全国のロケットカウル戦闘団、HAWK11部隊員の皆様おはようございます。今回は4月23日に起きた、私のHAWK11の事故処理を追うというノンフィクションです。ここ3か月くらいなんらの事故報告をしてませんでしたが、このブログでは「この事故が最終的にどのように解決したか?」ってのをご報告致します。

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(ウチの*のじゃ子は元気になって距離をどんどん伸ばしてます。コイツはスポーツバイクとして、デザインも乗り味も、相当な中毒性がある。しかし、あまり理解されない。そこがいい。)

事故処理までの時系列をわかりやすく箇条書きするとこうなります。

4月23日午後1時頃

山道のブラインドコーナーで奥の駐車スペースから出てきたSUVとの接触事故が発生。HAWK11は車をかわしきれず、車の右側面をハンドルバーで削りつつ交差し、低速で転倒。これによりカウルとバイクの右側面が損壊。走行可能な状態だったため、自宅ガレージまで自走。夜にホンダドリームに引き上げてもらうことになる。

聖帝様に対してHAWK11の購入を隠蔽していたため、事故の報告を行う際、、プチパニックになり、とっさに「ストリートトリプルRSで事故ってしまいました!」と偽にまみれた大本営発表をしてしまう。冬の間、聖帝様は私のバイク小屋にはやってこないため、これまでHAWK11の購入をひた隠しにしていましたが、購入を打ち明ける前に事故ってしまうという悲劇・・。

4月26日 

大本営発表を真実にするために、ストリートトリプルには私のガレージから消えてもらうしかなくなる。また、HAWK11の修理にも備えなくてはならないため、できるだけ高く売る必要があり、レッドバロンの委託販売をお願いすることにした。

5月9日 

ホンダドリームより修理見積もりが出る。修理費76万円の報告を受け、口からカニのように泡を吹き出し、一日中、酔八仙のオカマ拳のような気持ち悪い動きとなる。

5月12日

聖帝様には「事故にあったストリートトリプルを売却し、新たにHAWK11を購入する」という、つじつま合わせのシナリオでアプローチを計るも、実はHAWK11の購入は昨年末時点で聖帝様にバレており、これまでは聖帝様に泳がされていただけということが判明。私の悪あがきは単なる一人芝居にすぎなかったという事実に呆然とする。

5月20日

相手方の保険会社とこちらの保険会社で事故の過失割合の合意ができたとの連絡がある。但しその割合に相手方から物言いがついているようで、まだ和解の合意はできないと相手方保険会社が言っている。事実関係自体は相手方も認める一方で、過失割合は納得していないらしい。但し、報告を聞く限り、相手方に過失割合を動かせるような具体的な理由はなさそうで、「気に食わないからゴネている」だけみたい。

「実際の入金までは結構長引くかもしれないな・・」
と、この時点で、修理費については一時自腹を切る覚悟を固める。

6月3日

HAWK11の修理が完了する。事故の示談金の入金はまだないため、ホンダ・ドリームに修理代金を自腹で支払う。傷が無視できる程度だった右フロントフォークとヘッドライトはもったいないから交換するのはやめようということになり、最終的な支払額は68万円となる。

6月25日

保険会社から連絡あり。過失割合及び支払損害額に、事故の相手方がようやく同意したとのことで、この時点で示談が成立する。

7月3日

示談金が入金される。約80日の期間を要したが、無事解決。


・・・とまぁこんな流れです。相手方が過失割合に納得するまで、結構な時間がかかってるんですが、私的には「時間はかかるかもしれないけど、最後は絶対に合意する」と確信してたんですよね~。だって相手方は車両保険に入ってますから、こちら側のバイクの修理費は対物保険で出るし、自分の車の修理費だって車両保険で出ちゃうんですよ。つまり、過失割合がどう転ぼうが、実質的な持ち出しは一切ない。自分の腹が痛まない以上、文句を言う実益はまったくないんですよね。

軽微な事故で保険を使いたくないから抵抗するってパターンはあるかもしれないけど、今回の場合は過失割合をいくら削ったって、こっちの修理額は76万円という仏罰のような金額だから、保険を使わざるを得ないことは火を見るより明らか。で、保険を使うんなら「持ち出しはどうせゼロなんだから過失割合なんぞ、どうでもいい」ってことになるんですよ。

以上のとおりだから、気分さえ落ち着けば、合意しない理由は何一つないってことになる。まぁ、相手方は30代だったんで、これから世の中を知っていってね。って感じです。

修理費が高いって言うけれど、今回は一番高い人間の修理費がゼロですからね。こっちは事故で地べたを豪快に転がってるわけですが、医療機関には一切かかっていないし、仕事も休んでないんです。相手方の保険会社からも

「後遺症が出るといけないので、せめてCTスキャンくらいはしておいた方が・・」

って言われましたが、仕事が繁忙期でそれどころじゃなかったから、病院には一切行ってないんですよね。だから、医療費も休業補償も慰謝料もなーんにもない。相手方の保険会社の支払いは*のじゃ子の物損分だけですよ。バイク事故って乗り手がソコソコのケガをするケースが多いし、事故の後、あれこれ検査するのが常識ですから、結構医療費がかさむんですよね。CTスキャンだけで20万円くらいかかりますからね。それに休業補償とかなんやかんやつけてくとどんどん損害額は膨らむ。

今回はそういう支払いがなかったから、「バイクでの事故の割には、安い金額で解決できた~」って相手方保険会社はお喜びだったんじゃないでしょうか?

ということで、最終的な解決内容は以下の通り。(相手方の被害額は個人情報なのでマスキングしてあります。)

示談内容(こちら、保険会社から後日送られてきた事故処理の通知。ペラ紙一枚でした。)

過失割合は相手方の過失が9、こっち側の過失が1。そりゃまぁ、ブラインドコーナーの出口で道路脇の窪地から出てきて、こっちの進路いきなりふさいだんだから、完全な優先通行妨害ですよね。いわゆる「路外侵入」ってやつです。現場はすっごい辺鄙な山道だったんですけど、一応県道ということで、路外進入は認められやすかったのかも。

それでも過失割合9:1ってことは、私の方で相手の車両損害の1割と、こちらの修理費の1割を負担しなくてはならない。相手方の車両損害は、私の保険の対物補償から出しました。凄く少額だったんですけど、ストリートトリプルRSにかけてた任意保険が売却により宙に浮いたんで、それを今回事故ったHAWK11にのせかえたんですよね。だから、HAWK11の任意保険はこの事故の処理が終わったらお役御免。使わない理由がない。

*のじゃ子の修理費の1割も自腹で出さなくちゃいけないんですけど、傷が何処にあるのか目をこらさないとわかんないくらいだったヘッドライトとフロントフォークをそのまま使うことで、自腹分の1割を浮かせて、修理費を68万円に調整してます。

これで本来なら赤字ゼロで終わり、めでたしめでたしだった・・・はずなんですが、実際の相手方からの入金額は・・・な、なんとぉ!!

88万2426円!!

「ナニィィイイイイイイ!!バカな・・・」

「不正じゃ不正ジャァアアアア!!」

「神聖なカウルを傷つけた輩に仏罰が下ったァァァァ!!!」

など、いろいろなご意見ご感想があるかもしれないけど、こうなったのは全くの偶然なんですよ。理由は単純で、示談内容の赤線部分にあるように、携行品について21万6517円分の損害が認められ、その9割の19万4865円が修理費に上乗せされて振り込まれたんですよね。

「はぁぁああ!?21万円も一体何を身につけてたの?」ってことなんですけど、その内訳は以下の通りです。


ヘルメット(ショーエイZ-7)  
5万8300円    2019年11月頃購入

冬用ゴアテックスグローブ(ゴールドウィン)   
1万7160円       2022年11月購入

眼鏡         
約6万円      2018年購入

革ジャン(KADOYA)   
20万6800円       2022年10月購入

私自身は、山道をゴロゴロと転がったってだけですから、携行品のキズっていっても眼鏡がボッキリ折れた以外は、着衣に若干の擦り傷がついたくらい。普通に使う分にはまったく支障はなかったんですけど、一応写真と購入時の領収書つけて、相手方保険会社に送ってあったんですよね。

その結果、相手方の保険会社が「これら全てを損害と認定した」んです。ただ、ヘルメットと眼鏡は減価償却され、実損額は微々たる金額になっちゃったし、グローブは元値が大したことないんでこれも微々たるものだったんだけど、たまったま着用していたKADOYAのA1-VS(ゴートスキン)がトロイの木馬のように敵陣で大爆発して、予期せぬ大戦果をあげたんです。

これ、購入したのは昨年の10月だったんですけど、フルオーダーだったんで、仮縫いもあったし、製作も職人の手作業だったりして、納品は2023年の3月までずれ込んだんです。で、3月はクッソ寒いから着てなくて、実際に下ろしたのは4月入ってから。事故までに2回しか着用してなかったんですよね。その事実がKADOYAの納品書で明らかだったので、相手方の保険会社も減価償却しようがなかったんでしょう。

擦り傷っていっても右肩と背中にちょびっとスレ傷が入っただけ。走り屋感覚ならキズと言うのもおこがましいレベルのものです。しかし、この僅かばかりのキズのおかげで、「革ジャンが全損扱い」になったんですな~。このおかげで携行品損害額が21万円に膨れ上がったわけなんですよ~。

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(これが革ジャンのキズ。路面にころがったときに、白いスレキズがちょこっと入っただけで、使用には特段の問題はない。)

これはまったく想定外で、

「へっちまんさんの携行品の損害は相手方保険会社で検討した結果、約21万円になりました」

って電話があったとき「ひゃぁあああああ・・」って、スマホ取り落としそうになりましたよ。「これが噂に聞く焼け太りというヤツなのか・・」って呆然としました。私の人生に焼け太りなんてことは今まで一度もなかったし、現実には新品の革ジャンに傷が入っちゃったんだから、焼け太りじゃないんですけど、私の感覚的には完全な焼け太りだった。

つーか革ジャンは、事故以降、革を馴染ませるために積極的に夜走りに着用してましたんで、既に前面に虫が貼り付きまくって、昔台所にぶら下がってたハエ取りシールみたいな状態になってんですよね。この汚さの前では背面のスレ云々などハナから問題になってないんですよ。

「せっかくの革ジャンをキズ物にしやがって!新品に交換しろゴラァ!」っていう神経質な人は減価償却自体が納得できないかもしれないし、「そもそもバイクがキズ物になっちゃってどうしてくれんの?」って人は焼け太りなんて感覚は毛ほども抱かないかもしれないけど、事故も10回を数えますと、事故った時点で頭の中は

「大・損・害」

って言葉で一杯になる。それほどバイクの転倒事故って乗り手の持ち出しが大きいんです。だから、事故った時点で悲観的な気分でその後のやりくりを考えるんですよ。日本の損害賠償って実損害額を補填するだけだから、元に戻ったとしてもプラスになることは絶対にない。だから、今回みたいに感覚的に20万円も資金が残っちゃうことって「奇跡が起きた」以外のナニモノでもないんですよ。

仏罰の*のじゃ子2.0
(この入金額、まさに仏罰としかいいようがない。過去10:0の事故ですら、焼け太り感を得られたことはないというのに・・。)

「はぁぁあ??なら結局ストリートトリプルRSを売らなくて良かったじゃん!」

ってことになるんですけど、私的にはやっぱザラブ孃は売却する運命だったんじゃないかと思うんですよ。だって、今回20年ぶりの事故で「現在の私の走りは事故を起こさない走りではない」っていうことが逆証明されちゃった以上、今と同様の走りを続けることはできない。

確かに過失のほとんどは相手にあるし、スピードも大して出てなかったんですけど、バイクの事故はそういう問題ではないですから。バイクの事故は、一度起きてしまったら「生還できるか?できないか?」の二択しかないんです。そして、それはすべて運。事故回数とその派手さでは誰にも負けない私が言うんですから間違いないです。

私のようにどんだけ事故っても立ち上がってくるターミネーターのようにしつこいヤツもいれば、一度目の事故で重篤なケガを負ってしまう人だっている。正直事故や転倒って、起きる前は技術かもしれないけど、いざ起こってしまったらその結果は運次第。

「たとえどんなに…不運…不幸…不ヅキに見舞われようと…オレは決して諦めない…!」

「捩じ伏せる…! 最悪の運命…境遇…ありとあらゆる障害…不平…不正…すべてを捩じ伏せ…オレは勝つ…!」

っていうカイジの言葉を地でいく乗り物がバイクです。つまり、全ての不運、不幸、不ヅキ、最悪の運命、あらゆる障害、そんなものを飲み込んだ上で自衛するしか手段がないんです。いったん不運に抱きつかれたら、そこで終わりですから、危機的な不運に遭遇しないよう、最前線で戦い続ける熟練兵のように、常時慎重で適格な立ち回りをしなくちゃいけない。

これまで私が20年間事故を起こさずやってきたのは、私の走りが安心安全だったからじゃありません。ハタから見ると結構危ういことやってたと思うし、激ヤバな瞬間も何回かはありました。でも、いろんな危機的状況や不運を、これまで賽の河原のように積み上げてきた経験と事故慣れという超恥ずかしいスキルでギリかわしまくってきたってのが実情です。しかし、今回はかわすことができなかった。正面からの衝突はなんとか避けたものの、車の側面を削って転倒し、神聖な*のじゃ子のカウルに傷をつけてしまった。

これは「相手が悪いからしょうがない」って問題ではありません。あらゆる不ヅキ、不運はバイクに乗る上で折り込み済みなんだから、それを許容した上で「かわせなかった」って事実が問題なんです。つまり私の反射能力は、加齢によって突発的な不運をかわせなくなってきてるんですよね。

事実、50歳を過ぎた頃から、反射神経の衰えと腰のパーツの摩耗を急激に感じるようになってたんで、「これまでどおりのイケイケの走りしてたらマズいなぁ・・」って心の中では思ってたんですよ。ザラブ嬢については「安定感もあるし、限界も高いし、もの凄く速いけど、このままでは絶対ヤバイ・・」っていう問題意識は乗ってる間ずっとあった。でもどういう走りをしたらいいか、どうにもわからなかったんですよね。

そんなときにホンダから「大人の上がりバイク」っていう、私の心をタイムリーに爪楊枝でチクチク刺してくるバイクが発売され、それが素敵すぎるロケットカウルを積んできたんで、そこに強烈な運命を感じたところもあったんです。

で、この事故が、まさにダメ押しの一手になった。これは「今一度走りを見直す時が来たのじゃ!」っていうバイク神のお告げだと感じました。敬虔な信者としては、それを正しく受け入れて、神の意志を実行しなきゃいけない。そんなときに私の手元に、ホンダが上がりとしてデリバリーしたスポーツバイクがあり、SS系ストファイを手放す流れになったってのは、偶然にしても出来すぎではないか?

私は現在*のじゃ子先生に、毎週のように大人の走りを教導してもらってます。大人の走りって簡単に言うけど、言葉だけをいくら積み上げたって何にもわからない。最後は感覚で理解するしかない。でも、これまではそんな走りを学ぼうにも、大人の走りについての共通認識も、具体的な目安もなかったんです。

でもHAWK11はメーカー自身が「大人のスポーツバイク」って触れ込みで登場させたバイク。つまり、このバイクが提示した走りの境地を理解できれば、それがきっと「ホンダの考えてる大人の走り」ってことになるはずなんですよ。つまり、HAWK11は私にとって単に乗って楽しむというだけに留まらず、「大人の走りを目指すに当たっての指標であり教科書」になりうるバイクなんです。

私は覚えが悪いんで、このバイクを理解するのに、相当な時間が掛かるのは間違いないと思うけど、この5000kmではやくも「今までと違う何かを掴んでいるゾ・・」という手応えはあるんです。後はそれをもっともっと自分の感覚として明確にしていく作業を続ける必要があると思ってます。まだまだ試行錯誤ですが、今後10年間バイクに安全に乗り続けるために、このバイクから学べるものは、しっかりと学んでいきたい。

なんだかんだいって、こういう心境になってるっていうのが、今回の事故の最大の教訓なんだと思います。