全国のロケットカウル戦闘団の皆様、お待たせしました。HAWK11(*のじゃ子*)の納車後のインプレその2、外装編です。このバイク、外見は意見が分かれますけど、「乗ると楽しい」って多くの人がいいますよね。

実際私も「乗っててアガるバイクだ」って感じてますが、インプレはそれじゃダメなんです。その楽しさの根拠を、いかに説得力を持って伝えられるか?ってところが、長文テキスト廃人の私に課せられた使命。動画みたいに視覚情報が一切ないテキストインプレっていうのは、私の表現力とボキャブラリーを総動員した戦いなんです。

でも肝心の表現力が、威力不足と度重なる暴発で自決用拳銃とまで呼ばれた「南部94式」レベルですから、恥ずかしいテキストを大量に垂れ流したあげく、戦果もないまま自決することが予想されます。だから皆さんあまり期待せず読んで下さい。今回も長いブログですが、厭になったら即時終了して頂いてかまいません。

IMG_4933(1000㎞を走破し、1ヶ月点検も受けて徐々に本領を発揮しつつあるHAWK11。レンタル試乗ってのは所詮一夜のアバンチュール。正式に嫁として迎え、一緒に暮らすことでようやく理解できるところは沢山ある。)

ホンダのアナウンスでは、HAWK11は「これまで多くのバイクを乗り継いできたベテランライダーのためのバイク」ってことになってます。正直、ベテランライダーの定義はとても曖昧で、どういう人のことを言うのかわかんないんですけど、私に関していうと、バイクに対してかなり麻痺してきてるんですよね。私は大中小あわせるとHAWK11で購入したバイクは21台目なんですけど、こんなに長く乗ってると、「ああ、このバイクはいいよね」で止まりで「欲しい!」までいくことがなかなかないんです。だから、ダイナは13年乗り換えてないし、F6Bから新型の移行も、「6気筒に今後もずっと乗っていくためには・・」っていう経済的な合理性からの打算的な選択だった。

ここ10年で気分爆上がりして衝動買いしたのって「ニセウルトラマンデザイン+3気筒」で、パーソナルな嗜好にモロ刺さりしたストリートトリプルRSだけ。

そんな股間が萎えた状態のベテランライダーの財布の紐をこじ開けるにはかなりマニアックな性癖を刺激してやる必要があるんですよね。でも一方で、現代のバイクって、運動性が高く、乗りやすく、快適で、生産効率も良いって方向を目指して進化してるから、変なことがどんどんやりにくくなってる。バイクとしてより良いモノを目指そうとすると、合理性から逸脱できず、大枠はあまり変えられない。そこで各メーカーは細かい部分のデザインに凝って差をつけてる感じです。その証拠にあのスズキですら、最近は普通に格好いいバイクが多くて、キワモノがなくなってきてる。一番攻めてるのはターボのH2やBIMOTAを擁するカワサキだけど、そういうバイクはおしなべて価格が高いんですよね。

そこに突如としてあらわれたのが、HAWK11だったんです。誰がどう見ても普通のバイクじゃない。あのスタイリング見て、多くの人が良きにつけ悪しきにつけ、「なんじゃぁこりゃぁああああ!!」と思ったはず。この私が「は?」って二度見したくらいなんですから。

既存のスーパースポーツは、例えるなら能力値の抜群に高いイケメン選手。いま映画が大ヒットしてるスラムダンクでいうと流川や仙道、沢北ですよ。そんなスターが並んでる戦場に、ホンダが突如としてブチ込んできたのはアドベンチャーベースのスポーツバイクでした。これもう赤木、魚住、河田の「トルクで全てを解決するマッチョゴリラ」じゃないですか。しかも「どうせエラ張ったゴリラ顔なんでしょ?」って顔見たら、ツヤツヤ滑らか肌の安西先生だったという・・

「もはや何が起きようと揺らぐことのない・・断固たる決意が必要なんだ!」

っていう先生の名セリフがHAWK11の後ろに極太明朝体で見えちゃった気がしたんですよね。そうなると、もう涙を流しながら「・・安西先生・・バイクに乗りたいです・・」って三井の名セリフを重ねるしかない。

ちなみにこのロケットカウル、一切分割がされてないから、コカして割るとフロント周りまるっと交換で修理費30万円オーバーらしいです。私は当初「ホンダのことだから、変なところに飛び出たミラーがカウルを守ってくれるはず・・」なんて甘いこと考えていたんですが、納車時のドリーム店長の一言でその期待はあえなく粉砕されました。

「・・へっちまんさん・・大変申し上げにくいんですが・・実はこのミラー、カウルを守るどころか、タチゴケするとカウルに刺さって、トドメを刺す切腹仕様になってます。だから、絶対タチゴケしないで下さいね♡(ニコッ)

オィィイイイィイイイイイ!!なにそれ?なんなの??カウルが接地してないのに特殊配置されたミラーが30万円のカウルを叩き割るってどういうこと!?鏡割りなの?コケた不運をカウル割って厄払いするの?バカなの?死ぬの??あのね。簡単に「切腹仕様になってます♡」って言われても、今の時代に切腹刀を標準装備してる奴なんて、このバイクと行司の式守伊之助くらいですよ。

そう、コイツは乗るにあたって「絶対タチゴケしないというダンコたる決意」が必要なんです。さすが白髪鬼と呼ばれた安西先生、口あたりは優しいけど甘えは決して許さない。

安西先生
(おお、世界よ!これがHAWK11だ!優しい顔してやってることは実にエグい。まさに仏と鬼が同居してます・・)

HAWK11はリッターバイクとしてはメチャ軽量ですから、ベテランがタチゴケすることはほぼ考えられないバイクですが、もしコケたら「経済的に即死」というチート級リスクで乗り手のハードルを間接的に上げてきてる。「立ちゴケにビビっているようではまだまだベテランとは言えない」と開発陣は考えてるんでしょう。・・・考え方がスパルタンで実に怖い(笑)

そんなHAWK11ですが、一旦走り出してしまえば、ネガティブなことは全部スッパリ忘れられる。だって、このバイク、乗ると気分が凄くアガるんです。その理由はモロモロあるんですが、それは全て「ホンダ開発陣の理詰めの演出」のたまものです。

私は国産バイクは性能が高く作りも緻密で素晴らしいけど、真摯に作るあまり、演出面で、ハーレーやドカなどの海外勢に一歩譲るところがあるって感じてます。でも、HAWK11はいろんな意味で乗り手を楽しませる演出がとても上手い。スポーツバイクなんだけど、スピードや刺激よりも、公道でいかに気分よく走るかを追求してる。レーサーレプリカからスーパースポーツへ、速さを追求し進化を続けた日本製高性能スポーツの作り方と根本的に違うんです。

今回インプレする外装面に限定すると、楽しい要素は3つあります。それは

①ロケットカウルの工芸品のような造り込み

②80年代、90年代のバイク乗りが身もだえするフェチ感溢れるメーター周りのデザイン

③めちゃくちゃクリーンな前方視界


そもそもバイクに乗ってるときにライダーの目に入るのは、「メーター周りと景色」だけなんです。どんなに外ヅラが格好よくたって、乗り手が走行中にそれを見ることは不可能。だからこそ、乗ったときの視界やメーター周りの作り、ライディングポジションなんかが超大事なんですけど、HAWK11はそこをメチャクチャこだわって作ってあるんです。乗り手が毎日見るところは豊かに造り込み、見えないところは素っ気なく。そんなメリハリがあるからこそ、これだけ気分のアガるバイクが乗り出し150万円で収まってるとも言える。

その中心軸となるのはやっぱりロケットカウル。デザインの好き嫌いは別にして、その造形美と品質は市販バイクでは、ちょっとお目にかかったことがないレベル。FRPを作ってるのは東レの子会社で、ペイントは2200万円の弩級バイク、RC213V-Sを塗装しているブースが担当する。開発陣がこだわったというだけあって、造形、面の張り、塗膜の薄さ、発色のレベルが、モデラーの私から見ても普通じゃない。

ハーレーのCVOの塗装も一級品なんですが、あちらは分厚いカウルとネットリ重い塗膜の物量でガンガン押してくる。しかし、HAWK11は真逆。超薄いカウルに繊細な塗膜で高品質感を演出してます。このカウルは、これぞ日本の物作り!って胸の張れる仕上がりになってますよぉ。

DSC_2391(HAWK11のロケットカウル。写真で見たときも凄いと思ったけど、実物を見るとさらに凄い。カウル云々言う前に、造形物として一級品なんですよ。ホンダ内のアルチザン達が作ったカウルの形をしたアートです。価格云々を言う前に、これが市販車に装着されてるという事実に感動を覚える。)

何が普通じゃないかって、まずカウルのFRPがメチャクソ薄くてシャープです。ダイナに装着されてる同じFRP製のシックデザインのビキニカウルと比べても、その繊細さは段違い。ダイナのビキニカウルが「曲げた板」だとすると、HAWK11のカウルはまるで「卵の殻」。デカいカウルにもかかわらず、面が綺麗に張ってて歪みがまったくなく、反射光が玉のように美しく流れる。乗る度に「この薄さスゲェ・・ホントに強度確保できてんのか?」って感動するんですよ。コケたらパキッと簡単に割れるってのは、容易に想像できる。

脆く儚げなものこそ、可憐で美しい

それがこの世の真理です。このカウルを眺めたりナデたりしてると、「この工芸品のようなロケットカウルを未来永劫死守することこそが、この私に与えられた使命なのだ」って、青磁器をうっとり眺めるマ・クベの気分になってきます。

この圧倒的に手のかかった表面仕上げに対し、カウル裏は強化プラスティックのファイバー剥き出しで、そこに車体色を塗装してるだけ。これも人によって賛否はあるでしょうが、私は「ニクい演出だな~」ってニヤニヤしちゃった。だって、昔はレーサーレプリカをコカすとみーんなこんな眺めになったんですよ。純正カウル剥ぎ取ってFRPの白ゲルカウルをつけたから。

高い純正カウルなんて買わない。どうせまたコカすんだから。

つまり、80年代、90年代にガリガリ峠走ってた小僧さん達にとって、FRPファイバーの裏地って、あの頃感がメチャあるんですよね。だからFRPのカウル裏は私たちの世代に言いようのないノスタルジーを与えてくれるんですよ。

カウルの中に張り巡らされてるステー類もすごくいい、このバイクはパイプフレームの溶接部分をメーター左横にあざとくチラ見せしてくるんです。これがまたヤバい。スズキのバンディットやドカのトラスフレームが好きな人はわかると思うんですけど、メカフェチにとっては「溶接跡は美女の胸元」みたいなもんじゃないですか。これが常時、チラチラ目に入ってくるなんて、これはもはや昭和の秘宝館レベルのエッチさがある。

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(こちらHAWK11のメーター周り、落ち着いたモノトーンの中に、そこはかとなくあの頃感が漂う。)

カウル中央に設置されてる丸目反転液晶メーターもまたいい味出してる。これレブルの流用らしいですけど、「HAWK用に作られたんじゃないの?」ってくらい自然に馴染んでるんですよね。最近のリッターバイクのメーターって商品力アップと表示の多様化、軽量化でTFT液晶を採用するから、どんどんスマホ化してるんですよ。でもねぇ。やっぱ平面の液晶表示は立体感がないし、カラフルさに慣れちゃうと、逆にモノトーンが恋しくなる。だから私はTFTカラー液晶メーターが最高なんて思ってない。

私は年寄りでアナログ機械式時計大好きだから、一番風情を感じるのは、やっぱアナログメーターなんです。でも、ホンダの反転液晶メーターは表示される情報が多いのに雰囲気がアナログに近くて好印象。表示もデカくてコントラストも強すぎず、タコメーターも見やすいから、老眼にとても優しいんですよ。

ちなみに私のモデルは色も地味で、視界に入る景色は基本真っ黒。(カウル裏はシルバー塗装ですが、光が入らないから黒に見えます。)マジで地味だし、造形もゴチャゴチャしてなくてシンプルなんですけど、メーター周りを見る限り、一つ一つの素材がちゃんと吟味され、巧妙に質感統一がされてます。

着座してポジション取ると、まず視界にメーターが入り、その奥にメーターステーがあって、最後に車体色に塗装されたFRP繊維の幾何学的な裏地が見える。マテリアルが違うものを3階層で配置することで、深い奥行き感が出てるんです。現代の高額バイクの多くは、カウル裏を見せるのを嫌い、液晶の平面メーターやメクラ蓋でカウル裏を隠しにくるんですが、HAWK11はあえてカウル裏を見せることで、乗り手のノスタルジーをくすぐってくるんですね。

そこにあるのは走りに対する求道的ストイックさですけど、それだけじゃなく、あの頃の乗り手に対する深い理解と大人のダンディズムが隠し味で加えてある。ここら辺に80年代を経験した後藤LPLの睨みが効いてる感じがするんですよね。自分が駆け抜けてきた、若かりしあの頃の雰囲気が大人目線で再現されてるフロント周り。それがアガる理由の一つ目ですね。

アガる理由の2つ目は、眼前に広がる清々しいほどのクリーンな視界です。邪魔なものがほとんど目に入ってこないからメチャクチャ気分がいいんですよね。まずもって天地が広い。HAWK11はそれなりの前傾ポジションを取るからデカいタンクが視界に入ってきませんし、セパハンなのにハンドル位置が高めなことで、乗り手の目線も普通のSSに比べてやや高くなってる。そんな仕立てにもかかわらずロケットカウルのスクリーン上端がやたら低いんで、視界が上下に異様に広い。

統合(CBR1000RR-Rとの比較。ハンドル位置から想定される顔の位置を考慮すると、HAWK11はスクリーンが低く短いことがお分かりになると思います。)

昨今販売されてるスポーツバイク達は国内販売もリミッターが廃止され、海外向けと同様になってるようですけど、HAWK11は日本専売だからリミッターがちゃんとある。最高速は195km/h(エンジンにはまだ余力あります。)止まりなんで、風防はそれ以上の超高速域想定しなくてもいい。だから、その分デザイン優先で、スクリーンの防風効果は割り切ってるんだと思うんですよね。

「このレベルの速度域に風防効果なぞいらんじゃろ!!逆に風をどんどん当ててやれ!あの年代はプレッシャーがあればあるほど喜ぶんじゃから!!

っていう後藤LPLの開発会議での熱すぎるお気持ち表明が聞こえてくる気がする。

また視界の広さは上下だけでなく、左右も同様です。首を回すと180°の大パノラマが展開する。理由は簡単、「本来あるべきところにミラーがない」からです。HAWK11のミラーは遙か下方のカウルステーから分岐し、ぐねぐね曲げてハンドル下にもってきてますから、普通に前を見て走ってる限りミラーは視界に一切入ってこない。位置が変なんで慣れないうちは目で探しちゃうけど、慣れると目線落とすだけで後ろがちゃんと見えるように調整可能です。

以前レンタルで短期試乗した時には、「これ見えねぇえええええ!!」ってディスったんですけど、納車後、ある程度乗り込んでライディング位置が安定してから、ミラーを念入りに調整したら、絶妙に見えるんですよ。で、見えるようになったらなったでこのミラーがまた新鮮。なんかね、屋根裏からイケナイ行為をのぞき見てるような、江戸川乱歩的なドキドキ感があるんですよね。

そんなわけで、HAWK11は前傾スポーツなのに小さくまとまった感や、狭っ苦しさが一切なくって、タッパの高いゴリラ赤木気分が味わえます。いやー、視界に何も入ってこないって、こんなに気持ちが良いものなんですね。

今後も折に触れインプレしていきますが、HAWK11ってバイクは、ディープな変態達に刺さる要素が隠し味でいろいろ入ってるんです。ホンダ開発陣が「やれないことをいろいろやった」って言ってたけど、楽しさ優先で、ホンダらしい合理性には目をつぶって作られてる。これって、マイナス面を受け入れて、楽しさに昇華するイタ車やハーレーみたいな価値観なんですよ。そういう意味で、このバイクは他の国産スポーツバイクと根本的に立ち位置が違うところにいると思う。

ただ「細かいところをヒネりまくってる」んで、元ネタ知らないと頭に?マークが浮かぶケースもあると思うし、スポーツバイクとしてのぶっ飛んだ性能や、アドレナリンがドバッと出るような強い刺激を求める人にも刺さらない。

確かに乗りやすいからビギナーにもお勧めなんだけど、このバイクの細かい仕掛けや、仕立ての良さは、バイク乗りとして一回りした人のほうが良くわかるんじゃないかと思います。だから昔からバイク乗ってきた人向けってホンダも言ってるんでしょうね。

・・気がついたら、今回もあっという間に7000字超え。とりあえずここで一旦切って、残りは次に回します。次回は外装インプレの続きと、皆さんが気になってるライディングポジションについて書きたいな~と思ってます。

*のじゃ子*1+1+1
(後藤LPLの圧倒的指導力によって生み出されたウチの*のじゃ子*にとっては、後藤氏は神。吉田開発責任者代行は「神の言葉を語る預言者」という位置づけになっているようです。)