皆さんこんにちは。へっちまんです。今回も長文で世迷い言を並べております。よろしくお願いいたします。

8月に入ってから、日中のあまりの暑さに完全なる「夜伽要員」と化している、きんつば嬢の話題です。

最近のきんつば嬢のネタといえば、やっぱ油圧クラッチのフルード交換をやったことですかねぇ・・。実は1ヶ月ほど前から、クラッチレバーをリリースしたときのつながりの感触がイマイチ良くなくて、これを改善しようとクラッチレバーやシフトレバーの微調整とかをやってたんです。でも、何やってもしっくりこない。微妙すぎて、ディーラーに持ち込んでも

「はぁ?このクソ忙しいのに、これの何が悪いんですか?ちゃんと繋がるじゃないですか。気のせい、気のせい。コンナモンデスヨ☆」

という

「ハイメガ☆コンナモンデスヨ砲」

を食らいそうな感じがするんですね。ただ、そんな微妙なズレだからこそ、やたら気になるんですよ。指の感触ではクラッチをしっかり繋げてるはずなのに、コンマ数秒の遅れが出ちゃう。液タブで、ペン先と描画位置が0.3ミリくらいズレてるような使えないわけじゃないんだけど、感覚にあわないっていうなんともいえない状態なんです。

はぁ~~~萎えますわぁ~~

こういうことがあると、「やっぱ、油圧クラッチよりワイヤークラッチの方がいいんでね?」ってちょっと思ってしまいますね。油圧クラッチは、ブレーキと同じで油圧のピストン操作でクラッチ動かすんで、ワイヤー式クラッチに比べてクラッチ板がズバッと繋がる感触というか、ダイレクト感が薄いんです。ワイヤークラッチが糸電話だとすると、油圧クラッチはその糸が液体になってるわけだから、クラッチからの情報量はその分どうしても削られる。

油圧式クラッチのバイクに毎日乗ってれば、それが当たり前になり、まったく気にならなくなると思うんだけど、私の所有する4台のバイクのうち、きんつば嬢だけが油圧で、あと全部ワイヤーだから、どうしてもフィールの差を意識せざるを得ないんですよね。

油圧クラッチは、いついかなる時にも常に同じ感覚で操作できるし、安定性も高いし、メンテフリーで、レバーも一切ガタつくことなく高級感もある、と利点は沢山ありますが、私はガタついてチープだろうが、重かろうが、ダイレクトな方がいい。油圧クラッチに恨みはないけど、トラブルの時はこういうネガティブな考えになるものなんですね。

20240820_232133356(とても明るい23時30分。見事な満月。夏は涼しい夜に月を見ながら走るってのもいいもんです。)

今回のフィール悪化は、人によっては気にならないレベルかもしれないけど、私にとっては割と致命的なものなんです。だって一人しか乗らない、特に飛ばしもしない大型バイクなんて、ほぼフィーリングの追求なんですから。クラッチフィールが悪化したら、そこ台無しじゃないですか。しかも、困ったことに、きんつば嬢って、キャラ的にその手のことがやたら気になるんですよ。振動と共に明るく元気に走っていく陽キャな2気筒と違って、6気筒エンジンって静かでスムースで、夜に乗ると、まるでお通夜のような陰キャ感が染み入るところがいいんです。

ホンダのフラッグシップ・クルーザー様ともなれば、走りにも荒さがなく、乗り心地も良くって高級感もあるわけですよ。そんな中、操作にちょっとでも乱れがあると、そこがやたらクローズアップされちゃうわけです。チンドン屋みたいにいたるところがうるさくて、シフトフィールがガッチャンコのダイナだと、まったく気にならないレベルの粗相でも、きんつば嬢だとそんなわけには参りません。

そう、

ポンコツキャラは多少のことは笑って許されるけど、清楚なメイドキャラにオナラやゲップは決して許されない。

の法則が発動してるんですよね。

私にとって、至高のメイドポジションたるきんつば嬢のクラッチ操作にズレがあるってのは、「うちのメイドの屁が止まらない」ってくらい困った状況なんです。入院するまでもないけど、それが続くと雇用関係に亀裂が生じかねない、極めて深刻な事態なんですよ。これについて、ああでもないこうでもないって走行中に考えはじめると、もうダメ。頭の中がそればっかりになっちゃう。

最初は自分の体調とか、気のせいとか、操作部分の調整の追い込み不足?(今更感)と思ってたんですけど、違和感が何やっても取れないんで、最終的な結論は「ホース内でエア噛みしてんじゃないデスカ?」ってことになりました。ううっ・・めんどくさ・・、ブレーキもそうなんですけど、動弁系にエア噛んじゃうと、この手の圧で動作する機構は全てが駄目になりますからね。ただ、症状はハッキリしたものではないから、噛んでいたとしても、ほんの小さな気泡でしょう。他いろいろやっても駄目なんで、可能性はもはやそれくらいしか残っていない。

悩んでてもしょうがないので、とりあえずステアリング側の油圧クラッチのマスターシリンダーを開けてみました。覗いてみたけど液面は十分あるし、フルードもそこまで酷い状態でもない・・・。ますます診断に自信なくなるのぅ・・。

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(ブレーキフルードは車体についてしまうと一晩で塗装を全部浮かせてしまうので、周りにタオルを巻いてフルードがマスターシリンダーにつかないようにしておきます。整備後はパーツクリーナーをジャブジャブかけて、ブレーキフルードを綺麗に流しておかないと酷いことになりますヨ。)

でもこうなったらそれ以外はやることがないし、効果なくてもフルードが新しくなるんだから、メンテにはなるじゃん?ってことで、ダメ元でフルード関係の総入れ替えを決意しました。とりあえずは新車の状態に戻してみようってことで、ホンダの純正フルード500mlを購入。ストックの社外フルードもあったんですけど、かなり古いし、全部捨てて新品のホンダ純正に切り替え。

20240902_194333961(こちらホンダ純正のブレーキフルード。なんだこの浮ついたデザインは・・。安物のピンク缶ペみたいじゃぁああないか。色は無色透明。ホンダには二輪用と、四輪用のブレーキフルードがあって、二輪用の方がホースへの攻撃性が低いみたい。)

ちなみにネットでは1Lのブレーキフルードとか売ってますけど、パーソナルユースなら500mlもあれば十分です。ブレーキフルードなんてそう入れ替えるものでもないし、できるだけフレッシュな奴を使いたいから、大量に残っててもしょうがない。ネットで買えば1000円程度だし、ストックするより、その都度、新しいものを買っていった方がいいってのが私の感覚です。

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(こちらは、エア抜き用の尿道カテーテル一式。これでバイクのホースに溜まった古い黄金水を吸い出します。)

でも、ここで一つ問題が発生が発生します。そう、

「きんつば嬢の油圧クラッチのエア抜き用のブリーダーボルトって、一体どこにありますの?」

ってことです。そう、油圧クラッチのブリーダーボルトがどこにあるかわかんないと、この作業は進まないんですよ。

ブレーキだったら、レバー引くだけでホース内にメチャ圧かかるから、最悪ニギニギしてるうちに気泡が圧に負けて、上に抜けてくれたりするわけですけど、クラッチは切るのに圧がいらないので、ニギニギしたところで気泡君がホースの中から出てきてくれない。つまり、油圧クラッチのエアを抜くためには「正しい手順で王道のエア抜きを実施する」しかないってことになるんですよ。

ネット検索したら、過去に外人さんが上げてる動画でGL1500のクラッチフルード交換の動画があったんですけど、SC79の動画はどこにもねぇよ。とりあえずGL1500はサイドカバー外すとボルトがあったみたいだから、サイドの整備用のカバー外して、スマホのライトで照らし、奥まで覗いてみました。うーん見当たらぬのう・・・。

これブリーダーボルトの場所特定するのにサービスマニュアルいるんじゃね?ってことで、SC79のサービスマニュアルを検索したら、ヤフオクは殆どツアーしかねぇよ。正規で買おうにも

「ふぉおおおお!!サービスマニュアル10万円っ!!ズギャァアアアン!!」

ふ・ふふ・ふははは・・さすが国内販売年間500台の少量生産。サービスマニュアルも高止まりしておるわ!ブリーザーボルトの位置特定という乳首当てゲームのためだけに、こんな高額なものは買えぬ!!

しょうがないのでクラッチの位置関係から、ボルト位置を推測してみようってことで、「SC79・水平対向6気筒エンジン」で画像検索してみたら、ヒットした!ヒットしましたよ!!エンジンの透過図がぁああ!!・・・・ていうか、これって、オレの過去ブログじゃん!

「うおおおお!!自らブログにきんつば嬢のエンジンの透過図を載せてるとわぁあああ!過去の私の行いが、今の私を救うっっ!これが因果律かっ!」(←バカです)

透過図を拡大して見ると、SC79のクラッチはエンジン下に、入滅する釈迦のように縦に横たわっておるではないか。これなら、必然的にアクセスは前からであろうってことで、今度はホンダのホームページからパーツリストを無料ダウンロードして参照してみます。お、あったあった、油圧クラッチのブリーダーボルトの部品はクラッチカバーのページにありましたよ。うん、これやっぱフロント側だな。そこで、フロントタイヤの裏を覗いてみると、透過図のクラッチの位置に、なんとも意味ありげで怪しいメクラ蓋があるぅ。そのメクラ蓋をボルト4本で外し、覗いてみたら・・・・・ありました!

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(フロントタイヤの裏にある、この怪しげなメクラ蓋を外します。)
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(尿道カテーテルをブッ差すべきボルトを発見!これできんつば嬢、利尿作戦の準備は万端よ!)

「イャアアアアッホゥウウウウ!見つけたぜ!油圧クラッチのブリーザーボルトをよぉおおお!!」

そうさっ!!見えてしまえばどうということはない。だってホンダなんだもの!フルカバードガチガチのバイクでもちゃんと整備性考えて作ってあるものっ!さぁホンダ乗り全員で天に向かって叫びましょう!サンハイッ!!

「カワサキじゃないんだからねっ(笑)」

ということで、紆余曲折ありましたが、無事に油圧クラッチのフルードのエア抜きを開始。3回くらい液を吐き出させてみたら・・・あ゛あ゛あ゛・・出たよ・・出てきちまったよ。小指の先くらいの気泡がよぉ・・・

「うう・・ここしばらくの俺の苦悩の原因はお前だったのか・・・」

で交換後、100kmほど試走したんですが、いや~良くなりましたねぇ・・。気になっていた症状が今のところ出てこない。それによって、私の苦悩、モヤモヤも晴れまして、走行中の頭の中もクリアになりました。これでこそ感覚特化型の乗り物。大型バイクの真骨頂ですよ。はぁ~うれしや。

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(見えてしまえばどうということはない。ブレーキと同様にエア抜きするだけ。10分もあれば終了です。ちなみにブレーキキャリパーのブリーザーボルトは8ミリなんですが、クラッチの方は10ミリ。なんか理由があるのかなぁ・・。)

今回の件でもそうなんですけど、メンテナンスってカスタムと違い、良くするのではなく、努力と金を惜しまず、「許容範囲内でより良い状態を維持する」ってことです。その基準となる良い状態って、新車から慣らしが終わって、バイクが最適化された時のフィールなんだろうと思う。私は昔中古バイクの買取業務やってたんですけど、中古バイクの状態を評価するためには、まずは完調のバイクのフィーリングを、体に覚えさせることが大事なんです。サスでも何でもそうですが、自分の中に正しい感覚があってはじめて、「これおかしい・・」って違和感がわかる。その意味でもビギナーの方は「可能な限りベーシックで素直なモデルの新車か、低走行で状態のいいバイクを選び、正しい感覚を作るプロセスをやった方がいいんじゃないか?」って思うんです。

まず最初に「自分の中の正しい感覚作り」をして、「その感覚を通してバイクを見たり、評価したりする」のが大事で、いきなり乗り味が特殊でマニアックなバイクとか、状態の一定しない旧車にへ行くのではなく、その前に、良質なライディング経験をしっかり積み上げた方がいいと思うんですよね。それによって古いバイクとか、変わった乗り味のバイクも、その個性をより楽しめると思うんです。経験的に自分にとっての正しいバイクのフィールの基準がないって人が、いきなり古いバイクを買って、今回みたいな症状がくっついてきたとしても、多分どうにもならないと思うんですよ。変だな・・って思っても、自分の中で、それを検証し、ある程度の解決案をもたなければ、バイク店の「コンナモンデスヨ砲☆」に対抗できないわけです。

バイク屋さんって、人手不足の中、日々整備に追われてますから、持ち込まれたバイクに対してオーナーほど敏感になれるはずがないんです。技術云々は別にして、オーナーと気の持ちようが違う。オーナーにとって、バイクは唯一無二でナデナデしたくなるような愛の対象だったとしても、ディーラーにとっては数多ある商材の一つなんです。雑誌で如何に美辞麗句を並べてようが、現実は現実。そこに過度な夢や希望を見ない方がいいでしょう。

そもそもバイク屋さんは重整備もやるバイクの総合病院だから、個人がどう感じるか?みたいな薄風邪のような微妙な症状の治療って不得意なんですよ。乗り手によっても、感じ方やニュアンスは変わるし、感覚という霞のように見えないものは直しにくい。このため、バイク屋さんに持ち込む前に、自分なりに問題点を検証し、原因となってる箇所を予想して、メカさんと話をしながら、どこをどうして欲しいかを具体的に絞ることが大事だと思うんですよね。

自分がバイクに感じる感覚的な違和感って、「自分が悪いの?」「バイクが悪いの?」「それって許容範囲なの?」あたりの検証が必要だと思うんです。それが自分にとって許せないものでも、バイク屋さんから見て許容範囲ですねぇ・・ってことになると「コンナモンデスヨ砲☆」が炸裂しちゃうことになります。中古バイク屋さんとかって、新車と違って完璧を目指してるわけじゃない。古いバイクで完璧を目指そうとしたら、とんでもない価格になりますから。乗り手との意識や感覚のズレは年式やバイクの状態を総合判断した上での評価の差ってこともあると思うんですよね。

このように店側と評価の差が出たときは、そこで押し問答してもしょうがないから、

「こんなもんかもしれないけど、こんなもんじゃイヤでございます。」

「私はここが違和感の原因だと思うし、今の状態じゃ気持ちよく乗れないから、とりあえずコレとコレとコレやってください。お金払うんで。」

ってこちら側からお気持ち表明をした上で、整備内容を明確に伝えて依頼することにならざるをえない。ダイナのエンジンマウントもそうなんですけど、こっちのいうことがメカさんにちゃんと伝わるには、いち顧客、いちバイク乗りとして、店側にも信用して貰わないといけないところがあると思う。

ちなみにニブチンな私は、この微妙な症状を潰すのに1ヶ月くらいかかってます。まずは自分の感覚のズレを疑い、次は操作系の調整でなんとかならんかとやってみて、それではどうにもならんと結論づけて、ようやく最後クラッチ機構側を疑うって流れ。正直いって人間はある程度のプロセスを踏まないと、面倒くさいことやりたくないという、怠惰な生き物なんですよね(笑)やると決めたらやれるんだけど、私みたいなものぐさは、踏ん切るまでが長いんです。

余談ですが、今回はブレーキと油圧クラッチ全部のエア抜きをやったんですけど、その中で一番ヤバかったのは、油圧クラッチ側のエア抜きではなく、フロントブレーキの左側のキャリパーのエア抜きでした。エア抜きは皆さんご存じのとおり、ブレーキを握り、ブリーザーボルトを緩め、液が排出されるのを確認し、ブリーザーボルトを締めて、ブレーキ戻すの繰り返しなんですけど、プラグに刺したメガネレンチ持つとブレーキレバーまで指が届かないんですよぉおおお!ちょっとぉおおおお!!整備性はいいんだけど、きんつば嬢がデカすぎる!もうね。フロントカウルにセミのように張り付いての作業を強いられております。

こんなのハタから見ると齢50過ぎにして、バイクに前から抱きついてハァハァいいながらナニカをしている、ヤバい変態にしか見えない。とても児童にお見せできる姿ではありません。


20240902_184619256(こちらが問題の左側ブレーキキャリパー。この8ミリを握るとフロントブレーキに人差し指の先しか届かない・・結果、絵ヅラが極めて危険な作業風景になってしまいました。)


今回はちょっと珍しいトラブルだと思いますけど、ゴールドウィング乗り、ひいては油圧クラッチ乗りの皆様の参考になれば・・って、マニアックすぎてならないですよね(笑)








(オマケ漫画、「夜伽嬢、キレる」)
大荒れ4
いじける2
(これまでいろいろなトラブルがありましたが、それを乗り越えてこそ、バイクとの絆や愛着が深まるところがあります。しかし、まさか一番ケアが必要なバイクがきんつば嬢になるとは・・・この海のリハクをもってしても・・)