全国のロケットカウル戦闘団、HAWK11部隊員の皆様、おはようございます。ひっぱり餅のようにただひたすら薄く伸ばし続けておりますHAWK11のインプレですが、今回は車体編のPart2です。・・あの~大変申し上げにくいんですが・・本文が一般的なブログ2つ分くらいになっちゃってます・・・・。

「バカヤロウ!そんな読経みたいなブログ読めるか!」って方は迷わず右上のバツマークを押してください。「一本グソのようなキレの悪い文章でもかまわないよ♡」という天使のような方は以下の本文にお進みください。それではどうぞ。




一般的に新車を購入いたしますと、ほとんどの方が、まず最初にナラシをして、その後に、バイクと自分にとってどんな走りが好ましいのかを検証しつつ、バイクと一番折り合いがいいところを探し、走り方を落ち着かせていくって作業をやっていくんじゃないでしょうか。中にはナラシが終わってすぐバイクと意気投合して走れる人もいると思うんですけど、私はバイクと馴染むのにかなり時間がかかるタイプなんですよね。

新品おろしたてから数千㎞まではエンジンフィールはどんどん変化していくし、サスの動きも目に見えてしなやかになっていく。リッターバイクは特にそれが顕著なんで、自分でレンタル試乗記書いといてなんですけど、走行数㎞のバイクの試乗インプレって「イマイチ不正確」だなって思うんですよ。納車時は石臼のようにゴリゴリ回ってたエンジンが2000㎞も走るとキャラ崩壊ってくらい軽くなって、印象が一変しちゃうなんてのはよくある話ですし。

メディア試乗の際には、メーカーはちゃんとナラシを終わらせた個体を用意してるそうなんですが、私ら一般人はそんなの望むべくもないし、そんな個体をあてがわれたとしても、ニブチンの私がバイクの良いところを一目で見抜いちゃうなんて奇跡は一切おきません。できる子は瞬時に問題をとくけど、落ちこぼれは時間内では全然解けないっていう、偏差値教育と同様の残酷さがバイクの世界にも存在するわけです。でも、私のような残念な子でも所有者になれば「無期限にしつこくネチネチ検証していく」という居残り補習みたいなやり方でインプレが可能。とにかく量と時間を投下すれば、アホの坂田でも自分なりの正解にたどり着くことができる気がするんですね。

私の経験では短くて5千㎞、長くて1万㎞くらい走り込めば、自分なりに「このバイク、こういう乗り方がベストなんじゃないかな?」っていうところに落ち着く気がします。誰だって愛車を一番輝く領域で乗りたいわけですから、乗り込むうちに自然にそうなっていくわけなんですけど、私の場合はそれに1年くらいかかっちゃう。「おせぇよ!!感性鈍いよ!!」って言う人もいるかもしれないけど、大型バイクって奥が深いし、エンジンが本調子出るまで1万㎞くらいかかるバイクだってザラにあるし、「これ以上は印象が変化しません」ってレベルまで乗り込むには、そのくらいはかかるんじゃないかな~と思うんですよね。

特にHAWK11は、「大人の上がりバイク」「速くない、でも少し速い」という特殊なアナウンスがされてる謎バイク。顧客をあまり選ばないスタンスのホンダが、思わせぶりなワードを使って、あえて購買層を指定したバイクを出してきたわけですから

何をもって「大人の走り」と定義してるのか?

ってことに、自分なりに答えを出しておかないと、このバイクを納得いく形で消化できない気がするんです。

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(夕日と*のじゃ子。タンクの面の張りとエッジのコントラストの幾何学的な美しさよ。背後から見るとまるで宇宙船みたいです。)

そもそも、このバイク、ホームコースに持ち込んだ初手から、SS系ストリートファイターのザラブ嬢(ストリートトリプルRS)とは、走らせ方がかなり違ってました。

ザラブ嬢はコーナーにおいては装着タイヤであるスパコルのキャラが非常に濃かった。超高性能ラジアルの特性か、腰を落として重心を下げ、ガツンとトラクションかけた方がバイクの姿勢も安定するし、グリップするし、ギュルギュル曲がるしで、最初から最後まで腰を振りっぱなし。どりゃぁあと腰を下げて、コーナーの曲率にあわせてハナさえ入れば、あとはしかるべくアクセル当てていくだけで、あっという間にコーナー抜けちゃう。まさに「おまかせスパコル先生♡」って感じで、ヒョェェェ!って驚愕の叫びを上げるしかありませんでした。

一方の*のじゃ子さん(HAWK11)はそんな必殺コーナリングみたいな技はなく、メチャクチャプレーンです。このバイクの履くダンロップのGPR-300は最近履いたタイヤの中では一番特性に味付けがないタイヤかもしれない。ヘリに荷重かけても旋回性がさして高まるわけでもなく、腰落としたって姿勢が安定するわけでもない。まーるい表面曲率が乗り手にしっかりわかる特性で、バンクさせれば曲がるけど、必要以上には曲がらない。とにかくプレーンなんで、いろんな調整を乗り手がやんなきゃならない。

同じお尻を落とすにしても、ストリートトリプルRSは「スパコル特有の旋回力を発揮させ、安定した車体姿勢を作るため」という現代的な理由であり、HAWK11は「旋回中の遠心力によるアンダーに対抗するため」という古典的な理由です。だからとにかく尻を落とせば、超高性能スパコルさんがツジツマを合わせてくれるストリートトリプルRSと違い、HAWK11はなんでもかんでも尻を落としてると旋回バランスが崩壊する。アベレージが低かったり曲率がユルいコーナーで尻なんか落としても、遠心力とバランスしないから逆にバイクが不安定になるんですよね。

うちの*のじゃ子は腰を落としてコーナーに飛び込むのはいいんですけど、コーナーの曲率と進入スピード、バイクの旋回性が腰を落とした重心位置にあわないと、まったくしっくりこないんです。腰を落とすのは方法論ではなく、結果論だから、ザラブ嬢と乗り方が逆なんですね。80年代はハングオフって誰でもハマる芸当じゃなくって、当時のバイアス低性能タイヤで峠を高いアベレージで走れる人達だけがハマる乗り方でした。ですから私のような低スキルの乗り手が憧れだけでヒザ擦ろうとすると、全然整合しなかったし、整合してないのに無理するから「バナナ踏んだマリオカートみたいにNSRが回転しながら崖下にブッ飛んでいきました♡」ってことになってたわけなんですよ。HAWK11は当時のホロ苦い思い出が甦るような旋回特性なんですな~。まぁ昔のタイヤと違って今のタイヤは全然安心ですけどね。

でも、こういう乗り手主導の特性もこれはこれで、「コーナーを少しずつ攻略していく」みたいな楽しさがある。走り込みながらバンク角とアベレージをコーナー曲率にキッチリあわせていく感覚。こういうのは超高性能ハイグリップタイヤでコーナーを強引に切り裂いていくような走りに慣れた人には前時代的かもしれません。でも、これはこれで十分に速いし懐かしくも楽しいわけです。

でも、そうやってホームコースを何回か走るうちに、私は次第に「うーん・・これは多分・・解釈違いなんだろうな・・」って思うようになっていったんですよね。

だって、天下のホンダがHAWK11に「バイクを乗り継いできた大人のスポーツバイク」っていうキャッチをあえて使ったからには、そこには

「ベテランの走りとはこうあるべきだ」

「最終的に大人が行き着く良いバイクとはこういうものだ」

という「バイクに対する思想と哲学」、それに基づいた「ホンダなりの提案」がないとおかしいじゃないですか。でも先に述べたような攻め込んだときのバイクの特性って、乗り手の趣味や嗜好の問題であって、バイクの良し悪しじゃない気がするわけですよ。そうでないと「昔は良かった」ってだけの話になっちゃう。

確かにこのバイクは、速く走らせようと思えば凄く速いし、ノスタルジックに攻める走り方もできるように作られてます。けれども、それが大人の走りなのかというと、「それは違うんじゃナイノ?」と自問自答するところがあったんです。

私は当初、HAWK11のキャッチは「現代の速すぎるスーパースポーツに対するアンチテーゼなのでは?」って思ってたんです。でも今は、このコピーはそういう対立軸で作られたものではなく、どっちかというと、「このバイクの一番気持ちいい走りの領域を素直に表現したものなんじゃないか?」って考えてます。

このバイクは長年速さを追い求めてきたバイク乗りが、「速さへの誘惑を切って捨てた」とき、目の前に黄金郷が開けるようになっている。ハーレーも目指すところは似てるんですけど、手法が全然違います。ハーレーは「バイクが設定した以上の走りをバイク自体が拒絶する」ことによって、バイクの一番いい走りに乗り手をハメ込むようなところがあって、その強制力によってスピードジャンキーのお子ちゃまスペシャルバカだった私に新たな世界を提示してくれました。

しかし、HAWK11はエンジンもシャーシもハイスピードを許容するようにできてますから、速く走ろうと思えば速く走れちゃうんですよね。だからこそ真の快楽の扉を開くには「乗り手自身が、主体的にスピードを切り捨てるという意識」を持たなくてはならない。「スポーツ=速さ」という概念にとらわれているうちは、それって結構ハードルが高いと思うんです。でも、そういう考え方に至った人だけに、このバイクは本当の姿を見せてくれる。

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(どうですか、このロケットカウルの神々しさ・・もうね。仏具っつーか、神器っつーか、夕日に向かって「仏教伝来ーー!!」って叫びたくなりますよ。私の住む糞田舎がまるで斑鳩の里のように見えてきちゃう。)


じゃあ具体的にどのように走れば大人の走りになるのでしょうか?

これはあくまで私の結論ですが、まずは腹をくくって4000回転以上の回転域を頭から切り飛ばしてしまいます。そう、スポーツバイクにあるまじき「回転域の断捨離」を決行するんです。「えええええ?せっかく回るエンジンなのに、もったいないよー!!」って言う人もいると思いますが、それでは「速くない、でもちょっと速い」っていう速度域では走れない。だって、そっから上を使い出すと超速いバイクになっちゃうんだから。

走行モードはパルスや音の味が濃く、超低開度でもアクセル制御の解像度が高いスポーツモードを推奨。ギアも3速だと回転上昇が速くて回したくなっちゃうから、いっそ4速で固定しちゃいましょう。4速縛りだと3000回転で約65km/h、4000回転で約90km/hくらいになります。

で、この設定で走りますとですね。あら不思議。

パルスの快感

キワキワの微細領域で正確に反応するスロットルレスポンス


心地よい排気音


豊かでキレのあるトルク


リーンウィズで美しく決まるハンドリング


これらの要素が「ぶわわっ」と押し寄せ、快感度がドーンとMAXになり、「アヘェェェ~」ってトランス状態になるんですよぉ。認知症になると人は全ての苦しみを忘れ、多幸感に包まれるといいますが、この多幸感はまさに「走りの認知症」といえるものではなかろうか?これからやってくる認知症の世界を数十年、前倒しで味わえるとは・・、これぞ大人のバイク、高齢者の黄金郷ではないか?

とにかく腹下に抱えるアフリカツイン譲りの水冷パラツインの気持ちよさがヤバイ。このエンジンはハーレーの空冷Vツインように車体を揺らしながらドコドコとステイしようとするわけでもない。ドカのLツインのように元気良くダカダカと高回転へ駆け上がろうとするわけでもない。この領域でスロットルを当てたときのHAWK11の鼓動感をあえて擬音で表現するなら

バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル

どーーっすかこれ?荒木飛呂彦ファンは、うぉおお!っと首を伸ばして反応しちゃう音ですよね。そうです。HAWK11は一番表情が豊かな中回転域で、バオー来訪者を思い起こさせるかのような『バルバル音』を発してくれるんですよ。

バオー(こちら荒木飛呂彦先生の初期の名作「バオー来訪者」。ハーレーはドコドコ、ドカティはダカダカ、そしてHAWK11はバルバル。ツインって個性があってホント面白い。)

もうね。これ言いたいがためだけに、私は前のブログでひたすら荒木飛呂彦ネタ仕込んできたんですよ。過去ブログは今回のための壮大な前フリです。

しかもその「バルバル感」はバオーの攻撃形態みたいにトゲのあるものではなく、見事に角が取れたものなんですよ。最適な吸気、無理のない圧縮、綺麗な燃焼、精度の高い組み上げなどが揃わないと、このスッキリ爽やかなバルバル感は出ないと思う。そういう意味では、このエンジンは無理をしたり奇をてらったり、余計な味付けをしたりすることなく、本質的な燃焼の旨みを素で出してるエンジンなんだと感じます。

あととにかくスポーツモードのスロットルレスポンスが秀逸。HAWK11のスポーツモードは、大きく開け閉めすると加速トルクと減速トルクがハードに出てやや気になるかもしれませんが、その反面、アクセルを微細制御したときのコントロール性が極めて「繊細で正確」です。ほんの僅かなアクセルの開け閉めのところで空気の流れと燃焼を制御できるようにスロットルが躾けられてるんですよね。そんな微細なアクセルの開け閉めを、HAWK11のシャーシは見事に拾ってくれる。大きな入力ではなく、僅かのスロットルの戻しで、コーナーで綺麗にハナが入っていく。決して派手ではないんですけど、そのときの澄み切った挙動の気持ちよさが、走ってて癖になるんです。

4速4000に回転縛っちゃえば、公道ではヤバイ領域に一切入らないから、ハードブレーキングもいらず、尻を落として遠心力と戦う必要も、体を振るようなアクションもまったく不要。ほんの僅かなアクセル操作だけで、バイクと一体になってコーナーを美しくクリアすることができるんです。

「ハーッハハハ!コリャ優雅だ!まるで大空を舞う鷹のようじゃないか!見ろ!人がゴミのようだ!!」(ムスカ大佐風に)

ムスカ大佐3
(これぞ大人の高笑い。ライディングは枯れたとしても、品という言葉にはまったくの無縁。それが私。

いやー、この微細領域のキワキワを攻める感じは、セパハンじゃないと絶対に味わえないと思う。セパハンはキツイから乗らないって人は、この点では間違いなく損してる。

繊細だけど、もうちょっと味に刺激が欲しい、山椒かけたい!って思えば、コーナー立ち上がりでちょっと強めにアクセルを当てれば、中低回転域でもリアをズリっと振り出すくらいのトルクもありますし、路面にタイヤを突き刺すような2気筒らしい刺突感もある。なんせこのエンジンは国産2気筒最大排気量なんですから、中回転域のナチュラルパワーは相当なもの。大トルクとハイレスポンスの「リッターツイン」の醍醐味を存分に味わえますの。オホホホホ。

空を舞う鷹51
(ロケットカウルの曲面のように美しく・・。その走りはまるで街道を舞う鷹。優雅さの中に繊細な操作感をギュウギュウに詰め込んである。まぁとにかく、細かすぎて伝わらないって点では極まってます。)

こういう楽しみ方って、速度域も低くて低負荷だから、体に無理もかからない。初見のワインディングでもメチャクチャ余裕を持って走れます。ハーレーのダイナも一応ビックツインスポーツって言われてて、速度感的には似たようなところがあるんですが、なんせあっちは重量級クルーザー、何かがあると300㎏という重量がところどころで顔を出す。歯ごたえはあるし、肉汁ドバッと出るしワイルドで美味いんだけど、大味感はいなめない。でも、*のじゃ子は似たような速度域でも、こっちの入力に対してとてもダイレクトかつ繊細に反応するから、スポーツライクな走りの醍醐味が存分に味わえるんですよね。

スポーツバイクって長い進化の過程で、乗り方が少しずつ変わってきてはいるんですけど、いつの時代でも、どの速度域でも、「乗り手の操作に対してバイクが繊細かつ正確に反応する」ってことが要じゃないか?って改めて実感いたしますね。

しかも、HAWK11はベースがアフリカツインだから、シャーシに柔軟性があるし、鬼のようにトラクションがかかるし、タイヤも温度変化に強いし、気持ちいい速度域も低いから、舗装路である限りまったく道を選ばないんですよ。

この領域を堪能してると、やがて乗り手の心境にも変化が出てきます。スピードを上げて速く走ろうという欲よりも、「滑らかに美しく走りたい」と思うようになるんですねぇ・・。HAWK11は右手に全神経を集中すればするほど綺麗に動くようなところがあるから、「走りから雑味や荒さを取り去ろう」って意識すると、速度を上げるのと別のベクトルの難しさや緊張感があって面白いんですよ。だから、全然飽きないわけなんです。だって、美しい走りって、どんなに突き詰めても、お腹いっぱいにならないし、果てがないですから。

思い起こせば、その昔、奥多摩で私がヒザを出してシャカリキに走ってた頃、リーンウィズで峠を気持ちよく抜けていくドカの900SSや、BMWのR80だかR100だかのカフェレーサーっぽいのに乗ってるオジサン達がいましたよ。あの頃はその後ろ姿見て「このジジィども・・枯れてやがる・・」なんて思ってましたけど、今となっては私が似たような走り方してるんですよね。

*のじゃ子に乗ってると、30年の時を経て、あの頃のオジサン達の背中を追ってるような気がしてシミジミ感慨深い。公道ライダーの行き着く先って、操作の精度を上げて、走りを綺麗に磨いていくってことなんじゃないか?と改めて感じる今日この頃であります。