先日久しぶりにダイナで長い距離のフラットダートを走りました。

幹線道路走ってる時になんか面白そうな脇道あるなぁって入ってみたら、どんどん山の方に向かっていって、やがては細い舗装林道になり、さらに進むと完全な砂利道になってしまいました。

「あーー砂利区間に入っちゃった・・でもいずれ舗装林道に戻るよね・・」って思いながら上っていったんですが、「全然舗装路面にならねぇぇぇぇええええええ!!どこまで砂利続くのこれぇ!!」ってトンデモない道行きになってしまったんです。3合目あたりから砂利がはじまり、山頂を越えて麓に降りるまでの9割方が砂利道。1時間半くらい走ってたので距離にして多分30㎞くらいはあったと思います。

私の住んでる家の近くの林道って、細いんですけど、簡易舗装されててバイクでも走りやすくなってるんです。でも今回は砕石撒いた砂利道がずーっと続いてた。しかも峠越えで急激な登り下りもありました。フロントブレーキかけるとコケちゃうんで、リアブレーキでスピードコントロールしながらダラダラと山越えをすることになったわけです。

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(迷い込んだ辺鄙な山道。こんなダートが山頂から麓まで延々続いてたんですよね。どこかで舗装路に合流するだろうって淡い希望を抱いてたんですが、結局ずっとこんな路面でした。)

こういう道に入るとホント「フロントのFKSサス固めすぎなくて良かった・・」とシミジミ思います。実は私のFKSサスのセッティング、ノーマルサスのレプリカみたいになってるんです。

ダイナの純正フロントサスって、よくヘニャヘニャだって小馬鹿にされてますし、私も過去に散々この点をディスってきたけど、実は私、ダイナのフロントサス大好きなんですよ。デブッチョのアメリカ人にフォーカスあわせた結果、日本人の平均体重だとプリロードかかりすぎのリアサスは兎も角として、フロントサスはスッゴク良い味出してると思うんですよね。タダの実用サスじゃないんですよ。

ブレーキング時に沈みまくって初期制動力を全部食べちゃうんで、緊急停止するときはかなりヤバめなんですが、リアブレーキの正しい踏み方を覚えるし、あの柔いサスをうまく縮めたり伸ばしたりしながら峠走るのメチャ楽しいんですよねぇ・・・。濃い味わいがあるっていうか情緒があるっていうか・・。ダメなのにイヤじゃないし、悪いと感じないんです。こういうところがハーレーの摩訶不思議なところ。バイク界の不思議ちゃんですね。

「良いサス入れて性能を追い込んで、楽しく仕上げましょう」って言われたら、ある程度経験のある人ならそれなりに作れると思うんです。でも「思いっきりローテクで、クソヤワですけど、なんとか楽しく走れるようにしていきましょーーー!!」ってオーダーされたらほとんどの人が頭抱えて「ナニソレ、ナニソレ!」って転げ回ると思うんですよね。そういう得体のしれないものをしっかり仕上げようとしたなら、「ヘタレなサスって、やっぱこうあるべきじゃない?」っていうダメ指針みたいなもんを確立しなきゃならないと思うんですよ。でも機械モノでダメ哲学を確立するって変態度が凄く高い。

「低性能が前提っておかしいでしょ!良いサス作ればいいだけじゃないの?!」ってフツーにツッコまれますからね。経営陣の頭のネジが緩んだ上にネジ頭ナメちゃってる状態じゃないと、こんな路線は普通できないと思う。理論派が論陣はってクソ真面目に道理を説いたりすると、お馬鹿な結論は出しにくい。

こんなのマニアックなポンコツ系駄目ヒロインで大ヒットアニメを作ろうとするようなもんですよ。需要のないポンコツ道を手間かけて極めるなんて、面倒くさいし、わかりにくいし、効果薄いしで普通誰もやらない。売りたければ、お嬢様系貧乳ロリ低身長ツンデレヒロインを釘宮理恵で声あてして、山あり谷ありの甘い系恋愛ボーイミーツガールをあざとくやればいいわけです。それだけで豚が入れ食いですよ。それこそ商業マーケティングっていう奴ですよ。

でもハーレーは長年にわたって、ユルユル体質を維持し、会社傾けてまで怠け続けた結果、怠けの極意を会得してしまったところがある。ローテクで丈夫なだけが取り柄のダルサスを、味わい深く動かすという特殊スキルを感じるんですよね。だからハーレーのサスはダメだからダメ!!っていえない不思議な魅力があるんです。こんなの国産じゃ絶対にたどりつけない境地。だってアホすぎる。

ハーレーの不誠実さの中の誠実さって、一体何なんでしょうね。「高偏差値なんかクソ食らえ、底辺でもたくましく生きて欲しい!しょぼいサスでも気の持ちようで楽しめる!!」ってサスが主張してる。いや「ショボくても楽しめる!って作ってる奴が言うな!」って感じですが、これって、脱落したマイノリティの生き方の極意じゃない??今思えば、ハーレーのサスは性能至上主義だった私を低性能のアブノーマルな楽しさに目覚めさせた凄いサスなのかもしれない。

DSC_11632(砂利道の果てにたどり着いた山頂。人っ子一人いない(笑)。美しき風景独り占めで、もう王様気分です。これぞ辺境一人旅の醍醐味。最高ですね。)

ハーレーは、質量感のある大雑把な作りの機械を組み合わせて、楽しい乗り物を作るっていうオーダーをこなすのが非常に上手い。雑なサスの味みたいなものを作り込んだ結果、客にゴムの伸びたパンツを提供してるのに、なぜかみんなそれを黙って履いて、大盛り上がりで走って行くという、ちょっとよくわかんないことになってるんです。「アウトローだぜ!」ってカッコつけてますけど、国産専門で乗ってきた私からしたら、「え?このシャーシはお笑い系だよね?」みたいな感じなんですよ。私がハーレーを好きになったのって、ヒロインがダメ主人公にドン引きしてジト目になりながら「あんたって・・ホント・・(首を左右に振る)・・いや・・いい・・なんでもないわ・・」ってあきれつつ惚れてくようなパターンに近いんです。

私のダイナは3年前フロントをオーリンズのFKSカートリッジキットに換装しちゃったんで、既にノーマルではなくなってるんですが、私は未だにノーマルサスのダメ味の楽しさを忘れられてない。私がサスで味を忘れられないのって、歴代サスでダイナの前サスくらい。性能の良いサスはほとんど記憶の彼方で印象に残ってないのに、クソザコ性能なのに笑えるくらい面白かったダイナの前サスは、残留思念のように私にまとわりついて離れない。高性能サスでもキャラが薄いと満足できないっていう真の変態になったんじゃないかって不安になってくる。

ただこのノーマルサス、味の深さとは裏腹に性能は極めて低レベルで日本の道路事情に合わないんですよね。アメリカは道幅広くて見晴らしがいいんで緊急停止なんてないのかもしれないですが、日本じゃ飛び出してきた車の緊急回避とかで走馬灯がよぎっちゃうことがある。安全か味か?ってことで一大決心して3年前にオーリンズに換装したんです。確かに日本にはこっちの方があってるし、これで十分満足してるんですが、それでも「ノーマルのダメサスをもう一度味わいたいなぁ・・車検でもう一度ノーマルに戻してみようか・・」っていう欲求は消えていない。

ちなみに現在のFKSサスキットはセッティングの調整幅が広く、キレキレからダルダルまで幅広く調整できますので、私はノーマルサスのダメ味をできるだけ再現すべく、フロントはインフォーメーションが消えちゃうギリギリくらいの、かなりダルい設定にしています。それでもノーマルのポンコツ風味は出ないんで、ぜんぜん薄味。オーリンズは擬似的にダルくしてあるだけだけど、ノーマルは真にダルいですからね。秀才がバカ装っても、真正ポンコツの味は出ません。

ちなみにダイナの純正リアサスは同じダメでもイマイチいいところがなかったので、納車してすぐ交換しました。選択したのはオーリンズS36E。サスのコシ、減衰、乗り心地の全てでノーマルを上回り、オーリンズなのでメンテもしっかりしてくれるという優良サスです。しかもフロントと同じくユルめで優しい。やっぱりサスは固いよりユルいところからプリロードかけて締めてく方が私はやりやすい。今のところ2万5千㎞くらいごとにオバホに出してるんで、既に3回オーリンズに送ったり戻したりを繰り返してます。メンテ費用は1本15000円くらい。もう廃車になるまでこれ使い倒す所存です。

で、ハーレーに緩めのサスの組み合わせはダートも全然イケる。数年前まではサブ機で所有してたXR100で近場の林道走ってましたけど、どんな状態からも立て直せるXR100と違って、300㎏越えのダイナでは、砂利道はかなり厳しいんじゃないの?って心配する声もあると思うんですが、実はフラットダートの砂利道走行も全然イケるんですよね。

今回ダイナで砂利道30㎞走ってみて、ホント今さらながら「バランス良いバイクだなぁ、お前何でもできるじゃん。」って惚れ直しましたよ。そりゃ舗装路より気を遣うけど、リアブレーキメインのバイクは悪路に強い。アベレージは出ないけど安定してるんです。

ゴールドウィングやストリートトリプルじゃダートの急な山越えなんてやる気も出ずにUターンするところ、
「ええじゃないか、ええじゃないか」と突入していって最後まで走りきっちゃう。ホント頼もしい。

ソロキャンできるほど荷物どっさり詰めて、ワインディングもそれなりに楽しく走れて、長距離も疲れず、悪路もこなす。ダイナは、こと日常的な速度領域に限っていえば、ほぼなんでもできる超汎用マルチプレイヤーなんですよね。まったり柔らかいサスがアドベンチャー的な使い方も許容してる。ダイナはあらゆる場面で最高レベルの力を出すバイクじゃありませんが、「力を全く発揮できないという分野もない。」応用力が異様に高く、何でも一定レベルでこなせるところに、離れがたい魅力があるんだと思う。

性能は低いですが、ライディング技術である程度カバーできるんで、乗れてる人にとっては、ダイナの総合力はかなり凄いことになる。メンテはバイク屋持ち込まなくても大概自分でできるし、燃費も悪くないし、非常に丈夫だし、パーツを着せ替えして盆栽道楽もできる。実際、戦場における兵站の歴史を紐解くと、ダイナみたいなのが最も重宝され戦線を支える礎になってるんですね。

12年目
(相変わらず、ブログと全く関係のない漫画が挿入されています。時間かかるけど、割と楽しいんですよね。)

局地戦じゃなくて、いざ兵站含めて長期戦やるってなったら、まず稼働性の高さと汎用性、使い勝手の良さが大事になります。ドイツでは4号戦車、ロシアならT34、アメリカならシャーマンですよね。そりゃ人気があるのはタイガー戦車でしょうが、タイガー戦車なんてデリケートすぎて
戦線投入すること自体が既に戦いっていう支援部隊泣かせの兵器ですから、働き者の4号戦車がなくなったらドイツの戦線は崩壊するんです。

それと同じで、自分のバイクライフの中からダイナが無くなっちゃうとどうにも成り立たない。「じゃあ、ダイナを入れ替えるとしてどんなバイク買う??」っていわれると、今のところ全然思いつかない・・って、まぁそんなポジションなんです。12年乗ってても、今さらながら、その柔軟性というか、頼もしさに驚かされてるわけですから、まぁホント大したもんですね。