永遠のソロライダーかと思われた私が、今年ひょんなことから奥様をタンデムシートに乗せて、いろんな所へツーリングに行くようになりました。この旅路にいつ奥様が飽きるかは未知数ですが、今のところそんな気配はなさそう。タンデムの主力はゴールドウィングですが、無印の単純物理サス(ツアーは電サス)でも十分すぎるほどの乗り心地のようです。

しかし無印はタンデムにあたって致命的な問題点が3つある。

①背もたれがない

②タンデムグリップの形状と位置が悪い。

③二人乗りで旅に出ようとすると収納が足りない。


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(無印のリアシート周り。背もたれがなく殿様乗りですので、加速に対して無防備。タンデムグリップもシートにツライチで寄り添うような作りになっていて、使用感よりデザイン優先のところがあります。)

うちの奥様はへちま国の国家主席であり、全身から発散するオーラにより、私には2メートル近くに見えるんですが、実測では151㎝しかないとのこと。無印のタンデムバーはシートに沿って取り付けられているため、位置が少々低いんですよ。大柄な外国人女性ならフィットするのかもしれませんが、小柄な奥様では手が伸びきってしまうし、体を支えるにも負担が大きいらしい。

しかもパッセンジャーは殿様乗りにもかかわらず、後ろに寄りかかる支えがない。こちらも慎重に慎重を期して運転してるんですが、低速から鬼のように加速するバイクですし、奥様はこっちがいつ加速体勢にうつるかわからないから、常にひっくり返らないように身構えてなきゃいけない。タンデムグリップに捕まりゃ良いじゃん?っていっても、グリップはパッセンジャーの真下方向にあるから、縦方向の体のブレは抑えられるけど、前後方向には対応できないんですよ。だから、パッセンジャーが安心して乗るには後ろの箱が必須ってことになるんです。

で、まず最初に思いついたのが純正オプションの箱。これ2018年頃のゴールドウィングのカタログには純正パーツとして掲載されてたんですが、今は日本のカタログには載ってきてません。でも海外からはまだ買える。

背もたれ
(ゴールドウィング後付けの背もたれ。昔は純正カタログにもラインナップされていた気がしますが、今はありません。多分まったく売れなかったんだと思う。実はツアーの箱と微妙にデザイン違うんですが、知らない人にはほぼ同じにしか見えない。

でもね。考えれば考えるほど、この選択はないんですよ。だって無印にこれつけたら完全に「ニセツアー」になっちゃう・・。前モデルのSC68ではF6Bにバックモーターをつけたい人が、無印ゴールドウィングをF6B風にカスタムするパターンがありましたが、あれの逆をやることになるんですよね。でも、結果は全然違うんですよ。

だって箱付きゴールドウィングをチョップしてF6B風に改造する行為は、電制サスあり、バックモーターありの「ゴージャスF6B」を作る行為です。しかし、現行モデルの無印ゴールドウィングにオプションの素箱をつけるのは、電制サスなし、シートヒーターなし、電動トランク開閉機構なしの「プアマンズツアー」を作るってことなんですよ。

わざわざ金払って、劣化ツアーを作るって私的にはかなりキツイ。商売では「金にならんプライドなんて捨てちまえ!ヒャッハー!!」と思ってますが、恥も外聞もなくツアーに擬態するってのはやっぱ踏み切れないものがありますよ。かといってツアーに乗り換える気は今のところ微塵もないですからね。

余計なものをそぎ落とし、「巨体でもガシガシ走りたい」という少数派のために存在してるのが前モデルのF6Bであり、現行の無印なんですよね。しかも、私はわざわざ超不人気のMTを選択してるんだから、ダイレクトな駆動系と足回りに対する思いはそれなりに強い。だから、ツアーに思いっきり寄ってしまう純正の素箱はないなと。

次に考えるのは、純正や社外のバックレストですよね。F6Bのときにつけていたような小型のやつです。収納が一切増えないところが難点ですが、コスト的には一番リーズナブル。でもねぇ、これ好きじゃないんですよ。私がF6Bをセコで購入したとき、背もたれが既についてたんですが、すぐ取り外してしまったんですよね。あのもっこりとした黒い盛り上がりが、F6Bの美しいリアの流れを台無しにするってことと、座ったときに腰の浅い部分しか支えないのでパッセンジャーの不安を解消するには不十分なのが難点。確かにお尻がズレて下がることはないんですが、上半身はやっぱり後ろに持っていかれる。急加速の時の安心感はお尻じゃなくて背中を支えることなんです。車のシートの背もたれがもし腰までしかなかったら、あんなにリラックスして乗ることはできませんよ。それと同じで、パッセンジャーに安心感を持ってもらうのなら、背もたれは高くなくちゃならないんです。でもバックレストにはそれだけの高さがないんですよね。奥様が求めてるのは1~2時間のエマージェンシーな快適性ではなく、1日走り回っても安心な快適性ですから、これまたないなと。

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(昔取り付けてたF6Bのリアシート。イマイチ後付け感が強いのと、やっぱタンデムマシンとして最良を目指そうとすると、背もたれの高さが足りないんですよね。まぁこれで事足りるんなら誰もツアー買いませんよね。)

結局残るのは社外ハードトップケースを背もたれ代わりにするってアドベンチャーではおなじみの手法。ゴールドウィングの良いところは、現代的なデザインなので、GIVIやSHADなどの社外の箱が似合うところ。クラシカルなデザインのハーレーだったらトップケースまったく似合わないんで、ホムセンの箱にするしかないですが、ゴールドウィングは現代的な流線型デザインですからバイク用の汎用トップケースとマッチングが良いんです。

社外の巨大ケースならバックレストを取り付ければ背もたれがわりになるし、収納にもなるしで一石二鳥。もう選択肢はこれしかない。選ぶとするとトップケースの2代巨頭、「SHADとGIVIの製品のどっちか」ってことになる。

まずはSHAD。価格はかなりお安く財布にも優しいんですが、ゴールドウィングにベースアタッチメント取り付ける際に外装の穴開け加工が必要であり、ベースも樹脂で「背もたれにして荷重かけたときの剛性感が足りないかも・・」という懸念もありました。やっぱりある程度の体重支えようとすると基礎はガッチリしたものじゃなくてはならない。ベースプレート部分が心許ないんで、今回は見送り。GIVIはグロムにもつけてましたし、ゴールドウィングの取り付けベースは鉄製で剛性感高そう(SHADより超高いけど・・)だし、本体に無加工で取り付けられるところもいい。モノキーシリーズは開閉がワンタッチになってて、質感もかなり上がってるし、折り返しなどを多用して箱自体の剛性感もかなり高そうですから、今回はGIVIを採用することにしました。

とりあえずベースプレートをネットで注文して、取り付けにかかったんですが、さすがイタリアもの

「つかねぇぇええええええ!!」

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IMG_4827(取り付け用のベースは別売り。背もたれ兼用を想定した作りで、剛性が非常に高いところは好印象。でも、イタリアモノの問題は加工精度なんです。)

このベースの取り付けは、リア部分のメクラ板外して、本体に2本のステーを固定し、その上にベースプレートをかぶせてネジ止めするって寸法です。最初はネジ止めせず全体の合わせをみてみたんですが、さすがイタリアン。仮組みしてみると6カ所のプレート取り付けねじのうち一つのネジ穴がどうしても入らない・・。ネジ穴が微妙にズレて、真っすぐネジが入っていかないんですね。こうなるとベースプレートが分厚い鉄板であるだけに取り付けは非常にやっかいになる。無理しすぎてネジナメするとえらいことになるんで、とにかく慎重にやってくしかありません。幸いにもネジは焼き入れしてあり、かなり丈夫だったんで、なんとかかんとかねじ込んで無加工でついたんですが、これ強引にネジ入れてタップ壊しちゃう人多いんじゃないかなぁ・・ネジとネジ山を壊さないよう取り付けネジ12本を締めるのにあーでもないこーでもないと1時間近くかかっちゃいました。

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(ベースプレートがつきました。結構後ろ側に張り出してますが、ケースの取り外しや、荷物の出し入れのときに、足がバイクに干渉しないようにしてるんじゃないかと思います。)

昔、バイク店にいた頃、アプリリアで同じように「穴が合わねぇ・・」ってのを経験したことがあるんで、「・・令和時代になってもイタリアさんはこれですか・・・」って、正直思いましたね。イタリアものは模型もバイクもとにかく雑。よく「イタ車は壊れる」っていわれてますけども、部品の穴あわせもロクにできてないものを発売するメンタルで日本車の信頼性にかなうわけがないでしょ?すっごい昔に作られたパーツが経年で歪みました!ってんならともかくSC79のベースプレートなんて最近ですよ。オマエラ出荷前に組んでみたのかと。壊れる壊れないじゃなくて、「しっかりしたものを顧客に届けよう」っていう根本精神に欠けている。

ベースプレートがついたらお次は購入しておいたV47NNのトップケースに後付けのバックレストを取り付けます。ネジ2本で取り付けるんで、当然トップケースにも穴開け加工が必要になってくる。一度開けた穴は二度と塞がることはないので、ここは慎重に作業しなくてはいけません。別売りのバックレストには位置決めのための当て紙がついてきてますので、

まずはこの当て紙の寸法が正確かどうかを検証します。

DSC_1350(付属の当て紙。これからしてもう疑わしい・・。)

なんせイタリア製。「正確に穴を開けるために同封されている計測器が正確でない」という恐ろしいことが当たり前のようにある。イタリア人って本質を捉えたり核心部分を追求することには情熱を注ぐんだけど、楽しさに向かってただ邁進するだけで、後詰めができない。細かなところに気を配るのが苦手なんです。だからイタリア製は設計センスやデザインは凄いんだけど、製造と組み立てがなってないケースがままある気がする。

だから問題が出たときには、こちらの創意工夫でメーカーのケツを拭く覚悟がいるんですよね。ベースプレートでいきなりイタリア品質をみせつけられましたから、慎重になるのもしょうがない。で、計測するとバックレストの取り付けねじの間隔が14㎜。当て紙の穴指定の間隔も14㎜。うみゅ。まずは一安心。これをトップケースにマスキングテープで貼り付けて穴を開けていきます。最終的に6.5㎜の大穴を開けるんですが、ケース内への水の浸入を防ぐために1㎜たりともズレてはいけないところ。

「イタリア人なら、躊躇なく6.5㎜のドリルを手に取る」んでしょうが、私は日本人。モノ作り大国日本の民族性でイタリア製品に挑みます。

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(こちら穴開け用の工具。マスキングテープ&1㎜のピンバイスを含むドリルセット&電動のハンドドリルです。)
DSC_1344(穴の中心の位置決めはピンポイントで行います。模型でもバイクでも精度が仕上がりを左右する。)

まずは1㎜のピンバイスで中心位置に慎重に穴を開けます。1㎜ピンバイスは模型用。穴開け精度はクソ高いので、ピンポイントで芯出しできる。その後この穴を2㎜、3㎜、4㎜と拡大していって、最終的に6.5㎜まで順に広げていくわけです。「めんどくせぇ・・」と思われるかもしれませんが、ハンドドリルも併用するので、時間にして5分もかからない。もし穴開けがズレたら、そこでかかる時間の方がよっぽど膨大でムダです。

穴が空いたらケースにバックレストを取り付けます。穴の位置決めが完璧だから難なく終わる。バックレストは箱の上の方につくので、背もたれとしてもかなり使い出がよさそうで、そこはさすがにトップケースの老舗といいたい。イタリアものっていろいろ苦労はするんですけど、いざ完成するといいんですよねぇ・・・。逆に日本製品は組み立ててると、その配慮に感動の涙チョチョ切れるんだけど、できたものは堅実でイタリア製ほどの色気はない。まぁこれが国民性ってやつなんでしょう。

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(バックレスト取り付け後の写真。クッションがケースの上部に着くので、背もたれとしてはかなり良い位置といえます。)

完成したGIVIケース眺めてて、ツアーがモデルチェンジでトップケースの容量を50Lから61Lに増やした理由がなんとなくわかったんです。だって、このGIVIのトップケースって最大で56Lまであるんです。私が買ったのは車体とのバランス重視で47Lのやつなんですが、最大容量のものを購入した場合、一昨年前までのゴールドウィングのトランク積載量50Lを大幅に超えちゃうわけですよ。

確かに快適性は純正のリアシートの方が上かもしれないけど、社外のGIVIケースはワンタッチで取り外しできるし、背もたれにもなるし、軽いし、積載量も多いし、無印にそれつけた方が価格も安い。「おぃぃぃぃいいいいいい!快適性以外は社外ケースに総負けしてんだろ?」ってことになっちゃいかねない。そう考えると昨年の61Lへのモデルチェンジは必然だったように思うんですよ。

ということで、背もたれ付きトップケースときんつば嬢が天元突破、勇者合体です。見てくださいよ。これもう純正じゃないの?ってほど完璧な色合わせ。純正のマットブラックの色味とGIVIケースの色がこんなにドンピシャだとは・・とっても嬉しい誤算です。

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(容量は47Lですが、ヘルメット2つを楽々飲み込みます。)
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(もはや純正か?と思うほど色がバッチリあっている。逆に言うときんつば嬢の塗装質感がGIVIケース並みってことなんですが、結果オーライです。)

続いてはタンデムグリップなんですが、こちらは昨年から変更になったツアーの純正のタンデムグリップを採用。取り付けはシート外して交換するだけのお手軽作業なので割愛します。すっごく握りやすいし、以前のグリップよりカッコいいんですよね~。センスタかけもメチャクチャやりやすいし、ハナからこれつけて欲しかったなぁ・・。

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(ニュータンデムグリップ。握りやすくなってるし、羽みたいでカッコいいんですよね。)

ということで、今回はきんつば嬢の仕様変更をお送り致しました。GIVIの背もたれ付きトップケースとニュータンデムグリップの組み合わせは奥様にも大変好評で、9月後半からはずっとこれで走ってました。11月に入って気温が下がってきてからは、ほぼソロライドになってますんで、GIVIケース外してベースだけにして走ってます。ということで、今回の改装の報告は終了。ゴールドウィングは来年以降も奥様のご機嫌取りに獅子奮迅の活躍をみせてくれることでありましょう。

オーナーチェンジ3(圧倒的権力者の後ろ盾を得て、態度がとても大きくなったきんつば嬢。もう奥様に媚びるだけで生きていける。後方でムチをしならせてるのがマイワイフです。)