性と価値が確定し、その存在が見直されたバイク達なんです。私もその魅力に強く惹きつけられてる一人ですが、自分が若き日にその価値を見いだせずスルーしたバイクを、評価の定まった後に買うのは、なんか作り手に負けた気がするんですよ。今の私はそういうモデルを「誰からも評価されていない不遇の時点で、自分自身の審美眼を頼りに手に入れたい」っていう願望があるんです。

HAWK11は当初からそこら辺の層を狙っていたフシすらある。僅か2000台ぽっちを日本だけで販売したHAWK11は、今後も「歴代屈指の変態バイク」の名を欲しいままにしていくでしょう。そして私はというと、道の駅の隅っこに※のじゃ子を止めて、その脇でコーヒーを飲みながら、

「フッ・・俺は過去一売れなかったバイクのオーナーなんだぜ・・みろよ、この光り輝くロケットカウルをよ・・まるで湾岸で死んでるハマチのようじゃねぇか・・」

って、「世界一売れなかったネタ」を噛みしめながら、満足感に浸るんですよ。

そう、HAWK11は今後「グローバル時代の最後のあだ花」「令和の妖怪」「バイク界のカルト」として、ネットなどで末永く語り継がれていくことでしょう。生産は打ち切りになりましたが、ホンダ究極の希少車を有する我々HAWK11オーナーの戦いはまだ始まったばかり。

これまでは「布教したいけど、売れるのは困る」という悩ましい自己矛盾を抱えていましたが、今後はその心配は一切なくなりますので、気兼ねなくゲリラ活動を行えるってわけです。

それでは、昨年までのHAWK11の戦いと、今後のオーナーのご健勝とご多幸を祈念して勝ち鬨をあげて締めたいと思います。サンッハイ!

ジーク・オジン!!

腕組み1.8


※なお、一度ブログを挙げましたが、ロケットカウルの総数について、当初のブログは事実誤認がありましたので、誤情報を出さないよう、ブログを一部修正いたしました。初期のブログでコメント頂いていた方はマジで申し訳ありません。また、ご指摘いただいた、いえいえさん。まことに有り難うございました。