以前もダイナのブログでご報告致しましたが、昨年の末頃から、11年以上使用してきたK&Hのシートがヘタってきて、クッション性がない拷問シートになってしまいました。「これはたまらぬ、たえられぬ・・」ということで、しばらくの間ノーマルシートに乗ることに・・。

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(こちらダイナのノーマルシート。形状的には太もも部分が広く、座面が大きく厚みが少ない。座るとスポンジーな感触ですが、さすがに乗り心地は良い。ただ、明らかに合皮とわかる質感がハーレーの質の高い塗装と比較すると見劣りするんですよね・・。

車でもバイクでもそうなんですが、シートのデキってのは乗り心地にものっ凄く影響するんですよね。だって、ライダーと地面の間にある衝撃緩衝アイテムって、タイヤ、サス、シートの3つしかないんですから。後はカッチカチの鉄やアルミの塊ですよ。ぶっちゃけバイクと拷問機具の差って、この3つがあるかないか。つまり、この3つにコスト掛ければ乗り心地はさらに良くできるって理屈になる。

でも、バイクって昔から経済性が優先され、ローコストの意識が高いから往々にしてそれと真逆の方向にいくケースが多い。アメリカ人はバカみたいな距離を走るし、重い荷物バカバカ載せるし、日本人を上回るドケチだから、耐摩耗性と耐加重とコストバリュー重視で、タイヤがみんなカッチカチなんです。私もタイヤをいろいろ変えてきましたが、バイアス、ラジアルにかかわらずハーレー用は固いタイヤが多かった。

このカチカチタイヤで乗り心地を出そうとすれば、シートスポンジも吸収性重視になるし、サスペンションだって柔らかいダルサスにしなきゃならない。「そんなサスじゃコーナーどうすんのよ?」って部分は「バカヤロウ!直線さえ気持ちよければいいんダヨ!」っていう豪快な割り切りと、「オマエが頑張ってギッタンバッコン曲げてイケ!」っていう投げっぱなし理論で対応してる。

でも、こういう考え方って一本筋が通ってるから嫌いじゃないんですよね。コンセプトや味付けに筋が通ってるかどうかって、バイクに限らずモノの良し悪しをはかる上での一つの重要な指標だと思うんですよ。一番ダメなのはコンセプトがブレブレな商品だと思う。ハーレーって低性能だけど、筋を通すことにかけては超一流のメーカーですし、そういう信念が積み上げられて企業文化になっていく。モデルチェンジの度にブレていたら、企業文化なんてとても育ちませんからね。

で、私的にこの3種の神器、タイヤとサスとシートのうち何が大事かっていうと、まずはタイヤです。タイヤは路面とバイクの接点ですから、ここが一番の基本。次に大事なのはやっぱりシートだと思う。タイヤが路面とバイクの接点だとすれば、シートは人とバイクの接点。ゴールドウィングとダイナのタンデム対決でも言及したけど、この部分の質は乗り心地の質に大きく影響するんです。実際、サスがヘタってもブカブカになるだけで地獄にはならないけど、シートヘタったらこれはもう耐えられませんよ。乗り味云々を通り越して、体に直にダメージがありますから。人はそれを拷問と呼ぶんです。

カスタムで運動性を上げるにしても、ハーレーの場合乗り心地を維持したまま性能を上げたい人がほとんどでしょう。そんなときは、タイヤ、サス、シートの衝撃吸収の配分を変えてやるのがいいと思う。まずは柔軟性が低く耐久性に振ったカチカチタイヤを、高負荷時にしなやかで衝撃吸収性の高いタイヤに変える。これによって乗り心地を確保したまま、サスとシートを踏ん張り方向に振る余力が生まれるわけですね。タイヤが生んだ吸収性の余剰分の範囲でサスとシートを堅めの設定にしていけばいい。これでコンフォート性を維持したまま、ノーマルより踏ん張る足回りにできるわけです。私はフロントにオーリンズ入れてますけど、高速域でもしなやかで、かつグリップの高いメッツラーに出会わなかったら、フロントを固めようとしなかったかもしれない。

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(こちら11年間、通算8万㎞使用したK&Hのシート。車庫保管ということを考慮しても革の経年劣化の少なさは特筆すべき。私がスポンジ補修にあたって「革部分は再使用できないの?」ってK&Hに掛け合ったのも理解できると思います。)

それでは今回のお題のK&Hのシートの特徴から。このシートは、ベースの上にインジェクション製法で作った一体成形のスポンジを乗せてるため、シート全体でお尻を支える仕組みで、衝撃を和らげながらもコシがあるんですよ。乗り心地重視でスポンジ盛りすぎると、ふわふわになっちゃってスポーツライディングの時に腰が落ち着かないんですが、このK&Hのシートはかなり走れるシートです。柔らかいというよりしなやか。奥で踏ん張るプログレッシブサスのような無段階仕様で、シート表皮の革もハーレーのペイントに見劣りしないくらい質感高い。

これまで11年、8万㎞近く乗ってきてるんで、耐久性も保証つき。11年経っても革部分はまだ全然ヘタってないし、スポンジも長期間踏ん張る非常に耐久性の高いスポンジです。ただ、ヘタるときは一気にくる。ウレタンが徐々に潰れても、潰れきるまでは一定の柔軟性を維持するんですが、潰れきってしまうと全然クッション効かなくなっちゃうんですね。

私のダイナも昨年の末頃から一気に突き上げが酷くなった気がします。で、一度へたってしまうと、一体成形だから切ったり盛ったりできない。他のシート屋さんでは直せないし、シートスポンジを全取り替えしなきゃならないんですよ。

でも私はダメになっても他のシートに乗り換えようとは全然思わなかったですね。このシートデザインが私のバイクの個性の一部になっちゃってるし、このシートをベースに自分特攻に仕立ててるんで、それ変えるといろんなものが崩れちゃうって気がしたんです。実際、暫定的に戻したノーマルシートでは腰が落ち着かず、ポジションも少しずつズレるし、乗り味の良さや運動性のキレはやっぱり出なかった。私がタイヤの銘柄をずーっとメッツラーのマラソンから変えてないのも、今のバランスを崩したくないのが理由だったりします。

前置きが長くなりましたが、シートの修理って皆さん滅多にやらないと思いますので、このブログでは、その顛末を報告していこうと思います。シート修理の際のK&Hの受付嬢とのやりとりも、わけのわからないガイジンキャラでお送りしていきます。実際の受付嬢はもっと丁寧で、こんな失礼な物言いしてません。実際は可愛い声したお姉さんです。このブログは人物特定ができないように、キャラを大いにねつ造してるんで、そこんところをご理解の上、お楽しみ下さい。

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(今回はどんなイラストにしようか悩んだあげくの人間椅子。ちなみに私にこのような趣味はありませんし、ダイナの車重に耐えられるのはゴリラだけ。)


プルルル。カチャ

「もしもしK&Hさんですか?」

「ハイハイ!イラッシャイマセェ~」

「あの・・11年ほど前にキング&クィーンタックのシート買ったんですが、クッションがヘタってきて、修理お願いしたいんです」

「オオー・・・ウチは、スポンジのシュウリは一律シンピンの8割掛けになるゾ!」

「え!?ええっ?あの、えっーーと、表皮の革とか丈夫でまだ使えると思うんで、スポンジの入れ替えだけでいいんですが・・」

「ザンネンながら、そういうのヤッテネーノ。ソトヅラはゼンブ新品にナルヨ。オマエノモデルだと総額5万〇〇円クライにナルカモ~」

「じゃあ、修理にあたってシート表皮の色とか再度指定できるってことですか?」

「デキルヨー、追加料金とるけどナ」

「それって、もはや修理といいつつ同型の新品シートを8掛けで卸してるだけじゃないですか?」

「・・ソウトモイウナ・・・」

「じゃあ、それでいいんで修理お願いします。シート送りますから。」

「ダメダヨー、今予約一杯ダヨ~。シバイタロカってくらい受注があってファクトリーが残業続きでキレてるカラ~。」

「へぇ~、それってハーレーが多いんですか?」

「国産ダヨー。GB350とかREBELとかZ750RSトカ、最近シートの換え甲斐があるバイクを国産メーカーが一杯発売してクレてるカラネ。」

「なるほど・・。で、いつ頃修理できそうなんですか?」

「イマ7月の末ダケドー、10月後半までファクトリーは一杯ダヨ。」

「・・えっと・・それもう今年のシーズン終わってますよね・・・」

「マァ、それも運命ってことデ。もし、そこまで待てるんならファクトリーの予約いれとくヨ。10月末頃送ってきてネ。間違えても東京のジムショに送っちゃだめだゾ。サイタマのファクトリーに送るんだゾ」

「じゃあ一応予約入れといてもらえますか?」

「ハイハーイ!お待ちしておりマース!!」

いや凄いでしょ?修理が3ヶ月待ちですよ?どんだけ繁盛してんだと(笑)。私は替えのノーマルシートがありますから、とりあえずそれつけて走ってればいいけど、替えのシート持ってない人はここでシーズン終了ですよ。新車の納車待ち期間の長さがバイク業界では話題になってるけど、シートもヤバイことになってる。あまりに待ちが長かったんで、ディーラー通じて一般のシート屋さんにもアプローチしたんですが、「K&Hさんの修理は無理!」みたいな回答でしたね。

しょうがないんで諦めて10月まで待つって腹をくくって、「どーせなら、少しシートのイメージ変えてみようかな~?」と、K&Hのホームページでシートカスタムのアレンジに目を通してみてビックリ仰天。

「昔より選択できる革の色と種類がメチャメチャ増えてるじゃねーか!!」

11年前に購入した当時は革の種類があんまりなくて、シートの色と、ステッチ、パイピングあたりが選択肢でした。いろんな革を組み合わせるっていっても、色数や種類が少ないから、組み合わせに凝るとどうしてもどんどん派手になっちゃってたんです。ところが、今は同じ黒系でも風合いが違う革が選べたり、色も中間色とかあわせやすい色が並んでる。なんと34種類もあるんですよ!いやこりゃ凄い。楽しい!やりたい放題じゃない!

で、とりあえずシートアレンジ指定して、10月の後半にシートを梱包して埼玉のファクトリーに送ったんです。そしたら翌日にはすぐ電話かかってきて、アレンジの確認と、見積もりの報告がありました。シートに当初ついていたのK&Hのバッチは今は生産してないようで、新しいデザインに変わるけどいいか?とかそんな細かいチェックの後、「納期は11月の20日頃になりそうだけド、大丈夫カ?」って確認されたんで「いや、7月末から今まで待ったんですし、焦ってないです。いつでもいいですよ(笑)」って回答しました。

その余裕がまずかったのか、送られてきたのは9日遅れの11月29日でしたね(笑)。結局1ヶ月近くかかったことになります。

で、出来たシートがこれ。

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(シートは一応修理扱いなので、前回と同一のキング&クィーン。名称のとおり基本的に2人乗りを想定したシートです。今回は革を選び放題だったんで、革の質感を変えたツートンにしてみました。まだ見慣れてないので違和感ありますが、ボチボチ慣れてくるんだろうと思います。)

到着してからいろいろ確認して見たけど、修理に出したシートのパーツってどこにも使われてない感じ。事実上の新品交換状態です。革はベースがノーマルのブラックレザーで、タック部分とシート先端、シート側面に同色のアンティークレザーを採用してみました。色は変えずに質感に変化をつけてみようってことですね。アンティークレザーはとっても古めかしい風情ですけど、それが似合うくらいの走行距離になったかなぁと考えての設定。パイピングとステッチは従前どおりバーガンディ。私自身はなかなか面白い仕上がりだと思ってますがどうでしょう?なお、費用は6万円の半ば。車検と重なり立ちくらみすらしましたが、シートはコスト削れないのでやむを得ない・・。

後は発注してるリアタイヤがきて、春先に弱ってるバッテリー交換すれば、ダイナの8年目のオバホはほぼ終了。今年のダイナはメチャクチャ維持費がかかりましたが、こういうのってえてして重なるもんなんですね・・。まぁこれだけやれば当面はノーメンテで走れそうです。