全国のバイク乗りの皆様、今年の冬はいかがお過ごしでしょうか?

現在、私の住む北陸地方は冬将軍による継続的な侵略を受けております。当然バイクなんて乗れないから、この時期にバイクのインプレなんてやりようがない。必然的にブログも捉えどころのない観念的なものになりがちなんですよね。

そんなときには「開き直ってネタブログじゃ!」ってことで、今回は完全にネタに走ってます。最近はやりの意味不明系のタイトルからもわかるとおり、本文の中にはカビの生えたガンダムネタや宮﨑アニメネタが満載されていますが、そこは私の叩くテキストですので割り切ってお読み下さい。それではどうぞ。



今年は全国的に雪がかなり降る年になってます。岡山で観測史上最大の44センチってかなりヤバイですよね。北陸では、44センチはそんな驚くような雪でもないけど、雪が降らない地域にとっちゃ自然災害レベルでしょう。ちなみに私の住まう北陸地方は、東北や北海道に比べたら、そこまで積雪はハードではありません。かといって、まったく降らないって年もなく、場合によっては「結構まとめて降ることもある」という中途半端さがあるんですよね。「ここ最近はあんまり降らないね・・」って思ってると、ズドーーンと一気加勢に60㎝~70㎝降ったりして、なかなか油断ができない。ちなみに、雪って一定以上降ると、インフラを停止させますから、大雪がたとえ数年に一度であっても、常にそれを乗り越えることを想定しておかなきゃならない。「数年に一度しかないんでしょ?」って考える人と「数年に一度、厄災が訪れちゃう・・」って捉える人とでは対処の仕方が全然違う。私はバイク関連についてはオプティミスト(楽天主義者)なんですけど、実生活では割とペシミスト(悲観主義者)なんですよね。

で、今年についてはどうかというと、1月25日頃から30日頃にかけての降雪が実にしつこかった。気温が思いっきり下がったんで、降る雨が全部、上空で雪になってしまってたんですよね。「オィイイイイイ!!雪かきしないと生活道路に車出せないやんけ!」ってくらいの雪(25㎝くらい)が、毎日配送されてくる。今シーズンの冬将軍はかなりの戦上手であると言わざるを得ない。

雪ってドーンと降られるのも困るけど、継続しての波状攻撃もマジで困る。早起きして必死に雪をかいても、翌日にはキッチリ前日と同様の量が再配達されてしまうんじゃ、徒労感がハンパない。朝から疲れ切っちゃうから何もする気が起きないし、経済も止まるから、お客なんて来ない。「客が来ないから雪かきサボっちゃおうか?」っていうとそれもダメ。明日も雪っていう予報が出てる限り毎日処理しないと、「ただひたすら積み上がっていくだけ」なんですよ。

ヒラヒラとはかなく舞い散る雪は、一つ一つは美しく儚いですが、大軍団になれば王をも倒す。カイジの中に「奴隷は・・二度刺すっ!!!」という名セリフがありますが、もはや「奴隷が二度も三度も四度も刺すっ!ひたすら刺すっ!めっちゃ刺すっ!」っていう猟奇的な状況になっちゃってるんですよね。降雪初日は「ははー、今年も来ましたねぇ♡、タマには雪も風情がありますな~」などと余裕かましてスコップ振ってた近所のおじさん達も、3日目ともなると完全に無表情。全員石仮面。下手にギャグでも飛ばそうものならアルミスコップが脳天に飛んできそうで恐ろしい。

ちなみに、私の家はガレージから生活道路に出るまでに用水路にかかった橋を通らなければならないという「雪が降ると地獄が待ってる呪われた敷地」になってるんです。ガレージから生活道路まで約15メートル。この区間の雪を除去しないと車が道に出られない。

雪が降ると、ラジオ体操がかかるような時間に飛び起きてアルミスコップで積み上がった雪を削り、まず玄関からガレージまでの道を確保し、次にガレージから町道へのアクセスを確保する。約90分くらいの苦闘の後、ようやく車が出動できるようになるんですが、その頃にはもうヘロヘロですよ。

しかし、それだけでは終わらない。出勤したら「仕事場の駐車場の除雪」というさらなる苦闘が始まるんです。フルラウンド戦って泣き泣きの判定勝ちをもぎとった直後に、もう一度再試合のゴングが鳴るわけですよ。そんなの初手からクリンチしまくりの泥仕合になるだけでしょ。若者らしい覇気が失われてる私にとって、もはや除雪2連戦はイジメでしかない。

しかし、私もバイクを駆るメカ好きの端くれ。毎年襲い来る雪の進軍に、ただ蹂躙されているわけではありません。そう、こちらには数年前に実戦配備した切り札がある。朝、降り積もった雪を前に、私のガレージでそれが静かに目を覚ます。乙女の涙で大魔神が目覚めるように、オッサンのあくびの涙で目覚めるそれは、大自然「地球連邦」が送り込んだ白いなんちゃらを叩きのめすため、ジオニック・ホンダが造り上げた、人類のための決戦兵器

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(怪しく光るモノアイ。通常の3倍どころじゃない除雪能力を誇る。人力とは違うのだよ、人力とは!!)

スペックは

空冷4ストローク単気筒OHV 総排気量:389cc
最大出力:10.3PS/3,600rpm
走行変速方式:電動2モーター式無段変速


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そう、これこそ我が家の対積雪用決戦兵器。その名もHSS1170i家庭用除雪機。発売は2003年なんで、すでに19年間モデルチェンジなしのご長寿モデル。除雪はエンジン、キャタピラはEV駆動のハイブリッドマシン。愛称はズバリ

「サザビー君だ!!」

こいつの積雪除去範囲は極太の横70センチ。車が通るだけなら除雪幅4メートルもあれば十分だから、家の前の除雪などわずか3往復で事足りる。その圧倒的な雪排除能力は、髪切りデスマッチの敗者の頭頂部を刈っていく無慈悲なバリカンのようじゃないか。

「はーーーははははは!!みろ!集積装置に吸い込まれ、シューターからブッ飛んでいく雪共がまるでゴミのようだ!」

もうね。サザビー君を戦車だとするとスコップなんて火縄銃みたいなもんですな。積もった雪を問答無用で空中に放り投げてるときの高揚感は、コロニーレーザーを発射したときのギレン・ザビです。しかも撃ったら終わりのコロニー砲とは違い、こっちはガソリンが続く限りひたすら乱射が可能。前方にデギンがいようがレビルがいようが、アムロがいようが、もうこの際上司のキシリアだろうが、全部まとめてシューターで射出して生活用水にブチ込んでいこうというわかりやすさ。

「吸い込んで、投げて、捨てる」

この単純明快な力業には「あーー、ややこしく考えるのヤメヤメ!戦争止めない奴らは全員あの世に送っちゃえ!」とばかりに登場人物全員を昇天させたイデオン発動編と同質の清々しい暴力性がある。まさに根こそぎ。皆殺しの富野。そう、このマシンは雪を豪快に飛ばしながらこう叫んでる。

「あえて言おう!全部まとめてカスであると!!」

そんなザザビー君ですが、残念ながら非常に大きな戦略的欠陥がある。それは、どんなに頑張っても「6km/h程度の速度しか出ない」ってことです。単独では狭いエリアでの局地戦しかできないんですよ。自宅の前は除雪できても、自宅から距離の離れた職場を除雪するには移動能力が絶望的に足りてないんです。しかし、ご安心あれ。わがへちま公国には、それを解決する戦略輸送兵器がある。

ダイハツハイゼット
(ダイハツのホームページから転載。バックの青々としたエスケープゾーンに対して、コース幅が狭すぎる。ここは何処のサーキットだ?)

そう、これぞ我がへちま公国が誇るド・ダイYS。その名も「ダイハツ・ハイゼット」。中途半端なスポーツカーなど裸足で逃げ出す2シーター、四輪駆動。しかも私のマシンは、標準装備のパワーウィンドーをあえて外し、オプションの手回しウィンドウを装着するという、ディーラーの営業さんをして「まったく理解不能」といわしめた、スパルタンなレーサー仕様です。

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(これぞ雪国の勇者合体。匂い立つ無敵感。)

ご覧下さい。この勇姿を!!ド・ダイYSにサザビー君がものの見事にマリアージュ。いまここに、軽自動車市場で熾烈な開発競争を繰り広げる「ツィマット・ダイハツ」「ジオニック・ホンダ」が手を結んだのです。これでジオンも安泰じゃあ!

ハイゼットの圧倒的な機動力により、サザビー君の逐次戦線投入が可能となり、職場での雪との戦いも圧倒的に有利なものとなりました。これによって冬の日の戦局は大きく変化、冬将軍が送り込んだ西高東低軍の反乱は瞬く間に鎮圧され、平穏な生活が訪れたというわけなんです。

ちなみに、ここまでサザビー君を絶賛してきましたが、昔は「数年に一度の大雪のために、クソ高い除雪機などいらん!」と思ってたんですよ。人力でなんとかすれば良いと。でもこれは大きな誤りでした。除雪機の一番素晴らしいところは、除雪能力じゃないんです。「除雪を苦行から娯楽に変えてくれる」ところなんですよ。

サザビー君を配備すると、今まで嫌で嫌でしょうがなかった除雪を「楽しい」って感じるようになる。うちの聖帝様から見れば人力でやろうが、サザビー君使おうが、「朝から除雪お疲れ様♡」ってことなんですけど、やってる側の気分はまったくの正反対。「雪が積もる=ザザビー君のパイロットになり出撃可能」だから、もうルンルン気分なんです。

山下しゅんや
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(ついに2月8日、みのりちゃんシリーズで模型まで登場、パッケージイラストは山下しゅんや氏です。)

結局「メカ好きはメカを操作してる時が一番幸せ」なんですなぁ。理屈じゃないんですよ。兼業農家の方が、仕事休みのゴールデンウィークを全部潰して田植えをしたり、9月の連休を潰して稲刈りしたりしてるのを「大変だなぁ・・・」なんて都会の人は見てるでしょ?でもそれ全然違いますから。

実は農家の方々は田植え機や、コンバインなどの巨大メカに搭乗できるタイミングを、春からずっと心待ちにしてワクワクしてるんです。田植えや稲刈りの季節は、彼らが自らの愛機に乗って戦地で存分に暴れ回るルウム戦役なんですよ。前日からマメマメと整備をし、車体を洗い、準備に余念がないんです。

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(こちらヤンマーAG470。いわゆるコンバインってやつ。巨大戦車みたいですが、農機具の中では中型の4条刈り。直噴4気筒ディーゼルエンジン搭載の70馬力。)

バイク乗りがバイクを買うために、必死に仕事に励むように、農家は「巨大な農機具を操作する楽しみのために作物を植えてる」といっても過言ではないメカマニア。だから雨だろうが風だろうが喜んで田植機やコンバインのパイロットとなり、広大な農地という戦場に出張っていく。ちなみに稲刈り後の飲んで騒げの村祭りは農家のための「ブルースカイ・ヘブン」です。

ということことで、今回は私の雪の日のささやかな楽しみについて書いてみました。バイクに乗れなきゃ除雪機で楽しんじゃおうという倒れ込み。メカマニアはメカに依存してれば幸せで、残念ながらこの手の病気を治療するクスリは医学界にまだ存在してはおりません。病気の夫を持つ家族としては早期に治療薬の開発を望みたいところでしょう。



次回からはバイクの記事に戻ります。