ゴールドウィングの前後タイヤを2か月前にメッツラー・クルーズテックから、純正のエクセドラに変えました。今回は「1年間頑張ってくれたメッツラー・クルーズテックの印象」と、「純正タイヤに戻しての感想」、そして「私の中のホンダのイメージ」について書きたいと思います。え?HAWK11のエンジンインプレはどうしたって?今作ってますけど、難しいんです、いろいろと。あと、タマにはきんつば嬢のことも書かないとイジけちゃいますからね。

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(色がCGのように美しい満開の芝桜。聖帝様とタンデムツーリングの途中の一枚。)

ちなみにクルーズテックの寿命は約9000㎞で、純正のエクセドラと比べ「ほぼ同様か少し短い」という結果になってます。ちなみにダイナのフロントもほぼ同時期に交換したんですが、履いていたメッツラーのマラソンウルトラのフロントも9000㎞の寿命と相成りました。以前私は「マラソンウルトラは1万8000㎞ももつんですよ~」って報告してましたが、

私のねつ造したデマでした大変申し訳ございませんでしたぁ!!(ダイナ共々お辞儀角度90度で10秒停止)。

ディーラーが私のタイヤ交換の記録を1回残し損ね「前回から18000㎞走ってますねぇ!」ってメカさんからいわれて、それを素直に信じた結果、エセ情報が流布される結果になってしまったんです。

いやもうライフを倍で報告するというトンデモないミスリードをしてしまったわけなんですが、これはタイヤの管理を自分でしていない私の責任。だってディーラーは大量のバイクの面倒を見てて、私のダイナなんて巨大な生け簀で泳ぐグッピーのうちの1匹でしかない。そんなグッピーのタイヤ交換の距離数をディーラーが正確に把握しておく義務なんて毛ほどもないし、責任もない。

やっぱりバイクは自己責任、自分のバイクのことくらい自分で把握しないとどうしようもないんですね。

私も1万8000㎞って聞いたときに、「おお・・そんなにロングライフだったとは、この海のリハクをもってしても・・」と思ったことは思ったんですよ。いくらマラソンからマラソン・ウルトラにモデルチェンジし、「ライフが飛躍的に延びました」って公式が言っててもいきなり倍近くはないですよね・・。テクノロジーが進みすぎてる・・。

「このクソ野郎!!交換した距離くらい、ちゃんと記録しとけよ!」ってお叱りも甘んじて受けますけど、エンジンやプライマリー、ミッションオイルとサスペンション、プラグについては交換した距離を記録してるんです。でもタイヤの交換時期なんてミゾを目視すりゃわかるんだから、特に記録してないわけですよ。

東京にいた頃は走行距離が伸びず、タイヤ交換自体非常に少なかったんですけど、田舎に来てからは走行距離が伸びまくりですから、タイヤ交換がしょっちゅうです。ちなみに過去、大型バイクで交換したタイヤで一番もったのは、ハーレー用のミシュラン・コマンダー。記憶が超薄いんだけど、1万3000㎞くらいもったと思う。でもその乗り味はいかにも「高耐久タイヤです!」って感じで、固いし、シゴくとキーキー鳴くんですよね。当たり前ですけど「もちが良くて、性能が良くて、味も良い」なんてタイヤはこの世には存在しないってことなんです。

ちなみに一番寿命が短かったのは、記憶に新しいザラブ嬢のスパコルSPのフロント。2000㎞中盤でタイヤサイドが終了し、モヒカンの悪党みたいにセンターだけ残る。峠を走るとだんだんサイドが脱毛して、横ッパゲになっていくんですよ。切ないですよぉ。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」って泣き声になりながら、ホームセンターでゴム買ってきてサイドに貼り付けたくなる。そんな浪費を極めたタイヤでしたが、カルチャーショックを受けるほどグリップと走りっぷりが良かったんで、お別れするまでずっとこの銘柄でした。

話を戻しますが、きんつば嬢に入れていたメッツラーのクルーズテックは、初期のアタリというか上下方向の吸収性が非常に素晴らしく、「乗り心地が良かったな・・」ってのがライフスパン通しての印象でした。加速時もタイヤが一旦初期トルクを吸収してくれる感じで、加速感に品がありましたね。縦の柔らかいアタリに対して、横方向はしっかりしてて、旋回時はタイヤが「こういう風に曲がりたい!」って主張しながら、キッチリ方向を決めて曲がっていこうとする感じ。オールラウンダーな純正装着タイヤと異なり、リプレイスタイヤにありがちな「縦にも横にもキャラをパキッと立てた」タイヤだったんです。

こういうタイヤってフロント大径ホイールで立ちの強いハーレーみたいなアメリカンと組み合わせると「乗り心地がいいのにキレも良いね!」って印象になるから相性がイイと思うんですよ。私はメッツラーでもバランス型のマラソンウルトラ大好き男なんですけど、クルーズテックの初期吸収の甘やかさとキレの良さを知ると、「これも個性があって面白いな」って思っちゃいました。

でも、このタイヤ、きんつば嬢のように全てが綺麗に整ったバランス型のバイクとあわせると「ちょっとタイヤのキャラが立ちすぎ」なんです。バイクよりフロントが先導して寝ていっちゃう。あと、きんつば嬢のフロントダブルウィッシュボーンサスとマッチさせるには、ちょっとタイヤの変形が大きすぎるようで、かなり空気圧を高めて調整しないと、ハンドリングに違和感が出るって問題もありました。そういう意味ではダブルウッシュボーンってかなりシビアなサスペンションで、結構前から「次のタイヤ交換ではゴールドウイング専用タイヤのエクセドラに戻そう」って思ってたんですよね。

で、エクセドラに戻した結果どうなったか・・

「グァアァア・・このホンダめがぁああ・・」

って、うめき声が漏れ出ちゃう結果になりました。これまでタイヤはタイヤで主張していたのが、エクセドラに戻した途端、スッとタイヤがバイクに溶け込んで、吸い込まれるように車体と一体化し、主張が綺麗に消えたんです。

ホンダはほんとこうだから困る。いろいろカスタムしたり、手を入れたり試すんだけど、車検で純正に戻した途端、あまりの純正のバランスに「これまでのカスタムが全て徒労だった・・」ような気になってくるんです。

ホンダの純正って隙がなくて「角がない綺麗な球みたいなバランス」になってるんですよね。コーンフレークみたいに栄養バランスがとれすぎなんですよ。ニッシンやショーワ、ブリジストン、ダンロップなど各種のパーツメーカーの部品を使ってるくせに、「全てのパーツがバイクに見事に溶け合って、一つの物体になってる感」がとても強い。

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(場所は福井県の大野地方。大野はホント風光明媚でいいところ。街と自然が丁度いいバランスで混ざり合ってます。)

たとえば、ザラブ嬢だと、「あー、やっぱブレンボのブレーキはいい~」とか「スパコルSPスゴッ!!」とか、「オーリンズのリアサス・・これもう良馬場に振り切ってるじゃん・・」って印象が各パーツごとに別れてくるんですよね。もの凄く個性があって性能の高いパーツを動員し、それをメーカーが一つにまとめ、トライアンフご自慢の3気筒とシャーシで稼働する。それがストリートトリプルRSでした。だから「高性能バイク=高性能シャーシ&エンジン&高性能パーツ」ってイメージになる。

でもホンダは違うんです。乗ってて個々のパーツを特段意識することがない。どの企業のパーツ使っても、「ホンダのブレーキ」「ホンダのサス」「ホンダのタイヤ」で仕上がってくる。一糸乱れぬ統制をもって全てのパーツが「ホンダのバイク」という個体の一部となって押してくるんですね。自然体で派手さはないのに「くっ、、この立ち居振る舞い、洗練されておる・・所作にどこにもスキがねぇ(ゴクリ・・)ってイメージなんですよ。

初見は突出したところがなくて、インパクトが少なく手堅い優等生に感じるんですけど、乗り込むうちにそれがやがて「ナチュラルで気になるところがほとんどない」という評価に変わる。私は最低でも1万㎞くらい乗ってから、「うーん、ここはどうしてもなんとかしたい・・」って思うところをカスタムするタイプなんですけど、ホンダって1万㎞走っても、なんにも触るところがない。

純正のバランスが高いところで取れちゃってるから、何をやってもバランスがおかしくなる気がするんですね。ハーレーだってバランスしてるっていえばバランスしてるんだけど、ツーリングモデルはともかくダイナや883は「あまりに低いところでバランスしてる」から、それを高めていく楽しさがある。どういじくろうが、ある意味「これ以上、下方向に崩れようがない」んですよね。低いところから上げてくわけだから何しても良くなる。だからカスタムがとても楽しいわけですよ。

でも国産、特にホンダの一定価格帯以上は「ノーマルで手を入れる隙が無いくらい高レベルで仕上がっちゃってる」んで、コッチがなにやっても

「あ゛?なに必死であがいてるんですか?底辺レベルのオーナーが私の育ちに意見があるんですか?」ってジト目で見られるイメージです。

私だって、きんつば嬢のハンドルスペーサーに交換工賃込みで3万円ほどかけたし、クルーズテックの価格は9万円ですよ。これ全部「オーナーとして、もっとバイクを良くしてあげたい♡」っていう私の愛情のあらわれなんですよ。でもきんつば嬢は全然振り向かない。

「こんな似合わないものプレゼントされても困ります。まったくチョイスにセンスがありませんね。(見下した目)

ってケンもホロロ。バカの壁ならぬ「純正の壁」に跳ね返されてる。これは泣けます。可愛げがない。

これはホンダに限った話ではなく、大型バイクになるとどのメーカーもその傾向が強くなる。そもそもハナからコストをかけたパーツを使って、メーカーが価格に恥じないように仕立てたものですから、基本的に隙がないんですね。

また、出来の悪い部分が一部あっても、大型バイクのレベルになると、「それを味として昇華してる」ことも多い。だから「出来の悪いところを潰すと個性もなくなる」ってジレンマが出てきたりするんです。ぶっ飛ばせばシャーシがヨレるバイクもあるけど、それは高速域を見切って、低速域で味が濃く、優しい仕立てになってるからで、そんなバイクにサブフレーム入れてシャーシ固めると、せっかくの低速の濃い乗り味が消えちゃったりするわけです。

私はある時期から「他人の評価によって価値の定まってしまったものより、自分自身が価値を定めて選択したい。」ってずっと思ってるんです。これはバイクでも他の趣味でも全部一緒。だから私の趣味って、模型も時計もバイクも人があまり目を向けてないものばっかりになる。皆が欲しがる人気のバイクを選択すれば安心だし、人からどうこう言われることもないし、ブログアクセスを狙うんならそっちの方が良いんだろうけど、私は、テキスト叩くネタが欲しいだけで、アクセスや収益に全然興味がないから超気楽。

ブログアクセスのために自分の嗜好を曲げた時点で、それはもう私のブログじゃありません。

そもそも人と同じバイクを買うから差別化のためにカスタムしたくなるわけで、自己完結で満足できるなら、「ハナから個性のあるバイクをノーマルで乗るという選択肢は大正義」です。

ノーマル前提で乗るってになると、ホンダってメーカーは実に好都合なんですよ。だって純正バランスの高さは比類ないんだから。ニューモデル初期の頃は多少未完成なケースもあるけど、地道にトゲを取り去って綺麗な球にすることに余念がないから、発表後一定時期を経過したモデルはおしなべてまとまりが非常にいいんです。

一方でホンダ的なバランスに刃向かって「クセつよ系のバイクが欲しいの!」ってことになると、昔の私にとってそれは、すなわち「変態スズキ」「漢カワサキ」だったんです。でも、今ではその2社も随分とマトモになっちゃったから、今そっち方面は

「輸入車がすごく強い」

確かに日本メーカーも各ブランドで個性はあるんだけど、海外勢に比べると、やっぱブッ飛んだ差はない。国内の4メーカーはいずれも真面目だから、機能や性能面でのベストチョイスを選択し、基礎的な商品性を上げようとする。だからバイクという消費財としては非常に良く出来てるし、安心して乗れる一方、理詰めで合理性を追求する結果、どのメーカーも同じエンジン形式にならざるをえないんです。

昔でいうとそれは並列4気筒であり、現代ではそれはパラツインです。そりゃ同じ形式のエンジンでも各メーカーで個性はあるわけですけど、4気筒同士、パラツイン同士を比べた時の個性の差と、パラツインとフラットツインやトリプル、空冷Vツインを比べるんじゃ、個性の差の振れ幅は圧倒的に後者になっちゃうのはしょうがない。

私的には工業製品としてのベストを常に追求してる国産バイクは素晴らしいと思う。現代のテクノロジーの進化がどういうものかを教えてくれます。でもその一方で、工業製品としての完成度や合理性は国産バイクに一歩譲るけど、長い歴史の中で培われた、文化や伝統を個性に昇華してアピールしてくる海外製のバイクも大好きだったりする。

私の所有するクルーザーでは、ダイナとゴールドウィングがパラレルの関係になってて、その振れ幅の中で10年間遊んできた感じですね。

そういう意味では私にとってホンダは良くも悪くもバイクの「基準器」で、いつも頭の中で東の正横綱としてずっと腕組んで君臨してるんですよ。一見優しく見えるんだけど、私レベルでは、どうにも太刀打ちできないメーカーなんです。








オマケ漫画「ホンダ同盟の崩壊」(なお、内容はこのブログとまったく関係ありません。)

バナナ4
(バイクとしてイジるのは難しくても、漫画ではイジり放題。それが私のホンダへのささやかな抵抗・・。※ちなみに松田青果は熊本バナナの有名店です。)