「リアタイヤがありません~」

メカさんの無情な宣告が頭に響く・・今回は私のダイナの車検顛末記です。10月2日にバイクを預けて車検と整備が上がったのが10月29日。今回は車検完了までの暗闘を、いつもと一風変わった会話形式でお送りしたいと思います。

今回私が車検にあたって「これやらなきゃ・・・」と考えて、ディーラーにお願いしたメンテのメニューは以下のとおり。

1.車検
2.前後タイヤの交換

3.前後サスペンションのオーバーホール
4.前後ブレーキパッドの交換
5.ステムベアリングの増し締め
6.ブレーキフルード交換
7.K&Hのシートのスポンジ交換


いやー。なんとも出費がかさみそうなメニューが並んでいます。現在走行距離6万6千㎞。車検ごとに交換部品も増えていく傾向にありますが、車検通すのに必要なタイヤ交換からもういきなり躓いているわけですよ。

「へっちまんさん。ダメですぅ~。メッツラーにリアタイヤの在庫がありません~。今のところダイナのサイズで前後揃って在庫があるのは、ブリジストンのバトルクルーズと、ミシュランのコマンダー3だけですぅ~・・・」

「タイヤは後悔したくないんで、メッツラーにこだわりたいなー。もうコマンダーには戻りたくないし、ブリジストンも固いよね。きっと。」

「でもでもぉ~、メッツラーは車用のタイヤ製造の合間にバイク用タイヤ作ってるっていうフザケたメーカーですからぁ~、現在コロナで製造がセコイヤの樹齢みたいに超スローになっちゃってるんですぅ~。メーカーに問い合わせても、『今回の船便には積んでありませんでしたぁ!てへっ!』ってアホみたいな回答なのでぇ、予約入れても次入ってくるのいつになるかわからないのですぅ~・・」

「いやもうこの際フロントだけ交換して車検通してよ。リアタイヤは入ってくるまで気長に待つわ。」

「うにゅにゅ~、リアタイヤも車検ギリだと思うんですけどぉ~、まぁやってみますぅ~、検査員にくねくねしてみますぅ~」

「そういえば、ブレーキパッドの在庫どう?大丈夫なの?」

「ご希望はデイトナのゴールドパッドですよねぇ~。残念ながらフロントは欠品のようですぅ~。フロント純正でも良いですかぁ~?」

「欠品なら純正入れるしかないよね。とりあえず、車検なんとか通してくれ~」


「わかりましたぁ~、善処します~。」

「あと持病のステムベアリングがブレーキング時にガタつくんだけど、増し締めできる?」

「ん~、もう6万キロ越えですよねぇ~・・へっちまんさんって、過去にステムベアリング交換してましたっけ~?」

「前回車検で交換してる」

「なら大丈夫です~、交換時はそこまで強く締めないのでぇ~、今回増し締めすればまた落ち着くと思います~」

「じゃあ、よろしく~」

なぜかメカさんがアホの子みたいなしゃべり方になってますが、特に意味はない・・んじゃなくて、今回はちゃんと意味があるんです。当然メカさん本人はこんなアホじゃありませんし、口調も常識的。では何故このような語り口になってるかというと、まず本人特定を避けるという意味と、盛り上がりのないブログを少しでも楽しんで頂くために、メカさんの語りをテンプレヒロインのキャラバリを駆使してお送りしていくという実験的試みをしているからです。

ブログの質は最底辺を自負しておりますが、だからこそ紡ぐテキストのバカっぷりだけは負けられない。今回はハーレーのメカさんにアホの子ツンデレ毒舌お嬢と、濃い女子キャラを次々憑依させていきますので、その語り口の味わい深さをご堪能下さい。

メッツラー(こちらが私が贔屓してるメッツラーのマラソン・ウルトラ。クルーザー用のタイヤは、ヘビー級の重量を支えつつ、経済性も重視しなくてはならないので、トレッドゴムもカーカスもカチカチになるケースが多いんですが、メッツラーは重量級クルーザー専用とは思えないくらいしなやかなんです。しかも柔らかいのに耐久性抜群で1万8千㎞も走れちゃうんですから、ファンが多いのは当然だと思いますね。)

本題に戻りますが、このコロナ禍で一番困るのは、交換パーツの欠品ですよね。昨年に比べればまだマシですが、メッツラーみたいな弱小ブランドは流通在庫が全然ない。バイクってタイヤが命だし、私はダイナに関してはメッツラーのマラソン愛用なんですが、非常に困ったことになってますね。

いやね、このタイヤ、何が凄いかって前回交換時から1万8千㎞も走ってるんですよ。以前のマラソンって1万2千㎞くらいでフロントタイヤにスリップサインがでてたんですが、マラソン・ウルトラにモデルチェンジして1万8千㎞もつようになってる。凄ぇよ!スパコルの鬼っ減り考えると耐久神と呼びたくなりますよ。必要十分なグリップとしなやかな乗り心地を確保してスパコルの5倍もロングライフ。これは物凄いことではナイカ?メッツラーさん、ちゃんとマラソンを製造して日本に供給して下さいよ!お願いします!待ってるからね!!

それから数日後、再びメカさんから電話がかかってきました。(なお、ここからはキャラがツンデレになります。)

「へっちまん!いる?今大丈夫!?」

「あ?どうしたの?車検上がったの?」

「車検は通したわよ!なんとかね!リアタイヤを検査員がジト目で見てたけど、なんとか口八丁手八丁で通したわ!存分に褒めていいのよ!で、今ね、クッソ怪しい効能で完全に騙されてるだろお前!エアクリーナーの裏面に螺旋切ったくらいでパワーアップするわけねーだろバーカ!!なタイフーンエアクリーナー外して清掃してるんだけど・・」

「言い方!!いや・・はっきり言って、
オレだってそんなのでパワーホント出るのかなぁ?って思ってるよ?単に純正に比べてエレメントがスカスカになってるからパワーアップしてるだけじゃないかナ~?なんてと思ってたりしてますよ?でもね!大事なのは螺旋力(らせんりょく)なの!螺旋切ってあればもう大正義なの!ドリルは男のロマンなんだよ!!俺のドリルは天を衝くドリルだぁあ!

「何がドリルよ!バカなの?あんたのドリルはもう柔らかくて障子にすら穴あけらんないでしょ!天を衝くほど立たないでしょ!水平射撃すら怪しいでしょ!」

「・・・・ヒドい・・(さめざめと泣く)」

「とにかく!エアクリーナー外してみたら中のエレメントがボロボロじゃない!この状態で螺旋力もクソもないわ!アンタ一体いつから掃除してないのよ!?」

(確かに最近ホワイトガソリン切らしてて、エレメント洗浄サボってたな・・・)

「もーーーっとにかくっ!こんなエンガチョなエレメントは捨てるしかないわ!こっちでキジマ経由で頼むわよ!送料かかるけどいいわね!べ、べ、べつにアンタのためじゃないんだからね!バイクのためなんだからね!ご、誤解しないでよね!送料込みで3850円よ!用意しときなさい!!わかったわね!」

「あ、はい」

「あ、あと、オーリンズにリアサスを送ったのよ。オバホにね。そしたら連絡があって、サスのロッド部分に経年で錆が入りはじめてるそうよ。一方は研磨でなんとかなったけど、もう一方はもう交換したいっていってきてるけど、それでいいわよね!ったく、ガワだけじゃなくて、ちゃんとロッド部分も磨きなさいよ!ロッドは1万1千円で、工賃込みでオバホは4万1千円よ!定価8万1千4百円のサスを、どんだけしぶとく使うのよ!何回オバホ出すんだってオーリンズも呆れてるわよ!その分費用が上がるから覚悟しておくことね!!」

「あ、はい。よろしくお願いします・・・」



それからさらに数日後・・・



「へちまくん。いるかしら。」

「あん?整備上がったの?」

「・・あなたいつから私にそんな口がきけるようになったのかしら?目も当てられないような恥ずかしいテキストを垂れ流しておいて、今更なにをイキっているのかしら。」

「ごめんなさい!私が悪かったです!」

「まぁいいわ。報告よ。不本意だけど、あなたの尻で圧殺された汚らわしいK&Hのシート、つきあいのあるシート屋さんに、復活させることができないか聞いてみたわ。」

「感謝の極みです!!」

「結論は・・・ダメね。シート屋さんの話だとK&Hのシートはスポンジが一体成形で面倒くさいそうよ。できないことはないようだけど、しっかりとした補修ができるかは保証できない、できればやりたくないっていってるわ。随分嫌われたものね。」

「ご確認、ありがとうございましたっ!!」

「ねぇ、これは私からの忠告なんだけど。もうこの際、この汚物は焼却処分した方がいいんじゃないかしら。あなたの尻の形に変形してると想像するだけで吐きそうになるのよ。こんな暗黒物質(ダークマター)はこの世から消え去るべきだわ。」

「ご忠告痛み入ります!焼却も含めて検討させていただきます!」

「あともう一つ、バッテリーがもう死にそうよ。フル充電しても一週間も放っておくと抜けまくりよ。どんだけ入れても抜けていく、いわゆる電力の認知症ね。アナタと脳ミソと同じくらいキテるから、もう新品に入れ替えた方がいいわよ。こっちで交換する?それとも自分でやるのかしら?」

「もうすぐ冬なんでっ!バッテリーはチャージャーもありますから誤魔化しながらもうしばらく使わせて頂きます!」

「そう・・クランキングができなくなってジジィのハーレー押し掛けなどという、無様で目も当てられないことにならないことを祈ってるわ。」

とまぁ車検中のやりとりはこんな感じです。

ちなみにK&Hのシートに関しては7月末くらいに
K&H本社に修理依頼の電話してるんです。でも、「ファクトリーが激混みで10月末くらいまで工場の修理予約が取れません~」って答えが返ってきて、その時点では修理受付してくれなかったんですよね。一応10月末の修理枠の予約を入れたんですが、あまりに待たなきゃならないんで、他のシート屋さんでなんとかできないか聞いてみた結果がこれでした。K&Hの発泡ウレタン一体型成形はやっぱり特殊なんですねぇ・・。で、10月末にK&Hのファクトリー宛にシートは送ってあります。K&Hからの連絡によりますと、仕上がりは11月の後半になるそうですが、仕上がってきたら、ブログネタにしてその顛末をもう少し詳しくご報告する予定です。

で、最後に今回の車検費用をお伝えしておきますと、

ななななななんと21万8千円なんたたたたす!(←手の震えでミスタイプ)

・・・リアタイヤが欠品で交換できてないのに・・リアタイヤ入れたら25万円オーバーコースでしたね。これは間違いなく事案ですよ。マウスピース吐く級のリバーブローですよ。

6万㎞越えのハーレーの車検なんて、メンテ費用と交換部品で「貧民農場行き」という結論は逃れ得ないと覚悟はしていても、いざ請求書の額面を見ると膝がガクガクして生まれたての子鹿みたいになってしまふ。

しっかりオバホして、バイクを健康体に保っていこうと思えば、8年オチ程度のダイナでもそれなりに金がかかる。ぶっちゃけ毎年メンテ費用は増えてきてます。でも、これが機械モノの現実ですよね。もし皆さんが8年オチのハーレーの中古を購入したら、最初の車検で私と同じことが起こるかもしれないわけですよ。30年オチなんて言わずもがなです。

まぁサスなんかは、人によっては「オイルシールが逝くまでオバホしない」って考えてる人もいるのかもしれないし、それは乗る人の性格や個人の価値観によりけりなんだけど、エンジンの鼓動感にこだわるのなら、同じくらいサスの挙動やブレーキ、シャーシにもこだわるべきじゃないかなぁ?とも思うんですね。でも全部にこだわり出すと、止めどなくコストがかかってくるから、現実にはどこかで線を引かなきゃならない。

旧車ってあるがままを受け入れて、おおらかに洒脱に乗るってのが基本だと思うんです。機械的には目くじら立てずに情緒優先で乗る。だってどんなにメンテしたって絶対に新車にはならないんだから。ただし、いくら情緒優先って言ったって、今の公道環境で迷惑をかけず安全に走れるラインは最低限維持しなきゃならないわけですよ。

古いバイクを所有すると、その線引きというか、割り切りがとても悩ましい。機械ってキッチリやるか、経年を受け入れて放置するかのどっちかしかないですから、中間を狙うなんてことができないんです。古さというネガは潰しようがないわけですね。

バイク屋で働いてると、新車の下取りにバイクが結構入ってくるんですよ。で、新型のバイクに乗り換えたお客さんは「さすが最新型のバイクは足回りがビシッとしてますねぇ!!最高ですー!」なんて目をキラキラさせて感動してる。で、そのお客さんの下取りで入ってきたバイクに試乗すると、サスがもう抜けちゃってて減衰が明らかに不足してたりするんですね。抜けたサスの型落ちモデルと現行モデルの新車比べたら、ビシッとしてるのは当たり前なんです。古いバイクから新車に乗り換えるというのは、そういう「古くなった機械の様々なネガを一気に全てリセットできる」ってことなんです。だから中古の沼を知ってる人ほど新車か高年式中古を勧めるわけですよ。

マネーガン2
(コンフィデンスマンJPで有名になった超お下品なアイテム、その名も「マネーガン」。弾丸はなんとお札。私、これ好きなんですよねぇ・・。金はパーっと使うものって感覚が根底にあるところが好き。まぁ私の財力だと2秒くらいしか掃射できないんで逆に惨めになりそうですが・・。)

フレッシュな動作感にこだわり出すと旧車って金と手間がかかってしょうがないし、かといってずーっと放置も出来ない。機械的なことだけいえば、新車買ってその状態からできるだけレベルを落とさないように、少しずつ資本投下しながら維持できるところまで維持して、気分的にもコスト的にも「もう無理ィ!」ってなったら、次の新車に乗り換えるってのがバランス的に正しい選択じゃないかと思うし、経済的合理性の面から多くの人がそうしてる。

そういう経済的合理性を無視してバイクを長く維持しようとすると、カスタムパーツを選ぶにしても純正レベルのメンテ実績のあるメーカーを選択しなきゃならないし、良いパーツになるほど味落ちが早いから、メンテ周期も早くなる。

良いパーツ入れて動的質感にこだわるほど、経年劣化との戦いになり、メンテのモグラ叩きになっていくんですね。でも、どんなに頑張っても私の経験上、経年劣化との戦いに勝利するのは不可能です。そして果てのない消耗戦は、やがて心を削るグダグダの泥仕合に変わっていく。

だってオーバーホールってカスタムじゃありませんから。どんなに金を投入しても、何かが変わるってワケじゃないんですよ。元に戻るだけなんです。そのためだけにバカにならないコストをかけていく。それって、バイクに対する強い意思がないとできないんですよ。私がこのブログでも常々言ってる「バイクに永遠はない」ってのは「人の心がずっと変わらずに持続していくことはない」って思ってるからなんですよね。機械に対して妥協ができないメカマニアの一番の敵は加速していく経年劣化なんで、性能を気にする人や、機械に高い動作レベルを求める性格の人には、パーツコストの高い大型バイクの旧車はそもそも向かないんです。

そんな現実主義の私が、ぶつくさ言いつつもダイナをずーーっと維持してるってのは、経済的合理性ではなく、自分の主張とは正反対の多分に情緒的な感情です。人間って情に傾いて冷静さを失うとだいたい大損をすることになるんですが、私はなぜか「ダイナに関しては限界まで維持していく」って腹をくくってるところがある。昔だったら消耗戦に見切りをつけて、さっさと次のバイクを物色してたと思うんですよね・・。

晩年を迎え、バイクに対する向き合い方というか、心境も変わったんでしょうね。ダイナの車検代金を払いながら、なんとなくそれに納得してる自分がいる。「オレってこういうタイプだったかなぁ・・」とちょっと感慨深くもある今日この頃です。

ということで、2021年のダイナの車検の顛末をお送り致しました。コロナ禍の車検事情、少しでも皆様の参考になれば幸いであります。