※以前スポーツスターSについてはこちらのブログで「見ただけインプレ」(クリックで飛びます)をお送りしておりますが、今回は試乗後のインプレになります。えらく長いものになっちゃいましたが、これだけテキストを叩いたってのも「それだけ気分が盛り上がっちゃったから」。所詮私のインプレなのでマトモなものではありませんが、サイコなへっちまんのスポーツスターSインプレ、お楽しみ下さい。

(ここから本編です)

先日久しぶりにハーレーディーラーに行きました。昨年の9月に車検で伺ってから半年ぶりくらいですかね。ディーラーを訪れた理由は、4年使って電圧低下でヘロヘロになってきたダイナのバッテリーの交換と、待てど暮らせどまったく入って来る気配のないリアタイヤ、メッツラーのマラソンウルトラの代替タイヤを装着するためです。その顛末は後日書くとして、その際に店先で見つけちゃったんですよ。新型スポーツスターSの試乗車を。

「おおおおお、スポーツスター入ったんですねぇ!」

と周囲をくるくる回りながら車体をなめ回していたら、営業さんが「へっちまんさん。タイヤ交換の間に乗ってみませんか?是非感想を聞かせて下さい。」っておっしゃるんで、「うへへー、いいんですかぁ♡」って乗せてもらうことにしました。私は奥手なんで「購入予定のバイクしか試乗をお願いしない」ケースがほとんど。だから試乗インプレは、「乗りませんか?」って誘い水出してくれるハーレーばかりになる。ちなみに、このディーラーさんは私がこんなクソブログを書いているってまったく知らないんで、完全な善意ですね。

「タイヤ新品なんで気をつけて下さいね~。」

「はいはーい。」


ってな感じで、ディーラーの周囲を好き勝手に走り回ってきたんですが、このスポーツスターSの具体的なインプレに入る前に、皆様に前提として言っておきたいことがあります。

それは私が「ノンポリのバカである」ってことです。試乗したバイクに対して、自分なりの意見を好き勝手いうけど、ハーレーというブランドに対して「かくあるべし!」っていう定見はない。メーカーに関係なく自分がビビッときたものにダボハゼのように食いつく男なので、メーカーに対する好き嫌いや忖度はありません。

また「エンジン形式に対するこだわりも薄い」。空冷Vツインの優しさやトルクの出方は大好きだけど、私が重視してるのはエンジンのキャラ立ちであって、冷却方式やエンジン形式ではございません。だから水冷パラツインでも気持ちよければいいんであって、空冷じゃないからダメって前提はそもそもない。確かに空冷の味は水冷ではちょっと出ませんが、水冷の良さだって空冷じゃ出ない。

私はハーレーオーナーですが、どっちかというとハーレーを外から見てるところがあるので、スポーツスターの水冷採用については「がっつりスポーツできるバイクを目指したのであれば水冷化は当然でしょ?」っていう、極めてドライなスタンスなのです。

加えて文章が長く、テキスト八丁手八丁のゴマカシにも慣れてるんで、読むと一見公平性や妥当性があるように見えるかもしれませんが、徹頭徹尾、主観を書き殴ってるだけ。情報の裏取りもいい加減だから、客観性を要求される試乗インプレとしてはそもそも成立してない。このため私のブログは過度の期待をせず、インプレの形式を取ったチラ裏の日記帳として楽しんで頂くのが正しい取り扱いになります。

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(ディーラーで展示されてたスポーツスターS。この隙間なく、みっしり詰まったコンパクトな車体に機能美を感じてトキめきます。)

で、このスポーツスターS、最初に結論を言っちゃうととても良かったです。昨年のパンアメリカは乗ったときに「あー、よくできてるなー」って思ったけど、「うわぁぁあああ!すげっーーー!おもしれーー!!」とは思わなかった。

でもパンアメリカはハーレー一筋の人にとってはインパクト満載の驚愕のバイクだったと思うんですよ。なんせ大排気量空冷Vツインをあらゆる手段を使って延命させ、古き良きクルーザーを作ってきたハーレーがですよ、「BMWのGS」という東大出の秀才クラスと張り合うために、最新鋭の技術を投入し、基礎偏差値を爆アゲしたバイクを出してきたんですから。

ハーレーしか知らないオーナーには「うわぁあぁあ!メーカー創設以来、初めての秀才キターーーーーッ!!」って驚愕をもって受け入れられたはず。足開いて股間に風当てながら授業受けてるド底辺の下品な高校に、偏差値70、スポーツ万能、品行方正の転校生がやって来ちゃった状態ですよ。ディーラーの店長なんて、初めて体験するような高性能&高バランスに雷に打たれたような衝撃を受け、即買いして、そこら中を走り回ってタレ目状態になってるらしい。でも、私は国産の秀才バイク達との付き合いがとても長かったから、偏差値高いハーレーって逆に刺さらなかったんですよね。

100万円超えのバイクって、顧客にとって「長州力のホタテじゃなきゃならない」んです。性能なんてその価格帯になればどれも十分なものを持ってるんだから、「食ってみな、飛ぶぞ!」がなきゃならないんですよ。もはや食レポじゃなくて、クスリのバイニンみたいになってるけど、感動って理屈じゃないからあの表現がピッタリくるんです。ただ何食って飛ぶかは人それぞれだから、最終的には各々が試乗して、そこで何かを感じてもらうほかないと思う。試乗で一番大事なのは細かいところの出来不出来より、それが自分にとって「飛べるバイクなのかどうか?」を判断することだと思うんですよね。

で、今回試乗したスポーツスターS(長いんで次から「スポS」に縮めます。)なんですけど、飛べました(笑)。笑っちゃった。何に飛べたかって、あのポジションでバカみたいに速いってとこが飛べた(笑)。もう完全に新たな世界の扉を開いてますね。

「いやいやV-RODがあったでしょ?」っていう人もいると思うけど、今度のスポSにはあれ以上のパワーと機動性とバンク角がある。スポーツバイクとして現行のバイクと張り合えるだけに、あのポジションがめっちゃ際立つんですよ。スポSって上半身が結構な前傾で、私の身長だとストリートトリプルRSよりちょい緩いかなー?って思うくらいの結構な前かがみなんです。で、ステップも前だから足も前に投げ出すじゃないですか。結果、姿勢は腹にライダーキックを食らった怪人みたいに「くの字」前傾になる。

バイクに跨がりながら、「いやいや。足投げ出すなんてハーレーおなじみの直線番長のクルーザーポジションじゃない?あのね。こんな格好でスポーツできるわけないでしょ?」って思ってたんですよ。で、そう思いつつ交差点2つ曲がったら、もう笑顔になってた。なんだこりは!メチャ楽しいじゃん!!

どかっとシートに座り、腕でステアリングをしっかり握り、フロントタイヤ方向に足を自然に投げ出し、走る意志を全面に出していく。それは私に原初の記憶を呼び覚ます。

「ま、まさか、ハーレーさん!これかっ!これなのかぁぁぁああああああ!!」
三輪車

ダイナ乗ったときは、「これはバイクというより耕運機だ・・」って呆然としましたが、スポSはハーレーを知らない国産スポーツバイク乗りから見ると「幼児用三輪車みたいなポジションでワイルドスピードをやる」というとんでもないバイクになってると思う。近代的なスポーツマシンに幼児乗り。これはヤバい。脳からヘンなものがドバッと出る。確かにダイナもハイウェイペグつけりゃ足投げだすこともできますよ。でもそれはクルーザーとして遙かな地平を目指して走るためのリラックス姿勢で、どっちかというと気分がゆったりしちゃうんです。

一方スポSのフォワードポジションは姿勢似てるけど発想が根本的に違う。ハーレーはこの体勢で攻めろって言ってるんです。エンジンパワー考えればバックステップでもおかしくないくらいなのに、あえてフォアコンですよ。

「51歳児にこんな若返りすぎたポジションの121馬力バイクを与えたらどうなっちゃうの?」

一言で言うなら「バブ!」ですよ。二言でいうなら「バブバブ!」ですよ。もうね。気分は「天花粉キメてトリップしたタラちゃん」ですよ。「バブーーーーーッ!!」って、アクセル開けちゃうから。しかも開けると、これメチャ速いし、タイヤぶっといのにフツーに曲がるんですよ~。

でも嬉しげにバブバブ言ってるだけでは、「コイツやはり真のバカだったか」と思われかねないんで、真面目なインプレも少しばかり書いときます。

まず車体は凄くコンパクトで、ハーレーっぽいデカさ感は全然ない。メーターも下に引っ込んでて前方視界がドバーッと開いてるから、見晴らしも最高。「俺ホントにハーレーに乗ってんのかな~」って疑心暗鬼になるくらいバイクの大きさを感じませんね。

前に投げ出した足のヒザ部分でボリュームのあるタンクが挟めるのも新しい。がっつりニーグリップするようなものでもないけど、ヒザが車体に触れてるだけでバイクとの一体感が全然違う。ブレーキもしっかり効くんだけど、ブレーキング時には足でも踏ん張れるから上体は通常のネイキッドより楽じゃないか?と思ったりするし、前傾が強めな分、強烈な加速にも対応できる。

乗る前は「このバイク、フォワコンは多分無理だからミッドコンだなー」なんて思ってたけど、アッサリ訂正です。このバイクはフォアコンが新鮮な楽しさを提供してくれるんで、フォアコンを強く推奨したい。難点はリアブレーキ踏みにくいことだけど、そこは慣れそうな気がする。

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(リアビューです。結構線が太くみっしり感があるのに車重は軽い。最新のバイクって感じがしますね。)

いやもう「これまで体験したことのない姿勢でスポーツするだけで、バイクってこんなに楽しくなっちゃうの?」って思うし、足投げ出しもすぐ慣れる。ディーラー帰ってくる頃には店の狭い駐車場でくるりとUターンできるくらい馴染んでましたんで、このポジションでもかなりイケると思う。フロントタイヤが随分太くて、「こんなの曲がるんか?」って思ってたけど、試乗レベルでは扱いに気を遣うところもほとんどありませんでしたね。

エンジンは「水冷になって味がなくなってんじゃないの?」って思う人もいるかもしれないけど、レボリューションMAXって、私が調整したダイナのTC96と低回転のダバダバ感が良く似てたりするんです。回り方やトルク感はそりゃ違うけど、綺麗に燃えてる感やフリクションのなさはスポSの方が上。しかもダイナと違って中速から上も淀むことなくビュルビュルと伸びていく。

おそらくハーレーはずっとこういうエンジンやりたかったんじゃないかなーって思う。でも販売上の理由で空冷一辺倒に押し込められて、環境規制によるパワー減を排気量上げてようやく相殺してるような苦しい状態が続いてた。そのフラストレーションがこの水冷のトルク型レボリューションMAXエンジンで爆発してる感じがする。低回転で流してるとちゃんとピストンの動きがわかるし、ステイもできる。それに加えて、4000回転以上で湧き出るパワーの炸裂感も申し分ない。

電子制御スロットルの定番、走行モードもレイン、ノーマル、スポーツと3つ入ってる。ノーマルとスポーツしか試してないけど、どちらのモードもスロットル特性に違和感はありませんでした。ガバッと開けるとドキュっと出るけど、丁寧に開ければジットリとも走れる。スロットルとパワーの出方はちゃんとリンクしててドンツキすることなく、とっても好印象でしたね。

スタイリングの完成度も高い。とにかくメカがみっしり詰まってるし、定番のロー&ロングですが、前ぎっしりで後ろスカスカというデザイン上のメリハリもある。価格を考慮しても取り立てて安っぽい部分はないし商品力は高いと思う。「カスタムのしがいがない」とおっしゃる人もいると思うけど、裏を返せばそれだけ隙がないともいえる。

激怒7
(他のバイクに色目を使うと途端に病んでしまうダイナ嬢。いやアンタのタイヤ交換の間に試乗してんだから売るわけないでしょ?)

営業さんが隣で「これは買い増しするしかないですね!」って笑ってるけど何考えてんの?悪魔か?確かに既存のハーレーとは一切カブらない楽しさがあるから、ハーレー愛のあるお金持ちなら空冷モデルを残しておいて、買い増ししやすいとは思う。

一方で、このスポSを旧スポーツスターと比較して、「こんなのはハーレーじゃない!」っていう人も多いんでしょう。確かにこれはハーレーではない。正確に言い換えるならば「既存のハーレーではない」

これまでのハーレーが持っていた「空冷エンジンの味を楽しみ、ステイしながらロングクルーズ」っていう路線から逸脱してる。でもこのバイク、「ホンダですか?ドカですか?BMWですか?」って聞かれれば、「やっぱりハーレー以外のなにものでもないですね。」って答えることになると思う。

私にいわせればスポSは「他メーカーの現行バイクとガチで勝負するために生み出された決戦兵器」ですから、そもそも過去なんてまったく見ていないんですよ。既存のハーレーを通してこのバイクを見ようとするとまったく理解できない。でも私は試乗してスポSの存在意義がスッと胸に落ちた。だってアクセル開けてバンクしながら、このバイクをダイナでもなく旧スポスタでもなくストリートトリプルRSと比較してる自分がいたから。

その時、「これは現代のスーパースポーツと同じ土俵にいるんだ」って改めて感じました。だからシングルシートで、積載性もなにもかもぶん投げて登場したんですね。

環境規制と販売環境の変化の中で、ハーレーは今とは違う地平を目指さなきゃなんない。それはすなわち過去に留まることはできないってことです。ハーレーはこれまでの「ハーレーかそれ以外か?」っていう線引きを自ら放棄して、現代の性能の最前線で他メーカーと同じ土俵で戦おうとしてる。そのためにしっかりバイクを作り込み、あえてハーレー独特のこのポジションでハイパワーのスポーツバイクを提案してきたんでしょう。

未来に向かうということは、過去を斬り捨てることです。今回ハーレーは批判を恐れず、勇気をもってそれをやった。その割り切りはこれまでのハーレーに決定的に欠けていたものなんですよ。問題はそれを「市場が受け入れるかどうか?」ですが、そんなこと私は知らない。

でも、どんな屁理屈を並べたって、バイクの評価って一つしかない。だから、最終的には私の試乗インプレは一番大事なこの一言を叫んで終わる。

「乗ってみな。飛ぶぞ(笑)」

皆さんも機会があれば是非試乗してみて下さいね!