6月6日、F6Bを車検に出しました。

「666」と6が三つも並んでしまい、私らしく悪魔的雰囲気が漂っておりますが、今回はコロナで車検期限が延びたのと、BMWのR1250RTにフラフラと浮気しそうになってたので、ちょっとばかし車検を引っ張っていたんですね。

しかし、試乗しての厳正なる審査の結果、BMWはF6Bの地位を脅かすことはありませんでした。それはBMWがF6Bに劣っているということではなく、「私が品格的にBMWに対して著しく劣っていた」詳しくはこちらのブログで)という愚かしくも哀しい理由によるものだったわけです。

私の心に小さな傷を残しながら一連の事態は「公衆便所の不審火が消える」ようにあっさりと収束し、F6Bの維持が確定したので、車検切れの前にいつものレッドバロンにF6Bを預けてきました。

今回、車検のついでに新たに部品を注文し、F6Bのお尻をノーマル状態に戻してもらったので、本ブログはそれについてのお話です。

F6Bは購入してからこれで3回目の車検になるんですが、今更なぜリアをノーマル状態に戻したのか?

それは、「後ろから見たときのヒップラインがF6Bの最大のアピールポイントじゃないの?」と私が勝手に思ってるからです。F6Bはシートからリアのストップランプまで繋がる伸びやかなラインが非常に魅力的。しかし、なんとF6B購入時に既に前のオーナーによって、そこにバックレストが取りつけられていたのです。

ゴールドウィング1

ゴールドウィング4
(最初期のF6Bの姿。バックレストが装着されてますが、これを利用した人物は誰一人としていない。)

本来、F6Bのリアまわりは綺麗なツライチであるため、バックレストを取り付けるためには、リアカウル内に取り付け用のステーを仕込まなきゃならない。しかし、私が新古車で購入したときには、このステーを外して「ノーマル状態に戻すパーツがなかった」んです。しょうがないので、しばらくはバックレストつけたままで走ってました。

しかし、タンデムするアテがまったくない「お一人様のバックレスト」ほど悲しいものはない。真のオブジェとはまさにこのこと。納車後しばらくは、「こんな快適なバイクを買ったんだから、万年ボッチのオレも誰かを乗せることがあるやもしれぬ、素敵な女子などをなぁ!!ふーーーーっふふふ!!」などと淡い期待を抱いていたんですが、初七日をすぎても四十九日を過ぎても誰も乗ってくれる人はおらず、我が愚妻にすら「興味ゼロ」と袖にされる始末。

時が経つにつれて、「オーナー・・寂しいですねぇ・・バックレストが泣いてますよ・・ププ・・」とF6Bに嘲笑されているような気分になってまいりました。あまりの周囲の無関心にブチ切れた私は、

「うぉおおおお!!憎悪の空より来たりて!正しき怒り胸に!オレは魔を絶つ六角レンチをとるぅううううう!!」

とドマイナーな名セリフを叫びつつ、やおらバックレストを外しにかかったわけです。

しかし、私をあざ笑うようにバックレストの下から出てきたのは、カウル内からニョッキリ伸びる取り付け用の「4つの金属柱」でした。

なにこれ?アザトース様を召喚するための次元祭壇なの?「・・・・・なんという邪悪・・・・・・・」美しいリアのラインにそそり立つ4本の物体はそのままでは捨て置けないほどデザイン上「名状しがたきもの」だったのです。

やむなく純正キャリアを購入し、その金属柱に取りつけて、名状しがたき異形を長年誤魔化し続けてきたんですが、車検に持ち込んだレッドバロンで入庫していた黒のF6Bのお尻を見て、あまりの美しさに立ち尽くしてしまい、その場で「リアをノーマルに戻します・・・」とつぶやいてしまったんですよ。

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(車検前のF6B。中途半端なリアキャリアに申し訳程度にくくりつけられたヘリノックスのチェアワン。)

ノーマルのグラマラスなお尻と比べ、私のF6Bの尻部分についている金属の荷台は、まるでヒップラインにあてがわれた貞操帯のようではないか?それに気づいてしまったからには捨て置けぬ。貞操帯は変態プレイの調味料としてのみ許されるものであって、日常では美観上も倫理上も決して許されるものではありませぬ。

そこで今回の車検で思い切ってキャリアもアタッチメントも全部外し、潔く素のお尻に戻すことにしたんです。

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で、これが現在。

「見るがいい!この美しい眺めを!!このボリューム感を!!フッハハハハ!
これこそ私が求めた美しき尻!そうですねぇぇ、ジョドォォォォォオオ!!!」(←カリオストロ伯爵の声で)

はるか昔の漫画で、ポルシェの尻フェチになって、カタナでポルシェ追いかけ回しちゃうキリンというオジさんがいましたが、あの気持ちわかるわー。あれ漫画だから格好良く見えますけど、第三者から見たらポルシェストーカーのメカフェチ変態マッド中年ですからね。

でも、男子である以上それはしょうがない。古来より、男の好きなモノはおっぱいとお尻以外にないんですよ。しかし、おっぱいは正面からアクセスする必要があるので、マジマジ見てると変態扱い。しかし、尻は背後から忍びよるだけで見放題です。しかも機械の尻なら誰も文句言わねぇ!好き放題です。

キリンもコーナーでクソ重いリアを右に左に振りながら曲がっていくポルシェのお尻を見ているうちに、「変な性癖に刺さってしまった」に決まってる。これだから嗜好がこじれてきたオジさん達はヤバいんです。ポルシェ探して毎晩バイクでうろつくんですよ?怖いって!

ああいう漫画って、肯定的な方面からだけ見てると凄くカッコいいんですが、一歩下がって冷静に観察すると凄く笑えちゃうところが多々ある。男なんてカッコいいと思ってるのは自分と一握りの同類だけで、外から興味のない人が見れば、スベってるだけだったりするんです。「ゴラァアアアア!!キリンのイメージを壊すなぁああああ!」とおっしゃる方もいるとは思うんですが、

「・・・そうさ・・オレはこのデカ尻に狂おしいほど魅了されてたのさ・・・」

ってのと

「こりゃ最高の尻ですねーーーーーっ!ジョ
ドォォォォーー!!!」

ってのは言ってること同じですからね。後者は表現を思いっきり笑い方向に振ってるだけ。

F6Bのデカ尻も似たようなもんです。もう最高の笑いに満ちてますよ。だって、あのデカい尻に必然性はナニもないんだから。でも、それこそ尻の本質ではなかろうか?尻なんて愛でるという役割とったら単なるクソの噴出口ですよ。

バイクってキュッと締まった尻はあっても安産型の尻ってなかなかない。軽量化とコンパクト化が金科玉条ですから、原則として合理性に満ちてるんですね。そんな合理性に満ちた大多数のバイク達の締まった尻と比較するとF6Bの尻のムダっぷりは、立ちくらみで倒れるレベルですよ。

そもそもゴールドウィングは豪華なパッセンジャーシートと積載量を確保するために、あの巨大な車体になってんのに、そこからパッセンジャーシートとトップケースをそっくりそのまま外すという無謀な引き算をすると、とたんに何のための巨体かわかんなくなる

豪華装備を外した時点で「巨大なシャーシの必然性は完全に否定された」わけですよ。バイク自らアイデンティティの根幹を否定して、「ムダを個性に」と開き直る厚かましさ(笑)。これはハーレーにも共通しますが、なかなかできることではありません。

そんなF6Bの「ムダの象徴であるお尻」に、あろうことか私は「意味を持たせようとしていた」んです。これはいけない。長年バイクに乗ってきたというのに、私は尻の本質をわかっていなかったといわざるを得ない。これは便利とかそういうものとかけ離れた、尻という概念に対する哲学的な問いかけであったわけですよ。「このスペースをナニカの役に立てよう・・」という私の小賢しい考え方自体が尻への冒涜だったんです。はっきりいいましょう!尻は美しいだけでいいんです。

それ以外の価値などいらぬ!

どこかおかしいな・・と感じつつ、それに気づくのに6年。長い月日でありました・・。

F6Bパンツ3
(大型バイク3台になって、登場人物のバリエーションが増えて華やかに。登場するバイクの身長は排気量に比例してます。ザラブちゃんが絶叫してますが、バイクが性能といっているうちは、まだまだバイクの深淵を理解していない。性能は評価の一要素。バイクへの嗜好はバイク歴と共に得体の知れない方向に広がっていく。そしてやがて人は「変態」と呼ばれるようになるんです。)

そして今ここに正しきデカ尻が降臨したのです!なんと清々しいムダ尻だろうか!まったくこの世の役に立たないという素晴らしさ!

「ムダ人間にムダな尻」。この組み合わせが真実だった。これからはこのムダ尻と共に、次の車検まで走り続けてまいりたいと思います。