長い長い試乗ブログも一段落し、今回はダイナのこと書くんですが、なんでこんな題なのかというと、先日、コメント欄でこのような質問を受けたからなんです。

>色々な経験をされていてダイナとの付き合いも長いと思いますがハーレー特有の乗り方(曲がり方や止まり方などライテク的なもの)についてご自身の経験や普段から心がけていることなどを記事にして頂けたら嬉しいです。

うう・・こ、これはハードル高いですよぉ・・実はライディングって分析できる人とできない人がいて、私の場合は完全に頭カラッポでヨダレ垂らして運転してるだけなので、分析なんてロクにできてない。だから、上手く伝えられるかどうかわかりませんが、まぁ参考程度にってことで聞き流してください。

まず最初に結論から言っちゃいますと、「バイクなんぞ、好きに乗ってください」です(笑)。公道で乗るバイクは完全なる趣味ですから、各々が自由な乗り方で好きなように楽しめば良いと思います。乗り方は、その人の考え方や年齢、技量、経験に応じて変わってくるから、画一的に「こう乗れ!」なんてのは難しいんですよね。ハーレーってホント気楽に乗れるんで、気負わず余計なこと考えずに、現段階で一番楽に乗れる乗り方で自分なりに乗るのが一番いいと思う。

私は長年バイクと付き合ってきましたが、そのときどきに信じていた価値観があって、一度その価値観に染まっちゃうと、そこから外れた走りはできないんですね。しかも、信じていた価値観すら自己都合でどんどん変わっていっちゃうんです。だからとりあえずカタにはまらず、難しく考えず、その時点で自分の思うように乗ればいいんじゃないかと。そういう自由さも公道バイクならではの楽しさだと思うんですよね。

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(久しぶりにダイナの記事です。コレは春先に能登に行ったときの写真ですね。)

そんな適当な私も昔はとにかく上手くなりたくて、ライディングの教本を読みあさった頃もあったんです(遠い目)。でもね。この世にライテク本ほど役に立たないものってないと思う。ライテク本は「上手くできてなかったり、乗れてないときはいくら読んでもピンとこない」からです。

で、
「うーん、できん。」「よくわからん。」って放り出すわけですけど、それから10年くらいたって、自分もソコソコ乗れるようになったんじゃないか?って思う頃に読みかえしてみると、「ああ・・そういうことだったのか」「確かにそうだよな・・」って胸に染みこむように理解できるという、実に矛盾した読み物なんですね。ライテク本って実践的な経験や知識と組みあわせて、ようやく真の意味で理解できるようになってるんで、なぜ自分がちゃんと乗れてるのかっていう理論補強にはなるんだけど、実践が不足してる頃に背伸びして読んでもホントの理解はできないし、ナニ言ってるかわかんない。少なくとも私はそうでした。

ちなみに私は重量車が大好きで、バイク人生の半分を重量車と過ごしてきたんです。私のバイク暦で所有したバイクを分類すると、車重250㎏以上のバイクが10台もある(笑)。そのうち300㎏を超えるバイクは5台。もはや「デブ専」といってもいいくらい。で、今の私は、「重いバイクはバイクの走りたいように走らせてあげるのが一番なんじゃないかなぁ・・」なんて思ってます。

私のライディングって、ほんと何も考えてないんですよね。バイクのセンターにちょこんと乗って、最低限の重心移動とアクセルの併用で走ってるだけで余計なことはしてません。Gに耐える以外、力も入れない。へっちまんのハンドルネームの通り、へちま野郎なんで気力、体力、暴力いずれもなく、極めてヘナヘナなんですね。バイク選びにポリシーがないだけじゃなくて、走りにもポリシーというものがまったくございません。

「ばかもん!そんなたるんだ精神で重量車に乗れるか!」とか「重量車は気合いで乗るものだ!」っていう人もいるのかもしれないけど、ムリです。「死んだら棺桶にエロ本と美少女フィギュアを詰めてもらいたいんだけど、どうしたらいい?」って日々悩んでるような奴に、そんな気合いなどあるわけない。そもそも300㎏とか400㎏のバイクを人間の力で押さえ込むことなんてできませんよ。お前ゴリラかって言われますよ。乗り手が力に頼って動かそうとすればするほど、「もう重くて重くてしょうがない」ってなるのが重量車なんです。

「じゃあアンタ、力も気合いもなしにどうやって乗ってんの?」ていうと、もう「何から何までエンジンに頼りましょう」ってことですね。大概の重量車は、低速から溢れんばかりのトルクを吐き出す強力なエンジンが搭載されてますんで、アクセル一度ヒネればどんな重いバイクでも、あら不思議、車体をバビュンと起こせるようになっているんです。

私はその昔、勤務していた店の都合で限定解除せざるを得なくなり、試験合格のために強面の白バイ警官たちが運営するライディングスクールに強制入校させられました。そこで何が行われていたのか?

先日アスカのフィギュアの頭部を別のエロフュギュアの胴体にすげ替え販売していた魔改造職人が逮捕されましたが、まさにあれと同じことが起こっていたんですよ。それまでアクセルガバ開けの単純走法で峠を攻めてた小僧達が、頭部をすげ替えるレベルの脳改造を施されていたんです。それはまさに一種のロボトミー手術。具体的にはクソボロのCB750Fで左手を上げての小旋回8の字を強要されたわけですよ。

「ステアリング操作できなくしちゃえば、体重移動とアクセルだけでバイクを動かすしかないじゃろ?」というあまりにもご無体なスパルタ教育。昔の大型試験では「メリハリのある走りが合格のキモ」なんて口が酸っぱくなるほど言われてたんですが、そのライディングスクールにおけるメリハリの解釈って「駆動力によって車体をキッチリ動かす」ってことだったんですね。

結局そこでアクセルメインの乗り方を叩き込まれて、それ以降、私はずっとその乗り方の延長線上にいる気がします。ハーレーとゴールドウィングとストリートトリプルRSで乗り方を比べると、ハーレーはリアを軸とした一輪車乗りだし、ゴールドウィングはナチュラルなリーンウィズ、ストリートトリプルRSはお尻をずらしてのハングオフで、乗り方は全部違うんだけど、やってることはアクセルのオンオフと重心移動を併用して車体を操ってるだけ。バイクとタイヤが「こっちだよ~」ってところに重心掛けると、各々のバイクの乗り方になるってだけで、私としてはバイクによって乗り方特に変えてる意識はないんですね。そういう意味ではどんなバイクでも基本は同じなのかな~なんて思う。

このように乗り方はどのバイクでもそう変わんない気がするんですが、重量級バイクは「慣性の法則には絶対に勝てない」って縛りがあります。速度出せば出すほど運動エネルギーが増えて「止まれない曲がれない」になりますから、重量級バイクは軽いバイクに比べて安全マージンは必要以上にとらなきゃらならない。ハーレーは重量がハンパなく重いとこもってきて、フロントサスが綿菓子状態でブレーキ効かないですから(現行車はそうでもないかも)特に無理ができません。

アメリカンクルーザーってアッチの国ではマリファナ吸ってたり、初心者が乗ったりしてますし、訴訟大国なんで何かあるとすべて製造した会社の責任にされますから、とにかく握りゴケしないようにフロントは効かさずサス踏ん張らせずって設定なんです。道路の見晴らしも良いから、「ロックしてもコケる心配のないリアでゆっくり止まってね♡」ってことなんですね。

しかし、残念ながらこの設定はストップ&ゴーを前提とした日本の交通事情には、まったく向いておりません。その点は注意が必要だと思う。そのかわりハーレーは「スピードを出させず楽しませる」っていう点に工夫を凝らしてるんで、のんびり走れるし、この設定で普通に走ると、それ自体がある種のスポーツにちゃんとなってるんです。だからハーレー乗るときは、ハーレー独特の「ゆっくり走る中にある楽しさ」を満喫するのが一番いいと感じてます。

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(いつもの桶滝の前でコーヒーを飲みます。春先で滝の水量も十分。この光景を一人で独占ですよ。ん~マジ気持ちいい。能登サイコー!)

一方で現行のハーレーはABSが装着され、握りゴケの心配がなくなってるんで、サスはどんどん良くなってると思う。昨今はハーレーも速度出す方向にも色目を使ってますが、それはすなわち減速に自信が出てきたからだと思うんですよ。現行車はブレーキにブレンボを驕ってますし、足回りにお金かけるようになってるんで、ハーレーも良い意味で変わっていってるなぁって感じてます。まぁそれでも重いから当然限界はありますけどね。

あと、ハーレーを所有している間にやっておくといいと思うことが一つあります。それは「バイクを降りての取り回し」。せっかく重たいバイクを所有したんですから、是非チャレンジして欲しい。なんでそんなこというかというと、実は昔ハーレーのメカさんとこんなやりとりがあったんです。

「へちまさんローライダーって足つきはります?」

「え?十分つきますけど・・」

「でも両足つきで踵が浮くと乗って漕ぐにはキツくあらへんのかな~と・・」

「あ~自分降りて押すんで。」

「・・・は~・・・皆さんそれができればいいんやけどねぇ~・・・」

メカさんが料亭の若女将みたいなしゃべり方になっていますが、特に意味はありません。

まぁハーレーは重いし車高低いから、乗り漕ぎでもいいと思うんですよ。でも、せっかく重いバイクを買ったんだから、この機会に取り回しを練習した方が良いんじゃないかと。何年かハーレーに乗ってるうちに重いバイクの乗り方覚えて、自信もついて、乗れるバイクの重量上限も大きく広がってくと思うんですよね。それはすなわち選べるバイクの選択肢が重い方向に増えていくってことなんです。でもそこで乗り漕ぎしかできないと足がベタ付きするバイクしか選べなくなる。取り回しは、将来のバイク選択の可能性を広げるためにも非常に大事なスキルなんですね。

私がなんでハーレーでの取り回しの練習を推奨するかっていうと、ハーレーってちょっと気を抜くとフロントがグワーッと切れ込んで、こっちに寄りかかってくるバイクだから、取り回しに苦労する系なんですよね。押しても重いから腰に来る。でもそれを乗り越え、しっかり取り回せるようになると、国産バイクの取り回しなど児戯に等しくなります。現行ゴールドウィングなんて、ハンドル切れ込んでこない分、下手すりゃダイナより楽かもしんない。だからダイナクラスを取り回せれば、今後のバイク選びに悩むことは一切なくなります。しかもですね。取り回しができると道の駅での所作がビシッと決まりますからね。

峠の道の駅なんかで、バカ高いSS囲みながら格好いいツナギ着て「〇〇さんあそこのコーナー速すぎますよー」「いやーははははーー」「直線で〇〇km/h出たよねー」なんて会話してる妙齢のオジサン達がいるじゃないですか。そういう人達って凄まじい価格のバイク乗ってて「うひゃー!スゲーーッ!!」なんてびっくりマナコになるんですが、そういうバイクで、バレリーナのヨチヨチ歩き見せられると、もうすべて台無しなんです。パニガーレがNS-1に見えてきちゃいますよ。座ってた折りたたみ椅子から半分腰を浮かして「おぃぃぃぃいいい!!200馬力級SSで乗り漕ぎなのかよ!!カッコつかないでしょ!どー考えてもそこは押すとこでしょーーーっ!!」って心の中で激しくツッコむことになるんです。

私が故郷の石川県に戻ってきて一番ビックリしたのは、「乗り漕ぎする人が非常に多い」ってことだったんですね。おデブなビックツイン系ハーレーやゴールドウィングならともかく、軽くて取り回しがメチャ楽なSSを足ツンツンさせて乗り漕ぎするなんて・・乗り手の所作がバイクの格にあわなさすぎて正直見ていてシンドイです。

サンドイッチ4+2
(デブ呼ばわりにブチ切れたダイナ嬢のライダーキックときんつば嬢のアックスボンバーの挟み撃ち。確実にあの世行き。)

アメリカンクルーザーは乗り漕ぎでも格好つく系のバイクですが、だからこそ、小さい体で重量車をゴリゴリ取り回してる人を見ると「こやつヤバイ!!スゴイ!」ってなる。岐阜の道の駅で、ロケットⅢを400ccみたいにくるくると華麗に取り回してるオジサンがいたんですが、すっごく格好よかったですね~。もうね。バイクを完全に征服してる感じですね。公道をぶっ飛ばしてスピード自慢するより、そういうところで他人と差がつけた方が健全だと思うんですよ。

私が思うに立派なバイクになればなるほど「バイクは凄い、じゃあ乗り手はどうなの?」って必ずなるんですね。そんな中で、取り回しっていう基本がちゃんとできてないと、やっぱり大きな違和感を生んでしまう。取り回しってそれなりに難しいけど、そのスキルはどんなバイクにも通用する一生ものなんです。ハーレーを華麗に取り回してる方が少ないからこそ、この機会に練習するといいのかなって思うんですよね。

またまた長いブログになっちゃいましたが、ハーレーって他のバイクと時間軸が違う気がするんです。その証拠に、好きな人はずっと乗り続けるじゃないですか。私だってもう13年も乗ってるんですが、そんなに長く乗ってる気がしないんですよね。ハーレーの乗り味が好きな人にとっては、長いつきあいになるからこそ、焦ったり急ぐ必要なんてない。雄大なアメリカ大陸を流して走るみたいに、ゆっくり、ゆっくり馴染んでいけば良いと思うんです。