前回は単なる報告記事でしたが、今回はちゃんとしたブログです。

ストリートトリプルRSのインプレも4回目。現在走行距離2500㎞。慣らしも完了いたしましたので、いよいよ今回はザラブ嬢のエンジンについて報告したいと思います。

私のモデルは既に2021年モデルらしいんですが、ストリートトリプルは2017年に排気量を675ccから765ccに変更し、パワーも123馬力という、「あんたら数字で遊んでんのか?」っていうふざけた進化をしています。

その2年後の2019年にはMOTO2のエンジンサプライヤーとなり、排ガス規制に対応しながら、エンジンを大幅改良。80ものパーツを再設計することにより、最高出力はそのままに、ミッドレンジでトルクを9%も上乗せし、最大トルク発生回転数も10800回転から9360回転まで下げ、フリクションロスも大幅に低減という気合が入った大進化を遂げたわけです。何気にホイールベースも5㎜縮めてるんですね。

そういった意味では、現状この3気筒は「トライアンフのメンツのかかった現代を代表する高性能エンジンの一つである」といえますし、私もそんな印象を持ってます。

ちなみにザラブ嬢は慣らし運転の距離と回転数に指定があり、タンクにこんなシールが貼られてました。

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私は基本これにそって慣らしを行いましたが、1600㎞まで全開はお預け。えらい長い道のりでした。ただ、装備重量188㎏(乾燥重量167㎏)の123馬力ですから、4000回転も回ってりゃ普段乗りにはパワー十分ですし、終わってみれば、体の慣らしもかねて丁度よかったのかもしれません。

ちなみに、このストリートトリプルRS、正規店に確認しても、需要に対して供給が全然追いついてないみたい。とにかく日本に入ってくる絶対数が足りてない。私みたいに「たまたま船便でやってくるタイミングで押さえることができました!」ってパターンは幸運で、次の船便はいつ来るかもわかんない状況。バイクの購入なんて勢いが大事ですから、欲しいときにモノがないんじゃオーナーは全然増えていかないでしょうね。

そんなわけで、数少ない最新モデルのオーナーとして、私には微に入り細に入り詳細なインプレッションが望まれているんだろうと思いますが、

「そんなのムリ!(笑)」

今までの私のブログって性能や数値重視のインプレなんかしたことない。そういう方面はいろんな媒体でライターさんが死ぬほど書いてくれているし、バイク自体は、2007年からのロングセラーで実績もあり、これだけいろんな雑誌で持ち上げられてるんですから悪かろうはずがない。

しかし、雑誌やネット媒体で出てるインプレは、私から言わせりゃ「あまりに客観的」です。ヒョーロン家は良し悪しは書けても好き嫌いは書けない。だから、ほとんど機能やスペックの紹介で終わっちゃうんです。

表現方法も無難で、「素晴らしい加速感」「安定した旋回性」「初心者でも大丈夫」「一度乗ってみて欲しい」なんていう、とおり一遍の記述で終了することが多く、バイクの名称部分を空欄にして別のバイクを当て嵌めてもそのまま使えるようなものになっちゃうこともある。
ロック
(挿絵の下絵です。バイク乗りにとって、高回転でむせび泣くエンジンサウンドは快感を増幅するバックミュージックです。ハーレーの低速ドコドコもいいけど、私はやっぱりこっちの方が好きかな・・)

しかし、私には「そんなアタリマエのインプレは求められてない」という自覚がありますんで、これから超個人的で主観的なインプレを書き殴ります。ある意味、客観性ゼロの完全なゴミインプレ。なぜ主観インプレがゴミなのか?それは多くの人にとって何の参考にもならないからです。主観なんて多様性がありすぎて、インプレとしては最低。

でも、だからこそ素人インプレは熱いんですよ。個人のブログで伝えるべきはユーザーの熱い叫びであって、メーカー広報の焼き直しじゃない。

というわけで、いつもどおり心のおもむくままに書いてますので、ブログの品性にいささかの難アリかもしれませんが、性格がオタクで下品なのでその点はどうしようもありません。あと、過去に3気筒エンジン乗ったことがありませんので、これまでの3気筒とどう違うかはまったくわかりません。あくまで私が乗ってきたエンジンと比較してってことになりますんで、その点についても、ご理解いただきたくお願い申し上げます。

「前置きが長すぎるわ!」とジレていた方、お待たせしました。ここからいよいよインプレでございます。

結論からもうしますと、このエンジンを一言で表現するなら、「光子力研究所から製造を丸投げされたアナハイムエレクトロニクス社が作り上げたマジンガーZ」です。

「なにそれ、意味分かんない」って言う人のうち、「単語の意味はわかるぞ」という人はどーぞ先にお進みください。「単語自体が意味不明」って方は、私のブログはそんなもんだと諦めてください。間違ってもググって検索なんかしないように。時間のムダです。

なんでこんな表現になったか?っていうと、このバイクはですね、走り出した瞬間から「古典的なエンジンの香り」がビンビンするんですよ。アクセル開けて「ギュォオオーーーーーーォン」っていうエンジン音を聞きながら加速すると、「この感覚・・懐かしいな・・」って、地球を眺める沖田艦長みたいに遠い目になる。若かりし頃にタイムスリップしたみたいにセピアな気分になっちゃうんです。

エンジンの風合いが遙か昔の「フリクション感のある4気筒」っていうか、スズキの「油冷エンジン」あたりに似てるんですよ。

昨今の磨き抜かれた4気筒のようにシュワワアアアアアーーンと回るのではなく、シリンダーをコスるようなフリクションの薄膜を纏いつつ、点火カットが入る12500回転オーバーまでギュオーーーーンと男らしく吹け上がっていく・・。フリクションっていっても、リッターオーバーのバイクの低回転域にありがちなウェットなネットリ感ではなく、乾いてザラついた感触ですね。高回転で綺麗に粒が揃い、コマのようにノンストレスで回ってくエンジンが多い中、低回転からトップエンドまで超微細な振動と抵抗感を右手に伝えてくる。

要は低回転はザラザラと、高回転ではビリビリくるんですよ。

それが嫌なものなのか?というと、全然イヤじゃない。だって、我々は遙か昔のキャブ時代から、多くのバイクでそんなフリクションとずっとつきあってきたんです。フリクション感のあるエンジンって、洗練度や高級感では劣るところがありますが、「回転の上がり下がりが肌感覚で理解できる」っていう美点がある。ザラブ嬢はエンジンのピックアップやざらつき感、エンジンのバイブレーションの感触で現在の回転数が大体把握できる。つまり「体感情報だけで走れる」バイクなんですね。

だから、「ご主人、タコメーターなんて見にくくても関係ないでしょ?」ていわれれば、「うん、まぁそうかな・・」って納得しそうになっちゃう。「もう点火カット入りそうです~」って、知らせてくれれば十分。タコメーターが赤くなるのはシフトランプの役割みたいなもんだと思えば読み取れなくてもそんなもんかも。

高回転に向けて振動のビブラートが急激に高まっていくため、「余力を残さず出し切った感」があるのも素敵。もう「イチジク浣〇で宿便まで全部出ちゃいました~~~!!」的な壮快な噴出感がある。

7000回転あたりから、全力で人斬り包丁振り回してるようにキレてきて、高周波微振動を伴いながら一気にドッギャーーーーンと吐き出されるパワー感は「カムに乗る」というより、力任せに突き上げるファイアー昇龍拳。

「後はどうなっても知らないんだからーーっ!」って高回転でアホのようにキレキレパワーを炸裂させてた88年式NSRを思い出させる。

ロック3+1
(もはや古典となった金太の大冒険。ヘビメタアレンジで一度は聞いてみたい。どっかのバンドにやって欲しいんですが、無理か・・。)

多くの人はトラの3気筒を「2気筒と4気筒のいいとこ取り」っていっていますが、言い換えれば、2気筒の中低回転のドラマ性と4気筒の高回転のドラマ性を取り去って、フラットトルクで全域をカバーしてる一本調子のエンジンっていえなくもない。でも、ふつーそんな簡単に、いいとこ取りなんてできないからこそ、エンジンってドラマ的になるんですよ。

このエンジン、リッターあたり160馬力のパワー絞り出してんですが、上でこれだけのパワー出してるのに、「フラットトルクで谷がない」って相当おかしいですよ。しかも低速域もノーストレスなんて、もーどうなってるわけ??だって、これ可変バルタイ入ってるわけじゃないんですよ。

高回転ではレーサーライクなキレっぷりなのに、中低速域でもフレキシブルって何気にトンデモないことですよ。

通常、エンジンってのは、キャラクターを上に振るか下に振るかなんですが、上に振っちゃうと下がなくなるし、下に振れば上で胸のすくような加速感は望めない。

リッターオーバーのバイクなら高回転に振って、下がスカになっても元々排気量という地力があるんで十分な低速トルクを確保できます。しかし、排気量がなければそうもいかない。

しょうがないんで、いろんなバイクがバルブ休止(HYPER VTEC)したり、カムごと入れ替え(BMWシフトカム)たり、カム山の位置をずらしたり(スズキレーシングバリアブルバルブタイミング)してバルブを操作し、空気を入れる蛇口部分の開け閉め加減を調整してシリンダーへ送り込む混合気を最適化しようとするんです。

でも、このバイクにそんなたいそうな機構は一切ありません。

エンジンを語るとき「トルクは腰下(排気量)、キャラはヘッド(カムシャフト)で」といったりしますが、蛇口にあたるカムで小細工せず、排気量も低速トルクを誤魔化せるほど潤沢じゃないとなると、残るは王道しかありません。いわゆる根源対策です。一つ一つの構成要件をひたすら煮詰め、適正化し、調整を繰り返し、問題点を地道に潰す。

「創意工夫で各回転域での空気の巡りを良くしてエンジンの基礎代謝を上げていく」しかないわけですよ。そういう風に仕上がったエンジンは、シンプルで壊れないし、極めて自然なパワーフィーリングをもってるんです。

とにかく、このエンジン、アナログ感満載でどこか懐かしいのに、古いスポーツバイクと違ってクッソ乗りやすいんですよ。フラットトルクだけど退屈でなくって、走りに熱い滾りがある。

性能的には2気筒と4気筒のいいとこ取りって評価できるんでしょうが、フィーリング的には、懐かしの2ストと現代の4ストが合体した感じで、ここ最近のエンジンから失われつつあるテイストを持ってます

宇宙世紀のモビルスーツ技術で作られてるのに、なぜかロールアウトしたのはゴリゴリのスーパーロボット。だから、アナハイムエレクトロニクスが作ったマジンガーZなんです。


(もう、音聞いてるだけで、どんなエンジンかわかりますよね。トライアンフの動画は画像と高回転のエンジン音のみなんですが、コレで察してねってことでしょう。)

というわけで

「職人芸で調整されたフラットトルク」

「2ストレーサーのような高回転の切れ上がり」

「旧車4気筒を彷彿とさせるエンジンフィール」

この3点が揃ったトラの3気筒エンジンは、「完全なオッサンホイホイ」であると私は評価しておきます。昔走り屋だったオジさんにノスタルジックにブッ刺さる要素が満載されてる。だから、ベテランライダーや、多くのバイクに乗ってきた評論家ほどこのエンジンにコロッとやられちゃうんだと思うんですよ。

オジさん達ってDNAに刻まれた懐古的な味付けに激ヨワですからね。半沢直樹だって、現代の金融ドラマなのに「忠臣蔵の松の廊下」を毎回やってるわけですし、今年映画で復活する仮面ライダー電王も「日本昔話と時代劇」を変身ヒーロー物にぶち込んで名作になったんです。やっぱり、支持される条件って最新の技術を利用しながら「昔ながらの価値観」を上手く取り込むことなんですよ。人間なんて時代が変わってもそう変われるものじゃない。ストリートトリプルRSになると価値観っていうより、古き良き時代そのものに還っちゃった感もある。

しかも、それをあざとく作り込んでるってわけじゃなく「3気筒を地道に適正化してたらそうなった。」って感じがするのが素晴らしい。これ作ったの多分私たちと同世代を歩んできた人達だと思う。80年代~90年代のバイク乗りは皆同じ穴のムジナなんです。

それにしても、外観はニセウルトラマンにクリソツで、エンジンはスズキの油冷風味、排気量は懐かしの750クラスと、イギリス人って日本が好きすぎなんじゃないですか?私から見れば、ストリートトリプルはベストセラーの世界戦略車っていうより、「80年代~90年代の日本のガチ系スポーツエンジンのエキスを注入しつつ、街乗りもできる万能エンジンに仕立てたオッサンホイホイ」ですよ。

そんな見方するとこれまでツリ目だと思ってた異形ヘッドライトも、オジさんがいかにも好みそうな「目隠しがわりにブラジャー装着」に見えてきちゃってまたツボに入る・・。このバイク、まるでMr.ビーンみたいにヘンな笑いどころがそこかしこにあるんですよね・・。

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(真正面から見ると、光るブラジャーにも見える。これが何に見えるかでその人の変態度がわかりそうです。)

ということで、今回はトライアンフの3気筒に対する私の主観に満ちたインプレをお送りしました。どうです?わかったようで全然わかんないでしょ。私のブログは知識の伝達より、「クソザコな私が伝えたいことをそのまま吐き出す」ことを重視してますんで、ロクなもんじゃない。バイク乗りのブログなんぞは所詮はウチの子自慢なんで、割り引いて読むのが妥当です。

冷静で、まともなインプレはちょっと検索すれば、感性豊かで知識も豊富な人達のものが山ほど出てくる時代ですから、そちらを参考にして下さいね。