今回は※のじゃ子(HAWK11)の冬性能に絡めて※のじゃ子の特徴であるミラーについて少し書きたいなと。実はですね。ウチの※のじゃ子って耐寒性能がかなり高いんですよ。そりゃゴールドウィングに比べりゃ落ちますけど、冬に乗ってみてびっくり、なかなかの冬適性を誇ってるんです。

昨年発売された東本氏のRIDEXの21巻の表紙がHAWK11だったんですけど、その巻中のストーリーの中に、オジサンが幹線道路までの雪かきをし、HAWK11を駆って出て行っちゃった彼女を迎えに行く話があるんですよね。ある程度、歳食ってからのケンカは「女は怒り、男は謝罪」という形でオチが決まってくるんですけど、バイク乗りなんて相方に迷惑掛けっぱなしだから、さらにその傾向が強い。作中ではその悲哀が赤裸々に描かれていました。読んだ人は「いやいや、あんな雪の中、スポーツバイクで女性を迎えに行くって地獄じゃない?」って感じた方が多かったはず。でも私的には「あれはHAWK11なら、あり得ない話じゃなよな~」って納得してたんですよ。まぁ後部座席の女性はクソ寒い思いをしますが、それはケンカの意趣返しでしょう。

612NYSsXXFL._AC_UF1000,1000_QL80_(東本昌平氏のRIDEX。表紙がHAWK11です。20巻超えは素直に凄い。最近は長期連載が続く漫画ってなかなか少なくなりましたから。HAWK11乗りは少なくともこの巻は買わなくてはならないでしょう。)

HAWK11は「肩・腕、指、胸、腹、太もも」という冷えるとかなりキツイ部分のうち「指」「下半身」についての防御力が高いんですよね。後の「肩・腕」「胸」は上半身だから耐寒はある程度簡単なんですよ。上だけ厚着すれば後はある程度なんとかなりますから。ロケットカウル&前傾姿勢&えぐれたタンクで腹から下にはあまり風があたらないし、上半身も前傾で風を受け流す姿勢になってるから、冷えがあんまり進行しないんですよね。あと、なんといっても、冬場に一番厳しい指先が防御されているのが素晴らしい。

「は?指に風が当たらない?嘘でしょ?あのバイク指の前にカウルなんてないでしょ?剥き出しじゃん?」

って思ってる方もいると思いますが、クックック、実はね。あの視力検査の目隠し棒を曲げたみたいなバックミラーが、指に当たる風を上に跳ね上げてガードしてくれるんですよォォ!!天才か!ただのミラーではなく、「実は指先バリアの役割も担っておりました」という驚きの仕様で、それを知った時には感動しましたねぇ。「ふぉぉおおお!!マジですかぁぁああ!?」って叫びたくなったくらい。

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(ホンダのホームページから走行画像を拝借じゃあ。これ見るとわかると思うけど、グリップに対して絶妙な位置にあるミラーが指に当たる風を防御してくれるんです。)

話がちょっとばかし横道に逸れますけど、私はこのミラーにいろいろ謝罪しなければいけないところがあるんですよ。

実は私、納車当初に書いたブログで、ドリームの店長の発言を真に受けて、

「立ちゴケするとミラー曲がってカウルに刺さる切腹仕様」

なんて失礼なことを書いちゃったんですよね。後日能登ツーリングで開発者の方々に聞いた話では、現実的には軽い立ちゴケなら、切腹仕様どころか立ちゴケガードの機能も担うように作ってあるみたいなんです。

私は盛大に事故ったことはあっても、立ちゴケしたことないから、その実効性はわかんないんですが、確かに「立ちゴケしても、ミラーが接地してくれたおかげでカウルに傷がつかなかった!!」っていう例は結構あるみたい。私は昨年の春にHAWK11で事故ってるんですけど、そのときも、カウルに割れるほどの衝撃が伝わってない。左に舵切って車の側面を削りつつ交差した後、崖への激突を避けるため今度は右に回避して派手にガシャンと転倒したんですけど、ミラーが緩衝材になってくれたおかげで、ロケットカウルが割れなかったんですよね。

このときは相手方の過失割合が9割でしたから、カウルは新品交換してるんですけど、後日外したカウルを見せて貰った時も「パテ埋め再塗装でまだまだ使えるな・・」って程度の傷しかついていなかった。これが事実であるとすると、ディーラー店長の発言は、私に注意を促す軽口に過ぎず、「このミラーはかなりいろいろと考えられている機能性の高いものであった」ってことになるんですよねぇ・・。

そうなると、私は検証をロクにすることもなく、とんでもないデマゴーグをネット上に流布させてしまったことになる。そう、これまでの私の言動は「このミラーに対する名誉毀損だった」ってことになっちまうんですよ。ホンダから訴えられると勝ち目がないので、北北西に逃げ去る準備をしなくてはならない。ひぃぃぃ・・もう、ガクブルです。

これは全国のHAWK11オーナーに対して大懺悔ですね。牛に繋がれ市中引き回しの後、釜で茹でにされ、さっぱりしたところを、切腹斬首さらし首家禄召し上げ御家断絶甕棺墓(かめかんぼ)で屈葬からの無縁仏まである感じ。

ちなみに、この有能ミラーを試乗で「見えねぇ・・」ってディスる人も結構いるけど、オーナーになって、ポジション馴染んで目線移動が固まると、スポーツバイクとしては十分に見える。このミラーはライダーの目の位置とミラー角度の調整がナーバスだから、ある程度バイクに馴染まないと定まらないところがあって、試乗のちょい乗りレベルだとあわせるのに苦労するんですけど、慣れれば問題ない。

私はバイクに対しては自分の限界を超える不満がない限り許す、という許容範囲が広いタイプだと思ってるんですけど、このミラーはきっちり合わせれば「バイクとして安全確保が出来ないほど後方視界がない」なんてことは全然ありません。取り立てて見やすいわけじゃないけれども、「これで十分じゃね?」と思える。HAWK11はあくまでスポーツバイクで、ゴールドウィングのような旅バイクじゃないんだから、視界は前方集中型でいい。ミラーで後方の景色を楽しむ必要なんてないのです。「後ろから何か来ている」「後方に何かいる」ってことさえわかりゃいいんですよ。ガッツリ見たいって言うのなら、振り返っての目視確認がありますから。

ちなみに「見にくいミラーをうまく見る」ってのは、昔のスーパーカーとかでは当たり前の作法なんです。あっちの世界は、もう完全にカッコ優先ですから、快適性や後方視界なんて二の次ですよ。ロータスヨーロッパなんて、そもそも後方視界が霊柩車かよ!ってくらい酷いし、ランボルギーニ・カウンタックだって、「エンジンから火が出てないか確認するためにリアガラスがついている」っていわれてるくらいなんだから、それに比べりゃ首を振るだけで360°全方位がパノラマで見えるバイクは天国です。

サーキットのオオカミ
(こちら、サーキットの狼の風吹裕也のロータス・ヨーロッパ・スペシャル。リアガラスは寝そべり乗りの頭の上に付いているから、後方視界は遠くにあるクッソ小さなフェンダーミラー頼み。視界は見えそうで見えないという、女風呂を覗く出歯亀状態になります。まぁ、一般的なスーパーカーの後方視界なんてほとんど出歯亀仕様です。)

サーキットを走るにしてもフォーミュラーにはバックミラーついているけど、バイクのレーサーにバックミラーなんて野暮なものはありません。300km/hの世界で戦うプロのレーシングライダーだって「最後は振り返っての目視」なんですから、公道でもキッチリ見たいなら最後は目視でしょう。私自身も街中で車線変更するときは、ミラーをチラ見した後、首振ってナナメ後ろ確認するのが刷り込まれてるから、このミラーに特段不都合は感じてないです。

結局オーナーになった時のバイクの真実ってのは、オーナーにならないとわかんないんです。試乗レベルでは試乗レベルで感じられる部分の真実しかなくって、HAWK11のミラーはその典型みたいなもんですね。私も※のじゃ子に乗って2年目ですが、ようやくこのミラーのなんたるか?ってのを理解しつつあるレベルなんですから、短期試乗や新車おろしたてレベルの個体をインプレして、「そのバイクの全てがわかるわけがない」んですよ。人間って体調や環境によっても感じ方が変わるから、短期試乗の感覚に乗っかって、あれこれ言っちゃうと、後日必ずそれを後悔することになる。しかもバイクが新車おろしたてとかじゃ、マトモなインプレになるわけがない。特に大型バイクは味が複雑で「そう簡単なものじゃないゾ」ってのが私の認識なので、走行インプレは購入してから最低でも3000㎞~4000㎞くらい走り、ある程度自分の中の印象に揺らぎがなくなってから、じっくりやるように心がけています。まぁ所詮このブログに書いてあることなど、「あくまで匿名の素人が書いたチラシの裏の落書きに過ぎない」んですけど、ニブチンの素人は、自分の感覚だけが頼りだから、そこで適当なことを書くと存在意義がマジでなくなっちゃうんです。

きんつば嬢なんて、エンジンの固さがなかなか取れなくて、購入から半年くらいエンジンのインプレをずーーっと引っ張っていたんですよ。でも、※のじゃ子については、結構初期の段階でインプレはじめちゃったので、そこでいろいろとミスリードが生じてしまった。

ということですので、この場を借りてミラーについては真摯に謝罪したいと思います。

「すいませんでしたぁぁああ!ごめんなさいぃぃい!」(ダイナミック土下座)

は~~~・・それでは、長年気にかかっていたミラーへの謝罪も終わりましたし、冬の快適性の話に戻します。

HAWK11はこの特殊ミラーの指先防風効果があるんで、上半身をしっかり着込めば、5度~6度くらいまでなら、十分走れるという仕立てになってます。タイヤのGPR-300も、暖かいときほどではないけど、路面に対する270°クランクのツカミの良さも相まって、寒くてもそれなりにグリップするし、ホンダのトラコンは「滑りゃ違和感なくきっちり効く」という安心感がある。天気によっては2月、3月あたりから湖畔道路をガンガン走れるんだから、走行できるシーズンが結構広い。これは何気に大きなアドバンテージですよ。こういうところは、さすがベースがアフリカツイン。「環境に左右されることなくガッツリ使えるスポーツバイク」だって改めて感じるんですよね。

ということで、※のじゃ子様が来る前は、冬と言えばきんつば嬢一択だったんですけど、今年の冬はきんつば嬢と※のじゃ子を2対1くらいの割合で乗ってたりします。HAWK11は「スポーツバイク界の広瀬香美といっても過言じゃない」ほど冬適性が高い気がする。そこらへんもHAWK11の個性として報告しておきたいんですよね。


(オマケ漫画「首切り※のじゃ右衛門」)
斬首3
(日本の誇るオリエンタルパワー・ドゲザをもってしても、※のじゃ子さんの中で、私の死罪は揺るぎなかったようです。)