昨日、製作途中のブログが、妊娠6ヶ月くらいの状態で切迫流産のように上がってしまう大事故がありました。あれをあの状態で読んでしまった50名弱の方々、イイネをくれた方々におかれましては、ほんとーに申し訳ありません‌。こちらが完成品です。それではどうぞ。

今回は今をときめくアニメのタイトルに寄せて、バイク複数台もちの言い訳とバイクにおける負けヒロイン論を語ってみたいと思います。「なんで言い訳なの?」っていうと、そりゃもう私自身が、この現状を

「極めておバカな異常事態」

って考えているからですね。多くの人は大型バイク4台を所有して、この私が胸を張ってイキリ狂っていると思っているかもしれませんが、それは大きな誤解です。私自身も自分のバカさ加減に呆然としているというのが正直なところ。

「大型バイク4台体制の必要性を誰に対しても納得できるよう3000字以内で語ってくださいよ!バーン!バーン!!(机を叩く音)

って目の前で激しく詰められて、答えられる奴が何人いるだろうか。

ダイナときんつば嬢の2台持ちのときはまだ、一年中バイク乗りたいから「夏のダイナ」「冬のきんつば」なんですよ(汗)

って言い訳もできたけど、それが4台になると、もはやそこに必然性や合理性などあるはずもないんですよ。どんなに言い訳をしようが、それらしい理屈をコネようが、ガチで詰められてしまうと、「欲望の波にのまれ、欲しの王子様と化した結果こうなりました・・」って言うしかない。これはね。バイクでアクセル開けて「アヒャヒャ♡状態」になるのと同じ。所有欲の「アヒャヒャ♡状態」になっちまった結果ですよ。

そんな、乗り手の心の弱さと頭の弱さと財布のガバっぷりが重なって生まれ落ちてしまった退廃的な光景が私のバイク小屋の中にある。入って電気つける度に、目の前に広がる光景に呆然としてしまうんです。

「皆さまおはようございます!」

「私は、このブログ主によって電子の闇から召喚された、古舘伊知郎のコピーAI。その名も『コカンイジロウ1号』であります。本日はこのブログ主により、禁断のバイク小屋の実況を拝命しておりますので、さっそく現地に向かってまいりましょう!」

「おっ、見えて参りました、見えて参りました。築40年を超えた、実に薄小汚いボロ小屋が見えて参りました。この閉ざされたシャッターの向こうにいるのは、鬼か邪かそれとも獄門鬼マサ齊藤か!今、地獄の扉が開かれたーーっ!!」

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「そして目の前に広がるのは、あまりに痛い光景だーっ!!なんと壁面にはレーシングミクのタペストリー!ショートスカートのタペストリーをあえて高く掲げているッ!これは「とりあえずスカートは下から覗く」という、ブログ主のセクハラ精神の表れなのでありましょうか?思わず「おまわりさんこの人です!」と通報したくなる!サカった野犬のようなセクハラ男の悪魔の所業。その指から怒濤のように垂れ流されるテキストは、まさしく一人騒乱罪!!見下げ果てたイカれた性癖がいきなりM字開脚、ご開帳であります!」

鈴乃木凜

「そして工具入れ付近の壁には「ばくおん」のポスターだ!KTMの鈴鹿8耐仕様1190RC8Rとのコラボであります!スズキ命の鈴乃木凜(すずのきりん)がなんでKTMなんだ!という根本的な疑問はさておき、「レーサーのリアビューと女子キャラのケツの両方で萌えてくれ!」という非常にあざといケツ萌えの構図。ブログ主はこの秀逸なポスターが付録となった月刊ヤングチャンピオンを書店で全数買い占めていますので、ポスターのストックは山ほどあるという病気っぷり!」

「さて、ここはいったん心を落ち着かせまして、冷静にバイクに目をやりましょう。我欲にまみれたブログ主の人生で、走馬灯のように巡っては消え、巡っては消えていった、あまたの高額出費、浪費癖。これがまた50代で悪夢のように甦った結果が、この惨状であります。良い子には決してマネして欲しくない、悪い大人の見本市!」

バイク小屋

「そして、こちらの4台!
これが噂の負け組カルテット!負け組を集めて早し最上川!欲望の四重奏!強欲のメリーゴーランド!バイク業界にやられ放題!」

「数々のバイクメーカーの華麗な連続技、固め技によりまして、既にブログ主は幾度も三途の川を渡り、そのたびに腐ったゾンビのように、昇天と蘇生をくり返してまいりました。その姿はまさに浪費のダルマ大師、資本主義の起き上がりこぼし!!年齢を重ね、その浪費もいささか収まってきたやに思えましたが、そうは問屋が卸さなかった!雀百まで踊り忘れず、三つ子の魂百までも!!まさに戦いのネバーエンディングストーリー、人生のポツダム宣言、預金残額のレッドカード!コロナという災禍により、またしても財布の底が抜け落ちてしまったのであります!」


この文体、やたらめったら疲れるのでやめますが、まぁこんな感じです。

でもね。私だってコロナっていう、特異な事態がなかったらこんなことになってないと思うんですよ。あれだけ毎日毎日、死を連想させる報道がされて、外出自粛にもなり、仕事はなくなり休日は増える。そんな感じでジワジワと締められたら、末世的な思想にもなりますよ。「マジでコロナで死ぬ前にやりたいことやっとかないといかんな・・」って思うわけ。その結果、自制心のタガが外れて、ちょっとばかし「浪費の悪魔」が顔を出してしまったのはやむを得ないことだと思うんです。

そんなバカのおかげで、コロナ禍でバイク業界は大ブームを迎えるわけですけど、その際の購買形態は2系統に分かれたと思うんです。この時期は教習所がバイク免許取得希望者でごった返していたことからもわかるように、新規参入者の流入が凄かった。で、その多くはバイクでキャンツーなどを楽しもうという「コロナ禍わくわくレジャー型」ともいうべきライトな購買層だったんですよね。そして、もう一つは、私みたいなおっさんが、末世思想に駆られて貯金吐き出してやりたい放題するという、「終活型」・「頭のネジ吹っ飛び型」の購買層ですね。コロナで踊らなかった賢明な人もいたかもしれないけど、私はもうスリラーナイトでゾンビダンスでした。

で、一度タガが外れてしまえば、当然上げ相場は祭りが終わるまで続く。消費なんて所詮は気分の問題ですから、市場が過熱すればするほど、消費も活気づくわけです。需要に供給が追いつかず、バイクの価値が上がっていくと、ハイレバレッジでもOKな気分になってくる。そういうときって、何も考えていなくって、倍プッシュを後付けの理由で正当化してるだけ。後日ようやく正気にかえって、自らのアホさ加減を自覚するんです。

そしてできてしまったのが「熟女系スナックみたいなバイクハーレム」というわけです。

しかも、うち3台がリッターで、バイクの資産価値がどうのこうのといわれているときに、不人気モデルや不人気グレードのオンパレード。これね。自分でいうのもなんだし、開発者も見てるブログで申し訳ないんだけど、アイドルで言うと、いわゆる「デス推し」ってやつだと思うんですよ。

ドルオタのハライチ岩井が、自分が推しているグループがことごとく消滅していくという悲惨な状況を「デス推し」と呼称してるんですけど、私は、バイク版の「デス推し」なんじゃないかと思うんです。ザラブ嬢(ストリートトリプルRS)から※のじゃ子(HAWK11)へのバトンタッチなんて、実績あるメジャーから、マニアックな地下アイドルへの推し変に近いものがある。そしてそのHAWK11は本年度、晴れてディスコン。これを「デス推し」といわず何というのか。

まぁ私の場合は「自信をもって選択したバイクが、なぜか超絶不人気」という自業自得型のデス推しです。「自分のバイクの価値は自分自身で定める」というコンセプトのもとで、自信を持って選んでいるにもかかわらず、市場ではそれらのバイクはなぜか「残念ヒロイン」「負けヒロイン」と化していくんですよね。で、バイク市場は残酷で、利益にならないバイクってのは淘汰されていくか、テコ入れもなされず低空飛行のまま放置されるかのどちらかになる。

「いやいやダイナはローライダーなんだから人気あるでしょ?」

っていう人もいるかもしれませんけど、これは購入当時ハーレーの各モデルの違いをまったく理解してなかった私が、ハーレーディーラーの店長のオススメをそのまま買っただけなんですよ。だから選んだのは店長なんです。その後、憑かれたように色も形も変えて下取り50万円に成り下がっちゃったんで、ダイナに関しては「初期の人気状態から自らの手でデス化したバイク」っていう評価になる。

魔改造して価値を落としたダイナは別枠でおいておくとして、このブログがはじまってから、自らの選択で購入した5台のうち、販売上の負けヒロインに該当すると思われるのは、

ゴールドウィングF6B

SC79ゴールドウィング無印MT

HAWK11

モトグッチV7


あたりです。すべて購入時に現行モデルでしたが、販売上は完全に息絶えています。恐ろしいことにこの15年間に、私が選択したモデルで負けヒロインじゃなかったのは「ザラブ嬢だけ」なんですよね。負けヒロイン率なんと8割(笑)。しかも、その負けっぷりもハンパない。ちょっと振るわなかったなぁ・・ってレベルじゃなくて、映画版の仮面ライダーV3並の火薬量で豪快に爆死しちゃってますからね。


(映画化で気合いが入りすぎて明らかに火薬量がおかしくなっている「仮面ライダーV3」。子供向けでも体当たりの特撮。この過激さ・・凄い・・。)

ゴールドウィングの箱なしやHAWK11なんて、ホンダの販売網をもってしても、つるぺた状態で市場で引っかかるところは一つもない真性「負けヒロイン」といっていいでしょう。モトグッチに至ってはメーカーという大きなくくりでみても床を舐めそうなくらいの超低空飛行ですから、もう負けヒロインという前に「負け一族」というべきなんだろうと思う。

誤解のないよういっておきますと、自分の中では、こいつらは決して負けてないどころか、ちゃんとステージでスポットライトを浴びてるんです。多少のバイクでは、心が動かなくなった私の財布を、そのマニアックな性癖でこじ開けさせ、新車定価で百万以上の金を出させたんだから、ある意味、凄いバイク達なんです。

問題は「その活動のライブステージが完全に孤立した私専用の地下ステージである」ってことです。市場が重要視するものと、私が重要視するものがズレまくっているから、こういう事態が生じるんだと思うんですけど、この差はもう埋まることはなく、開く一方なんじゃないだろうか。

ただ、私は、「自分の所有バイクに勝ち組になってほしい」なんて1ミリも思ってないんです。競争率が低ければ低いほど、そのバイクを独占できてありがたいまである。そもそも、競争率が低くなるというのは、一般人には刺さらないってことですけど、人に刺さらない要素が私にとっての魅力でもあるんです。

例えばゴールドウイング箱なしMTなんてのは、ゴールドウイングのツアーから、ゴージャスさを取り去って、走りに振ったグレードなんですけど、これって車でいうと「ベンツのSクラスを軽量化してMTで楽しく走りましょう♡」みたいなコンセプトなんです。日本ではゴールドウイングはバイク界の超高級車みたいな認識だから、「それ質素にしてどうすんの?」ってことになるんだと思うんですよ。だから売れない。でもF6Bにずっと乗ってきた私は、ゴールドウイングの水平対向6気筒のライディングフィールがメチャメチャ気持ちいいって身に染みてるんですよね。それを存分に味わおうとすると、やっぱ箱なしのMTなんですよ。ヨーロッパでは、まだ箱なしのMTを継続販売してるようですけど、アッチでは走りのグレードとして、この無印は十分受け入れられてると思うんですよね。

また、トルクフィール大好き変態だから、トルクデリバリーに一家言あるコンセプトのエンジン積んだバイクがメチャ好きなんです。結果的に購入するバイクはトルクが豊かなミドルより上のクラスが多くなる。で、トルク型エンジンと車体の素敵なハーモニーを味わうためには、当然ですが「余計なものがない方がいい」わけですよ。走りを重視すれば、豪華装備なんて重くなるだけで邪魔でしかない。にもかかわらず、トルクが潤沢なリッタークラスのバイクって、一台あたりの利幅をとりたいから、やたらめったらいろんなものがついてきて、サービスてんこ盛り状態になりがちなんです。

でも、いいエンジン、いいシャーシを積んでいるバイクだからこそ、素を楽しみたいんです。私にとってはバイクの構成要素って「良いシャーシ」「良いエンジン」「良い調整」が三大要素で、それ以外の付帯装備は全部オマケなんで、バイク選びにあたっては、一見派手に見える装飾要素を頭の中で全部外し、素の状態の価格が妥当かどうかを見ています。走りと関係がない商品力のためだけのギミックにエクストラコスト払う気ないから、そりゃー、ステータスが重視されるリッタークラスじゃ「デス推し」になっちゃいます。

なんで、今回「デス推し」「負けヒロイン」をネタにしたかって言うと、実はこの負けカテゴリーが今オタクの世界で見直され、脚光を浴びつつあるからなんですよね。アニメや漫画、ラノベって日本のカルチャーでも最先端を爆走してるカテゴリーですけど、そこでぶっちゃけ「負けヒロイン」「残念ヒロイン」がウケている。

それは多分、完全無欠のヒーロー像にそこまで需要がなくなって、読む人が共感できる身の丈の主人公像が支持されてるからなんだと思うんです。従来の俺ツェー系主人公は、ほとんどが異世界転生ものに移行してるんですよね。異世界系では主人公が非現実的な能力をベースにハーレムを築いていくような物語が非常に多いですけれど、男の夢は強さとハーレムなんだからそれはそれで王道なんです。

私だって、昔は「右に正妻、左に愛人、後ろにキャーキャー言ってる取り巻きファンの女ども」という構図に憧れたことはありました。でも、そんなの転生しない限り、実現不能なんです。だって私自身が「負け型モブ人間」なんですから。勝ち組ヒロインに選ばれるわけがない。それがこの世の厳しい現実ですから、モブが美人ヒロインでハーレムやっちゃうとリアリズムが破綻するんですよね。

そんな世知辛い世の中で、自分と同じ立ち位置にいるのが「負けヒロイン」です。同じ負け組同士、対等に付き合えるし、落ち着きがいい。アニメや漫画、ラノベでは、そういう負けヒロインを「等身大の目線で愛でていく」っていうカルチャーが、かなり浸透してきているんです。これまでの完全無欠の主人公と、完全無欠のヒロインではキャラクター能力がインフレ高性能化して、設定が袋小路に入ってるから、そのブレイクスルーとして負けヒロインが登場している。

負けヒロインって勝ちヒロインと違って束縛がないんですよ。腐女子だろうが、露出狂だろうが、一日に体重の20%の食物をむさぼっていようが、別にいいんです。特にヴィーセや※のじゃ子なんかは、ハナから主流になるつもりはなく、確信犯的な負けヒロインだから、あらゆる面で、解き放たれた自由さがある。何かに勝つために作られてるわけではないんで、乗ってても楽なことこの上ないんですよ。そういうタイプとは、肩の力を抜いてながーく、ゆるーく付き合えるし、それを愛でる人達も、必然的に同じような人種になるから、実に居心地がいいんですよね。

「いやいや、負けヒロイン集めるより勝ちヒロインの方がどう考えてもいいでしょ?」っていう意見もあると思う。じゃあ、私の4台全部勝ちヒロインにしてみましょう。どうなります?

ダイナブレイクアウトCVO

ゴールドウイング無印ゴールドウイング・ツアー

HAWK11CBR1000RR-R

モトグッチV7BMW R12nineT

どーですか、この勝ち組達のプレッシャーと罪悪感の強さは!こんなの絶対に落ち着かない。勝ちヒロインって1台で、えずるほどお腹いっぱいになるから勝ちヒロインなんだと改めて感じる。もうね。ハーレム作るの超不向きなんです。最強四天王を統べる奴が、ただのモブ野郎ってどう考えても無理がある。バイクの圧が強烈すぎて、オーナーがペタンコにされかねません。ナナハンのザラブ嬢を前にして白旗振っちゃうような私だと、窒息するのは目に見えている。

でもバイク市場って生存競争ですから、基本的にほとんどのバイクが「勝つために作られてる」んです。そんな中、圧が弱い「負けヒロイン属性のバイク」ってのはホントーに貴重。特にHAWK11ほど、負けヒロインを徹底してくれたバイクもない。なんせ「青いロケットカウル」ですからね。アニメの世界では昔から、青髪は負けの象徴ってのが常識ですし、バイクの世界ではロケットカウルは勝ったためしがない。その組み合わせには崇高な負けの美学がある。

八奈見杏奈+1
(負けヒロインが多すぎる!は、恋愛におけるヒロイン達の負けっぷりと生態をコミカルかつ清々しく描く異色のアニメ。失恋がテーマなのに悲壮感やジメジメ感が一切ないのが秀逸。画像は「青髪、幼なじみ、友人ポジション」の3大負け要素を惜しげもなく盛り込んだメインマケヒロイン、青レンジャー八奈見杏菜です。

でもね。今の世の中「負け」っていうのは、一つの個性であって、マイナスではないと思うんです。昭和の頃は「負け」ってのは明確なマイナスで、暗く悲惨なものだったけど、勝ち負けにこだわっている世界はとっても閉じてて息苦しいんですよね。

勝ちを放棄した負け組だからこそ作れるユルい空間もあるわけで、そういう負け組達と気楽に歩んでいくのもオツなんじゃないかと思ってるわけです。実際、私は今、凄~く楽だし、個性が強い負けバイク達だからこそキャラが被ることないし、4台集まっても、罪悪感やプレッシャーもなく、楽しくやれてる。負け属性の4台だからこそ、ちゃんとバランスしてるんです。

まぁ、そんなことを言っちゃうとバイクなんて何でもいいってことになっちゃうんですけど、趣味って楽しみ方は無限ですから、何でもいいっていうより、これがダメってものがないんですよね。この世で一番、自由なフィールドなんです。その縛りのなさを享受し、テンプレを否定して、最大限に楽しもうって感覚の中から、「デス推し」「負けヒロイン推し」という嗜好が出てきている。それを存分に楽しむことができるっていうのは、とっても豊かな世の中だと思うんです。

負け三人衆5
(誰もが認める、負けヒロイン3人組。こういう負けバイク達に魅力を感じるようになると、バイク乗りとしては末期なのかもしれません。)