今回はストリートトリプルRSと私の関係性について、私目線でダラダラ書いていくわけですけど、実はバイクとの関係性って、年齢やその人の考え方、身体能力によって全然変わってくると思うんです。だからここに垂れ流されてるのは、一般的なものではなく、「50代」「大型バイクにダラダラと29年」「たるんだ精神」のダメ男が語っている特殊理論であるということをご理解の上で読み進めて下さい。なお、あまりの下らなさに途中でご気分の悪くなった方は、そのまま静かにご退室下さい。

まず大前提としていっておきたいことは私はストリートトリプルRSを「見た目だけ」で購入しているということであります。デザインとカラー見た瞬間「こ、これは!ニセウルトラマンじゃねぇかぁ!たぎる!!たぎるわぁ!!」と雄叫びを上げてレッドバロンに突撃し、4時間くらいで購入決めてしまったんですよね。現物すら見てないし、予備知識もゼロ。「ストリートファイターなんてハイカラなバイク乗ったことないゾ♡」って状態でした。

だから、このバイクのメカ的評価ってのはその時点でロクに調べてなかったし、「3気筒は乗ったことないしぃ、響きが素敵なナナハンだしぃ・・トライアンフは3気筒では老舗だから、一度試してみるのも悪くないよねぇ。」なんてスッゴク軽い気持ちだったんですよね。

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(海辺にたたずむザラブ嬢。この爽やかなビジュアルと裏腹に、このブログは実に爺臭いものになっています。)

つまり私の中で、ザラブ嬢は9割方「ネタバイク」扱いで購入されたわけなんです。間違ってもブレンボとか、オーリンズサスとか、MOTO2のベースエンジンが欲しかったわけではないんですね。実際納車されたときも、顔は脇盛りブラみたいだし、色味はマジでウルトラマンそっくりだし、発情したネコみたいにケツ上がってるしで、「ククッ・・これはネタにことかかかなそうな優秀な怪人に仕上がってますね♡・・」って「怪人製造部の黒井津さん」みたいな目でバイクを見てたんですよ。全国の真面目なストリートトリプルオーナーの皆様、誠に申し訳ございません。

しかし、実際に乗ってみますとザラブ嬢はまったくもってネタバイクではありませんでした。ニセウルトラマンの背中のチャックを開いたら、そこから一体何が出てきたのか?

ちょっと脱線しますが、私は子供の頃、ウルトラマンの背中のチャックを下げると「中からハヤタ隊員が出てくるのだ。」ってずっと思ってたんです。このことをオタ友達に伝えたら、そいつら呆然として「お前・・そんな狂気じみた考えが一体どこから出てきたんだ・・」って異常者扱いされたんですよ。

私を囲んだオタ連中に言わせれば、「変身して宇宙人になる」っていう発想より、「人間がスーツの中でデカくなる」って発想の方がよっぽど異常な考えらしいんですね。でも私は「えええ??ハヤタが変身してるんだから背中のチャック下げたらハヤタが出てくるに決まってるじゃん!それのどこがおかしいのっ!!」って噛みついたわけですよ。その答えに対する回答は「アホなの?それだと40メートルに巨大化できるハヤタ自体、人類じゃないじゃん!宇宙人じゃん!」って回答でした。はい、ごもっとも。

でもね。それって発想自体はおかしくなくない??だって仮面ライダーは変身しても中身は本郷猛なんですよ?もしウルトラマンがハヤタ隊員じゃないとしたら、ハヤタ隊員どこ行ったの?ってことになる。そこを説明しないで「ウルトラマンとハヤタ隊員は別のものなのだ」っていわれても到底納得はできない。幽霊でもないのに「人が消えちゃう」ってのはありえないんで、私の中では、ハヤタ隊員はどこかに存在してなきゃならなかったんです。もしウルトラマンがハヤタ隊員じゃないのなら、「ウルトラマンの顔が縦にパカッと開いたら、脳ミソのところでハヤタ隊員がウルトラマンを操縦してました」ってくらいじゃなきゃ納得できなかったんですね。

私は独自の考え方が激しいタイプのようで、他にも「タマネギをどんどんむいていくとラッキョウになるのだ」っていう思い込みをしていました。私の実家はラッキョウをほとんど食べなかったんで、かなり大人になるまでこの勘違いは続いていたんです。ある日学食でカレーを食べてて、「いやー、タマネギの芯も甘くするとおいしいですね♡」って何気なくいったら、周囲の空気が一気に凍ったわけですよ。サークルの先輩から「・・お前・・・ラッキョはタマネギの芯じゃないぞ・・・?」って言われて、「は?」ですよ。もうその日一日学生ラウンジでイジられ続けることになったわけです。

このようにノーテンキでアホな私は、ストリートトリプルRSのチャック開けたら「ちょっと乱暴だけど、根はコミカルなザラブ星人が出てくるんでしょ?」っていう甘い考えだったんですよね。だって馬力も123馬力なんてふざけた表記してるし、なんせあの顔ですから。中から気軽に付き合えるフランクなキャラの宇宙人がコンニチワすると思ってたんです。

でも実際チャック開けてみたら井上尚弥みたいなガチでモンスターな細マッチョファイターが出てきちゃったんですよ。

ザラブ嬢ってカテゴリー的にはナナハンクラスだし、私もナナハンを強く意識して購入したんですけど、コイツは「重量を抑えつつ、3気筒エンジンで最もベストな排気量を模索したら、結果的に765ccになりました!!」って感じのバイクだったんですよね。ラインナップのヒエラルキーを考えつつ「750クラスはこのくらいが妥当だよね」って作られたバイクではなかった。

確かにナナハンクラスなのでエンジン自体にリッターバイクほどの暴力性はありません。しかし、それはエンジン単体で見るからそうなんであって、それが軽量高剛性の車体と組み合わされた結果、あまりにもガチなファイターが爆誕してしまっていたんです。

車体にしてもエンジンにしても、速さに対する向き合い方が真摯で真面目でストイックだから、「もっとちゃんと走ってくださいよ~」ってバイクがしょっちゅう言ってくる。ナナハンクラスですから公道でもある程度は性能の片鱗を垣間見ることはできるんですけど、それでも8000回転以上を使うのは高速道路以外では至難の業です。MOTO2のレーサーはさらに上の14000回転までブン回るようですけど、削られたトップエンド以外はレーサーとほとんど変わんないんじゃない?と感じるくらいストイックに速い。やっぱこのバイクの3気筒は「戦うエンジン」なんですね。

結局のところ、バイクの速さの質と安全性は、数値的なものとは別に公道に存在する危険という崖に対し、その崖の際までバイクを近づけるか?近づけないのか?安全柵を設けるのか、設けないのか?設けるならどこら辺に設けるのか?っていうメーカー判断によって全然変わってくると思うんです。その点でストリートトリプルRSは、乗り手を信用してかなり崖の間近まで柵を設けてないバイクだと感じてます。

バイクによっては大馬力のエンジンに、あえてグリップソコソコのタイヤをマッチングさせて、早めにトラコンを介入させることにより、「パワーがある感を安全なところで演出する」って方向のバイクも見受けられますし、スピードを柔サス&殿様乗りと組み合わせ、車体を少しピッチングさせて、体感上のスピードを演出するバイクもある。

でもザラブ嬢はそんな演出とはまったく無縁の実質重視型です。765ccのエンジンパワーを、熟成された車体と超ハイグリップのスパコルSPが総受けするから、私のレベルではタイヤのグリップがタレてこない限り、トラコンがパワー制御に介入することはありません。フロントのグリップ力も極めて高いため、意図的にロックさせるつもりでフロントを雑に思いっきりかけない限りABSも作動しない。ザラブ嬢がナナハンのパワーにあえて公道最強タイヤのスパコルをあわせてるのは、「高いレベルの領域までABSとトラコンを介入させないためなんじゃないか?」って感じてます。

しかも3気筒ならではの安定したトルクを利用して、中低速でもアクセルで車体をギッタンバッコン動かせるから、クランクシャフトの短い3気筒のヒラヒラ感に駆動力による車体制御があわさって、バイクの機動は極めてシャープ。もはやナナハンクラスとは到底思えず、小型軽量を生かして零戦のように暴れ回った昔のレーサーレプリカを彷彿とさせる。

だから、このバイクに乗ってると、なんかとっても懐かしい気分になってくるんですが、そんな懐かしくも素敵な思い出のシュチュエーションと大きく違うことが一つあるんですよ。それは

乗ってる人間が既に全盛期を過ぎたオッサンである

ということです。バイクは進化しても、悲しいかな乗り手はいろいろとダメになってるワケなんです。肉体ピチピチでバイク屋勤務のガテン系20代と、デスクワークしかしてない飲んだくれの51歳では基礎体力が全然違うのは自明の理。今の私はザラブ嬢でちょっと走るとマジでヘロヘロになっちゃう。

私のホームコースのさびれたマイナー峠を一往復するだけで横Gと縦GがSMプレイのムチみたいに、なまった体をビシビシしばいてきますからね。井上尚弥のミット打ちにつきあわされてるジジィ想像してみて下さいよ。「おじいちゃん可愛そう」「もうやめたげて!」って思うでしょ?

もうね。

「筋力がありません。」

「精神力がありません。」

「持久力がありません。」

「回復力もありません。」

いやースポーツバイク適正ゼロっつーか(笑)。ダイナとかきんつばだと日本舞踊みたいに適当にヒラヒラさせてお茶濁してればいいんだけど、ザラブ嬢は乗り手も共に戦うことを要求してきますからマジ困る。「何なんですか!全然基礎体力ないじゃないですか!!私のことニセウルトラマンなんていってますけど、ご主人の戦闘時間もウルトラマンと同じくらいじゃないですか!」ってメチャメチャ説教食らってる感じ。

今までダイナとゴールドウィングというクルーザー界の「助さん、角さん」におんぶに抱っこして世渡りしてきた軟弱クソ野郎の情けなさが浮き彫りで「肛門様困っちゃう・・」って状態になっちゃってるんですね。

だめっス4,4
(あまりにも残酷な評価。コメントは弁護士を通じて。)

とういうことで、ここまでザラブ嬢のガチさと自分の情けなさを書き連ねてまいりましたが、だからといって私みたいにダメなオジサンは「よぉっし!体力つけて腰も鍛えるぞぉおお!」なんてことにはならないんですよ。バイクがどんなにギャアギャア文句いっても、「いやーどうしようもないね♡ しゃーない、切り替えていこっ!!」って肩ポンしてニッコリするだけ。この歳になると、開き直りのスキルが高すぎて箸にも棒にもかからない。

なんせこっちは車検証上の所有者という絶対的な支配権があるんで、バイクに対しては絶対権力者たる水戸肛門として君臨していくだけですから。ザラブ嬢には申し訳ないけど、ご隠居様はだらしないし、言うこと一つも聞きませんし、屁も臭いです。

水戸黄門って結局のところ、昔のお家重視の制度の下で「能力メチャ高い系の美男美女が、よってたかっておじいちゃんを盛り上げる物語」なんですよ。だから高齢者にメッチャウケるわけなんです。でも家制度が崩壊した現代社会では高齢者って全然盛り上げてもらえないし、邪魔者扱いなんですよね。印籠の代わりに出せるものって健康保険証くらいしかないんですよ。

それを自覚し、リアル社会や家庭で小さくなってるからこそ、私はバイクに対して凄くワガママです。もうバイクに引きずられるのはやめましたし、人と比較して優劣をつけるのもやめた。だからザラブ嬢のようなスポーツバイクの使命は速く走ることではなく、その高い能力を生かして私を気持ちよくするということなんですよね。

バイク的には能力を生かせず不満タラタラかもしれませんが、へっちまんご一行様に加えられてしまった以上、私の人生に彩りを与え、風車の弥七のように献身的に私を支えて貰う。それ以外の使命は存在しないんですよ。それがストリートトリプルRSと現在の私との関係性の全てなんです。で、ストリートトリプルRSはそれに十分応えてくれてる。だって、これだけピュアでストイックで完成度の高いスポーツバイクは、なかなか存在しませんから。突き上げが厳しいリアサスだけはなんとかならんかなぁと思ってますけど(笑)