「ねぇ、これハーレーみたいになってるんだけど??」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」

我が家の聖帝様の謎のご指摘ではじまりました本ブログ。なぜゴールドウィングがハーレーのようになったのか、それが今回のお話しです。ことの始まりは私の無様な立ちゴケまで遡ります。その立ちゴケの顛末は2部作になっておりますので、こちらのブログでお楽しみ下さい。


①道の駅 明宝の惨劇(ゴールドウィング立ちゴケ顛末記)

②バイクの傷、心の傷


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(桜並木のゴールドウィング、せっかく撮った桜の写真。今貼らなければいつ貼るのか?ってことで、ブログの内容とまったく関係なく貼られています。)

かくいう私は、昨年10月に無様に立ちゴケするまでは、「駆動さえかけられれば、どんな重いバイクでもコケないゾ♡」ってタカをくくっておりました。長期間立ちゴケしないことで、いつしか自信過剰になり、その自信が崩れた先に待っていたのは、初心者のように初々しい

「ビビリごころ」

いや~、こんなピュアな感情を取り戻せたのは久しぶり。「コカしたらどうしよう」というバイク乗りの原初の感情が湧き上がって参りましたよ。

バイクというのは立ちゴケがつきものなんですけど、いつの間にか私はyoutubeで人の立ちゴケをメシウマで楽しむだけの傍観者になっていた。そう、「私もコケる側の人間である」ということをすっかり忘れて増長してしまってたんですね。

そんな私を聖なるバイク神は見逃さなかった。最も恥ずかしいシュチュエーションを入念に選び、裁きの雷を落としたんです。それ以降「二度とあんな思いはしたくない」っていう感情が強すぎて、メンタルがガタガタになってしまった。まぁこれ聖帝様を2ケツしたのが原因なんですけど、かといって、2ケツの楽しさに目覚めて盛り上がってる聖帝様を拒絶して、ソロライドに戻ることなど許されない。

私と奥様の夫婦間の格付けって聖帝様と下忍ですよ。先日など、聖帝様に呼び出つけられて「プラごみの分別ができてないっ!!」って説教30分ですよ。プラだと思って詰め替え用洗剤の容器捨てたら、ペットボトル扱いだったんですね。この世には排気量マウントや旧車マウントなど数々のマウントがありますが、まさかのプラごみマウントですよ。マウントされている意味すらわからないけど、とにかく馬乗りで殴られてることは間違いない。

「はぁ?アンタそれでも環境大臣の自覚があるの?!」
ってドヤされましたよ。あのね。いつからか私は環境大臣って呼ばれるようになってますけど、部下のいない最高位官職名に何の意味があるのか?もはや「一人バイクチーム」と同列の空しさがある。

でもね。私はどう頑張っても聖帝様には勝てないんですよ。ウチの聖帝様は奥義「天翔十字鳳」を会得しておられるので、こちらの攻撃は一切スカして、一方的に切り刻んできますから。こうなると、意見具申など不可能なので、求めに応じて2ケツを続けるほかはない。まぁ私にも大型バイク乗りのプライドってもんがありますから、「2ケツしてよ」っていわれて「コケたくないからイヤデス」とは口が裂けてもいえません。

布団に入るとあのときの屈辱がフラッシュバックで脳裏をよぎる。次2ケツしたらまたやっちまうんじゃないか?そのストレスでいろいろといらんことを考え始める。自分のライディングに自信をなくすと、とたんに迷走をはじめてしまうという「バイク乗りあるある」が発動したんですね。

で、何をやったかというと、「ハンドル少し上げたらポジション楽になって支えやすくなるんじゃね?」って考えたんですよ。過去GPZ900Rをバーハンにして街乗り仕様にしてたこともありまして、もう少し体起こせばバランスとりやすくなるかな・・なんて余計なこと考えたんですよね。別に今でも困ってるわけじゃないのに、自分をさらに甘やかせに走ったわけです。

とりあえず、タナカオートセンターのホームページからハンドルアップのスペーサー探して注文。(在庫なくってアメリカからの取り寄せでしたが2週間くらいで届きました。ちなみに今は販売品から消えてます。)スペーサーはバック3分の2インチ、アップ3分の2インチ。えらく中途半端なんですけど、ゴールドウィングってステアリングの上にスイッチ類があるんで、ステアリングの根元を上に上げようとすると、スイッチケースに干渉しちゃうんですよね。だから、このスペーサーは、ステアリングの穴位置変えて、後方に絞ると共に上方向は少しオニハン気味にすることでアップさせる設定になってるんです。

なお、取り付けはホンダドリームに丸投げです。

 DSC_1457(こちら、スペーサー入れる前と後を重ねたもの。ステアリングの上にスイッチボックスがあるために、無加工ではそんなに大きくハンドル位置を変えられない。)

で、取り付けて、跨がってみたら上体はそこそこ起きる。おお、僅かだけども体感は随分変わるよねって感じ。どれどれ乗った感じは・・・

「・・は?・・なにコレ・・・操縦性が破綻してるんだが・・」

日頃ハーレーとか乗ってると、ハンドル回りをカスタムでメタメタに改造するのが当たり前になってるからそれに慣れちゃってるけど、操縦性ってこんな簡単に破綻しちゃうのね。って感じるくらい悲惨な結果になりました。

アメリカンクルーザーのハーレーは、リアに乗っかる一輪車乗りですから、フロントをエイプにしようがどうしようが操縦性ってあんまり変わんない。フロント荷重のバイクでも、通常のテレスコならここまで大きな変化はありません。乗り手の体格にあわせてちょっとくらい変えたところでそこまで大問題は起きないんです。

ところが、ゴールドウィングはハンドル位置をほんの僅かに変えただけで、

「コーナーの倒し込みでフロントが全然入らない!!」

つまり、操縦性が完全に変わっちゃったんですよ。これって、ダブルウィッシュボーンサスの特徴なんだと思うんですけどよくわかんない。で、なんとかしようにも、この複雑怪奇なサスペンションは調整機構が一切ついてねぇんですよ!こうなっちゃうと、もはやどうしようもございません。

僅か2㎝ほどのアップ、2㎝ほどの絞りでここまで操縦性が変化しちゃうなんて、もう予想外。コーナー入り口でホンダらしいフロントがスッとナチュラルに入る感覚がまったく消えちゃってる。フロントが自然に入らないとどうなるか?こっちできっかけ作って入れるしかないってことになる。いちいち派手めの重心移動できっかけ作る古くさいネイキッドバイクみたいなハンドリングになっちゃたんですよ。それって私の所有するバイクでいうとダイナですよ。

「そう、ゴールドウィングが、まるでダイナにみたいになっちゃったんですよぉぉおおおお!」

いえね。ダイナのハンドリングが悪いわけじゃないんですよ。でもあのハンドリングはハーレーのクラシカルな風情にこそピッタンコなわけで、現代の高性能メガツアラーがそんな昭和レトロなハンドリングなんて、日向坂46を期待したらおニャン子クラブが出てきたようなもんですよ。もうディーラーから帰る道すがら顔面蒼白になって走ってまして、自宅帰って奥様に頼み込んで後ろに乗って貰ったんですよ。で、出てきたのが冒頭の「これハーレーみたいになってんだけど?」ってお言葉なんですよ。

「あのハーレーみたいになったって・・具体的に・・どういう・・」

「いや、曲がる前に一瞬タメ入るじゃん」

(あああああ・・そうだよね、そうだよね・・)

「こ・・の・・乗り味・・どう?」

「やっぱもとの方がいい。バイクにあってない」

(ああああああああああああ!!)

バイクのこと何もわからんくせに、自分の快適性のことになるとやたらセンシティブな聖帝様にもダメ出しされて、私の心の中で僅かに抵抗してた「もったいないオバケ」も浄化されて跡形もなくなりました。聖帝様の玉座である以上、聖帝様の命令は絶対。これはもう戻さざるを得ない。まぁ聖帝様の命令がなくても、こんなハンドリングは戻す一択なんですが、人は失敗だとわかっていてもそれを認めるときは何かの後押しが欲しくなるんです。

私は死人のようなテンションで再びディーラーにおもむき「・・すいません、何度も申し訳ないんですが、元に戻してくれますか・・」って再びメカさんに頼むハメになったんですね。メカさんはニコッと笑ってとどめの一言。

「工賃〇〇円頂きますけど良いですか♡」

・・・・ムネンアトヲタノム・・・・

結局スペーサーの代金と、付けて外しの工賃分ドブに捨てたわけなんですよね。ゴールドウィングはフロントのダブルウィッシュボーンのバランスが凄くシビアみたいで、ステアリング位置ちょっと変えただけでバイクの特性が大きく変わっちゃう。安易にステアリング回りイジっちゃいけないバイクですから、皆さんもお気を付け下さい。

無駄なことはヤメロと7
(私の迷走で病みモードに入ってしまったきんつば嬢。超幸薄い感じになってます。)

で、今回のオチはこのイラストが全て。コケたくない一心でいらんことしたために、悲惨な結末を迎えてしまった。コケたのはバイクのせいじゃなく100%自分のせいなのに、メンタルヨワヨワになった私は、バイクのポジションのせいにして逃げに走ったんですね。でも、バイクっていう乗り物はそんな安易な甘えを許さない。

やすきに流れた者は、ロクな目に遭わない。まさに子供の頃読んだ寓話どおりの結論で、実に据わりの良いブログになりました。

いやぁ、めでたし、めでたし!ではまた次回お会いしましょー!!

(滝の涙を流しながら笑顔で精一杯手を振る・・)