「カチッ」(イグニッションをオンにする)

(ゴールドウィングマークの起動画面が無音で立ち上がって、メニューが表示される)

「ポチッ」(スターターボタン)

(シーーーン)

「・・・・・・・・・・・

西高東低の冬型の気圧配置がひたすら続き、雪と曇天で閉ざされる北陸地方。そんな北陸の冬にもごく僅かですが、スッキリ晴れて暖かい最高の休日が訪れることがあります。北陸のバイク乗りにとって、10度くらいまで気温が上がった冬晴れの休日は、まるで神様からの贈り物みたいに貴重なんです。

朝起きて、カーテンを開けてみると世界が鮮やかに輝き、バイクで走り出すには最高としかいいようのない天気でした。すっかり嬉しくなった私は「今日は久しぶりにロングを走るぞぉぉぉおお!」と叫びつつ、急ぎ朝風呂に浸かり、カドヤの冬用ナイロンジャケットにRevitのパンツという冬型重装備を身につけて意気揚々とバイク小屋に向かったんです。

当然選択するバイクは冬の王者ゴールドウィング。私はこの最高の一日を満喫するために、この「大食らいメイド」を養っているといっても過言ではない。

「さぁ目覚めるがいい!!侵略の時間だぁ!!!」

って気合い一発セルスターター押した結果がこのブログ冒頭のシーンですよ。

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(今回はバッテリーに関するお話。こちらはトリクル充電器のオプティメイト。トランスフォーマーのコンボイ隊長の別名ではありません。左は新しい型、右は古い型です。古い方はもう10年選手なんじゃないかな?とにかく丈夫で壊れないし充電状況もわかりやすいので私は最大の信頼を寄せてます。)

「はあぁぁぁぁ?」
ってなりますよね。きんつば嬢には10日くらい前、かなり寒かったけど頑張って1時間ほど乗ってあったんですよ。そのときは元気良くセルが回ってたんですが、本日はウンともスンともニャンとも言わない。これがダイナだと「ウニャウニャウニャウニャニャー・・ニャー・・」って猫のような可愛い音を上げつつ息絶えるんですが、きんつばはお高くとまって回ろうともしないんです。滅びの美学がないんですよ。

健康をアピールするかのようにインパネ光らせてるけど、セルモーターはまったく動く気配がない。完全なるハンガーストライキです。反抗期です。「全然かまってくれないから規定電圧がありません。」「残念ながら本日の営業は終了しております。」って朝からシャッター下ろしてる感じで、まったくとりつくしまがない。

「え?これなに?なんなの?こんな最高のシュチュエーションでハンストする気?」って思うじゃないですか。かまってもらえないからバッテリー上がりましたっていわれてもですね。「この寒い時期、毎日乗れるわけないだろ?毎日電気送らなきゃ息絶えるって、胃ろうしてる老人かよ!」って言いたくなりますよ。

まぁそっちがそのつもりなら、こちらにも考えがある。バイクのハンストなど私はおそるるに足らんのですよ。なぜなら私には起動用の予備バッテリーがあるのだから!ぬわっーーはははははは!!さあ叩き起こしてくれる!

私は余裕綽々でハメ込み式の右サイドカバーを外し、予備バッテリーをジャンパで繋いで、再度イグニッションをオンにしたわけですよ。

しかしなんということでしょう。フル充電の予備バッテリーを接続したにもかかわらず、今度は起動画面すら立ち上がらないんですよ!

「えっ?なぜ?!?どうして!?・・ま、まさか・・・予備バッテリーを受けつけないというの?」(赤城リツコ博士の声で)

え?なにこれ?シンジ君しか受けつけなくなったエヴァンゲリオン初号機なの?バッテリーをえり好みするの?電源グルメなの?そもそも、なんでこんなに頑ななの?もう出撃ゲートが開いてんだぞ?この状況で起動実験に失敗するってないだろ?ここでエンドロールなんてブログ視聴者が許さないぞ?大爆発した方がまだマシなんだぞ??

「いや、まだ諦めるには早いわ」と突然、頭の中の赤城リツコ博士が主張を開始する。「そうよ!電源が喪失したなら人力でやればいいじゃない!!エヴァだってエントリープラグを人力で挿入してたじゃない!!つまりは押しがけよ!さぁ気合いを入れなさい!!」

・・って無理ィィィィィイイイ!!

最近は知らない人もいるかもしれないんで説明しますと、押しがけってのはセルモーターに頼らないバイクの始動方法です。イグニッションオンにしたまま、ギアを2速に入れて、クラッチ握って思いっきりバイクを押してスピードに乗せる。勢いがついたところでケツをシートにドンと乗せ、クラッチをはなすと一気に駆動系がつながって、回ってる後輪がセルの役目を果たしてピストンを回してエンジンが始動するって寸法です。

普通はセルモーターの力でエンジン回すけど、押しがけは回転する後輪の慣性力でエンジンを回そうって試みなんですね。キャブの頃の2ストバイクは改造すると天候や気圧によってプラグがよくカブったから、押しがけって割と必須スキルだったんですよ。

この押しがけはインジェクションでも、インジェクターにガス吸うだけの電圧きてれば可能なんです。だってあとはピストン回して点火するだけなんだから。今回のきんつばは起動画面までは立ち上がってて、インジェクターはガス吸ってるはずだから、押しがけも可能でしょう。でもね。ここで問題なのは、

このバイク365㎏もあるの!!

押しがけって原理上、まずバイクを押して明日に向かって全力で走らなきゃならんのです。そりゃ私はその昔Z1300を毎日押しがけしてた時期がありましたから、押しがけには自信もってますよ。今思うと並列6気筒300㎏のZ1300を毎日押しがけってバカ以外のナニモノでもない。尻で思いっきりリアを潰しても2速じゃ後輪ロックしちゃうんで、3速でやるんですが、3速だとある程度のピストンスピード出すには2速以上に勢いつけなきゃなんないから地獄なんですよ。毎日通勤前に300㎏を押しながら全力疾走ですよ。リポビタンDの宣伝かな?

当然ですが2回くらいやってかからないともう汗だくでヘロヘロ。でも高回転酷使しすぎて調子崩したZ1300は押しがけでしか目覚めなかったんですね。当時は若かったし、バイク1台しかもってなかったから、「押しがけでかかるんならそれでいいじゃん。完全にかからなくなるまでコレでいこう!!」ってどう考えても頭がおかしい発想してたんですよね。

店長もZ1300なんてレアバイク修理できないし、自分が押しつけた後ろめたさがあるから「うーん、それも若さだよね!ガンバレ!!」って遠巻きにしてるだけだった。加えて、当時の私は押してもダメなら押し倒せ!っていう典型的な脳筋サル野郎でしたから、とにかくかかりゃ何でもいいんだって感じだったんですよ。でも、それから年を経ること幾星霜。今ゴールドウィングを押しがけできるかっていったらそんなの無理です。怪しい50代が365㎏のバイクを必死に押してる絵ヅラは完全に「バイク窃盗犯」ですし、そもそも楽して乗りたいから購入したメガクルーザーの始動に地獄の儀式は想定してない。まさに本末転倒。

結局純正バッテリーを復活させなきゃどうしようもないという結論に至り、トリクル充電器のオプティメイト4を接続することにしました。接続時のバッテリーチェックの結果、バッテリーは健康そのもの。やっぱり放電で単に電圧が低下してるだけでしたね。

ちなみにオプティメイトはAmazonで1万円ちょっとだけど、能力考えたら安すぎるくらいの有能商品です。他のトリクル充電器もいろいろ使ってみたけど、私的には一番信頼性が高くて、使いやすいのはオプティメイト4。ただ、確実に充電してくれるのはいいんですが、バッテリー痛めないために最大1~0.8アンペアくらいでしか充電しないんですね。フル充電まで10時間くらいかかっちゃうんで、今回みたいなケースではエンジンかかる頃には1日が終わっちまってるんですよ。ですから「今動かなきゃダメなんだよ!」っていう緊急のご要望にお答えすることはできません。

いやいやおかしいだろ?大排気量車ってデカいバッテリー積んでるんだから、バッテリーの持ちもいいはずだろ?って思ってる方。それはある意味勘違い。リッター越えの大排気量バイクって起動時にセルモーターにかかる負担もかなりのものになるから、必要電圧をちょっとでも割り込んじゃうとすぐセルが回らなかったり、起動不能になっちゃうんです。重すぎて押しがけもできないから始動はバッテリーが命綱にもかかわらず、時計とか盗難防止装置とかセンサーとか、電気を食い続ける豪華装備がてんこ盛りになってるという自己矛盾。

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(オプティメイトの接続は、事前にバッテリーに取り付けた接続端子をバイクの外に誘導しておいて、それにオプティメイトの方からでてる端子をブッ差すだけのお手軽なもの。接続端子の取り付けもきんつばの場合は左サイドカバー外せばすぐバッテリーなので、10分もかからない。)
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(ダイナの場合はバッテリーカバー外してパッテリー端子を直に挟んで取り付け。カバーがクリアランスなくピッタリはまっちゃうので接続用の端子引っ張り出す隙間がないんですよね。

特に贅沢装備満載のSC79はバッテリートラブルが多いらしくて、「出先でセルが回んなくなっちゃった・・」とかいうトンデモない報告もあるらしい。これじゃますます停車時に電動バックギアなんて使えませんな~。シンプルで電サスも入ってない無印でこれなんだから、電子装備をさらに満載したツアーはもっと厳しいんじゃないの?

「いやいや、トリクル充電器もってるんだから、それ繋いどきゃいいだけでしょ?」ってツッコまれた方。そうなんですよ。できればそうしたかったんです。でも私が持ってるトリクル充電器ってオプティメイト4の初期型と後期型の2つしかない。ザラブ嬢買った時に「この際もう一つオプティメイト追加で買おうかなぁ・・」って悩んでたんですが、踏ん切りがつかなかったんですよね。オプティメイトは2つしかないのに、バイクは3台あるんで、手持ちの2つは冬場に寝かせてあるダイナ嬢とザラブ嬢に繋いでるわけですよ。いくらなんでも一番の巨体を誇るゴールドウィングが僅か10日程度で致命的な電圧低下を起こすとは思ってもいなかったですからねぇ・・。これ絶対寒いからだけじゃなくて、なんかの理由でキーオフでも電気食ってますね。

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(電気補給中のきんつば嬢。ちなみに翌日にはご機嫌が治ってました。)

ということで、今回はSC79のバッテリートラブルの顛末をお送りしましたが、電気って目で見ることができないから管理っていっても、充電器つなぐか、頻繁に乗るか、バッテリー外しとく、くらいしかやることないんですよね。だから勝手にどんどん放電しちゃうバイクになると、気がついたら「セル回らん」なんてことになりかねない。最近の電子装備がてんこ盛りのバイクは、すぐバッテリー電圧下がっちゃうんで、もう一昔前のバッテリー管理の感覚は通用しないですね。特にSC79に関しては何が原因で電圧下がるのか全然わかんないんで、季節関係なく、乗らない時はずっと充電器を繋いでおく方が無難かもしれません。

これから春になりバッテリー上がりが多発する季節ですが、皆さんも私みたいにならぬようにバッテリー管理には気をつけてくださいね。

※すいません。当初ブログではトリクル充電器を「オプティマス」って記載してましたが、正しくは「オプティメイト」でした。修正してあります。いやー申し訳ない。でもこの10年間私はずっとオプティマスだと思い込んでましたね・・。


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おかんむり2
(相変わらず褒め殺し耐性ゼロのフラッグシップ。メイドの格好してますが、限定売り切りで販売競争とは無縁の箱入り娘なんで、ヨイショ耐性はほとんどありません。)