皆さんこんにちは。元日から激動の一年がはじまりましたが、ブログについては今後も通常営業で続けていくつもりです。ちなみに元日の年賀状ブログで、ちょうど500記事になりました。Yahoo!ブログで2016年に書き始めてから、ライブドアに移り、今年で8年目に入るんですけど「長い間、よく書いてきたな~」って思います。

こんなに続いたのは、私にとって、このブログが日常から逃避するための「魂のアヘン窟」だったからだと思うんです。定期的にこのトランス世界に籠もってストレス抜かないと表世界でもたないんですね。

その一方で、読んでくれる人にとっては単なる気晴らしに過ぎない。中身も読んだ後に脳のシワの間に葬り去られる程度のお気楽なものですから、反則でも凶器攻撃でも面白けりゃなんでもいいわけです。そもそもトイレに籠もってブログ書いてる奴のファイティングスタイルなんて下ネタ以外にないですよ。残りの武器はカビの生えたオタクネタと昭和プロレスネタだけ。その三つ叉のフォークを読んでくれる人の頭にザクザク刺して、「どんだけ流血したの?」ってのがこのブログの正体なんです。

そこにあるのは拳法なのにダイナマイト投げる南斗爆殺拳のような畜生道。
「火薬を使って何が拳法なの?」ってケンシロウにジト目でツッコまれても「勝てば良いいんじゃぁああ!!」ってことですよ。まぁそんなのが勝ったら偉いことになりますから、尺だけ稼いで無残に散るのがお約束。まさにあだ花。噛ませザコです。

今回は実質新年一発目のブログですが、色々と悩んだあげく、年末に書いたファッションとスタイルの流れから、私がバイクをどういう視点で選んでいるか?に絡めてモトグッチV7のことを書いていくことにしました。

私自身、昔っからモトグッチの縦置V型にずっと乗りたかったんですが、これまでなかなか購入に踏ん切りがつかなかった。だって敷居が高いじゃないですか。現状では同じ小規模メーカーでもトライアンフの方が圧倒的に買いやすい。私から見て、トライアンフとモトグッチって似てるようで全然違うんですね。どれくらい違うかっていうと、「ウルトラセブン」「アイアンキング」くらい違う。

ウルトラセブン&アイアンキング
(同じカテゴリーに属していても、ウルトラセブンは知らない人はいませんが、アイアンキングなんて知ってる人の方が少ない。屋台で飲んでるオッサンのような濃い面構えがいけなかったんでしょうか・・特撮マニアしか寄りついていないんですよ。)

トライアンフって、最近メディアでの露出を頑張ってるから、メジャーになりつつありますよね。一方、モトグッチって創業100年を超える老舗のくせに、新興ブランドのKTMに知名度すら負けているツチノコ状態なんですよ。良いバイクかどうかはとりあえず置いておいて、田舎では現物すら見ることがない。

でも、今回偶然にもレッドバロンで新車のV7に巡り会ったことで、それまで心の奥底でくすぶっていた私の欲望にメラメラと火が点いた。

私のガレージには、メインバイクのダイナがいて、秀才メイドのきんつば嬢がいて、公道適正抜群のリッタースポーツのHAWK11がいる。これってドラクエでいうと勇者と、賢者と、拳法家が既にパーティにいるってことです。コイツらメチャクチャ優秀なんで、ラスボス倒す道中はこれで十分なんですよ。でも、私的には、そこに遊び人とか、うっかり八兵衛みたいなのを加えたらパーティとして完璧じゃね?ってずっと思ってた。破廉恥漢でもスカトロでもなんでもいいから、他人が「ゲェッ!!そんなとこ行っちゃうの!?」っていうくらいのバイクを添えたかったんですね。そんな気分にハマったのが、V7だったんです。

で、いざ買って乗ってみると、ハーレーとの共通点をヒシヒシと感じたんです。形は全然似てないし、イタリア文化とアメリカ文化では気質も違うんですけど、その根本にあるのは「良いところをのばす」「バイクの個性を大事にする」「信じた道をひたすら行く」という思想であり、「多少のマイナスがあっても、それ以上のプラスがあればいいじゃんという割り切りの良さが共通してるんですよね。ハーレーやモトグッチってバイクを作る時の評価が明らかに加点法なんです。ある特定分野を伸ばすために、どうしても受け入れなければならないネガを許容してる。

日本の消費者の評価基準って自動車教習所の卒検と同じで100から減点していく感じだと思うんです。平均点をしっかりと定めてないから満点を基準にせざるを得ない。だから、85点の点数がついていると「50点から35点プラス」って考えるのではなく、「100点から15点マイナス」って考えがちになるんです。

バイク雑誌の評価もそうじゃないですか。評価が円グラフになってて、最高を5だとすると、多くの人は5から減点して見ていく。で、その結果、「円グラフが5点近くで綺麗に揃ってるものが良いバイク」ってことになる。要は「減点が少ないバイク」イコール「良いバイク」なんですよね。成績優秀な学級委員長が90点台をズラッと並べてるみたいなもんです。そりゃ優秀なのは間違いないし、実務の処理能力を問われる社会なら、そういう人が良い会社に就職する勝ち組になっていくから、その評価には一定の正しさがある。ただ、この手の実務処理能力ってこれからどんどんAIに置き換えられていく。それじゃあ創造性のある人材を選んでいきましょうってことになると、減点評価ってほぼ役に立たないんですよ。

このような減点評価は長年日本のスタンダードで、日本の教育や、もの作りに大きく貢献したと思うわけですけれど、この考え方の欠点は「長所より短所に目が行っちゃう」ってところです。バイクって高い買い物だから、その視点が強くなるのはしょうがないし、平均的に能力の高いバイクが悪いバイクなはずがないんだけど、この評価基準だけにこだわると、減点をひっくり返すような強い個性の存在を見誤りがちになるし、減点箇所にこだわるあまり、どうでも良いくらい些細なところまでツッコんでいく、揚げ足取りみたいな評価に終始しちゃうこともある。バイクってあっちを立てればこっちが立たない乗り物だから、減点を潰しすぎると長所も消えちゃうケースが多々あると思うんですよね。

長年バイクに乗ってきた人って、多少平均点の低い部分があっても経験とスキルでそれを補うことができるじゃないですか。大型が当たり前になった昨今、大型バイクってだけで性能的には十二分なんですから、肩の力を抜いて、個性重視の加点法でバイク見てもいいんじゃないかって思うんです。つまり、「どれかの項目で突き抜けた良さがあれば、残りはある程度目をつぶっちゃう」ってことですね。

総合点を重視しちゃうとハーレーやモトグッチってそんなに評価が高いバイクにならないんですよ。マイナスもある代わりに、平均点型のバイクにはない唯一無二の強い個性を持っている。それを受け入れた人に、日本製バイクにはない生き様を見せつけてくれるとっても素敵な存在です。

じゃあ今の私のバイク選びが加点法式なのか?っていうと実はそうでもない。最近の私の選び方は二つの視点を合成させたハイブリッド型です。「減点法一本槍で評価するのもマズいけど、かといって加点法に振り切れるのも良くないな~」って思ってるんですよね。

よく海外製バイクに乗っている人で、今の国産パラツインを「つまんないわ~」って一刀両断する人がおりますが、冷静に考えると、国内勢が技術をつぎ込んで作った次世代基幹パラツインエンジンのお味がマズいわけがないんですよね。それをつまんないと感じるのは加点法に振り切ってて「味付けが派手なものが好き」「濃いものが好き」ってだけじゃないかと。味付けが濃いバイクは私も好きですけど、下味がちゃんとついている上で、濃くしたり、ヒネってあるものもあれば、単に大味だったり、「インパクトはあるけどジャンクだな・・」って感じるものもある。濃い味でガツンとくる濃厚豚骨スープが好みだからといって、しっかり染み渡らせた鰹ダシの旨みがわからんってのもどうなのかなと。まぁ、最後は好みの問題にはなるんですけど、「うまいものはうまい」って素直に評価すべきだと私は思うんですよ。

やっぱ、バイク乗りになったからには、アメリカンステーキも和食も、ドイツのソーセージもイタ飯も、伝統の味も、ヌーベルキュイジーヌも全部食べて、その味わいを理解したいと素直に思う。消費者って評論家じゃないから、買って初めて「評論家と違う立ち位置でバイクが語れる」ところがあるんで、身銭切ってみないとそこはどうしようもない。身銭を切るから価格に対して真剣だし、「この値段に対してこのお味はどうなの?」って食レポできるんです。

海外製は壊れるじゃん?って心配する人もいるんですけど、そりゃ国産に比べたら信頼性はないと思います。壊れる壊れないは食べ物でいうと「食の安全」みたいなところがあって、日本のバイクはそこに対して責任感がすごく強いんですよね。その一方で、「味には自信があるけど、日本ほど衛生意識が高くないから、お腹壊したら胃薬飲んでね♡」っていうスタンスも当然あるわけですよ。

それはお国柄であって料理自体を否定する理由にはならない。だってその国の人達は胃薬片手にそれを当たり前に楽しんでるんだし、市場に長い間流通しているものは、そのプラスとマイナスに均衡したバランスがあるから生き残れているんで、全くダメなものなんてないと思う。

私のバイク選びが少々ややこしいのは良いところは加点法で見るんだけど、悪いところは減点法ってとこなんですよね。苦手なことはある程度目をつぶってるとはいっても、私の経験からして、「こと乗り味についてだけは、悪いところも40点平均くらいで収まっていないと長続きしない」という実感がある。

良い部分が120点でも、私の環境で乗った時に20点とか30点の評価部分があると、やがてその部分が猛烈に足を引っ張ってくるんですよ。距離乗ってるうちに、点数が低い部分が徐々にクローズアップされてきて、プラス部分を打ち消してくる。ただ、それが「どれほどの重みを持って足引っ張ってくるのか?」は、購入して一定時間付き合ってみないとわかんないんですよね。

ちなみに私のダイナは、特定回転域でホゲーッと走ってるときの気持ち良さが突き抜けてるバイクなんですが、その反面、雑なサスとか、日本の排ガス規制にあわせて低回転域で薄すぎる混合気とか、「うぉぉおおお!30点じゃぁあああ!!」ってところが結構あったんです。でもハーレーには「カスタムパーツを投入することによって、それらのネガを消せる」という反則技がある。私とダイナのトータル14年にも及ぶお付き合いは、ハーレー特有のカスタム文化、カスタムに対する無双特性があってこそだと思う。真っ当なバイクにしようとすると金を湯水のように飲むから、今のダイナが価格に見合うバイクかっていうと頭抱えちゃうんですけど、それでも10年以上前はネットでパーツが安く買えましたからね。ただ、そのカスタム無双文化が旧モデル所有者の乗り換えが進まない要因でもあるので、ハーレーにとっては痛し痒しなのかもしれない。

で、問題はモトグッチV7です。過去に所有していた方々のインプレとか評価を参考にすると、どう考えても一部に30点がありそうだったんですよね。ハーレーと違ってカスタムパーツも豊富にあるわけじゃないから、ちょっとイヤ~な予感がしてました。良いところが気に入るのは間違いないと確信があったんですが、悪い部分がどうなのかってのは買って乗るまでわからない。だから最後は「遊び人枠なんだから最悪戦力外でも良いじゃない」って、エイヤと購入してみるしかなかった。で、買ってみたら、思っていた以上に不満に感じる部分が少なかったんですよ。

後日詳しく個々の部分のインプレを書きますが、エンジンの個性はやはり素晴らしい。パワーはソコソコだし、3000回転以下はエアの流速にあわせるようにアクセル開けないと全然ついて来ないけど、回り方になんとも言えない色気と気持ち良さがあるところはまさにイタリアン。昔の空冷レーサーみたいで加点法でかなりの点数をつけられる。まぁこれまでこのエンジンを磨き抜いてきたという点への依怙贔屓も含めて120点をつけましょう。

その一方で、私の主観での不満なしを50点とし、減点法で採点した場合も40点を割り込むところは今のところないんですよね。2021年のモデルチェンジでリアサスのストロークとフレームのネック周りに手を入れてるようなんですけど、それが功を奏したのか、悪いところが評価の足を引っぱらないくらいのレベルで収まってる。だからこそ、良いところを気兼ねなく楽しめるんです。変態としての本質を維持しながら整ってるといっていい。

私的に個性重視のバイクには、平均点の高さは求めてません。ただ、マイナス面のボトムラインは割と厳しく見ています。しかも私の40点って一定じゃなくて、結構ワガママなんですよね。ホンダのようなリーディングメーカーに求める40点と、海外の弱小メーカーの40点基準は明らかに違うし、プライスとの兼ね合いも当然ある。私の内面的な心情に応じて依怙贔屓も出るからメチャメチャ主観的なんですよね。ただ、操作してみて生理的に違和感あるものは、基本全部40点以下です。厳しいようですが、そういうところをシビアに見ないと「良いところが突き抜けてれば、後は適当に誤魔化しても・・」っていうバイク作りに免罪符を与えることになる。

最初は至らなくても、モデルチェンジごとに真面目に熟成してるバイクは、良いところを維持しながら、嫌なところを許容範囲に抑え込んで、徐々にこなれたバイクになっていきますから、息の長いモデルは個人的にはどれもオススメです。機械モノについては「枯れた機械にハズレなし」って法則があって、少なくとも枯れた機械からジャンクな味はしない。で、モトグッチはそれまでの評判と、私が最新モデルを乗った感想を照らし合わせると、2021年のモデルチェンジで車体の基本部分に地味ながらもしっかり手を入れて、メチャこなれたバイクになったんじゃないかと思うんですよね。

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(正月っぽい写真を一枚入れてみました。)

現状の不満といえば、フロントブレーキの効きがスポンジーかつ甘く(ブレンボなのに!!)、引きしろの調整機構すらないってところと、リアサスがもうちっとしなやかだったら・・って点ですが、それが40点切ってるのかっていうと、そのラインはちゃんと超えてる。つまり、欲を出さなきゃノーマル状態で不満なく付き合っていけるんです。あと、当たりの個体なのかも知れないけど、半年4500㎞で、今のところ壊れる気配もまったくない。そう考えると現行のV7ってメチャクチャ最高かもしれない。今では稀少になった90°V型エンジンを搭載してて、しかも空冷で、さらに世にも珍しい縦置きで、見た目にも乗り味にも古典の香りが濃厚に漂っちゃってるのに、ハーレーと違って誰とも被らないし、我慢できないような不満もない。

もうこれ大穴バイクでいいんじゃないの?

エンジンもシャーシも枯れ切ったロートル仕様かと思えば、高回転はメチャクチャ綺麗に回って、まるで黎明期のレーシングエンジンみたいだし、高速道路ではシャフト駆動の特性で打ち出された矢のように直進し、ワインディングは縦置エンジン特有のリーンの美しさがある。しかも前から見るとエンジンがグリコポーズで、もう昭和の雰囲気がダダ漏れですよ。もうヤバヤバのヤバ。ダイナと2台持ちしてる私が断言します。お値段約半額ですけど、乗り味の濃さや魅力度の加点評価で、ハーレーにまったく負けてないから。

ということで、今回は私の評価基準でモトグッチV7を語ってみました。V7をあえて表するなら、バイク界のドクターペッパーかも。ドクペはコカ・コーラより歴史が古い選ばれし者の知的飲料なんですけど、今の世はコカ・コーラこそが主流で、あえてマニアックなドクペを選ぶのは変態のみです。Moto Guzziもそれと似てるところがある。コカ・コーラが主流の時代に、あえてペプシ。しかし、それでは飽き足らず、もう一歩踏み込んで、コストコでドクターペッパーをまとめ買いしていく。そんな猛者にこそ勧めたい。そこにはコカ・コーラやペプシでは味わうことのできない、なんとも濃い世界が広がっている。そう、ドクペが「3回飲むと癖になる」と言われてるように、Moto Guzziも「3回乗ると癖になる」、、、そんな怪しいイタリアンです。




・・あ、でも安心して下さい。ドクペほど人を選ぶ味じゃありませんからね(笑)






オマケ漫画「イタ車の高回転あるある」
豚野郎2