突然ですが、近年私の中でマットブラックがちょっとばかしブームになってます。ヘルメット選ぶときに「ブラックのクリアー仕上げとマットブラックのどっちを選びますか?」っていわれたら、即決でマットブラックを選んじゃうくらいハマってる。
皆さんはこのマットブラック仕上げについてどういうイメージをもたれているでしょうか?
「あまり好きではないなぁ・・」
という方も相当数おられると思います。そう、私も昔はこのマット仕上げを敬遠していました。しかし、今は完全にマットブラック推しです。なぜ私が宗旨替えしちゃったのか?今回はその個人的理由をブログにしたいと思っております。
私の所有バイクでは、SC79のゴールドウィングが「マットバリスティックブラックメタリック」というクッソ長い名前のマットな黒赤です。
個人的にはせめて「グリフォン」とか「ブラックオックス」とかのネーミングにして欲しいわけなんですけど、聖帝様はロボットアニメを一切見ないんで、私のようなアニオタを喜ばせるようなステキな表現はまったく期待できない。あまりに不憫なので「そのネーミングなんとかならない?」っていってみたら、真顔で「じゃあ黒毛和牛にする!」って返事が返ってきた。
ヤメロォォオオオ!!!
いやいやいや「黒毛和牛」って呼ばれるくらいなら、まだ「ゴッキー」の方がいいですよ。とにかく「黒毛」はダメ。ヤバイ。このブログの読者の方々は、まだ「黒毛」の恐怖をわかっていないと思うんですけど、テキスト打ちとして、これほど恐ろしい単語はないんですよ。悪魔憑きとか狐憑きとか、この世にはいろいろな憑きものがありますけど、「黒毛憑き」が一番タチが悪い。だって「黒毛」の称号を賜った瞬間、全ての生きとし生けるものが全て「具材っぽいナニか」に変わってしまうんですから。
例えば私のペットは超カワユイ「黒ウサたん」なんですけど、これを「黒毛ウサギ」と呼称したなら、もはや行き着く先は鍋の中。ジビエです。どんなに可愛がっていても「黒毛ウサギ?3歳?いつ食うの?今でしょ?」って言われますよ。
これは動物だけじゃない。美しい黒髪のご令嬢だって、「黒毛令嬢」って呼称した途端、もう完全にAVのタイトルじゃないですか。どっかの毛がやたら黒くて濃いんだろうな・・って、想像力が宇宙の果てに羽ばたいて、私の評価がまた地の底に落ちていく・・。これも全て「黒毛の呪い」の効果です。
それほど「黒毛憑き」って怖ろしい。「黒毛」という枕詞をつけると、どんなに可愛い存在も、愛玩性を根こそぎ剥ぎ取られ、単なる品種に堕とされる。毛という文字だけなら、毛ガニのように、まだ土俵際で踏ん張れるかもしれない。しかし「黒毛」になるともはや助かるすべはない。
「黒毛オコジョ」
「黒毛ラッコ」
「黒毛コアラ」
「黒毛浜辺美波」
・・・・そう、全世界が黒毛化したとき、弱肉強食の時代がやってくるんですよ。ああ・・テキスト打っていてあまりの絶望感に脳ミソから黒い毛が生えてきそう・・・・・いけないいけない、マットブラックを語るはずだったのに、いつの間にか外宇宙から精神干渉を受け、「黒毛」について熱く語ってしまいました。
話を戻しますが、私の所有バイクでは、きんつば嬢がマットブラック。ヘルメットではシンプソンのバンディットPROとSHOEIのZ8という主力2つがマットブラックです。つーか私が所有してるの殆ど黒系じゃない?ダイナのカスタムペイントも赤黒だし、HAWK11は銀黒、モトグッチV7も黒銀だし、メットも黒しかない。そんな黒変態の私の推しがマットブラックなんですから、この色も相当ねじ曲がってることは間違いない。
一般的にマットブラックって割と敬遠されがちな色なんですよね。その理由はハッキリしてます。手入れが「面倒くさい」からですな~。なにが面倒って、従来のツヤあり塗装でできたことが、マットではできない。これまでのクリアー吹いたツヤあり塗装の手入れって、「基本的にツヤを回復させる方向でケミカルを使う」わけですけど。マットな仕上げってツヤが出たらダメなわけだから、今までやってたことが全部禁じ手になるんですよ。
わたくし、こう見えてもマット塗装には非常に詳しいんです。だって40代半ばまでは、美少女フィギュアガレージキット製作を趣味としていた腐れモデラーですからね。しかも、モチーフは「バイク+女の子」。その塗装にあたってなにより重要なのはツヤの調整なんです。ツヤを調整しながら、金属と生命体を塗り分ける。両極端の技法を駆使するから、ツヤありとツヤなしの違いって骨身に染みてるんですよね。
塗装でツヤを出すためには、クリアーを厚めに吹いてコンパウンドでテカテカになるまでひたすら研ぎ出す必要がある。表面が鏡面のように平滑であることが美しいツヤの基本ですから。それに対し、人物はツヤを出し過ぎちゃいけない。生命感を出すために、髪は半ツヤ、肌はマットに仕上げなくてはならないので、塗装面を粒子の粗いつや消しクリアーで適度に荒らし、出すぎたツヤを調整するんですよね。
つまり塗装面を研ぎ出して平滑にして光りを綺麗に反射させるのがツヤあり仕上げ、適度に荒らして光の反射を抑えるのがツヤ消し仕上げなんですね。
最近のホンダのマット仕上げは、塗装じゃなくて色プラです。おそらく色つきのABS樹脂の表面を荒らして、つや消し仕立てにしてるんだと思う。ツアーはちゃんと塗装してありますけど、無印はそういうところでコストダウンしてるんですねぇ・・。ただF6Bにあった「あからさまに色プラで~す♡」みたいな仕上げではなく、プラ素材特有の安っぽいテカリを排除することで少しでも高級感を出そうとしてる努力は認める。これは「環境への配慮から有機溶剤を使用する塗料をできるだけ減らしていこう」というホンダの戦略なのかな~とも思ってます。でも、所詮プラはプラ。高級感のあるツアーに比べると、あんまり見栄えはしないし、質感もそこまでじゃない。でも、購入するときは「それも時代の流れでしょうがないかなぁ・・安いし・・」と割り切ったところはありますね。
どの世界でも専門的な技術が不要で、お手軽で綺麗に仕上がるってのはある意味では正義なんです。昔はフィギュアの顔が描けるってのは、美少女フィギュア製作でものっ凄いアドバンテージだったけど、それだと「漫画絵が描ける人しかフィギュアを作れない」ってことなる。そのため、今のフィギュアでは「瞳デカール」がトレンドになり、昔のような筆職人じゃなくても可愛いフィギュアが作れちゃう。塗装もガンプラみたいに素材自体に色をつけたり、デカールやラッピングなどの貼りものを駆使して、面倒な塗装工程を減らしていってます。その方向性はもはや創作における流れであって、バイク業界も例外ではないでしょう。それで満足できない人は、「どうぞご自由にカスタムペイントしてくだちゃい!」って時代がそこまで来ているんですね。
しかし、このマット仕上げ、最近出てきたものであるがゆえに、多くの人がメンテの知識を持ってないんですね。これまでの常識で、何も考えずにワックスかけちゃうと、せっかく細かな粒子で荒らしてマットにしたのに、それがワックスで綺麗に埋まっちゃって、ピッカピカになってしまうんです。ワックスって表面を均一にして光らせるのがお仕事なわけですから、マット仕上げの天敵といえる。このため、そういうバイクには水なし洗車の必殺アイテムである「フクピカ様が使えない」という大きな大きなデメリットが出てくるんです。
(こちら水なし洗車ケミカル「フクピカ様」。あまりに優秀なので様付けです。残念ながらマットカラーには使えない。)
ちなみに私はバイクをほとんど水洗いしてません。汚れてもフクピカ様で拭くだけ。いや~フクピカ様のアオリ文句、「水なし洗車」は伊達じゃありません。私の11年乗ったダイナを見て、ディーラーのメカさんも「まだまだ綺麗ですね~」っていってくれるんですけど、ほぼフクピカ様で撫でてるだけですからね。水洗いはよっぽど汚れたときだから、年に1回程度かも。
このため私は長らくフクピカが使えないマット塗装は手入れが面倒臭いから避けていたんですよね。でも、きんつば嬢は私が購入した時点で、箱なしMTは「マットバリスティックブラックメタリック」というつや消し黒しか選べなかった。しょうがない選択だったんですが、購入してつきあっていくうちに「マットブラックって、なかなか良いんじゃね?」って思うようになってきた。
ちなみに私がマットカラーの手入れに使用しているケミカルはフクピカと並ぶもう一つの定番、プレクサスです。プレクサスはマット塗装だろうがクリアー塗装だろうがプラスティックだろうが樹脂だろうがシートだろうが、関係なく使用できる「脳死ケミカル」の筆頭格。ワックス成分は一切入っていないコーティング系ですから、マット塗装にも普通に使えちゃう。汚れも取れるし、過度にテカることもなく、ツヤを抑えたシットリとした仕上がりになる。他にもヤマハからマットカラー専用のクリーナーが出てるみたいですけど、面倒臭いのでそれまでヘビーユースしていたプレクサスをそのまま使ってます。
(へっちまんオススメの脳死ケミカル「プレクサス」。ドンキやAmazonで買えます。つや出しって書いてあるけど、ワックスじゃないのでマットカラーに使っても、テッカテカにはならない。)
ただ、どんなに気を遣ったところで、つや消し状態が永遠に維持できるか?っていうとそれはないですね。走り終わったら丁寧に表面を拭き上げるという習慣を繰り返して数年も経てば、外装表面のザラザラの粒子がクロスで少しずつ削られて、徐々にツヤが出てきちゃうんですね。「なんだ、つや消し塗装ってやっぱダメなんじゃねーか」って思う方もいるかもしれない。でもね。だからこそ良いんですよ。磨き込んだマットブラックの行き着く果てはナチュラルな黒光り。そこにあるのは、
「だーーっはっはっは、見ろぉ!この黒光りする俺様のピーーーをな!!」
ってやつなんですよ。そもそもデカいバイクを選ぶ人間は「股間から巨大なものを生やしたい」っていう願望がどっかにあるんですよ。ビックバイクなんて、私に言わせりゃ股間につけた天狗の面ですよ。デカさや排気量にこだわるのも、それが男らしさの象徴みたいなもんだから。気筒数が多い方がいいってのも「キンタマついているのが男なら、キンタマ6つにしたら、それもう男の中の男じゃね?」ってことですよ。ゴールドウイングなんて、タンデムシートで女まで囲っていこうっていう股間巨砲主義の権化みたいなバイクなんですよ。それが黒光りするなんて、もうバックに軍艦マーチが流れてるような状態です(陶酔)。
とりあえずアホは妄想は脇に置いておくとしても、鈍く黒光りするブラックってなかなかに良いものなんです。マットブラックって最初はパッとしないんですけど、徐々に染みるようなツヤが出てくるところがいい。マットにこだわってつや消し状態を維持しようと思うと大変ですけど、ここは発想を転換し「ツヤのない状態から、自分でツヤを育てていくのだ」って感覚で付き合うと、マットカラーは凄く味があるんですよね。
クリアー塗装は初手から非常に美しい。でも、その輝きは新車時が最高で、そこから経年するほど表面に小傷や磨き傷がつき、ツヤが少しずつ失われていったりする。しかしマット塗装は最初は目立たないし、高級感もあまりないんですけど、その後しっかり手入れすることによって、少しずつ良い感じにツヤが育っていくんです。そして、その変化っていうのは毎日付き合ってきたオーナーだけがわかる密やかで微妙な変化。まさに自己満足の極地。
上の写真のように購入したときは、ちょっとグレーっぽいマットカラーだったきんつば嬢は、現在は淡く黒光りする独特なブラックに変貌してます。ご覧になってお分かりだと思いますが、光りすぎず、落ち着きすぎずの輝きが凄くナチュラルで味がある。マット仕上げだからといって、ずっとつや消しで楽しむ必要はないと思うんですよ。ツヤがないってことは裏を返せば、「自分でツヤを与えていける」ってことなんです。つや消しを維持して楽しんでいくのも良いけれど、それに飽きたら、つやを擦り込んで育てていくって楽しみがある。経年で劣化するのではなく、手入れすることによって味のある方向に変化していくってのは、このマット仕上げの魅力かな~と思うんですよね。
付き合ってて感じるんですけど、マット仕上げって、ちょっと革に似てるところがあるんですよね。オーナーが大事に手入れをしていれば、色気がどんどん増してくる。皆さんも一度騙されたと思って、ヘルメットあたりでマットブラックどうですか?大事に長く付き合っていくつもりなら、味があってオススメのカラーです(笑)
(黒毛和牛のステーキを持つきんつば嬢。3年間手塩にかけて磨き込んだマットブラックの外装の色艶はすでにA5ランク。いつでも出荷できます。)
皆さんはこのマットブラック仕上げについてどういうイメージをもたれているでしょうか?
「あまり好きではないなぁ・・」
という方も相当数おられると思います。そう、私も昔はこのマット仕上げを敬遠していました。しかし、今は完全にマットブラック推しです。なぜ私が宗旨替えしちゃったのか?今回はその個人的理由をブログにしたいと思っております。
私の所有バイクでは、SC79のゴールドウィングが「マットバリスティックブラックメタリック」というクッソ長い名前のマットな黒赤です。
私自身は普段この色をメイド衣装になぞらえてイラストを描いているんですけど、聖帝様はうちのきんつば嬢を「ゴッキー♡」っていうんですよ。オィィイイ!失礼すぎるだろ!自らを後ろに乗せてタンデム走行してくれてるバイクに対してあまりにも酷すぎるネーミング。メンタル化け物か?しかし、バイクを全体的に俯瞰して眺めると、その名称を無下に否定できないのも事実なんですよ。
個人的にはせめて「グリフォン」とか「ブラックオックス」とかのネーミングにして欲しいわけなんですけど、聖帝様はロボットアニメを一切見ないんで、私のようなアニオタを喜ばせるようなステキな表現はまったく期待できない。あまりに不憫なので「そのネーミングなんとかならない?」っていってみたら、真顔で「じゃあ黒毛和牛にする!」って返事が返ってきた。
ヤメロォォオオオ!!!
いやいやいや「黒毛和牛」って呼ばれるくらいなら、まだ「ゴッキー」の方がいいですよ。とにかく「黒毛」はダメ。ヤバイ。このブログの読者の方々は、まだ「黒毛」の恐怖をわかっていないと思うんですけど、テキスト打ちとして、これほど恐ろしい単語はないんですよ。悪魔憑きとか狐憑きとか、この世にはいろいろな憑きものがありますけど、「黒毛憑き」が一番タチが悪い。だって「黒毛」の称号を賜った瞬間、全ての生きとし生けるものが全て「具材っぽいナニか」に変わってしまうんですから。
例えば私のペットは超カワユイ「黒ウサたん」なんですけど、これを「黒毛ウサギ」と呼称したなら、もはや行き着く先は鍋の中。ジビエです。どんなに可愛がっていても「黒毛ウサギ?3歳?いつ食うの?今でしょ?」って言われますよ。
これは動物だけじゃない。美しい黒髪のご令嬢だって、「黒毛令嬢」って呼称した途端、もう完全にAVのタイトルじゃないですか。どっかの毛がやたら黒くて濃いんだろうな・・って、想像力が宇宙の果てに羽ばたいて、私の評価がまた地の底に落ちていく・・。これも全て「黒毛の呪い」の効果です。
それほど「黒毛憑き」って怖ろしい。「黒毛」という枕詞をつけると、どんなに可愛い存在も、愛玩性を根こそぎ剥ぎ取られ、単なる品種に堕とされる。毛という文字だけなら、毛ガニのように、まだ土俵際で踏ん張れるかもしれない。しかし「黒毛」になるともはや助かるすべはない。
「黒毛オコジョ」
「黒毛ラッコ」
「黒毛コアラ」
「黒毛浜辺美波」
・・・・そう、全世界が黒毛化したとき、弱肉強食の時代がやってくるんですよ。ああ・・テキスト打っていてあまりの絶望感に脳ミソから黒い毛が生えてきそう・・・・・いけないいけない、マットブラックを語るはずだったのに、いつの間にか外宇宙から精神干渉を受け、「黒毛」について熱く語ってしまいました。
話を戻しますが、私の所有バイクでは、きんつば嬢がマットブラック。ヘルメットではシンプソンのバンディットPROとSHOEIのZ8という主力2つがマットブラックです。つーか私が所有してるの殆ど黒系じゃない?ダイナのカスタムペイントも赤黒だし、HAWK11は銀黒、モトグッチV7も黒銀だし、メットも黒しかない。そんな黒変態の私の推しがマットブラックなんですから、この色も相当ねじ曲がってることは間違いない。
一般的にマットブラックって割と敬遠されがちな色なんですよね。その理由はハッキリしてます。手入れが「面倒くさい」からですな~。なにが面倒って、従来のツヤあり塗装でできたことが、マットではできない。これまでのクリアー吹いたツヤあり塗装の手入れって、「基本的にツヤを回復させる方向でケミカルを使う」わけですけど。マットな仕上げってツヤが出たらダメなわけだから、今までやってたことが全部禁じ手になるんですよ。
わたくし、こう見えてもマット塗装には非常に詳しいんです。だって40代半ばまでは、美少女フィギュアガレージキット製作を趣味としていた腐れモデラーですからね。しかも、モチーフは「バイク+女の子」。その塗装にあたってなにより重要なのはツヤの調整なんです。ツヤを調整しながら、金属と生命体を塗り分ける。両極端の技法を駆使するから、ツヤありとツヤなしの違いって骨身に染みてるんですよね。
つまり塗装面を研ぎ出して平滑にして光りを綺麗に反射させるのがツヤあり仕上げ、適度に荒らして光の反射を抑えるのがツヤ消し仕上げなんですね。
最近のホンダのマット仕上げは、塗装じゃなくて色プラです。おそらく色つきのABS樹脂の表面を荒らして、つや消し仕立てにしてるんだと思う。ツアーはちゃんと塗装してありますけど、無印はそういうところでコストダウンしてるんですねぇ・・。ただF6Bにあった「あからさまに色プラで~す♡」みたいな仕上げではなく、プラ素材特有の安っぽいテカリを排除することで少しでも高級感を出そうとしてる努力は認める。これは「環境への配慮から有機溶剤を使用する塗料をできるだけ減らしていこう」というホンダの戦略なのかな~とも思ってます。でも、所詮プラはプラ。高級感のあるツアーに比べると、あんまり見栄えはしないし、質感もそこまでじゃない。でも、購入するときは「それも時代の流れでしょうがないかなぁ・・安いし・・」と割り切ったところはありますね。
どの世界でも専門的な技術が不要で、お手軽で綺麗に仕上がるってのはある意味では正義なんです。昔はフィギュアの顔が描けるってのは、美少女フィギュア製作でものっ凄いアドバンテージだったけど、それだと「漫画絵が描ける人しかフィギュアを作れない」ってことなる。そのため、今のフィギュアでは「瞳デカール」がトレンドになり、昔のような筆職人じゃなくても可愛いフィギュアが作れちゃう。塗装もガンプラみたいに素材自体に色をつけたり、デカールやラッピングなどの貼りものを駆使して、面倒な塗装工程を減らしていってます。その方向性はもはや創作における流れであって、バイク業界も例外ではないでしょう。それで満足できない人は、「どうぞご自由にカスタムペイントしてくだちゃい!」って時代がそこまで来ているんですね。
しかし、このマット仕上げ、最近出てきたものであるがゆえに、多くの人がメンテの知識を持ってないんですね。これまでの常識で、何も考えずにワックスかけちゃうと、せっかく細かな粒子で荒らしてマットにしたのに、それがワックスで綺麗に埋まっちゃって、ピッカピカになってしまうんです。ワックスって表面を均一にして光らせるのがお仕事なわけですから、マット仕上げの天敵といえる。このため、そういうバイクには水なし洗車の必殺アイテムである「フクピカ様が使えない」という大きな大きなデメリットが出てくるんです。
(こちら水なし洗車ケミカル「フクピカ様」。あまりに優秀なので様付けです。残念ながらマットカラーには使えない。)
ちなみに私はバイクをほとんど水洗いしてません。汚れてもフクピカ様で拭くだけ。いや~フクピカ様のアオリ文句、「水なし洗車」は伊達じゃありません。私の11年乗ったダイナを見て、ディーラーのメカさんも「まだまだ綺麗ですね~」っていってくれるんですけど、ほぼフクピカ様で撫でてるだけですからね。水洗いはよっぽど汚れたときだから、年に1回程度かも。
このため私は長らくフクピカが使えないマット塗装は手入れが面倒臭いから避けていたんですよね。でも、きんつば嬢は私が購入した時点で、箱なしMTは「マットバリスティックブラックメタリック」というつや消し黒しか選べなかった。しょうがない選択だったんですが、購入してつきあっていくうちに「マットブラックって、なかなか良いんじゃね?」って思うようになってきた。
ちなみに私がマットカラーの手入れに使用しているケミカルはフクピカと並ぶもう一つの定番、プレクサスです。プレクサスはマット塗装だろうがクリアー塗装だろうがプラスティックだろうが樹脂だろうがシートだろうが、関係なく使用できる「脳死ケミカル」の筆頭格。ワックス成分は一切入っていないコーティング系ですから、マット塗装にも普通に使えちゃう。汚れも取れるし、過度にテカることもなく、ツヤを抑えたシットリとした仕上がりになる。他にもヤマハからマットカラー専用のクリーナーが出てるみたいですけど、面倒臭いのでそれまでヘビーユースしていたプレクサスをそのまま使ってます。
(へっちまんオススメの脳死ケミカル「プレクサス」。ドンキやAmazonで買えます。つや出しって書いてあるけど、ワックスじゃないのでマットカラーに使っても、テッカテカにはならない。)
ただ、どんなに気を遣ったところで、つや消し状態が永遠に維持できるか?っていうとそれはないですね。走り終わったら丁寧に表面を拭き上げるという習慣を繰り返して数年も経てば、外装表面のザラザラの粒子がクロスで少しずつ削られて、徐々にツヤが出てきちゃうんですね。「なんだ、つや消し塗装ってやっぱダメなんじゃねーか」って思う方もいるかもしれない。でもね。だからこそ良いんですよ。磨き込んだマットブラックの行き着く果てはナチュラルな黒光り。そこにあるのは、
「だーーっはっはっは、見ろぉ!この黒光りする俺様のピーーーをな!!」
ってやつなんですよ。そもそもデカいバイクを選ぶ人間は「股間から巨大なものを生やしたい」っていう願望がどっかにあるんですよ。ビックバイクなんて、私に言わせりゃ股間につけた天狗の面ですよ。デカさや排気量にこだわるのも、それが男らしさの象徴みたいなもんだから。気筒数が多い方がいいってのも「キンタマついているのが男なら、キンタマ6つにしたら、それもう男の中の男じゃね?」ってことですよ。ゴールドウイングなんて、タンデムシートで女まで囲っていこうっていう股間巨砲主義の権化みたいなバイクなんですよ。それが黒光りするなんて、もうバックに軍艦マーチが流れてるような状態です(陶酔)。
とりあえずアホは妄想は脇に置いておくとしても、鈍く黒光りするブラックってなかなかに良いものなんです。マットブラックって最初はパッとしないんですけど、徐々に染みるようなツヤが出てくるところがいい。マットにこだわってつや消し状態を維持しようと思うと大変ですけど、ここは発想を転換し「ツヤのない状態から、自分でツヤを育てていくのだ」って感覚で付き合うと、マットカラーは凄く味があるんですよね。
クリアー塗装は初手から非常に美しい。でも、その輝きは新車時が最高で、そこから経年するほど表面に小傷や磨き傷がつき、ツヤが少しずつ失われていったりする。しかしマット塗装は最初は目立たないし、高級感もあまりないんですけど、その後しっかり手入れすることによって、少しずつ良い感じにツヤが育っていくんです。そして、その変化っていうのは毎日付き合ってきたオーナーだけがわかる密やかで微妙な変化。まさに自己満足の極地。
(こちら現在のきんつば嬢。磨き込みにより黒みが強くなり、光りの当たり方によっては、まるで重金属のように鈍く輝いちゃうんですよ~。これがたまらない。)
付き合ってて感じるんですけど、マット仕上げって、ちょっと革に似てるところがあるんですよね。オーナーが大事に手入れをしていれば、色気がどんどん増してくる。皆さんも一度騙されたと思って、ヘルメットあたりでマットブラックどうですか?大事に長く付き合っていくつもりなら、味があってオススメのカラーです(笑)
(黒毛和牛のステーキを持つきんつば嬢。3年間手塩にかけて磨き込んだマットブラックの外装の色艶はすでにA5ランク。いつでも出荷できます。)
コメント
コメント一覧 (22)
艶消しというと、手入れに抵抗があって敬遠していましたが、なるほど革と同じ経年変化を味わえるのですね!
私は革モノが大好きで、渋い光沢のコントラストを眺めたり、着シワの色落ちをナデナデしたり匂いを嗅いだり、わざとギュウゥゥと音を鳴らしてみたり…
経年変化。素晴らしい言葉です。
へっちまん
がしました
僕の所有バイクではアグスタがマットブラック、ヘルメットはM30とZ7が
艶消しの黒で、アウトロウとX14が艶有りの黒です。
なんか気が付くと黒いアイテムばかりになってますね。
個人的には同じ色みにならないように
艶の有り無しで変化をつけているつもりなんですが
家人に言わせると「頭はひとつしか無いのに
黒いヘルメットばかり買って意味あるの?」とバッサリ。
バイクもラッピングのマットブラックと塗装の艶ありブラック
カーボンやブラックアルマイトで単調にならないように仕上げたつもりなのですが
「なんか、真っ黒でカラスみたいなバイクやな」と。
・・・。
まあ、自分には違いがわかるからイイんですよ!
へっちまん
がしました
マット系の色で風合いが出ると言う観点は無かったです!(驚)
結晶塗装とかも磨いてると削れちゃって、艶のないクリア塗装が有ればと昔思ったきり。
それでもブラックバード(飛行機)の写真を観た時はカッコ良いと思ったのですが、
自分の持ち物で敢えて選んだ記憶は無いです。
初めてツヤを抑えたグレーのヘルメットもウイングマークっぽいラインを入れたし、黒のヘルメットは生涯初だなぁ!
それでも何か手を入れちゃう気がするなぁ!
色やケアについてはきっとその筋の方から何かコメントがあると思います。(笑)
へっちまん
がしました
黒って難しいですよねー。自分の相棒954も現在真っ黒です。赤ひげ男爵でたまたまあったお値打ち品だったのですが、前オーナーが自家塗装で真っ黒けに・・・まあ自分はそこまで色にこだわり、というか新車を買ったことがないからあれなんですが、自分が「あ、この色かっこいいかも・・・」と思ったらそれで良しにしています。以前乗っていたのはSC30のトリコロールでしたし。ただ自分の好みじゃない部分は後で予算と手間を考え、自分で何とかしよう!てことで、954のホイールのみゴールドにしてあります。
やはり色によっての手入れの手間暇が変わってきますから、自分的にツヤありでフクピカ様のお世話になっています。なにせ、自分ずぼらなもので(笑)
昨今のSSはタンクがカバーになっているので比較的全塗しやすいのかなーと思いますが、自分世代の好むSSはタンクも塗らなければならない、と言う手間が発生します。新しい世代のSSは着せ替え感覚でカウルさえあれば交換できる強みがうらやましいです。
先生のきんつば嬢色映えを見ると「なんと色気のある黒なんでしょ」と思うばかりです。ここ最近954を磨くことをさぼっていたので、フクピカ様でテカテカになるまで磨こうかと思います。
黒毛きんつば嬢、いいですね(笑)・・・肉、食いたいっす!
へっちまん
がしました
若いころから黒が大好きでしたが車やバイクだと
手入れが怖くて黒は避けてたヘタレでしたが
最後の愛車となるであろう今の車を思い切って黒にしてから
洗車と磨きにドハマリし年がら年中コーティングしては磨き
磨いてはコーティングwと自ら地獄へ行き
悟りを開きましたw
ちなみに隼も黒 愛車も黒 どちらも磨き倒してます
もう走ってるより磨いてる時間の方が長いかもw
そんなこんなで出した結論は奇麗にしたいなら洗うなwです
結局触れば触る程小傷が増えて艶をなくし
水が残ってシミにつながります
なので長い目でみたらフクピカが正解だと思います
まぁ趣味の世界なんで正しい間違いはないと思いますが
ちなみにマッドブラックは一度思い切り艶を出して
洗って調整するのが面白いですよw
簡易系の艶出しならシャンプーですぐ落ちるので大丈夫
乗るのも楽しいですが洗うのはもっと楽しいと思う
ド変態のおすすめです
一度お試しを
へっちまん
がしました
黒毛和牛のくだりはマジで面白いです。
ブラックの大型車はGに例えられることはあっても”黒毛和牛”は新鮮です。
案外、バイクに興味のない女性の方がバイクを例えるのはお上手なのかもしれませんね。
技術と贅を惜しみなくつぎ込まれたホンダのフラッグシップのゴールドウィングが”六角堂”で出される5等級の能登牛にしか見えません(ごめんなさい)
私は教えていただいた”フクピカ””プレキサス””シリコンルブ”が洗浄の三種の神器です。虫や泥汚れは霧吹きで最少の水で落とします。水の拭き取りが楽だからです。シリコンルブはプラスチックにも使えますし、シートに使うとお尻の滑りが良く体重移動がしやすいです。
使い捨てハンディーモップも便利ですが、使い捨ての不織布グローブがおすすめです。愛車をなでなでするだけで綺麗になります。細部まで指が届きます。
愛車を愛撫しながら、しかもピカピカになるというバイク変態垂涎のアイデアグッツです。
もはや大人もおもちゃショップに陳列されても不思議じゃあない!
へっちまん
がしました
ビルダーのようなギラギラ、ツヤツヤも見応えがあって好きですが
愛車だったX11やF6Cはプラ部分の塗装がやはり何処となく質感を落としててちょっと勿体無いなぁ…って思ってました
F6Cは特に多用されてる黒い無塗装樹脂が少しでも白く変色すると一気に安っぽくなって凄く気を遣ってメンテしてましたね
シート下のサイドカバーのような部分はピアノブラックにラッピングでもしようかなぁ〜って考えてました
ゴールドウイングのマットブラックの変化!
凄い良い感じに濡れたような艶が出てますね
少し湿度のあるマット…高級感があってかなり好きな風合いです
へっちまん
がしました
マットな羽根、くちばしと目玉のグロス(ツヤ有り)ブラックとの対比、「憎たらしいのに綺麗だね、お前」って感じです。
さて、塗装の話でした。
黒系の色名はバリスティックとかガンパウダーとか物騒な名前が多ございます。
マットな質感は表面の凸凹で発生しており、
したがってスポーツバイクのニーグリップの部分などはどうしても経年使用によるテカリの発生を抑える事が出来ず、ニーグリップパッドなどで摩耗を防ぐ感じですね。
へっちまんさんの写真を拝見する限り、「黒が育っている」感じがとてもします。
バリスティックは1枚目のような「乾いた」質感なのですが、2枚目は独特な深みがありますね。
塗装が紫外線や擦れなどで変化していくのは自然な成り行きですが、「ケミカルで色が育つ、変化を楽しむ」のは有り難くもあり、面白い視点だなぁって思いました。
プレキサスって買った事なかったのですが、ちょっと買ってみたくなりました。
家にあるマット塗装なヘルメットはノーガード戦法だったので良い情報をいただけました。ありがとうございます。
ちなみにマットバリスティックブラックメタリックは、わたしたちのHAWK 11でもリアカウルやメインフレーム・サブフレームの塗装に使われていますよ。
霊夢と魔理沙ってYoutubeのゆっくり解説の2頭身の頭しか見た事なかったので、本来の姿を知れて良かったです!
へっちまん
がしました
マットカラーの利点として、塗装の柔らかさを逆手にとって『小キズなら自己修復する』というセールストークもありましたが、私はグロスブラックを選択しました。やっばブ厚いクリアの塗膜は好きですね。
ヘルメットは白無地が好きです。今使っているシンプソンのOUTLAWも白、もうひとつのジェットはアイボリーホワイトです。
だって最強の男 ゴルゴ13 が選ぶ身に着ける最後の鎧は『白ブリーフ』です。男は黙って白無地ってことでw
へっちまん
がしました