つい先日、昨年6月末に納車された、ヴィーセ・モトグチ嬢(MotoGuzzi V7)の走行距離が5000㎞に達し、2回目のオイル&フィルター交換と点検を行ったので、これまでの経過報告を簡単にしておこうと思います。ちなみに、初回点検は慣らし終了の1500㎞で行い、オイルとフィルターを交換し、タペットの調整を行ってもらってます。そこからおいおいとエンジンを回し始めましたんで、今回はエンジンを存分に回した後の最初のオイル&フィルター交換ってことになります。
まずは、皆さんお楽しみの初期トラブルなんですが
「えーーっと・・一切ないです・・ごめんなさいっ!!」
ああ・・なんで私は謝っているのだろう?
国産だったら「は?故障がない??そんなの当然でしょ?」ってことでしょうけど、グッチだと「・・壊れないなんて・・自分だけがこんな幸せでいいのかな・・」って後ろめたく感じてしまう。そう、なぜかわからないけど、申し訳がない気持ちになるんですよね。レッドバロンの店員さんも、モトグッチがノントラブルなんて「ぶっちゃけありえない」と思っているのか、
「オイル漏れはどうですか?え?ない?はぁ・・」
「ブレーキ鳴きはありますよね?え?ない?はぁ・・」
となんとも微妙でしまらない反応。キミタチひょっとして私の不幸がご所望なのかね?
でもね。そもそも納車されたV7を眺める限り「ひ弱さを感じない」んですよね。コイツ、たたずまいがマジで「旧ザク」なんですよ。現代のハイテク国産車のように、先端技術が知恵の輪のように複雑に組み合わさってるのではなく、実に単純でシンプル。OBDやトラコン、ABSがついてるとは信じられないくらいハイテク感ゼロ。いろいろと熟成も進んでるのが見てわかるんで、なんというかこう、壊れるどころかアナログな信頼性をヒシヒシと感じてしまうんですよね。
購入したレッドバロンは過去にモトグッチをソコソコ売ってるみたいで、「グッチはボルト緩みとオイル漏れが持病ッス!!」ってアドバイスしてくれましたので、ツーリングから帰ってくる度に、バイクの周囲をまわり、「ネジは緩んでいねが~」、「オイルは漏れていねが~」とナマハゲのように覗き込んでいるんですが、何かが起きるような気配はまったくないんですよ。
実は私、かなり前から「モトグッチは絶対に買うゾ!!」と心に決めて金も貯め、「後はルパンダイブをキメるだけ」という状態から、ずっーーと踏ん切りをつけることができない期間があったんです。それは、私の中でのモトグッチのイメージが
「性病を患っている峰不二子」って感じだったからです。
私は縦置きエンジンの滑らかなリーンが大好きなんで、乗り味が好みなのはハナからわかってた。でも、「下半身が黒いモノで濡れそぼっちゃってる」っていう印象が拭えなかったから、購入に踏ん切りがつかなかったんです。
でも、いざ購入してみたら、心配していた黒いシタタリはなく、マイナーな不満点は、「こちら側で是正や対処ができる」部分がほとんどだった。現行のV7は、これまで数多くのモデルチェンジを重ねてきただけあって、バイク本体の完成度は、かなりのレベルに到達してて、想定していたほどの大きな不満がでなかったんですよね。
これに加えて持病のオイル漏れすらないとなれば、不満箇所は「モトグッチがこれまでのモデルチェンジで手を入れず放置してきたところ」と相場が決まってくるわけです。モトグッチの中でもV7はシンプルなだけに「ここは力入れてるゾ!」ってところと、「ここは、どうでもいいんじゃね?」ってところの落差がある気がする。この国には全てを丸く整える目配りがイマイチできてない。よく言えば「メリハリが効いている」、悪く言えば「詰めが甘い」「雑」「手抜き体質」という状態になっております。う~ん、ビバ!イタリア!!
この点については先日のブログで指摘した、「最高出力がレッドゾーンに入っちまってる、お笑い蛸メーター」が最たるものです。エンジンにこれだけ力を入れてブラッシュアップしておきながら、見せ場である蛸メーターで手を抜くのはいい加減にも程がある。一応リミッターまで数字はメモってありますんで、「モトグッチが錯乱し、レッドゾーンを塗り間違えた」と割り切れれば、回転数は読めるので使う分には支障はない。
この「使う分には支障はない」っていうのが、「イタリア人の免罪符なんだろうな」と思う。モトグッチはレッドゾーンで最大パワーのアホ仕様だけど、ノーマルの回転能力に対して意味不明なくらい高く設定されているダイナの「メンツとハッタリだけのレッドゾーン」も頭の悪さでは負けていない。コイツらマジでいい加減なんですけど、この手の適当さを許し続けるのに慣れてしまうと自分の感覚がガバガバになってしまうので、文句は一応言っておかなくてはならない。
そんなV7ですが、ノーマルで地味に困ったのは「ブレーキレバーとミラー」でした。私は納車されるとまず操作系の調整をかなり細かくやります。特にブレーキ&クラッチの引きしろとシフトレバーとリアブレーキの踏み加減の調整はかなり念入りにやってると思う。理由は簡単で、バイクが4台あってとっかえひっかえ乗ってるとバイクごとに操作感覚が大きく変わったら乗りにくいからです。
操作の感触はバイクごとに違いが出るのはしょうがないけど、クラッチやブレーキの引きしろをしっかり統一することで差をできるだけなくしたいんです。その点、うちのヴィーセは、クラッチはワイヤーだからいいんですけど、問題はブレーキなんですよ。こいつ「ブレーキレバーに調整機能がない」んです。しかも割と深く絞って効かせるブレーキだから、このレバーだと絞りきると人差し指がはさまっちゃうという悲しさ。
私はクラッチもブレーキも中指・薬指・小指の外3本で引いてます。昔は人差し指と中指の2本がけだったんですけど、バイク屋勤務時代にいろんなバイクを買い取り、試乗点検で乗るようになって、
「クラッチ操作やブレーキ操作をしてるときでも、常にグリップは抑えておきたい」
「どんなに渋くて重いブレーキやクラッチでもキッチリ引かなきゃいけない」
っていう2つの要素が必要になったため、いろいろ試行錯誤した結果、最終的には「親指と人差し指を輪にして常にグリップを握り、中指、薬指、小指で操作する外3本がけ」になっています。スポーツバイクなどの繊細な入力は、人差し指と中指操作に軍配が上がると思うんですが、いろんなバイクに乗ることを想定すると、外3本がけの方が柔軟性があるんですよね。どんな重いバイクでも取り回しが安定するし、激重クラッチも渋いブレーキも、この操作なら引き切れます。このため、バイクの試乗インプレによくある「このバイクはクラッチが重いです、軽いです」ってのは、私にはほとんど関係ない。私のインプレでこのあたりが一度も出てこないのは、そこに意識が全くいっていないからです。
うちのヴィーセの「ブレーキが効かない」って印象は、初期のサスのボトムに制動力が食われてしまうことと、ストッピングパワーの立ち上がりの弱さ、あともう一つ、人差し指が挟まって「ブレーキを引き切れない」ってのが大きかったと思う。調整さえできれば何の問題もないんですが、それができないんじゃ、ブレーキレバーを交換するしかありません。
さっそくネットでV7用のブレーキレバーを検索してみたんですが、2021年以降のモデルで検索するとリゾマってメーカーの奴しか出てこないんですよ。しかもアルミ削り出しでなんと3万1千円もする!?
「はぁぁあああ?ブレーキレバーにそんなに出せるかぁぁああ!どんな富豪相手に商売してんの?!」
海外モデルってね。本体の価格に比してパーツ価格が高すぎるから、いろんなところ手当てしていくと最終的にとんでもないことになるんですよ。日本製バイクみたいに穴が少ないわけじゃないから、割といろいろなカスタムが必要になる中で、このパーツ価格の高さは、明確なデメリットといえますね。
いろいろ探し回った結果、「イタリアのアコサット」というブランドからCNC削り出しの調整機能付ブレーキレバーが出ているのを発見。それでも1万5千円とメチャ高いけど、これならリゾマの半額だし、引きしろは無段階調整ができるみたい。モデルチェンジ前のV7用みたいですが、メーターすら変えないモトグッチさんなのだから、マスターシリンダー周りも一緒だろ?ってことで、写真で新旧モデルと比較してみた結果、「絶対つくわこれ。」ってことで注文しました。
Webike!で注文したら、「在庫がないので、イタリア取り寄せで2ヶ月半くらいかかりますが・・」ってメールが来ましたが、迷わず発注。これでブレーキの引きしろ調整が可能となり、ようやく快適にブレーキが引けるようになりました。
それにしても、ポン付けができるってのに、現行の850専用のパーツとしてではなく、旧モデルのパーツとしてしかこのレバーが出てこないのはどういうことなのか?これが業界の闇なのだろうか?
(アサコットのブレーキレバーに交換。クラッチレバーと比べると随分ショートなので、左右でかなり見た目が変わっちゃいますが、見た目より操作性重視っす。)
あとはミラーですかね。
「旦那ァァアア!!このメッキミラーはいろんな意味で、かなりの安物ですぜ!!」
まぁ、これはあくまで「バイクの価格に比して」ってことで、エストレヤだったら許してます。ただ、このミラーはV7のクォリティと振動に明らかに見合ってないんですよ。
ストリートリプルの純正ミラーも元気良く加速すると風圧に負けてアッチ向いちゃってましたが、ミラーがしっかりしてくれないと、ストレスが溜まるんですよね。振動が少ないエンジンなら、これでも大丈夫なんだろうけど、うちのヴィーセは停車時に左右にめっちゃ振れるんです。そんなバイクにロングステーでミラー部分が重く、ネジの精度がよろしくないってシロモノでは「振動で緩んでください♡」って言ってるようなもんですよ。
ハーレーなんかも車体はメチャ振れますけど、振れても良ろしいようにパーツはハーレー専用品でしっかりしたもの付けてるんですよ。でも、モトグッチのミラーはどう考えても、「そこらの汎用品を取りつけてあるだけ」って感じだから、振動面に対応できていない。で、この純正ミラーの価格がネットで6000円オーバー。もうありえんだろ?グッチさん中抜きしすぎだよ。どう考えても2000円以下の質感でしょこれ。メッキもイマイチというかイマサンレベルで、ハーレーとメッキの質とは比べようもない。
クラシカルな中にモダンさもあるV7の本体デザインに対し、「これはダウジング棒なのデスカ?」ってツッコミたくなるほど、ミラーのデザインは昭和臭漂うもの。グリップからも大いにハミ出してて、すり抜け時にも邪魔。17㎜の常識的なトルクで締めても、いつの間にか、しおれたヒマワリのように下を向いていたり、遊女のようにしなだれかかってきたりで、締める→緩むの不毛な二百三高地状態を繰り返しており、もはや耐えられません。
ただ「取り付け部分が10㎜ネジの汎用ミラーならどんなもんでもつく」という点はありがたい。もう社外品を選び放題です。ということで、この手のバイクではド定番の
「タナックスのナポレオンミラー」
を2つ購入。定価は随分上がって、1本6000円超だけど、Amazonでは4500円で買える。取り付けも、位置を合わせて17㎜のレンチと六角で指定箇所を締めるだけ。締めつけた感じも剛性感があって素晴らしく、メッキの発色、厚みも申し分ない。強めに引くとミラーがねっちょり前後に動くけど、これは車のミラーに当てたり歩行者を引っかけたときの衝撃緩衝機能らしい。さすが日本製、ミラーが回る理由が緩みではなく、安全性からとは、さすがである。
(遙か昔からあるド定番の社外ミラー、タナックスのナポレオン。左右兼用です。建て付け、剛性感、メッキの質等はハーレー純正にも引けを取らない。当然V7の純正ミラーとはモノが違う。)
(ブレーキ側が純正ミラー。クラッチ側が交換後のナポレオンミラーです。メッキの輝きの質やカチッとした作り、デザイン性の違いは距離が離れたところからも感じられます。また、ブレーキレバーとクラッチレバーの長さの差もよくわかります。)
ということで、現状、うちのヴィーセ・モトグチ嬢は、ブレーキレバーとミラーをカスタムということになっております。バーエンドウェイトのメッキの質の低さにも耐えられなくなって、やがて交換する可能性が高いけど、まぁそれだけやれば、刺さったトゲのような小さな不満点は全て解消されるでしょう。
ヴィーセについては、「大枠は良いんだけど、細かいところで詰めが甘いな~」って思うところがいくつかある。その一方で「多少のことは大目にみようか・・」って気にもなるんですよね。それは、このメーカーの強い個性と、その製造手法によるものです。
このバイク、じっくり眺めてみると、今だ組み立て、組み付けを人力でやってる家内制工業みたいなバイク造りなのがわかるんです。モトグッチは人間味のある乗り味だって言う人もいるけど、確かにこの造りならそういう味がするのもわかる。近年値上げを繰り返しているけど、人件費や輸送費が高騰する昨今、価格はもっと上がってもおかしくないと正直思う。でも、モトグッチは海外製としては買いやすいところでまだ踏ん張ってくれていますから、「しょ、しょうがないわねっ!ダメなところは、こっちでなんとかしておくからっ!これからも頑張って作っていきなさいよねっ!」ってツンデレ気味に許しちゃうんですよね。
今後、じっくり距離を走り込み、バイクと私の相互理解が進んでいく中で、次なるカスタムの欲望が湧いてくるかもしれません。しかし、ヴィーセは現状でも、かなり満足できる走りを提供してくれているので、ダイナのように「全面的にカスタム」なんてことにはならないはず。今回のような小さな不満はさておいて、大局的に見れば、「強い個性、バイクとしてのバランス、古き良き旧車風味、コダワリとユルさのイタリア精神などが、実にうまくブレンドされている、面白くも、味のある縦置きマシン」と評価できると思ってます。
オマケ漫画
(こんな自虐ネタを描いていると、やがてはMotoGuzziからゴルゴ13のような刺客が送り込まれるかもしれない)
まずは、皆さんお楽しみの初期トラブルなんですが
「えーーっと・・一切ないです・・ごめんなさいっ!!」
ああ・・なんで私は謝っているのだろう?
国産だったら「は?故障がない??そんなの当然でしょ?」ってことでしょうけど、グッチだと「・・壊れないなんて・・自分だけがこんな幸せでいいのかな・・」って後ろめたく感じてしまう。そう、なぜかわからないけど、申し訳がない気持ちになるんですよね。レッドバロンの店員さんも、モトグッチがノントラブルなんて「ぶっちゃけありえない」と思っているのか、
「オイル漏れはどうですか?え?ない?はぁ・・」
「ブレーキ鳴きはありますよね?え?ない?はぁ・・」
となんとも微妙でしまらない反応。キミタチひょっとして私の不幸がご所望なのかね?
でもね。そもそも納車されたV7を眺める限り「ひ弱さを感じない」んですよね。コイツ、たたずまいがマジで「旧ザク」なんですよ。現代のハイテク国産車のように、先端技術が知恵の輪のように複雑に組み合わさってるのではなく、実に単純でシンプル。OBDやトラコン、ABSがついてるとは信じられないくらいハイテク感ゼロ。いろいろと熟成も進んでるのが見てわかるんで、なんというかこう、壊れるどころかアナログな信頼性をヒシヒシと感じてしまうんですよね。
購入したレッドバロンは過去にモトグッチをソコソコ売ってるみたいで、「グッチはボルト緩みとオイル漏れが持病ッス!!」ってアドバイスしてくれましたので、ツーリングから帰ってくる度に、バイクの周囲をまわり、「ネジは緩んでいねが~」、「オイルは漏れていねが~」とナマハゲのように覗き込んでいるんですが、何かが起きるような気配はまったくないんですよ。
実は私、かなり前から「モトグッチは絶対に買うゾ!!」と心に決めて金も貯め、「後はルパンダイブをキメるだけ」という状態から、ずっーーと踏ん切りをつけることができない期間があったんです。それは、私の中でのモトグッチのイメージが
「性病を患っている峰不二子」って感じだったからです。
私は縦置きエンジンの滑らかなリーンが大好きなんで、乗り味が好みなのはハナからわかってた。でも、「下半身が黒いモノで濡れそぼっちゃってる」っていう印象が拭えなかったから、購入に踏ん切りがつかなかったんです。
でも、いざ購入してみたら、心配していた黒いシタタリはなく、マイナーな不満点は、「こちら側で是正や対処ができる」部分がほとんどだった。現行のV7は、これまで数多くのモデルチェンジを重ねてきただけあって、バイク本体の完成度は、かなりのレベルに到達してて、想定していたほどの大きな不満がでなかったんですよね。
これに加えて持病のオイル漏れすらないとなれば、不満箇所は「モトグッチがこれまでのモデルチェンジで手を入れず放置してきたところ」と相場が決まってくるわけです。モトグッチの中でもV7はシンプルなだけに「ここは力入れてるゾ!」ってところと、「ここは、どうでもいいんじゃね?」ってところの落差がある気がする。この国には全てを丸く整える目配りがイマイチできてない。よく言えば「メリハリが効いている」、悪く言えば「詰めが甘い」「雑」「手抜き体質」という状態になっております。う~ん、ビバ!イタリア!!
この点については先日のブログで指摘した、「最高出力がレッドゾーンに入っちまってる、お笑い蛸メーター」が最たるものです。エンジンにこれだけ力を入れてブラッシュアップしておきながら、見せ場である蛸メーターで手を抜くのはいい加減にも程がある。一応リミッターまで数字はメモってありますんで、「モトグッチが錯乱し、レッドゾーンを塗り間違えた」と割り切れれば、回転数は読めるので使う分には支障はない。
この「使う分には支障はない」っていうのが、「イタリア人の免罪符なんだろうな」と思う。モトグッチはレッドゾーンで最大パワーのアホ仕様だけど、ノーマルの回転能力に対して意味不明なくらい高く設定されているダイナの「メンツとハッタリだけのレッドゾーン」も頭の悪さでは負けていない。コイツらマジでいい加減なんですけど、この手の適当さを許し続けるのに慣れてしまうと自分の感覚がガバガバになってしまうので、文句は一応言っておかなくてはならない。
操作の感触はバイクごとに違いが出るのはしょうがないけど、クラッチやブレーキの引きしろをしっかり統一することで差をできるだけなくしたいんです。その点、うちのヴィーセは、クラッチはワイヤーだからいいんですけど、問題はブレーキなんですよ。こいつ「ブレーキレバーに調整機能がない」んです。しかも割と深く絞って効かせるブレーキだから、このレバーだと絞りきると人差し指がはさまっちゃうという悲しさ。
私はクラッチもブレーキも中指・薬指・小指の外3本で引いてます。昔は人差し指と中指の2本がけだったんですけど、バイク屋勤務時代にいろんなバイクを買い取り、試乗点検で乗るようになって、
「クラッチ操作やブレーキ操作をしてるときでも、常にグリップは抑えておきたい」
「どんなに渋くて重いブレーキやクラッチでもキッチリ引かなきゃいけない」
っていう2つの要素が必要になったため、いろいろ試行錯誤した結果、最終的には「親指と人差し指を輪にして常にグリップを握り、中指、薬指、小指で操作する外3本がけ」になっています。スポーツバイクなどの繊細な入力は、人差し指と中指操作に軍配が上がると思うんですが、いろんなバイクに乗ることを想定すると、外3本がけの方が柔軟性があるんですよね。どんな重いバイクでも取り回しが安定するし、激重クラッチも渋いブレーキも、この操作なら引き切れます。このため、バイクの試乗インプレによくある「このバイクはクラッチが重いです、軽いです」ってのは、私にはほとんど関係ない。私のインプレでこのあたりが一度も出てこないのは、そこに意識が全くいっていないからです。
うちのヴィーセの「ブレーキが効かない」って印象は、初期のサスのボトムに制動力が食われてしまうことと、ストッピングパワーの立ち上がりの弱さ、あともう一つ、人差し指が挟まって「ブレーキを引き切れない」ってのが大きかったと思う。調整さえできれば何の問題もないんですが、それができないんじゃ、ブレーキレバーを交換するしかありません。
さっそくネットでV7用のブレーキレバーを検索してみたんですが、2021年以降のモデルで検索するとリゾマってメーカーの奴しか出てこないんですよ。しかもアルミ削り出しでなんと3万1千円もする!?
「はぁぁあああ?ブレーキレバーにそんなに出せるかぁぁああ!どんな富豪相手に商売してんの?!」
海外モデルってね。本体の価格に比してパーツ価格が高すぎるから、いろんなところ手当てしていくと最終的にとんでもないことになるんですよ。日本製バイクみたいに穴が少ないわけじゃないから、割といろいろなカスタムが必要になる中で、このパーツ価格の高さは、明確なデメリットといえますね。
いろいろ探し回った結果、「イタリアのアコサット」というブランドからCNC削り出しの調整機能付ブレーキレバーが出ているのを発見。それでも1万5千円とメチャ高いけど、これならリゾマの半額だし、引きしろは無段階調整ができるみたい。モデルチェンジ前のV7用みたいですが、メーターすら変えないモトグッチさんなのだから、マスターシリンダー周りも一緒だろ?ってことで、写真で新旧モデルと比較してみた結果、「絶対つくわこれ。」ってことで注文しました。
Webike!で注文したら、「在庫がないので、イタリア取り寄せで2ヶ月半くらいかかりますが・・」ってメールが来ましたが、迷わず発注。これでブレーキの引きしろ調整が可能となり、ようやく快適にブレーキが引けるようになりました。
それにしても、ポン付けができるってのに、現行の850専用のパーツとしてではなく、旧モデルのパーツとしてしかこのレバーが出てこないのはどういうことなのか?これが業界の闇なのだろうか?
(アサコットのブレーキレバーに交換。クラッチレバーと比べると随分ショートなので、左右でかなり見た目が変わっちゃいますが、見た目より操作性重視っす。)
あとはミラーですかね。
「旦那ァァアア!!このメッキミラーはいろんな意味で、かなりの安物ですぜ!!」
まぁ、これはあくまで「バイクの価格に比して」ってことで、エストレヤだったら許してます。ただ、このミラーはV7のクォリティと振動に明らかに見合ってないんですよ。
ストリートリプルの純正ミラーも元気良く加速すると風圧に負けてアッチ向いちゃってましたが、ミラーがしっかりしてくれないと、ストレスが溜まるんですよね。振動が少ないエンジンなら、これでも大丈夫なんだろうけど、うちのヴィーセは停車時に左右にめっちゃ振れるんです。そんなバイクにロングステーでミラー部分が重く、ネジの精度がよろしくないってシロモノでは「振動で緩んでください♡」って言ってるようなもんですよ。
ハーレーなんかも車体はメチャ振れますけど、振れても良ろしいようにパーツはハーレー専用品でしっかりしたもの付けてるんですよ。でも、モトグッチのミラーはどう考えても、「そこらの汎用品を取りつけてあるだけ」って感じだから、振動面に対応できていない。で、この純正ミラーの価格がネットで6000円オーバー。もうありえんだろ?グッチさん中抜きしすぎだよ。どう考えても2000円以下の質感でしょこれ。メッキもイマイチというかイマサンレベルで、ハーレーとメッキの質とは比べようもない。
クラシカルな中にモダンさもあるV7の本体デザインに対し、「これはダウジング棒なのデスカ?」ってツッコミたくなるほど、ミラーのデザインは昭和臭漂うもの。グリップからも大いにハミ出してて、すり抜け時にも邪魔。17㎜の常識的なトルクで締めても、いつの間にか、しおれたヒマワリのように下を向いていたり、遊女のようにしなだれかかってきたりで、締める→緩むの不毛な二百三高地状態を繰り返しており、もはや耐えられません。
ただ「取り付け部分が10㎜ネジの汎用ミラーならどんなもんでもつく」という点はありがたい。もう社外品を選び放題です。ということで、この手のバイクではド定番の
「タナックスのナポレオンミラー」
を2つ購入。定価は随分上がって、1本6000円超だけど、Amazonでは4500円で買える。取り付けも、位置を合わせて17㎜のレンチと六角で指定箇所を締めるだけ。締めつけた感じも剛性感があって素晴らしく、メッキの発色、厚みも申し分ない。強めに引くとミラーがねっちょり前後に動くけど、これは車のミラーに当てたり歩行者を引っかけたときの衝撃緩衝機能らしい。さすが日本製、ミラーが回る理由が緩みではなく、安全性からとは、さすがである。
(遙か昔からあるド定番の社外ミラー、タナックスのナポレオン。左右兼用です。建て付け、剛性感、メッキの質等はハーレー純正にも引けを取らない。当然V7の純正ミラーとはモノが違う。)
(ブレーキ側が純正ミラー。クラッチ側が交換後のナポレオンミラーです。メッキの輝きの質やカチッとした作り、デザイン性の違いは距離が離れたところからも感じられます。また、ブレーキレバーとクラッチレバーの長さの差もよくわかります。)
ということで、現状、うちのヴィーセ・モトグチ嬢は、ブレーキレバーとミラーをカスタムということになっております。バーエンドウェイトのメッキの質の低さにも耐えられなくなって、やがて交換する可能性が高いけど、まぁそれだけやれば、刺さったトゲのような小さな不満点は全て解消されるでしょう。
ヴィーセについては、「大枠は良いんだけど、細かいところで詰めが甘いな~」って思うところがいくつかある。その一方で「多少のことは大目にみようか・・」って気にもなるんですよね。それは、このメーカーの強い個性と、その製造手法によるものです。
このバイク、じっくり眺めてみると、今だ組み立て、組み付けを人力でやってる家内制工業みたいなバイク造りなのがわかるんです。モトグッチは人間味のある乗り味だって言う人もいるけど、確かにこの造りならそういう味がするのもわかる。近年値上げを繰り返しているけど、人件費や輸送費が高騰する昨今、価格はもっと上がってもおかしくないと正直思う。でも、モトグッチは海外製としては買いやすいところでまだ踏ん張ってくれていますから、「しょ、しょうがないわねっ!ダメなところは、こっちでなんとかしておくからっ!これからも頑張って作っていきなさいよねっ!」ってツンデレ気味に許しちゃうんですよね。
今後、じっくり距離を走り込み、バイクと私の相互理解が進んでいく中で、次なるカスタムの欲望が湧いてくるかもしれません。しかし、ヴィーセは現状でも、かなり満足できる走りを提供してくれているので、ダイナのように「全面的にカスタム」なんてことにはならないはず。今回のような小さな不満はさておいて、大局的に見れば、「強い個性、バイクとしてのバランス、古き良き旧車風味、コダワリとユルさのイタリア精神などが、実にうまくブレンドされている、面白くも、味のある縦置きマシン」と評価できると思ってます。
オマケ漫画
(こんな自虐ネタを描いていると、やがてはMotoGuzziからゴルゴ13のような刺客が送り込まれるかもしれない)
コメント
コメント一覧 (20)
ネタとしては美味しいですが、実際起きるとその後疑心暗鬼との戦いになっちゃいますからね〜
私は「そこを含めてイタ車だから!」っていう楽しめる域には全然達してないです…
M109RやF6Cはブレーキ二本掛けですが、X11運転するときは外指三本掛け私もこれですね〜(クラッチは車種問わず外三本)
変則的な握り方だと思いますが、ブレーキとアクセル操作の行き来がフレキシブルですよね
ブレーキはニ本、三本どちらも中指メインで操作するんで
握り方変えてもあんまり違和感ないです
でた〜タナックスのナポレオンミラー!
質量?存在の分厚さ?がパッケージ内から主張してきますよねコレ
視認性も勿論パーフェクト、入手性やコストもGood
保安部品はコレで良いんだよ的な安心感が在るアル!
へっちまん
が
しました
イタリアのバイクってブレーキ緩いの多いんですよね
ちょっと前のドカとかアグスタとかタッチも効きも緩くて不満でした
初めのころは前足固めたりタイヤやブレーキホース、パッドを交換したりしてたんですけど一番効果があったのはマスター交換でした
純正はそのへん露骨にコストカットされてるんでしょうね
今ではイタリアのスポーツバイク買うと真っ先にラジポンに換えます
ブレーキコントロールが自在になるのでブレーキかけるのが楽しくなる程です
バイクメーカーって大きなトコから小っちゃいトコまで様々で
大きなメーカーは技術や品質はもちろん素晴らしいんだけど
一台のバイクが出来上がるまでに数多くの人の手が入りすぎて
元々のコンセプトとかそのメーカーの個性とかがぼんやりしちゃう印象です
それにインジェクションチューンしてると思いますが
理想的な数値が出てるからって乗って気持ちいいとは限らないんですよ
合理的にセッティングするとサーキットでタイム出せたり燃費良かったりするけど
私は公道で気持ちよくスポーティに走りたい人なので
逆に合理的でない、山あり谷ありの欠陥マップの方が乗ってて面白かったりする
人が少なくて設備が古くて合理的設計ができない小っちゃいメーカーにも良いプロダクトを生み出せるのってバイク、モノづくりの面白いところですね
へっちまん
が
しました
建物だけなら熊本製作所より大きいのかなあ。
日本は工場を建てる時、建蔽率(30〜60%)がうるさいけど、イタリアは目一杯建てれるんですかね(敷地内に建物がぎゅうぎゅう詰めみたいですね)。
不思議なんですが、V7ってレバーとかミラーとかアシンメトリーでも成り立つような気がします。何だかこだわりみたいな感じで有りかなと思えるのが不思議です。
レバーの握りは昔からクラッチは人差し指、中指の2本でブレーキは人差し指1本です。理由はないけど若い頃からこの方法しかやったことありません。
唯一のこだわりは、クラッチのキレを良くするために目一杯クラッチミートを遠くにしています。
>「性病を患っている峰不二子」<
いやーめちゃくちゃ分かりやすくて的をえた表現です!!でも、オーナーだから出来る表現ですよね。
ボディや動きは超セクシーだけど、何かいけない黒いものが、下から垂れてるって感じで、手をだしたいけど、迂闊に手を出したら死ぬぞみたいな・・・・完璧な表現です。いっそのこと、V7の商品キャッチコピーに使ってもらいたいくらいです。
へっちまん
が
しました
(以下私事なので障りあれば削除下さい)
22年冬に二輪免許取得、峠で攻める楽しさに開眼
23年夏に峠ですっ転び、軽傷で済むも命が足りないことを自覚
23年秋からサーキット走行開始、軽排気量でサーキットなら安全だろうと人より速いタイムを出すことに熱中。そろそろ草レースも、、
先週サーキットで盛大に壁に激突かまして右腕骨折→入院(←いまここ)
とここ2年足らずで周囲の心配を最短距離で実現してきてしまい、家族や仕事にも迷惑を掛けている男でもあります。
回復した後も、おそらくバイクでのスポーツ的な走りは楽しすぎて辞められず、でも、絶対に同じ過ちは繰り返せず、でも、走り出したらまた「もっと速く」モードに陥りそう、、、、いっそバイク自体から降りるべきなのか、、、いい大人が馬鹿みたいに悩んでおります笑。
へっちまんさんのように、他人ではなく自分に向いた大人に公道スポーツ走行を楽しめる領域に至るにはどうしたらいいのか、スポーツ走行をする時に何を心掛けているのか(何を楽しまれているのか)、心構え的なアドバイスをいただけないか、と身勝手にも考えて、記事と筋違いのコメントを残してしまった事をお許し下さい。甘ったれてるなぁと思いつつ、勢いでコメント送信してしまいます。
へっちまん
が
しました
対するクラッチは内二本掛けなんですが、次第にケーブルが伸びて来る。すると薬指を挟んでしまうので、四本掛けになったりします。バイクを調整するよりも己の操作を合わせる、そんな柔軟(アバウト?) な感性に万歳。それにしても何故か CB はよく伸びます。
別腹スイーツの漫画で、もうひとつのお題を発見!
二枚の鳥瞰写真に、いろんな感慨が湧いて来ます。プロダクツの生産現場と、モノ造りのアジトって云う感じでしょうか。工場の佇まいがそのまま、製品の特性を物語っているようです。敷地いっぱいに増築を重ねて敷地とシンクロした佇まいに、刷新を拒んで熟成を選択したメーカーの矜持?を感じます。
ここから蛇足、わかりやすいのでクルマを例に。以前にも書いたのですが、初代、に魅力を感じます。フェアレディZ、シビック、アコード、エスティマ、ワゴンR。造り手の思いが伝わります。そしてコレがヒットしてしまうと、マーケティング怪獣に囚われて "思い"が見る間に霧散するようです。ヒットしなければ、ジ・エンド。
へっちまん
が
しました
>ホイールもスポークだし、タイヤはチューブタイヤだし。マッタリ走ろうかなと。
バイクごとにキャラってある気がします。
エンジンはもちろんですが、サスとかブレーキの具合にも「らしさ」って大事で、カスタムするにもそのキャラを大事にしないと気持ちよく走れなかったり。だからバイクによっては全くカスタムしない時もありますね。
>「コレが造りたいんだ!これが良いんだ!」で生み出されたものの方が、私には刺さりやすい気がします。
それスゴク分かります。
私の場合は好きなメーカーが不器用すぎて会社がツブれたり存亡の危機に立ってたりします。
ビューエルとかアグスタとか・・・
あ、話は変わりますが私はアグスタは人差し指と中指の2本がけで、ハーレーは外指3本がけです。
アグスタはステアリングはほぼ操作しないけどブレーキコントロールとかブリッピングが2本がけの方がしやすいです。
重量車は3本がけがラクな気がします。
へっちまん
が
しました
他所様のブログで訪問記を見たのですが、ここの工場にはミュージアムが併設されているらしく、なかなか興味深い所です。
世間の人はイタ車がド派手に壊れるのを期待していますが、そんなに派手に壊れるのはアグスタぐらいでしょう。
定期的に適切な点検とメンテナンスをしていればイタ車はそこまでド派手には壊れません。
私のグッチはV7と違って老体なので、あちこちガタがきておりますが、最近はドラシャのベアリングが逝ったくらいで結構快調です。
結構しごき倒していますが、グッチは案外タフですよ〜。
まぁ枯れた技術で構造が簡素なだけなんでしょうけど・・。
へっちまん
が
しました
前モデルのv7IIIに乗っていまして、一念発起して今年の秋にゴールドウイングを購入しようと画策中です。
こんな2台持ちのオーナーなんていないだろ、と思っていたので衝撃的でした!
30数年前の初バイクがVT250で一緒だったり、色々と思う事がブログで書かれてあって勝手にシンパシーを感じてます。
へっちまんさんのブログを読んで、今まで避けていたハーレーにも興味が出て来ました!
可愛い4人(台)との馴れ合いもヲタの端くれとして楽しみです。絵のタッチが年代的に?しっくりきて好みです。
これからも更新を楽しみにしてます!
へっちまん
が
しました
以前、徘徊先で知り合った方のV7を触らせていただいた際、エンジンを掛けた瞬間右(左だったかも)にドドッ!と車体が動いたのが印象的でした。日を置いて、アレでコーナリングしたらどうなるんだろう...という思いがジワジワ湧いてきています。
田舎なので、近所に取り扱いのあるお店がなさそうなんですよね~。調べてると純正品でタンクベルトなんてオシャレなパーツもあったりして、流石イタリアンバイクだなと思いました。
へっちまん
が
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